当サーバーが重いと言って怒られた

確かに僕のサーバーは重い。遅い。
当blogを開くのに10秒近くかかることもある。
僕の愛すべき読者にはいつも申し訳なく思っている。

サーバーが遅いのは、僕が借りている某レンタルサーバーのせいだと思っていた。
いくつかの候補の中から、一番安い会社と契約した。安いし、まぁこんなもんだろうと思っていた。
一度契約して環境も作ってしまったので、今さら移籍するのもめんどくさい。だから使い続けている。
ただし、重くて遅いことは十分承知しているので、少しでも軽快に動作するように最善は尽くしているつもりだ。

つもりだった。

つもりだったのに、本日、名指しのメールで直接怒られた。
レンタルサーバーの運営会社が、「あんたはサーバー全体の迷惑になるくらい大きな負荷をかけている。早急に改善せよ」と言ってきた。
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NHK『カーネーション』第69回

昨日のまとめ記事はマクラとラストを綾瀬はるかで結んでいたのと同様、実は小野小町の「いとせめて・・・」が糸の掛詞にになっていたわけで、誰か褒めてくれるかと期待していたのだが、誰も言ってくれなかったので自分で言ってしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第69回目の放送を見ましたよ。

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第12週「薄れゆく希望」

糸子(尾野真千子)は自分の傲慢が、町の人々から爪弾きにされる原因を作ったのだと反省した。町の人々に対してにこやかに接し、下手に出るよう心がけた。
おしゃれモンペ教室を再開したところ、心配したほどには客足は減らなかった。以前と同じように食料を代金替わりにした女性たちがやって来た。糸子は一安心した。

その矢先、婦人会の澤田(三島ゆり子)らが店にやって来た。以前なら澤田の顔を見ただけで腹を立てていた糸子であったが、自分を落ち着かせて穏便に対応した。
しかし、澤田の要求は糸子には到底受け入れられないものだった。国が戦時体制にある時期に、お洒落をしようなどというのは言語道断だというのだ。ボロ布以外でモンペを作ることを禁じられてしまった。

さらに、お洒落にうつつを抜かしているようならば、店にミシンは必要ないと言われてしまった。鉄を溶かして武器にした方がよほど国の役に立つ。そこで、翌日回収に来るから準備をしておけと言うのだった。
その命令に、ついに糸子は堪忍袋の緒が切れた。澤田らを怒鳴って追い返した。

澤田らを追い返したのはいいものの、明日にはミシンをとられてしまう。糸子は悩み始めた。
ミシンは一家の重要な生活の糧であるばかりか、善作(小林薫)の形見でもあるのだ。彼が一大決心をし、自分の商売を諦め、店の反物全てと引き換えに買ってくれたものなのである。絶対に手放すわけにはいかなかった。

困った糸子は、善作の仏前で手を合わせ、心のなかで相談した。もちろん、善作の遺影は何も答えてはくれなかった。

ふと見ると、優子(花田優里音)が隣に来て、一緒に手を合わせていた。
糸子は優子の髪を切ることを決めた。優子をかわいがる善作は、優子の髪を伸ばしておさげにすることを命じていた。糸子はそれが気に入らなかった。善作が口出しできなくなったのをいいことに、優子をオカッパにしてしまった。

優子自身は、自分の髪型を少しも気に入らなかった。そのため、むくれてしまった。
糸子は優子をなだめるために、みんなに意見を聞いて来いと追いやった。
家の者は、異口同音に新しい髪型が似合っていると褒めてくれた。しかし、それでは納得できなかった。

家を飛び出した優子は、隣の履物屋に飛び込んだ。
そこには偶然、木岡の弟・靖(多々納斉)が来ていた。靖は優子の新しい髪型を褒めつつ、糸子によろしく伝えるよう優子に頼んだ。軍の仕事を請け負っていて商売が順調な靖は、オハラ洋裁店に困ったことがあったら仕事を回すと約束していたのだ。いつでも糸子を助ける準備のあることを、優子に託して伝えた。

優子は家に帰って糸子に靖のことをすぐに伝えた。
それで閃いた糸子は、すぐに隣に駆け込んで靖に仕事を卸してくれるよう頼んだ。軍服の縫製を行えば、ミシンを供出しなくてもいいと考えたのだ。

