NHK『カーネーション』第11回

元AKB研修生(AKB的には「研究生」が正しいらしい)を自称する尾野真知子という今年デビューした人のエロDVDがあると知り(amazonで調べる)、いろいろギリギリなところを突いてくるなぁと感心している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第11回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

善作(小林薫)は、またしても妻・千代(麻生祐未)を実家に派遣して金を借りてこさせようとした。しかし、一銭も借りることができなかった。千代の話によれば、これまで借りた金を全く返していないことではなく、善作が自分で来ないことが問題なのだという。

仕方のなくなった善作は、糸子(尾野真千子)を連れて神戸の妻の実家へ向かった。いつもなら善作に顔を合わせるたびに「学校を辞めたい、パッチ屋で働きたい」と直談判していた糸子であったが、何か様子のおかしいことを感じ取って、今日は黙っておくことにした。

清三郎と貞子(十朱幸代)は糸子を大歓迎した。しかし、善作に対してはいささか冷たく、よそよそしい態度だった。
清三郎は、糸子に席を外させると、善作にはびた一文金を貸さないと告げた。理由は、善作の呉服屋には将来性がないからだという。これからは洋服の時代になり、一流の呉服屋以外は生き残ることができない。善作の店は5年以内には潰れてしまうだろうというのだ。
店をたたんだ後は、清三郎が所有している姫路の工場で仕事を世話するという。そして、妻や子供たちは神戸に引き取るという。いわば、善作は家父長失格だと宣告されたのだ。

岸和田への帰り、善作は放心状態になっていた。往路よりも様子がおかしくなったことを感じ取った糸子は、学校をやめてパッチ屋で働きたいと試しに言ってみた。いつものように怒鳴ったり殴ったりすることもなく、力ない声で却下するだけだった。糸子はそれ以上何も言えなくなってしまった。

一家の女たちは夏祭りの夜店見物に出かけ、帰りが遅くなってしまった。善作にどやされるのではないかとヒヤヒヤしながら帰宅したが、善作はすでに布団を敷いて寝てしまっていた。明らかにいつもと様子が違うことに気付いたが、誰も本当の理由は知らなかった。どこか体調が悪いのだろうと思うのだった。

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NHK『カーネーション』第10回

昨日、10日にリニューアル・オープンしたばかりのNHKスタジオパークを見学してきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第10回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

神戸の伯父・松坂正一(田中隆三)が訪ねてきた理由は、小原一家が苦労していないか様子を見ることだった。糸子(尾野真千子)の父・善作(小林薫)は、元々は松坂家に出入りする呉服屋の番頭であった。いつしか、千代(麻生祐未)と恋に落ちて、駆け落ち同然で結婚してしまったのだ。そのような経緯もあり、神戸の母方の実家では小原一家の経済問題等をいつも心配しているのだ。

松坂家の人間を苦手としている善作は、すでに逃げ出してしまっている。残された千代は、あまり正直に言っても話がややこしくなるので、適当にはぐらかして正一を帰してしまった。

ところが、正一が帰路につく途中、町の人間から糸子がパッチ店で働いているという噂を聞いた。調べに行ってみると、本当のことだった。正一は糸子を連れて、家に戻ってきた。

正一は、小原家の家計が苦しく、善作の命令で糸子が働きに出されているのではないかと疑ってかかった。ところが、善作はまったく知らないことだった。
糸子は、もう隠していても仕方のないことだと、全てを打ち明けた。自分の意思でパッチ店に出入りしていること、金はもらっていないこと、純粋にミシンを触りたいことが理由だということを説明した。しかし、一同には糸子の気持ちがよく分からなかった。

特に、善作は糸子がパッチ店に出入りすることが気に入らない。苦しい経済状況の中から学費を捻出しているのに、それをないがしろにされているような気がするのだ。
糸子がついに学校をやめてパッチ店で働きたいと申し出ると、善作は激怒した。糸子は蹴られて、顔に痣ができた。それでもめげずに、糸子は時を変えて何度も頭を下げた。しかし、その度に善作は怒り狂い、湯のみを投げつけられたり、酒を浴びせかけられたりした。善作は態度を変えようとしなかったが、糸子も粘り続けた。

そういうことが何日か続く間、糸子は桝谷パッチ店に顔を出すことができなくなった。心配になった店主(トミーズ雅)は妻と一緒に、糸子の家へさり気なく様子を見に来るようになった。糸子はその事に気付いていたが、顔を合わせにくく、隠れてばかりだった。

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虎姫一座

浅草をぶらぶら歩いていたら、チンドン屋のような若い女の子たちが向こうから歩いてきた。どっかの大学のサークルか何かの戯事かと思ったら、一応プロのショーなのだという。手渡されたビラを見てみたら、昭和初期の大スターであらせられるところの、笠置シズ子と榎本健一の曲を演奏するレビュー・ショーなのだという。

