NHK『カーネーション』第135回

昨日の放送で中森明菜の歌が流れてことに関して、「ミ・アモーレ→中森明菜→DESIRE→『真っ逆さまに落ちてDESIRE♪』→落ちてデザイナー→デザイナー糸子階段落ち」と2chに書かれていたのを見て盛大に吹き出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第135回目の放送を見ましたよ。

* * *

第24週「宣言」

糸子(夏木マリ)は階段から転げ落ち、左足を骨折した。病院で治療を受け、松葉杖を携えて帰宅した。

いち早く岸和田に駆けつけた直子(川崎亜沙美)が病院から糸子を連れて帰ってきた。一方、優子(新山千春)は東京で一仕事片付けてから来たため、到着が遅れた。優子と直子は、到着が遅れた/遅れないと言って、糸子をそっちのけで喧嘩を始めてしまった。糸子が一喝して、やっと収まった。
家を飛び出し、母に会いたくないと思っていた里香(小島藤子)は、優子と目を合わせようともしなかった。

オハラ洋装店は休業することとなった。1階のリビングに大きな介護用ベッドを設置し、糸子はそこで寝かされた。糸子はそれが気に入らなかった。リビングからテーブルが無くなっただの、ベッドが大きすぎるだの文句ばかり言った。周囲が止めるのも聞かず、自分で歩いて近所に怪我の挨拶に行ったりした。
糸子は自分の弱みを見せたくなかったのだ。

けれども、夜、一人で寝ていると心細くなってしまった。
年をとると、当たり前にできるはずのことができなくなる。それがなんと情けないことか。今は普通にできていることでも、この先いつできなくなってしまうかわからない。その恐ろしさといったらない。けれども、その情けなさや恐ろしさに、たった一人で対抗していかなくてはならないのだ。
糸子は、ふと自分の来し方を思った。この家でいろんなものを生み、育て、増やしていった。多くのものが増えていったはずなのに、気づけば結局自分一人になってしまった。自分が人生の選択を間違えたのか、それとも、人間とはそもそも色々なものを失っていく存在なのか。それすらもわからなかった。

糸子は、北村(ほっしゃん。)の言葉を思い出した。北村は、この家で一人で暮らしていくことは、年を取り、多くのものを失っていく一方だと言った(第127回)。ここで泣いたり、悔やんだりしたら、北村の言い分が正しかったことを認めたことになる。北村にだけは負けたくない糸子は、ぐっと涙をこらえた。

夜中に、里香が降りてきた。2階は優子らのいびきがうるさくて眠れないのだという。里香は糸子の横に布団を敷いて横たわった。暗闇の中で里香は、自分は一生糸子のそばを離れないと約束した。
それを聞いた糸子は、嗚咽を漏らした。

翌朝、優子と直子が東京に帰ることになった。しかし、その前に糸子に話があるという。その内容は聡子(安田美沙子)とも打ち合わせてあるので、3姉妹の総意だという。ただならぬ気配を察した里香は、優子と直子ににらみを利かせるように同席した。

優子と直子は、単刀直入に、糸子に仕事を辞めるよう説得した。70歳を超えて仕事をするのは、糸子の体を悪くする一方だというのだ。そして、娘たちの目の届くように、東京で暮らして欲しいと言うのだった。
もちろん、そんな話に乗る糸子ではなかった。娘たちが毎日電話をかけてきて、仕事の相談や手伝いをしていることを引き合いに出し、自分はまだまだ現役で働けると抗弁した。それに対して、優子と直子はついに本音を語った。ふたりとも、わざと簡単な仕事を糸子に与えていたのだ。仕事が大好きな糸子なので、自分達が頼りにしているふりをすると喜ぶのを知っていたからだ。

糸子の怒りは頂点に達した。
気に入らない客が来ると投げつけるお手玉を、優子と直子にも思いっきり投げつけた。仕事をやめることは、自分が死ぬことだと言って怒鳴った。

優子と直子が去った。
少し冷静さを取り戻した糸子は、甲斐甲斐しくお手玉を片付ける里香を見た。そして、床に散らばったお手玉すら拾うことのできない自分を不甲斐なく思った。

里香に優しく声をかけた。もう岸和田にいなくてもいいから、東京に一刻も早く帰れと優しく声をかけるのだった。
それと同時に、糸子は自分で立ち上がらなくてはならないと決意を新たにするのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第134回