その日のうちに軍服の仕事に取り掛かった。
翌日、澤田らがミシンを回収に来たが、糸子らは胸を張って軍に協力していると言い放った。軍服を作るためにはミシンが必要だから供出には応じられないと突っぱねるのだった。そう言われてしまっては、澤田も手ぶらで帰るしかなかった。
糸子は大切なミシンを守ることができた。

昨日と同じように善作の仏前に座った糸子は、事の顛末を善作に報告した。自分がいかに巧妙にミシン供出を免れたかを説明するのだった。

ふと見ると、優子が隣に来て、一緒に手を合わせていた。
そこで、あっと思った。全ては善作の差配だったと気づいたのだ。善作が優子を使ってことをまとめてくれたのだ。
糸子は、まだまだ善作にはかなわないと思った。

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NHK『カーネーション』第68回

小野小町の「いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る」という歌があることを知り、寝間着を裏返しにして寝ると恋しい人の夢を見る事ができるというのでユニクロのスウェットを裏返して試してみたら、自分の結婚式の夢を見ることができて、花嫁はミニスカートのウェディングドレスで絶対領域も白く眩しい綾瀬はるかだったのだが、「俺的にはなんか違う。山瀬まみ、もしくはそれに準じる女の子じゃないと納得できん」とプリプリしながら目を覚ました当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第68回目の放送を見ましたよ。

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第12週「薄れゆく希望」

善作(小林薫)の葬式の翌朝、糸子(尾野真千子)は寝床でうつらうつらしていた。娘たちの健やかな寝顔を眺めつつ、善作がいなくなったことをしみじみと考えていた。

そこへ、いつも食事作りをしている清子(坂口あずさ)と光子(杉岡詩織)が騒ぎながらやって来た。家の食料がすっかりなくなっているというのだ。葬儀の参列者に立派な食事を振舞ったため、底をついてしまったのだ。

国内の物資が窮乏していて、今ではみな最低限の簡素な葬式しか行なっていない。静子(柳生みゆ)が反対するのも聞かず、糸子が後先考えずに立派な葬式を出してしまったことが招いた結果だった。糸子の右腕である昌子(玄覺悠子)はすぐにでも店を開けて商売をしなければ飢えてしまうと訴えた。しかし糸子は、善作の喪が開けるまで絶対に店を開かないと言って聞かなかった。葬式の香典をかき集め、店の者(高田真衣吉澤沙那)に買い物に行かせた。

ところが、買い物に行かせたふたりが泣きながら手ぶらで帰ってきた。市場では、小原家に食料は売らないと言われたという。小原家は非合法の闇商売をしているという噂があるといって門前払いされてしまったのだ。葬式を手伝いに来てくれた町内会の奥さん連中が、台所にあった大量の食料を見て不審に思って流した噂だと思われた。
善作を失ってただでさえ落ち込んでいる一家に、さらなる衝撃であった。

結局、背に腹は代えられないので、喪が開ける前に店を開くことになった。しかし、店に対する嫌がらせも始まった。植木鉢が壊されていたり、「非国民」と書いた紙が貼り付けられたりしていた。客足も鈍っていて、開店休業状態であった。

この時、糸子は初めて世間の冷たさや怖さを知った。
同時に、自分の意地を引っ込めるべき時が来たことを悟った。これまで家の者を配給所に行かせなかったのは、国からの施しを受けなくても、才能で家族を養うという自分の甲斐性を誇りに思っていたからだ。配給所の無様な行列に並ばないことで、自分たちの一家が特別な存在であるかのように思いたかったのだ。
けれども、そういった思い上がりが人々の反感を買ってしまったのだと思い知ることになった。

糸子が落ち込んでいる所へ、電器店・木之元の妻(西村亜矢子)が回覧板を持ってきた。それは野菜の配給を知らせるものだった。
どこかぎくしゃくするふたりだったが、木之元の妻が一緒に配給所に行こうと誘ってくれた。糸子は素直にそれを受け入れた。配給の当日、履物屋・木岡の妻(飯島順子)も合流して3人で配給所へ向かった。

