恋愛成人式

その子は、中学校の隣のクラスだった。
異性の前ではモジモジとして口数が少なかったことを除けば、運動神経は良かったし、見た目もクラスで1,2を争う美形だったし、かなりのモテモテだった。
またしてもクラスは隣になってしまったけれど、同じ高校に進学できた。中学、高校ともに判で押したように隣のクラスであるということは、ある意味神様の取り計らいだと思って、勇気を出して告ってみたり。けれども、自分は相手の好みじゃなかったらしく、あえなく玉砕しちゃったり。
互いに別々の大学に進学して、それからは直接お目にかかることはなくなったけれど。卒業後、相手の人は北海道の僻地の高校に教師として赴任したとか、高校のクラスメイトと結婚したという噂も聞いたり。
そんな甘酸っぱい青春の思い出があったりするわけだが。

—以上が、今朝までの話







しばらくそんな思い出は封印していたのだけれど、本日イオンで買い物をしていたら、ばったりと出くわしてしまった。嬉し恥ずかし。
こちらは相手の顔を見過ごすことは絶対にないのだけれど、自分はそれなりに年もとってしまったし、相手は気づいてくれないかも・・・と一瞬心配になったり。
しかし、幸運なことに、向こうもこっちに気づいてくれたみたい。それだけで有頂天になるんだから、幸せ者。

向こうは妻子と一緒だったし、こちらも子供を産んで何年も経つので、さすがに声をかけたりするのは控えたけど。
・・・と、そんな刹那な逢瀬を、先ほど某女の子からメールで報告された。

最初は、「何をくだらねぇことでメール送ってきてんだよ。こっちはアシモフの小説を読むのに忙しいんだよ」・・・とはさすがに書かなかったが、ちょっと冷たい感じで返事を送ってみたり。
すると、
アンタが山瀬まみとすれ違ったと思いなさい。有頂天にもなるでしょ?嬉しくて若返って、肌だってプルプルつるつるツヤツヤになるわよっ!
などと返信が来て、あぁその例はわかりやすいなと妙に納得し、彼女にひどく共感した。


メールの主(♀)とは中坊からの付き合いで。彼女が、その男の子にゾッコンだった時期もそれなりに端から見ていたわけで。
つーか、その相手の男の子と僕は、高校時代にいつも一緒に通学する仲だったわけだが。
要するに、その♂と♀とはどちらも仲良しで、そいつらが告ったりフッたりと恋愛バトルを繰り広げちゃうもんだから、両方と仲の良い僕はなんとなく気まずかったけれど。ただし、その件に関してはどちらからも相談がなかったので、しばらくの間は公然の秘密として知らん振りして過ごしたけれど。


そんなわけで、今年35歳になろうかという一児の母(通称・オバちゃん)と20年来の胸キュンなコイバナをやりとりし、最後に当方の送ったメールが

「恋愛成人式。おめでと。」

というものだったという、第三者にとってはまったくもってどうでもいい話。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。