某知人女性(当方の仲良しの中では珍しい正統派美女)から結婚するという報告を受け、なんだよマジかよ、俺の方が良いに決まってるって、考えなおせと思ったのだけれど、彼女の夫になる人は尾野真千子のファンで朝ドラも毎日見ているという話を聞いた途端、「それなら良いヤツだ。幸せになれ!」と心の底から祝福することに決めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第134回目の放送を見ましたよ。

* * *

第24週「宣言」

1986年(昭和61年)1月。
呉服屋の若旦那・吉岡(茂山逸平)を一度だけ助けるつもりで作ってやったシルバー向けスーツが大ヒットした。
吉岡によれば、サンプルを持って得意先回りをしたところ、たった1週間で予定販売数の半分が売れたという。客に話を聞くと、スマートでお洒落なデザインであるばかりか、高齢女性の体型や気持ちによく合い、着心地が良いと感想を述べたという。1着18万円という価格でも飛ぶように売れたのだ。
糸子は、自分がデザインしたのだから当然だといって、機嫌を良くした。

吉岡の友人の河瀬(川岡大次郎)が、知人の高山(藤間宇宙)に声をかけた。彼は商社のアパレル部門で働いている。彼の会社で販売に協力したところ、瞬く間に売れてしまった。そこで、生地を追加輸入し増産するほどになったという。

大きな手応えを感じた3人は、本格的に糸子のブランドを作りたいと思うようになった。そこで揃って糸子に頼みに来たのだ。糸子はとても嬉しかった。自分のデザインした洋服が世間で広く受け入れられたことは自信に繋がったし、若者たちが自分を一流のデザイナーだと認めて熱意に商売に誘ってくれたことも嬉しかった。

けれども、糸子は話を断った。
糸子は、自分は「オーダーメイド職人」としての矜持があるのだという。自分は洋裁職人として50年間働いてきた。その間、10年間は戦争のためにやりたい仕事がやれなかった。そして、戦争が終わったと思ったら既製服の時代になり、オーダーメイドは儲からなくなった。糸子自身、何度も既製服産業への転向を考えたりもした。
それでもなお、糸子は自分は一生をオーダーメイド職人として生きていく意地があるのだという。たとえ最後の一人となっても、オーダーメイドをやめるわけにはいかない。だから、これ以上既製服デザインの手伝いはできないといって、申し訳なさそうに断った。若者たちを助けたい気持ちはあるが、それができない。糸子は誠意を持って話したつもりだった。

ところが、若者たちはそんな糸子をバカにした。今さら「意地」などといっても流行らないというのだ。その態度に、糸子はいっぺんに腹を立てた。3人に二度と来るなと言って追い出してしまった。

それでも、糸子は自分の実力が認められたことは嬉しかった。気持ちにもハリが出てきた。
少し迷いのあった糸子は、直子(川崎亜沙美)に電話で相談してみた。シルバー世代向けの商品は自分には絶対に作れないだろうと言って、直子は感心した。けれども、プレタポルテの厳しさを知っている直子は、糸子がそれを始めることに反対した。気持ちばかり若くても、体力的に厳しいと言って、老いた母をいたわったのだ。
その言葉に納得した糸子は迷いが吹っ切れた。

糸子はまだまだ一線で働きたいと思うし、新しいことに挑戦したいという意欲はある。けれども、体力の衰えを自覚して自重してしまうのも事実だ。膝や腰が痛むので、最近では寝室のある2階との階段の登り下りにも苦労する始末だ。

重い体を引きずるようにして階段を登っていると、足を滑らせて転げ落ちてしまった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第133回

いつも見ているわけではないし、いつもながら見しかしていないのだが、渋い番組として面白いと思うNHKの週刊ブックレビューは1991年に放送を開始し来週で954回目を迎えるが、それが最終回になるそうで、なんかしみじみと残念だなと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第133回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

里香(小島藤子)が不良少女達とトラブルを起こし、オハラ洋装店のショーウィンドウが破壊された。
糸子(夏木マリ)は、里香の装いがこの事態を招いたのだと指摘した。人は、自分の着ている服に応じた出来事を引き起こす。里香の髪型とジャージ姿に原因があると言うのだ。逆に、どういう服装をすればトラブルに巻き込まれないか反省を促した。