赤の他人から店への嫌がらせは相変わらずだが、昔から親しい隣近所の人々は自分のことを信じてくれている。そのことで糸子は勇気づけられた。そして、近所にそういった親切な人々がいるのも、まさに善作の遺産だとしみじみ思うのだった。

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NHK『カーネーション』第67回

Wikipediaの「カーネーション(朝ドラ)」に「この記事は過剰な加筆が行われ、読みにくくなっています。あまり重要ではない事項を細かく解説することは、むしろ閲覧者の理解を妨げ関心を損ないます。」とタグが付けられているのを見て、自分のまとめ記事の反面教師にしようと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第67回目の放送を見ましたよ。

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第12週「薄れゆく希望」

石川県の温泉地で死去した善作(小林薫)は遺骨となって岸和田に帰ってきた。
千代(麻生祐未)をはじめ家の者はみな泣き叫んで取り乱していたが、糸子(尾野真千子)だけは気丈に振舞っていた。

同行した木岡(上杉祥三)と木之元(甲本雅裕)の話によると、酔って風呂に入ったのが原因で死んだという。木岡と木之元は酒を飲んで深く酔ったことを振り返り、善作を止めなかった原因がどこにあるのか、ふたりで言い争いを始めた。
それを見ていた糸子は、そもそも善作に酒を持たせたのは自分であると言って自分のせいにした。木岡と木之元には、最期まで善作の面倒を見てくれたことを感謝した。

葬儀についても糸子が全てを取り仕切った。近頃では客足も鈍り、金の代わりに食料を持ってくる人ばかりなので金はなかったが、善作のために最大限の葬式をあげようと決めたのだった。

生前の善作の人柄を慕って、葬式には多くの人々が来てくれた。
善作を贔屓にしてくれていた地元の名士・神宮司の娘(酒井藍)は、善作がいつも「べっぴんだ」と言ってくれたという。自分の器量が悪いことはわかっており善作の完全なるお世辞だとわかってもいたけれど、それが嬉しくて、彼の来るのが楽しみだったという。
木岡の弟で、縫製工場を経営している靖(多々納斉)も善作の多大なる世話になったという。工場が借金で危なくなった時、善作が仕事をかき集めてきてくれて窮地を救ってくれたのだという。靖はその恩返しができていないので、何かあったらいつでも相談に来るよう言ってくれた。最近では、軍服の受注をしているので、糸子に回せる仕事もたくさんあるという。

糸子は祭壇の前で善作に感謝した。
善作がみんなに優しくしていたおかげで、その優しさが残された家族に返ってきたのだ。
そして、その場で疲れて眠ってしまった。

糸子の妹たち(柳生みゆ坂口あずさ杉岡詩織)は、善作の幽霊に会ったという木岡の妻(飯島順子)から話を聞いていた。
木岡の妻は幽霊のようなものを見るのは初めてだという。善作がいるのを不思議に思ったが、いつものように軽い調子で元気に入ってきたので、あまり不審に思わなかったという。終始上機嫌で木岡の妻に愛想を振りまき、糸子を頼むと何度も繰り返していたという。
その様子が善作そのものだったので、妹たちも善作が来ていたに違いないと信じるのだった。

一方で、葬式の手伝いに来ていた近所の奥さん連中は、小原家の台所に大量の食料があるのを怪しんでいた。小原家の人間を配給所で見かけることは少ないのに、これだけ食料品があるのはおかしいというのだ。ましてや、最近ではめったに手に入らない酒まであった。きっと闇市に出入りしているに違いないと噂しあうのだった。

夜遅く、ずっと取り乱していた千代がやっと正気を取り戻した。
寝ずの番をしている者たちに休むよう言い、床で突っ伏して寝ている糸子に毛布をかけ、彼女を優しく撫でてやるのだった。

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NHK『カーネーション』第66回

よしながふみの『きのう何食べた?』について調べようと思って Google 検索したのだが全くヒットせず、どうしたことだろうかと不思議がっていたら、検索キーワードが「今夜何食べたい?」になっていたという当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第66回目の放送を見ましたよ。