なんだそれは?・・・と思いつつも、何となく興味が惹かれたので2,500円の入場料を支払って見物してきた。
最初は冷やかしのつもりだったのだけれど、見てみたら予想外に楽しめた。たった1時間半だったけれど、ファンになってしまった。

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NHK『カーネーション』第9回

栗山千明様にはいつも「様」を付けてお呼びさせていただいているのだが、本まとめ記事でも栗山千明様にだけは敬称をお付けするべきであろうと思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第9回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

糸子(尾野真千子)は働くことを通して、大人の自覚が芽生え始めている。もう朝寝坊はしなくなったし、往来を颯爽と歩くよう気をつけたりした。けれども、それにつれて、女学校がますますつまらなく思うようになった。学校に通うよりも、パッチ屋を手伝ってミシンを使うほうが楽しいのにと思うのだった。

パッチ屋の主人(トミーズ雅)も、糸子の働きと熱意を高く評価した。女学校を卒業したら店で働いてくれと頼むのだった。糸子も喜び、そうするつもりになった。それどころか、今すぐにでも学校を辞めて働き始めたいと思うほどだった。久しぶりに、幼なじみの勘助(尾上寛之)と話す機会があり、糸子は気軽な気持ちで学校を辞めたいと打ち明けるのだった。

一方で、糸子がパッチ屋に出入りしていることが町の噂になり始めた。小原呉服店は娘を他所に働きに出すほどだと景気が悪いと陰口を叩かれているのだ。妹の静子(柳生みゆ)がそれを聞きつけ、家族には内緒にしたまま、糸子に真偽を確かめた。ところが、糸子は少しも悪びれたところがなかった。その様子を見て、静子は父・善作(小林薫)の耳に入ったら大変なことになると心配するのだった。

実際、善作の呉服店は調子が良くなかった。「小原呉服店は品揃えがよくない。少し遠出してでも、心斎橋の呉服屋で誂えたほうが良い」などと陰口まで言われる始末だった。大地主・神宮司(石田太郎)の娘が嫁入りすることになったことを受けて、料理店・吉田屋の主人(鍋島浩)もそのように勧めた。神宮司に呼び出された善作は、部屋に入る直前に、ふたりがそう話しているのを耳にしてしまった。しかし、人前では気の小さい善作は、卑屈な作り笑いを浮かべて聞かないふりをするしかなかった。

ところが、神宮司は娘の嫁入り衣装一式を善作に任せると行って来た。善作との古い付き合いであることはもちろん、善作の商売が苦しいこともよく承知していた。だからこそ、善作を助ける意味でも依頼したいのだ。善作はたいそう喜び、張り切って仕事をすると請け負った。

ある日、糸子の母(麻生祐未)方のおじ・松坂正一(田中隆三)が訪ねてきた。母方の祖父(宝田明)は神戸で紡績会社を経営しており、おじもそれを手伝っている。繊維産業が盛んな岸和田にはよくやって来るし、その度に糸子の家も訪問するのだ。
けれども、義理の兄を苦手にしている善作は、正一の姿を発見すると、見つかる前に逃げ出してしまった。

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NHK『カーネーション』第8回

椎名林檎の『カーネーション』を鼻歌すると、いつも必ずNOKKOの『人魚』になってしまうのはどういうわけだろうと思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第8回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

裁縫の授業で、布を縫う機械の名前について質問し、糸子(尾野真千子)は「ミシン」という言葉を覚えた。そして、毎日、桝谷パッチ店に寄り道してはガラス戸から店内を覗いた。うっとりとミシンを眺めていた。
一方で、自宅で手縫いをするのが少しつまらなくなった。手縫いはミシンに比べて圧倒的に遅く、それが気に入らないのだ。

その矢先、父(小林薫)が家族のアッパッパ着用と糸子による縫製を禁じた。
父は、大地主(石田太郎)の息子が結婚するのに際し、立派な黒紋付が売れると期待していた。しかし、花嫁側の意向で洋装での挙式となった。しかも、大地主も、これからは洋服の時代だと言っている。それが父には面白くないのだ。
それで、洋服全てを目の敵にするようになった。糸子が抗議しても、もちろん聞く耳を持たなかった。

しかし、父の洋服禁止令は糸子にとってはそれほど痛手ではなかった。糸子は、ミシンを覗き見るだけで何事にも代え難い幸福感を感じていたからだ。

ある日、いつもと同じように戸口に立ってミシンを見ていると、店主(トミーズ雅)に声をかけられた。店にも糸子の存在は当然知られており、話題になっているという。糸子が裁縫やミシンに対する熱意を語ったところ、店主に気に入ってもらえた。店内に招き入れられ、間近でミシンを見学させてもらえるようになった。

