NHK『カーネーション』第128回

今夜は泊まりがけの出張で某オジサンと相部屋であり、明日のまとめ記事はどうしようかなぁと思いつつ、おずおずと事情を説明したらその人から「あ、ボクも毎日見てるよ。明日の朝は一緒に見よう!」と言われてしまい、すっかり朝のまとめ仕事の段取りがついて安心した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第128回目の放送を見ましたよ。

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第23週「まどわせないで」

1985年(昭和60年)10月。
糸子(夏木マリ)は72歳になっていた。オハラ洋装店や住居は改装されてすっかり現代風になったが、今でも岸和田の商店街に住んで商売をしている。
糸子は歳をとり、親しい人々のほとんどに先立たれた。彼らが死んだからといって、落ち込んだり、付き合い方が変わるのは避けたいと常々思っている。家の片隅に友人たちの写真を飾り、彼らが生きていた時と同じように語りかける。たとえ返事がなくても、それが糸子の日課だ。

糸子や店が年月を重ねたのと同じように、オハラ洋装店にやってくる客も老人ばかりになった。彼女らは年に1-2度しか服を作らないが、だからこそ1回あたりを豊かで気持ちのいい時間にしたいと願っている。気心の知れた従業員をふたり(竹内都子小笹将継)だけ雇って、ゆったりと商売をしている。

店がのんびりしているからといって、糸子の生活がスローになったかというとそうではない。むしろ、店以外のことで忙殺されていた。それぞれ独立した娘たちが、いまだにあれやこれやと糸子を頼ってくるのだ。頻繁に電話がかかってきて、糸子はその対応に忙しい。

ロンドンに渡った聡子(安田美沙子)は10年前に現地で自分のブランドを興した。それが成功し、今でもロンドンで暮らしている。糸子は聡子から電話がかかってくるたびに肝を冷やすが、なにぶん遠くに住んでいるので手も足も出ない。だからかえってあきらめも付く。

直子(川崎亜沙美)は7年前にパリコレで成功を収め、今や世界中を飛び回る売れっ子デザイナーになっている。けれども、細々とした事務作業を自分で片付けることができず、いまでも糸子を頼ってくる。電話がかかってくるたびに、糸子は呆れつつも面倒を見てやる。

一番頻繁に電話をかけてくるのは優子(新山千春)だ。
彼女のブランド「ユウコオハラ」は、全国に30店舗を展開するほどの一流ブランドになった。社長兼デザイナーの優子はとにかく忙しい毎日だ。ビジネス上の付き合いのパーティーにもたくさん呼ばれるのだが、その全てに出席することはできない。そこで、糸子に代理を頼むことがしばしばだ。

さらに、優子は次女・里香(小島藤子)のことに頭を悩ませている。
15歳になった里香は、夜な夜な家を抜けだしては悪い友だちと付き合っているようだ。苦労して入学させたミッションスクールにもほとんど通わなくなってしまった。
もっと悪いことに、里香は東京の家を出て、ぷいと岸和田に来てしまった。2日前から糸子の家に寝泊まりしている。里香にきちんと教育を受けさせたいと思っている優子は、説得して東京に送り返すよう糸子に頼んだ。しかし、糸子は賑やかになっただの、子供は歩いて話ができれば上出来だなどといって、のん気に構えている。

優子は、里香が夜遊びしないように気をつけてくれというが、夜はぐっすり眠っている糸子には注意のしようがなかった。実際、昨日の夜も里香は派手な格好で夜遊びし、明け方に帰宅したのだが糸子は何も気づいていなかった。
ただし、糸子も里香の姿を見てまともでないことは理解していなかった。けれども、岸和田の空気やだんじりに触れれば、自然と更生すると気長に考えていた。

糸子は、昔とはすっかり様変わりしてしまった商店街を歩いた。昔はあんなに元気に走りまわった道なのに、今はゆっくりとしか歩けない。
それでも、だんじりの速さだけは今も昔も変わらない。そのことが嬉しくもあり、切なくもあった。

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夏木マリの糸子は思っていたよりも悪くない。
たった1話を見ただけだけれど、「へ?昔からこの人だったんじゃない?」という気分になれた。

尾野真千子が大好きだったので、ヒロイン交代は残念だけれど、失望するほどではないと思ったよ、今日の放送で。

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