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第11週「切なる願い」

1943年(昭和18年)4月。長女の優子(花田優里音)が小学校に入学することになった。

この頃、善作(小林薫)はずいぶんと回復して元気になっていた。
寝たきりの状態を脱し、居間で優子を膝に乗せながら新聞を読んだり、登校する優子を家の前で立って見送ることなどもできるようになった。さらには、配給切符の整理係として店の手伝いもできるほどになっていた。

同時に、以前のようにわがままで口うるさい態度も復活した。
糸子(尾野真千子)は「すぐに体が大きくなる」と言って、大きめのセーラー服を作った。優子を贔屓してかわいがっている善作は、洋裁屋のくせに手を抜くなと言って糸子を叱った。また糸子は、優子のおさげを毎日結うのが面倒で、オカッパにしてしまいたいと思っている。けれども善作は、次女の直子(心花)をオカッパにしても、優子にだけは絶対に許さないのだった。

糸子は、善作が元気になったことを心の底から喜んだ半面、彼のやかましさに腹を立てたし、すぐに無理をしてしまう様子も心配であった。

そんな頃、隣の履物屋の木岡(上杉祥三)が、石川県の温泉の噂話を持ってきた。それを聞いているうちに、善作はすっかり乗り気になって、湯治に行くと言い出した。長旅は無理だといって周囲は猛反対した。

しかし、温泉の資料を集めて楽しそうにしている善作の様子を見た糸子は、止め切れなくなって温泉行きを許してしまった。
出発前に、糸子は真心を込めて新しい国民服を作ってやった。それは、今では入手困難な純毛の生地を使った上等なものだった。出発の日、それを身につけた善作は上機嫌になってみんなに見せびらかした。
一人台所で出発準備を手伝っている糸子の所へ行き、善作は言いにくそうに、素っ気なく新しい服の礼を言った。糸子も、神妙な表情の善作を前に照れてしまい、まともに受け合わなかった。それでも、善作の喜びはひしひしと伝わってきた。

糸子から善作へ、もう一つの贈り物があった。秘蔵しておいた酒を水筒に入れて善作に持たせてやった。味見した善作は満面の笑みを浮かべ、素直に何度もスラスラと礼を述べた。服にはまともな礼がなかったのにと、糸子は苦々しく思うのだった。
それでも、気持ちよく善作の出発を見送った。善作も、仲間たちと一緒に機嫌よく元気に旅立って行った。

糸子が店で大福帳を調べていると、善作の見事な字で「オハラ洋装店 店主 小原糸子」と書かれているのを見つけた。それは、善作が糸子のことを一人前の商売人だと認めた証拠だとわかった。糸子は嬉しくなって、何度もそれを見返していた。

その日の夜、糸子の元へ電報が届けられた。善作が危篤状態に陥ったので、すぐに来て欲しいという内容だった。

糸子は、冷静に自分を落ち着かせた。まずは旅館の住所を調べるために、善作と同行している木岡の家に行って、彼の妻(飯島順子)から聞こうとした。

ところが、家を出ると、木岡の妻も表に出てきていた。
彼女は雨の降る中、傘もささずに寝間着のままで呆然と立っていた。糸子が声をかけると、今しがた善作に会ったのだという。温泉に行っているはずの善作がここにいるのは不思議だが、「糸子をよろしゅう頼む」と言っていたのだという。

はっとした糸子が道の先を見ると、そこに善作の姿が見えた。
雨にけぶってぼんやりとした姿であったが、彼は何も言わず優しい笑顔で立っていた。その姿はみるみるうちに薄くなってしまい、程なく完全に消えた。

糸子は道に崩れて号泣した。
1943年4月27日、善作は59歳で生涯を終えた。

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NHK『カーネーション』第65回

本日めでたくも、連載回数が『おひさま』の64回を超える当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第65回目の放送を見ましたよ。

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第11週「切なる願い」

糸子(尾野真千子)が幼い時から慕っていた泰蔵(須賀貴匡)が出征することになった。彼の一家とは、糸子が引き起こしたトラブルで絶交状態だったが、八重子(田丸麻紀)を介して和解し、糸子も出征の見送りに行くことになった。