何日か通っているうちに、ついに、実際にミシンを操作させてもらった。糸子は上手に使うことができた。店主にも筋が良いと褒められた。糸子は有頂天になった。嬉しくなった糸子は、店の雑用を進んで行うようになった。
ミシンが使えて楽しかったことに加え、糸子は働く楽しさや喜びをも知ることとなった。

働く喜びは、裁縫以外にも適用された。これまで家事の手伝いはほとんどして来なかった糸子であったが、突然食事の片付けをし始めた。糸子の豹変に、家族はたいそう驚いた。

糸子は、自分がひとつ働くと、周りがひとつ喜ぶ。それにともなって、自分がひとつ大人になるような気がした。自分が一歩ずつ大人になる事が嬉しかった。自分が働いたことを記録する「しごと帳」という日記を付け始めた。

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NHK『カーネーション』第7回

尾野真千子に関しては、先週の土曜スタジオパークにゲスト出演した時の様子(出演情報;ビデオあり)やtwitterの投稿を見て、「オーラが全くなくてマイペースなところが、かえって大物のオーラ感を醸し出してるよな」と思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第7回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

女学校へ通っている糸子(尾野真千子)は友だちも作らず、休み時間も裁縫のことばかり考えている。裁縫の授業も週に4回あるが、初歩的なことばかりで、糸子はその授業に身が入らない。自宅で好きなだけ裁縫をしようと思っても、授業は午後遅くまであるし、宿題もたくさん出るので、なかなか時間を割けない。

家の呉服屋の商売はあいかわらず不景気だった。なかば自棄になった父・善作(小林薫)は、謡教室を始めた。弟子も数人集まり盛況であった。善作は稽古の場で着物も売りつける算段であったが、そっちの方はからっきしであった。そのかわり、謡教室の月謝でいくらか家計が助かった。
けれども、糸子の女学校の学費や、さらに3人の妹たちの学費のことを考えると、依然として家計は苦しいのだった。

善作が集金を苦手にしているのも変わっておらず、今ではほぼ全ての集金を糸子に任せていた。女学校進学後、ただでさえ裁縫の時間が減ったことを不満に思っている糸子であったが、父の命令には逆らえるはずもなかった。今日は隣町への集金を命じられたので、いつもより余計に時間がかかることとなった。

初めての集金先で、糸子は少し道に迷った。
しかし、ふと覗いたパッチ屋の奥に、見たことのない機械を見つけた。何をするものかわからないまま見つめていると、職人がそれを操作し始めた。すると、あっという間にきれいに布が縫い合わされてしまった。

ミシンに初めて出会った糸子は強いショックを受けた。そして、それがまるでだんじりのようだと思った。自分が乗るべきだんじりは、あの機械なのだと思うのだった。

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ハート田チーム: 幼女と遊ぶ

休日の夕方、特に何もすることもなく、「スーパーでビールでも買ってきて、早い時間から飲みまくるか」というプランを立てた。歩いて5分のスーパーまで出かけ、予定通りビールを買い、買い物袋をぶら下げてのろのろと帰ってきた。

僕のアパートの前では、5-6歳くらいの女の子がふたり遊んでいた。彼女らは僕の方をジロジロと、遠慮もなく観察している。
確かに僕は、平和な住宅街には似つかわしくない風貌をしている。近所の人々から、職業不詳の不審者だと思われていやしないかと、いつもビクビクしながら暮らしている。小さな女の子の半径3m以内に近づいたら、それだけで通報されるのではないかと思い、幼女がいたらなるべく離れて歩くようにするなどの配慮もしている。考え過ぎかもしれないが。

幼女ふたりは、僕が玄関に近づくまでじっと見ていた。僕がドアの鍵を開けて、家に入ろうとすると、にわかに
「ただ!ただ!」
と騒ぎ出した。

文字にするとわかりにくいが、もう少し正確に表記するなら、
「”た”だ! “た”だ!」
という感じ。なんだよ、「た」って?
「た」に妙にこだわる謎の幼女に声をかけられるなんて、自分が吉田戦車の不条理マンガの世界に紛れ込んでしまったかのような錯覚を覚えた。

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『コドモのコドモ』

オトナのための性教育ビデオですかね、これは。

小学5年生の女の子(甘利はるな)が、妊娠・出産するというお話。
父親は、幼なじみで同級生の男の子(川村悠椰)。性に関する知識を全く持っていなかったふたりが、わけもわからず遊びの延長上で性交して妊娠するという流れ。あまりにあまりな設定だが、小学5年生ならば初潮・精通も終わっていて不思議ではない年頃なので、生物学的にはアリなお話だろう。
妊娠の事実はクラスメイトたちには知られることとなったが、大人達には一切秘密にされた。それでも胎児は時間と共に成長していき、主人公は破水してしまう。大人達の助けなしに小学生たちだけで出産に挑む。それもどうかというストーリーだが、駅のトイレで一人で出産してそのまま乳児を遺棄するというニュースもたまに聞こえてきたりするので(あんまりいいたとええじゃないけど)、まぁアリっちゃアリなお話しなのかもしれない。