翌朝、里香はついにジャージ姿をやめた。しかし、12月も末だというのに、半袖のTシャツにハーフパンツという夏服を着てしまった。驚いた糸子が訳を聞くと、優子(新山千春)が買って送りつけてきた服は着たくないのだという。それらを避けたら、夏服しかなかったのだ。
糸子は家中から古い衣類を見つけてきた。何年前に誰が着ていたのかもわからないようなドテラや、聡子(安田美沙子)が学生時代に着ていた体操着などだ。それを渡された里香は嫌がるでもなく着用し、その姿で平気で人にあった。

里香の更生を電話で知らされた優子は、すぐに里香を東京に帰すか、自分が岸和田に会いに行くことを許して欲しいと主張した。しかし、糸子はまだ時期が早いと言って応じなかった。糸子は、自分が里香を手放す前に、きちんと彼女の心境と向かい合う必要があると考えていた。

里香はいくぶん明るい表情になってきたし、人との会話も楽しむようになってきた。
そこである日、糸子は里香の核心に迫った。優子には上等な服をたくさん買ってもらっているし、良い高校にも入学させてもらった。何が気に入らないのか説明を求めた。
里香は混乱してた。自分でもどうして優子を避けているのかわからないのだという。理由はわからないが、優子の全てが嫌になったという。今は思い出すことすら嫌なのだという。目に涙を浮かべる里香を見て、糸子はそれ以上問い詰めることをしなかった。その代わり、そう思うのは里香が大人になるためにもがいている事の証拠だと指摘するのだった。

1986年(昭和61年)1月、オハラ洋装店の初売前日。
糸子は吉岡(茂山逸平)と河瀬(川岡大次郎)を呼びつけた。そして、新しくデザインしたスーツを見せ、それを吉岡が売る許可を与えた。そのスーツは和服と同じように腰のあたりを紐で結ぶようになっているので、体型が変わっても簡単に調節できる工夫が施されていた。吉岡の仕入れた高級生地もいいものなので、買った人は長く着れるだろうとコメントした。
糸子が河瀬の曽祖父を助けたことを50年以上経っても引き合いに出された。そこまでされては、助けないことには格好がつかない。それが糸子が吉岡に協力する理由だと説明した。

それからしばらくして、吉岡らがやって来た。糸子のデザインしたスーツの売れいきが驚くほど良いと言う。1着18万円の値付けをしたにもかかわらず、生地100反のうち95反分が予約注文だけで売りさばけたという。
これで成功を確信した吉岡らは、糸子のブランドを正式に立ち上げたいと切り出した。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第132回

糸子が初めて心斎橋百貨店へ出かけたのが第25回(月曜)で、制服の納品が終わったのが第29回(金曜)であったというスピーディーでワクワクした展開だったのが懐かしい一方で、今週月曜にあほぼん吉岡が登場し、今日すでに金曜になってしまった事実と照らし合わせると、なんだかいろいろ本当にがっかりするよなぁと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第132回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

あれだけ糸子(夏木マリ)に怒鳴られたにも関わらず、またしても吉岡(茂山逸平)と河瀬(川岡大次郎)がやって来た。糸子はこれで最後という気持ちで、話だけは聞いてやることにした。

吉岡は「オハライトコ・プロジェクト」というプレタポルテ(高級既製服)計画を携えてきた。吉岡が大量に誤発注した高級生地を使って、糸子がデザインした洋服を中高年女性向けに販売しようというのだ。吉岡は自分の顧客への売り込みを担当するという。吉岡は呉服屋なので、ツテは全て和服関連である。けれども、和服を買い求める客だからこそ、目の肥えた女性が多く、きっと成功するに違いないと力説した。

話を聞いた糸子は少し態度を軟化させた。けれども、すぐに結論は出せないといって、今日のところはふたりを帰した。糸子の本心としては、既製服は作りたくないのだ。糸子は生涯オーダーメイドだけをやっていきたいと思っている。しかし、あほの吉岡が一生懸命考えてきたアイディアを無駄にするのも不憫だと思い、悩むのだった。