泰蔵のことをよく知る善作(小林薫)も見送りに行くことになった。
善作は周囲が止めるのも聞かず、杖をついて自分の足で歩いて行くことにした。若者達が戦地で命がけで戦っている時に、自分だけが手厚く世話されているのをよしと思わないのだ。自分の不注意で大やけどを負ったことも恥ずかしく、ますますけが人面したくないのだった。

泰蔵の壮行会は簡素に行われた。泰蔵の母・玉枝(濱田マリ)と弟・勘助(尾上寛之)は、調子が良くないのか、最後まで姿を表さなかった。4年前に勘助を送り出すときにはあれほど派手だったのに、今では出征の見送りは重苦しい雰囲気である。

糸子は、奈津(栗山千明)の来ているのに気づいた。奈津は物陰からそっと見守り、涙を流していた。糸子には、夫を送り出す八重子の気持ちがわかるのと同様、初恋の人が戦地に向かう奈津の気持ちもよくわかるのだった。

泰蔵の去り際、善作が率先して万歳を唱えた。
しかし、泰蔵の姿が見えなくなると、善作は突然倒れてしまった。無理な外出が体に障ったのだ。木之元(甲本雅裕)に背負われて帰宅し、以前にもまして体調が悪くなった。回復の兆しが見えていたのに、寝床から出ることができなくなってしまった。
あまりに状態が悪いため、リヤカーで運んで医者(江口直彌)に診せた。すると、体の抵抗力が落ちたせいで皮膚の感染症にかかっていることが分かった。岸和田の病院では手の施しようがなく、一番近くても心斎橋まで行かなくては専門医がいないという。

心斎橋に善作を連れていくのは容易ではなく、その日は家に帰ってきた。
糸子は、すっかり小さくなってしまった善作を見て寂しくなった。自分がしっかりと世話をして、以前のように元気で、周囲に怒鳴り散らしていた善作を取り戻そうと決意するのだった。

しかし、看病、育児、家事、商売の全てを完璧にこなすことは、糸子の能力を超えていた。周りにあれこれと指示を出しても、必ずしもうまくいくとは限らなかった。糸子は頭を抱えた。

そんな時、八重子が訪ねてきてくれた。
彼女は、以前作った女性ファッションのスクラップブックを持参していた。それは、糸子が心斎橋百貨店の制服を作った頃に、よく参考にしていたスクラップブックだった。
ふたりは、懐かしく思いながらそれを眺めた。そして、日本にもこのように華やかな洋服を着ていた時代があったのに、今ではまるで別の国のようだと寂しく思うのだった。

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NHK『カーネーション』第64回

『花のズボラ飯』は山瀬まみで実写化するのが良いという意見(ただし最終的には篠崎愛が推されている)を見て、眼から鱗が落ちるとともに、それを先に思いつかなかったことに忸怩たる思いの当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第64回目の放送を見ましたよ。

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第11週「切なる願い」

昭和18年(1943年)3月。
善作(小林薫)の大やけどから2ヶ月ほど経った。まだリアカーに乗らなければ通院ができない状態だったが、経過は良好で、体を支えてもらえば自分で歩けるようになったし、顔の皮膚もずいぶんと再生し、はっきりとしゃべることもできるまでに回復していた。
ただし、自分がボヤで大やけどを負ったということは他人には伏せていた。たとえば、転んで焚き火に落ちた老婆を助けるためにやけどしたなどと嘘を言って回った。善作は自分が恥ずかしかったのだ。若者たちが戦争で死んだり、大怪我をしているさなか、ボヤごときで大怪我をしたことを恥じていたのだ。

その頃、日本軍はガダルカナルを放棄した。報道では戦略上の転身だと言われていたが、疑り深い人々の間では日本軍の敗退であることは明らかに思われた。まだ敗北が決まったわけではないが、日本が苦戦していることは分かった。

勝(駿河太郎)からハガキが届いた。糸子(尾野真千子)はざっと目を通して彼が生きていることを確認すると、昌子(玄覺悠子)に手渡して子供たちに代読するよう言いつけた。
自分は、まだ勝の浮気を許したわけではない。自分がハガキを読むと子供たちの前で怒り出すことがわかっていたので、それを避けたのだ。
しかし、それでも、糸子は勝が生きて帰ってくることを願った。怪我をしてでもよいから帰ってきて欲しいと思った。自分の手でしっかりと勝を休ませ、回復させてやろうと思った。そして、元気になったら、浮気の件をこってりと絞り上げようと決意するのだった。

