NHK『カーネーション』第145回

昨日は中村優子に完全に持って行かれちゃったわけだが、その後調べてみると、僕とドンパであることがわかったり、たまたま借りてきてまだ見ていない『まほろ駅前多田便利軒』に出演していることがわかったりと、いろいろ縁があるなぁと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第145回目の放送を見ましたよ。

借りたDVD『まほろ駅前多田便利軒』


* * *
第25週「奇跡」

病院ファッションショー当日の朝。

吉沢加奈子(中村優子)の夫(木内義一)と2人の息子(古城戸雄多、稲田都亜)が病室にやってきた。まだ準備を始めてもいない加奈子は、まさに入院患者然とした姿でベッドに座っていた。
弱々しい母の姿を見るやいなや、息子たちは身を固くした。それを感じ取った加奈子は、精一杯笑った。笑いながら、今日はきれいな姿を見せると約束した。それにつられて、子供たちも満面の笑みを浮かべた。

そして、モデルたちの準備が万端整った。看護婦も入院患者も、老いも若きも、みな綺麗な姿に変身した。モデルたちは互いに褒めあい、控え室は明るい雰囲気に包まれた。

糸子(夏木マリ)は出演者に向かって訓示を行った。客が見たいと思っているものは「幸せ」である。女性が綺麗に着飾って、楽しそうに歩くという幸せな様子を見に来ているのである。客に幸せを分け与えるためには、自分自身が一番幸せでなければならない。そのことを忘れずに出演しろと告げた。

それから、糸子はモデルの一人ひとりに、それぞれの演出の確認と心構えを念押しした。
最後に声をかけた相手は加奈子だった。全身ピンクでフリルの付いたワンピースとジャケットを着た加奈子は、どこから見ても重篤な入院患者には見えなかった。治療で抜けてしまった頭髪を隠すためのウィッグもそれほど違和感がなかった。化粧のおかげで、ずいぶんと血色もよく見えた。けれども加奈子は、糸子に声をかけられると思わず涙が出た。

糸子はショーが始まる前に泣くのは早いとピシャリと言った。そして、加奈子の役割を思い出させた。ファッションショーのテーマは「幸せ」を見せることであるが、加奈子にはより一層重要な枠割が与えられていると言うのだ。そう言われた加奈子は、引き締まった表情で「奇跡」を見せることが自分の使命だと答えた。

いよいよショーが始まった。
モデルが登場すると、看護婦なら受け持ち病棟、患者なら病状などがナレーションで紹介された。その他、モデル本人の一言コメントなども披露された。それを読み上げる役は、ステージ脇に控える糸子が担った。
観客は大勢集まった。モデルも観客の中にも、笑っていないものは一人もいなかった。その場にいる全員が幸せを分かち合い、会場は熱気と笑顔で溢れた。

いよいよ加奈子の出番となった。舞台袖に控える加奈子へ糸子が目配せをした。
すると加奈子は、自信ありげににっこりと笑った。それから糸子は、客席にいる加奈子の家族を目で追った。彼らもニコニコと笑い、加奈子の登場を今や遅しと待ち望んでいた。
それらの様子を見ると、糸子は感極まってしまった。ナレーションとともに加奈子を紹介しなければならないのに、それができなくなった。控えていた総婦長・相川(山田スミ子)が引き継ぎ、原稿を読み上げることで、なんとかショーは中断せずに済んだ。

相川のナレーションで、加奈子は3ヶ月前に末期がんと診断されたことが説明された。それにもかかわらず、幸せになると決めたというのが加奈子のコメントだった。家族を愛していること、病院スタッフに感謝していることなどを述べた後、これからも自分は幸せであり続けるだろうと締めくくられた。そのナレーションが終わると、加奈子はステージ上でより一層の笑顔を見せた。会場に集まる誰よりも大きな笑顔だった。
2人の息子もステージに上がり、3人で抱き合って手を振った。加奈子の泣き笑いと共に、ショーは大フィナーレを迎えた。

奇跡だった。


糸子にとって、もう一つの奇跡が起きた。
今日のショーは、行方をくらましていた奈津(江波杏子)もこっそりと見に来ていた。奈津はショーが終わると、誰よりも早く抜けだして、再びこっそりと消えるつもりでいた。
しかし、その姿を院長の龍村(辰巳琢郎)が見つけていた。糸子が奈津に会いたがっていることを知っていた龍村が、奈都を捕まえて糸子に引きあわせてくれた。
糸子は奈津に会えたことをとても喜んだ。天からの褒美だと思うほどだった。

2002年(平成14年)1月。
イブ・サン=ローランが引退を発表した。彼は「ファッションは女性をきれいに見せるだけではなく、自信と勇気を与えるものです」とコメントして身をひいた。
糸子は若い時分から、いつも彼のことを良くも悪くも意識していた。そのイブ・サン=ローランが引退することは糸子に複雑な思いを与えた。盃を2つ用意し、遠く、一度も会ったことのないイブ・サン=ローランのために一人で乾杯した。
そして、自分は彼とは違って、まだこれからも現役であり続けることを誓うのだった。
* * *


やっぱり、加奈子(中村優子)がらみのエピソードは白眉ですね。典型的なお涙頂戴プロットではあるものの、中村優子の演技が良すぎる。製作陣の「ほらほら、お前らこういうの好きだろ?ほれほれ、こっちの思惑通り泣きやがれ。うはは(黒笑)」という声が聞こえてきそうだけれど、それでもいい。とても胸を打つ。

ところが、その後の蛇足っぷりがひどかった。
取って付けたような奈津エピソードとか。ふたりが再会したことはナレーションで片付けられただけで、具体的に何があったのかはさっぱりわかりません。邪推だけれど、ふたりの再会シーンは撮影されていたのだけれどカットされたとかなのかな。加奈子パートが良すぎるので、そっちに時間を割くためにカットされたとか。

まず、中村優子の演技は間を大きく取るものだった。ぽつりぽつりとしゃべるので、1つのシーンが長めに思えた。本作は全体的にどの役者も早口だった。そのおかげで、シーンと物語が矢継早に変わっていくスピード感(だんじり感)があったのだと思う。
それらに比べて、中村優子の演技はとてもゆっくりしていた。本作の中では異例とも言える遅さと思う。けれども、それがとても魅力的で良い演技だった。だから、中村優子のシーンをカットしたり撮り直したりしにくかったのだろうと想像する。彼女のシーンを採用して時間を圧迫した分、糸子と奈津の再会をカットしたんじゃないかと、僕は想像しているわけだ(ていうか、ショーの中で加奈子のスローモーションまで流れたんだから、ますます尺が足りなくなるよな)。

で、せっかく加奈子パートが良かったんだから、そこでスパッと終わってくれりゃ、余韻が残って良かっただろうに。
奈津の話だの、イブ・サン=ローランの話だのを中途半端にねじ込まれてしまったせいで、盛り上がった感情の行き場を失って、僕は今ちょっと混乱している。

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