NHK『ゲゲゲの女房』第136回

 明日はゲゲゲ仕事をしてから(本来の)仕事に行くか、(本来の)仕事に行ってからゲゲゲ仕事をするか迷っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第136回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪はどこへ消えた?」

 直接話したわけでもないのに、茂の両親(風間杜夫、竹下景子)は茂(向井理)の不調に気づいた。ふたりは別々に、布美枝(松下奈緒)に対してアドバイスをした。
 義母の絹代は、気を抜くと人はダメになるという。忙しい時こそ人は張り合いを感じて生き生きとするが、仕事がなくなると一気に萎んで危険な状態になる。だから、茂には栄養のあるものをどんどん食べさせて元気づけるのが良いと言う。
 一方、義父の修平は真逆の助言をする。茂が売れっ子になったことこそ異常なことであり、今は休息が必要な時だと言う。茂はそもそも絵を描くことが好きな人間だから、のんびりやれば良いのだ、と。
 どちらの意見が正しいのか判断のつかない布美枝であったが、両親が各々の方法で気遣ってくれるのがとても嬉しかった。

 喜子(荒井萌)は中学校でますます孤立していた。修学旅行のしおりの表紙を作る係になり、古都・京都にちなんだ妖怪を多数配置したイラストを描いたところ、同級生たちにひどく馬鹿にされた。さらには、感性がズレている、一緒に修学旅行に行きたくないなどと陰口を言われているのを聞いてしまい、深く傷ついた。

 神社の境内で落ち込んでいた喜子は、偶然に茂と出くわした。父の前では明るく振舞おうとし、妖怪の話をするよう茂にせがんだ。茂は文明化された世の中をさし、日没後も電灯で明るいせいで妖怪たちは登場のタイミングが分からなくなっているのだ、妖怪の住みにくい世の中になったと言った。
 それを引き取った喜子は、妖怪の住みにくい世の中は、人間にとっても住みにくい世の中なのだろうとつぶやいた。茂は娘の異変に気づいたが、それ以上は何も言わず、優しく静かに語らいを続けるのだった。

 ふたりが家に帰ると、戌井(梶原善)が茂を待っていた。戌井は、再度漫画文庫の出版をする計画があり、茂に協力を求めに来たのだ。
 戌井の妻(馬渕英俚可)は苦しい経営状況の中、経費を削減し、漫画文庫出版の費用を捻出した。彼女は、元気のなかった戌井に予算表を叩きつけ、夫を激しく鼓舞したのだ。そしてついに、戌井もその気になった。
 貸本漫画時代の茂の漫画を復刻させる計画であるという。戌井によれば、当時の茂の漫画は熱いのだという。力強い画、面白いストーリー、眼に見えないものを見せる表現力、どれをとっても一流のできだという。それを現代に蘇らせたいのだ。

 しかし、茂はあまり乗り気ではなかった。出版するのは戌井の勝手だが、「水木しげる」の名では本は売れずに失敗すると言うのだ。最近の自分は、漫画の注文が皆無になるほど人気が凋落していると自嘲した。

 その点は戌井も気になっており、最近の茂の漫画は物足りないとハッキリ告げた。
 しかし、茂の将来は明るいと信じていると付け足した。茂は売れない時代にも努力して力作を描き続けた。そしてついに大成功を掴んだ。茂の漫画は本物であり、不死身である。いつか再び突破口が開けると、本心から励ますのだった。

 その言葉に茂は活力を取り戻した。まずは、自分の古い漫画を読み返し、自分が見失ったものを見つけようとし始めるのだった。

* * *


 喜子の悩みに気づきながらも、彼女が自分から言わないことに配慮し、素知らぬ振りをする茂。
 夫の落ち込みようを心配し、密かに彼の手助けの道を用意していた戌井の妻の内助の功。

 このコンボにやられました。泣けた。

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