着物に戻せるモンペ教室は繁盛していた。連日定員オーバーで、希望者を店頭で追い返すほどだった。入学式や結婚式、さらには夫や息子の出征見送りに、明るく華やかなモンペを身に付けたいという女性が殺到したのだ。

授業を開始しようとした矢先、八重子(田丸麻紀)が思いつめた表情で、慌てて駆け込んできた。どうしても今日中にモンペの作り方を教えて欲しいというのだ。
他の生徒への配慮や、安岡家との確執など複雑な思いはあったが、糸子は彼女を受け入れた。
モンペの作り方を教えながら八重子の方を盗み見ると、彼女は涙を流しながら着物にハサミを入れていた。

他の生徒達が帰った後も、八重子だけは何も言わずに座り続けていた。他に誰もいなくなったところで、ふたりはよそよそしい敬語で話し始めた。
八重子の夫で、糸子も小さい時から慕っていた泰蔵(須賀貴匡)が翌々日に出征することになったという。八重子は彼を華々しく見送るために、どうしてもきれいなモンペで送り出したかったのだという。
さらに八重子は、玉枝(濱田マリ)や勘助(尾上寛之)は落胆してまともに見送ることができないだろうと言い、代わりに糸子が見送りに来て欲しいと言うのだ。出征する泰蔵には明るい思い出と共に旅立ってほしい。そのためには、糸子の協力が必要だというのだ。

八重子につられて、糸子も激しく泣いた。自分が八重子や勘助に行った酷い言動を許してくれていることに涙が止まらなくなった。
ふたりは泣いて抱き合いながら和解した。

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NHK『カーネーション』第63回

本日めでたくも、連載回数が『だんだん』の62回を超える当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第63回目の放送を見ましたよ。

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第11週「切なる願い」

糸子(尾野真千子)は、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)のモンペに目を留めた。それは、高級な大島紬の着物をモンペに仕立て直したものだった。大胆な再利用に、糸子は驚いた。
貞子の言い分は、辛気臭い思いをしていると寿命の縮まる思いがする。辛気臭いモンペこそ、上等な生地で作って晴れやかな気分でいたいというものだった。

その言葉に、糸子は重苦しい雰囲気を一気に払拭することができた。忙しくて後回しになっていたのを反省し、自分の身だしなみを整えた。寝てばかりいる善作(小林薫)とハル(正司照枝)の寝室の空気を入れ替え、布団も干してやった。
冬の冷たい空気が入り込んで来るので、寝ているふたりは見を震わせたが、糸子はお構いなしだった。全身大やけどの善作は相変わらず寝ているほかできなかったが、それを契機にハルは元気を取り戻した。起き上がって台所の監督ができるようになった。

それから糸子は、店のテコ入れを始めた。衣料切符の制度が変わり、客足が遠のいているからだ。
縫い子の仕事量も減っているので、まずはりん(大谷澪)を子守専属にした。彼女は居眠りをして、もっとも暴れん坊の直子(心花)から目を離してしまうこともあったが、それでも糸子が子供に付きっきりになるよりは仕事がはかどった。

次に、着物をモンペに仕立て直す教室を始めることにした。貞子の言葉を受けて、女はお洒落をしてこそ輝くということを広めたいと思ったからだ。国はモンペを女性の正装だと決めてしまった。夫や息子の出征や、慶事にもモンペで出席しなくてはならない。そういう時にお洒落をしてこそ、女は元気を取り戻すことができると信じているのだ。

静子(柳生みゆ)や昌子(玄覺悠子)らと研究を重ね、着物からモンペへ、またはその逆を可能とする裁断法と縫い方を編み出した。早速、有料でモンペ教室を開いた。
階下から聞こえる女たちのにぎやかな声を、床に伏せる善作は嬉しそうに聞いていた。