その矢先、澄子(三林京子)が車椅子の母(新海なつ)を連れて来店した。病気で太ったことを気にして、採寸を嫌がる母親である。糸子は約束通り巻尺を使わず、目測だけで採寸を終えた。最初は嫌がっていた母親も、帰る頃には機嫌を良くなった。糸子は、洋服を通じて彼女を喜ばせることができて嬉しかった。
そして、自分がやりたい事は、やはりオーダーメイドであるという思いを強くした。吉岡を救いたい気持ちとの板挟みが一層強くなった。

クリスマス・イブの日、服装こそジャージのままだったが、里香(小島藤子)はお下げ髪にしてどこかへ出かけた。
夜遅くになって、小さなケーキの箱を持って帰宅した。中には小さなケーキが1つだけ入っていた。里香からのプレゼントに喜ぶ糸子だったが、ケーキが1つしかない事を不審に思った。里香に尋ねると、自分はもう食べてきたからいらないのだという。

実は里香は、神山(榎田貴斗)とデート(デート?デートなのか!?)をしてきたのだ。不良少女と喧嘩していた里香を救ったのが神山であり、それから彼は何かと里香に声をかけるようになった。クリスマス・イブも誘われ、まんざらでもない里香はそれに応じたのだ。

里香からの初めてのプレゼントに感激した糸子は、親しい人々の写真立ての前にケーキを飾り、彼らに報告と感謝をした。
いよいよ食べようとした矢先、オートバイに乗った不良少女達が店の前に集まった。オートバイの爆音をあげ、店のショーケースを破壊した。最後には「東京へ帰れ!」という罵声を浴びせて去っていった。

神山に恋をしている不良少女(足立悠美加)がいるのだ。里香が神山と親しくしていることへの報復であった。

驚いた糸子は、一口も食べないうちにケーキを落として壊してしまった。しかし、それを丁寧に集めて皿に盛り、食べ始めた。里香はそれを止めたが、糸子は応じなかった。
逆に糸子は、里香に向かって決断の時であると宣告した。東京へ帰るか、ジャージを脱ぐか決めろと言うのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第131回

今朝は5時過ぎに目が覚め、眠り直そうにも眠れなかったので、とりとめのない考え事を始めたら「自分が政治家になったとしたらどんなタイプだろう?」というテーマについて考察することとなり、「小賢しい要領の良さと特異なキャラクターでちゃっかり入閣を果たすが、大臣就任3日目くらいに舌禍事件で失脚する」という結論に達し、自分で自分をそう評価していることに悲しくなり、ますます目が冴えて眠れなくなってしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第131回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

誤って100反もの布地を仕入れてしまった呉服屋のドラ息子・吉岡(茂山逸平)が、友人の河瀬譲(川岡大次郎)を伴って再びやって来た。糸子(夏木マリ)が戦時中に河瀬の曽祖父を助けた時のエピソードをよく研究して、自分で解決策を見つけろと言われたからだ。

糸子が河瀬の曽祖父を助けたのは、彼は元来まっとうな商売人であったのだが、戦争という不可抗力で大量の在庫を抱えてしまったからだ。また、当時は今ほど洋服が売れる時代でもなかったので、知恵を絞るやりがいもあった。それに対して、吉岡はいい加減なお坊ちゃまだ。ほんの思いつきで反物の買い付けに出かけ、自分のミスで大量の在庫を抱えた。その上、現代は豊かな時代で、特に工夫をしなくても物が売れる。そんな恵まれた状況であるにもかかわらず、糸子に頼ろうとする吉岡の態度が気に入らなかった。

吉岡は、自分のアイディアだと言って、紫と朱色の反物を自慢げに取り出した。元々白かった布を染めたのだという。しかし、染めた後にどうするか全く考えておらず、またしても糸子に頼ろうとした。それが糸子の逆鱗に触れ、ふたりはほうほうの体で逃げ出してしまった。

街で不良少女と喧嘩をし、負けて怪我をして帰ってきた里香(小島藤子)はそのまま塞ぎ込んでしまった。部屋に閉じこもって寝てばかりいる。泣いたり悔しがったりすれば良いのだが、一切口を開こうとしないことが糸子には心配だった。
里香の母親である優子(新山千春)には知らせることができないと思った糸子は、直子(川崎亜沙美)に電話で相談した。負けん気が強く、粗野で豪快な性格の直子は、放っておけばよいと取り合わなかった。しかし、そう言われても糸子はどうしても放っておく気にはなれなかった。