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NHK『カーネーション』第6回

「俺のライバルは『5分でカーネーション』というネットで見れちゃう公式ダイジェスト映像だ(第1週)」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第6回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、神戸の祖母(十朱幸代)からもらったドレスを近所のおばさん連中に見せびらかした。おばさん達は初めて目にする派手なドレスをからかいながらも、とてもきれいだと褒めてもくれた。
隣の履物屋の女将が、洋服の一種だといってアッパッパ(近畿地方の方言で、木綿製の簡易なワンピース。Wikipediaで調べる)を見せてくれた。そのアッパッパは自作の物だと言い、糸子にも自分で縫ってみるよう勧めた。

早速家に帰った糸子は、祖母(正司照枝)に余り布を見せてもらった。地肌にあう生地、羽織にあう生地など、素材の違いを簡単に教えてもらった。糸子は、生まれて初めて、生地が面白いものだと思った。

糸子は、さらしの生地をもらった。それは古くて黄ばんだものだったが、初めての布地がうれしくて、熱中して縫い物を始めた。母(麻生祐未)に声をかけられても聞こえず、食事も睡眠もそっちのけで、アッパッパの作製にのめり込んだ。

多少の難点はあったが、初めてのアッパッパが完成した。自分で着用し家族に披露したところ、みんながたいそう褒めてくれた。父(小林薫)も、将来有望だ、店の着物も糸子に縫わせよう、などと大はしゃぎであった。
糸子は嬉しかった。それからは、男子と喧嘩することもめっきりなくなり、学校が終わるや否や帰宅し、裁縫に明け暮れた。

しかし、ひとつだけ不満だったのは、岸和田のあたりでは洋服を着る人がまだほとんどいなかったことである。

昭和2年(1927年)。
糸子(尾野真千子)は成長し、女学生になっていた。ただし、おてんばなところは相変わらずだった。朝寝坊をし、台所で立ちながら飯をかっこみ、猛ダッシュで学校に向かった。

けれども、ひとつだけ変わったことがある。だんじりは今でも大好きだが、「大工方になりたい」とはもう思わないようになっていた。

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NHK『カーネーション』第5回

「関西に長く住みすぎたな。気がつけば、関西弁を喋らない女の子にはトキめかなくなってしまっている」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第5回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、自分が女に生まれたこと、そして、その事によって自由が奪われている現実から、どうしようもない無力感に苛まれていた。

学校の帰り道、だんじりの倉庫の扉が開いていることに気付いた。忍び込んだところを泰蔵(須賀貴匡)に見つかってしまったが、彼は糸子のしたいようにさせてくれた。そこで、糸子はだんじりの屋根に乗ってみた。
しかし、糸子の気分は少しもよくならなかった。あんなに登ってみたいと思っていただんじりの屋根なのに、うす暗い倉庫の中で一人で乘ってみても、思っていたほどには興奮しないのだった。気がすんだか?という泰蔵の言葉にも、力なく首を振って去っていくのみだった。

家に帰っても、糸子は塞ぎこんだままだった。父・善作(小林薫)もさすがに糸子のことが心配になり、糸子に手を上げたことを後悔する素振りを見せた。ところが反省もつかの間、母・千代(麻生祐未)に責任転嫁し、千代がしっかりしていないから糸子がおかしくなるのだと、がなりたてはじめた。

その父の怒鳴り声を聞いて、糸子はますます自分が女である事が嫌になった。このまま大人になっても、一日中家に篭り、夫に叱られてばかりなのだと思うと失望した。

その時、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)から小包が届いた。知り合いの外国人からおみやげに貰ったという、ピンクのかわいらしいドレスを送ってよこしたのだ。ちょうど、ドレスの絵を描いて妹たち(荒田悠良村上凜花田鼓)に見せてやっているところであり、糸子は思いがけない贈り物に有頂天になった。喜び勇んで、父や祖母・ハル(正司照枝)に見せに行った。家族はみんなが明るくなった。

しかし、貞子は寸法を知らずに送ってきたため、そのドレスは糸子には小さすぎた。そのため、次女の静子に着せられることとなった。糸子は少しも面白くなかった。3人の妹たちは、成長に連れて順にそのドレスを着る機会が訪れる。しかし、糸子だけは着るチャンスが全くないのだ。

糸子は、だんじりの大工方などの役割は、女である限り手に入らないと諦めていた。しかし、ドレスならば、女の自分でもいつかは着ることができるかもしれない。そう考えると、少しだけワクワクしてきた。

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