モンペ教室の初回定員は8人だったが、生徒は5人しか集まらなかった。
しかし、そこに集まった5人はいずれも強者揃いだった。岸和田の中でも若くて元気いっぱいで、お洒落好きの女性たちが集まった。彼女らは負けん気も強く、持参した着物で互いに張り合った。互いをライバル視し、教室が始まる前からピリピリした雰囲気が漂っていた。
生徒の中には、糸子の親友のサエ(黒谷友香)もいた。

けれども、教室が始まると、生徒たちはみな熱心に耳を傾けた。肝っ玉の強い女たちばかりなので、高級な着物にも躊躇することなくハサミを入れていく。糸子はその姿を気持ちよく見ていた。
初めは互いに険悪だった生徒たちだったが、次第に作業を助けあうようになった。モンペが完成する頃には、全員が打ち解けて仲良くなった。帰りには、みんなで冗談を言い合いながら寄り道をするまでになった。

お洒落を通じて明るく元気になる女たちを見て、糸子は嬉しく思った。
日本の将来も明るいと心の底から思うのだった。

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NHK『カーネーション』第62回

某女の子と郵便番号についてメールでやり取りしている中で、「アメリカだと90210のように数字だけですが、カナダではアルファベットも使います」と書いてあったのをスルーしてしまったのだが、後になってやっと「あのアメリカの番号は『ビバリーヒルズ青春白書』だ!」と気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第62回目の放送を見ましたよ。

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第11週「切なる願い」

糸子(尾野真千子)は朝晩の区別も付かず、自分が何をしているのかも半分わからないような状態になった。家の中が大混乱でまともな認知能力を失ってしまっていたのだ。

母親として、生まれたばかりの三女の世話に多くの時間を取られる。他の娘たちの名前は善作(小林薫)に付けてもらっていたので、今回もそうする予定だ。しかし、善作は全身大やけどを負ってしまい、それどころではない。

その善作は、自宅療養中なのだが、体が痛いと言ってはすぐに癇癪を起こす。顔がひきつってしまい、うまく声を出すことができない。彼の言っていることを理解できるのは家族の中では糸子だけであり、彼女が通訳としていつも呼ばれた。千代(麻生祐未)が付きっきりで看病しているはずなのだが、彼女はどうしても善作の傷跡を直視することができない。そのため、包帯の交換は毎回糸子が行なっていた。

ハル(正司照枝)も火事の衝撃から立ち直っておらず、毎日寝てばかりである。よほど恐ろしかったのか、夜中にうなされたりしている。その面倒も糸子が看ている。

次女・直子(心花)はますます手が付けられない。糸子が他の家族の世話でちょっと目を離した隙に、家の中をめちゃくちゃに荒らしてしまう。

千代とハルに代わって、妹の清子(坂口あずさ)と光子(杉岡詩織)が料理をするようになった。しかし、これまで一切料理をして来なかったふたりなので、いつも茹で野菜ばかり出てくる。食いしん坊の糸子は、それにも腹が立つのだった。

さらに悪いことに、近頃では商売もうまく行っていない。衣類購入に必要な切符の点数が増やされてしまったため、事実上の値上げとなった。そのため、客足も鈍っているのだ。八方塞がりでイライラとしているところへ婦人会の役員(三島ゆり子)がやって来て、さらなる質素倹約に協力しろ、客が来たら何も売らずに倹約するよう諭せなどと無茶な要求をするのだった。

あまりに忙しく、糸子は時間の感覚がなくなり、視界もぼやけてきた。

そんな時、神戸の祖父母である清三郎(宝田明)と貞子(十朱幸代)が見舞いに来てくれた。糸子の結婚の一件以来、すっかり清三郎と親密になった善作は清三郎の温かさに触れ、うれしさのあまり男泣きした。

本来は、糸子の娘に自分が名付けようと思っていたのだが、その権利を清三郎に譲った。そして、貞子が「さとこ」という音を考え、清三郎が「聡子」という漢字を決めた。

神戸の祖父母の見舞いで、家の中が明るくなった。糸子も眼の前のもやが晴れるようだった。

さらに糸子は、貞子が履いているモンペに目が留まった。それは、大胆にも最高級の大島紬の着物をモンペに仕立て直したものだった。

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