ちょうど、吉岡が珍しい金箔入りのカステラを持ってきていたので、糸子はそれを持って里香の部屋を覗いた。伏せてばかりいる里香であったが、勧められるままにカステラを一口かじった。相変わらず塞ぎこんだままであったが、糸子は里香の心が少し緩んだことを見て取った。
そこで、自分一人で我慢しなくて良いのだと優しく諭した。痛いことや辛いことがあったら、人に話せばいいのだ、黙っていてはいけないと語った。それでもなお里香は黙ったままであったが、涙が一筋流れた。変化の兆しだった。

その夜、里香の部屋の窓に紙飛行機がぶつけられた。喧嘩していた里香を助けてくれた神山(榎田貴斗)が夜遊びの誘いに来たのだ。しかし、朝早くから祖母の手伝いをしなくてはならないと言って、里香はそれを断った。神山はそれ以上何も言わず去っていった。
翌朝、ついに部屋を出た里香は、朝食の支度を手伝った。相変わらずほとんど何もしゃべらな里香であったが、糸子は里香の変化を感じ取った。

糸子は自宅で食事会を開いた。妻に先立たれた男たちを集めて、定期的にこのような食事会を開いているのだ。男は一人で食事をすべきではないというのが糸子の持論だからだ。
そして糸子は、男やもめの食事会を開く度に周防のことを思い出していた。妻に先立たれて長崎に帰ってしまった周防が今も生きているかどうかはわからない。しかし、もし生きているなら、彼にもこういった楽しい場所があればいいのにと願わずにはいられなかった。

* * *

続きを読む

アンホルト『理系のための口頭発表術』

昨日、浜松市に出かけて自分の研究の口頭発表をしてきた。
落ち着いて話ができたし、ちゃんと持ち時間を守ったし、たくさんの質問やコメントももらえたので、なかなかの首尾だったのだろうと自画自賛している。
昨日は気分が良かった。

でも、今はすごく反省している。
事前準備を怠り、発表5分前までスライドの修正をしていた。軽微な修正なら良いのだろうが、昨日の僕は発表30分前にトークの流れをガラリと変えた。当然、リハーサルなどやれなかった。小手先のクソ度胸だけはあるので、それでも本番はなんとかなった。でも、後半は随分と早口になったようだし、何枚かスライドを飛ばした。
これらはあまり褒められたことではない。

そのバチが当たったのか、発表直前まで修正していたファイルがそっくり失くなった。操作ミスで一部のスライドを削除して、そのまま保存してしまったようだ。バックアップファイルは一昨日の全く違うバージョンしか残っていない。明後日、ほぼ同じ内容で別の場所で発表する機会を頂いているのだけれど、昨日の発表資料を流用できなくなった。思い出して同じように作れば良いだけの話だが、少々心が折れた。今、軽く放心状態だ。一昨日までに完璧なスライドを準備しておけば、こんな気分にならなかったのに。
資料の作りなおしも悲しいが、意外と「思い出の品」を大事にする当方なので、発表の思い出であるスライドが失くなったことの方がもっと悲しい。
落ち込んでいる。

続きを読む

NHK『カーネーション』第130回

今後、辰巳琢郎江波杏子が出演予定(どんな役柄かはリンク先を参照)だという情報をキャッチした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第130回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

呉服屋の若旦那・吉岡(茂山逸平)が糸子(夏木マリ)に泣きついた。彼は父を見返してやろうと思い、中国まで買い付けに行ったという。そして、首尾よく上等で珍しい布地を見つけたので、1反だけ仕入れて、小物を作って販売するつもりだった。ところが、吉岡が言うには、相手が聞き間違えて100反も売りつけられたという。おかげで父にはこっぴどく叱られ、全て売りさばかないと勘当されてしまうという。そこで、糸子の知恵を借りたいというのだ。
糸子は吉岡に協力するのをきっぱりと断った。糸子が戦時中に金糸入り生地を大量に売りさばいた時のことを河瀬譲(川岡大次郎)からよく聞いて、それを参考に自分で対策を考えろと言いつけて追い返してしまった。

清川澄子(三林京子)が店にやってきた。澄子は、母の喜寿のお祝いのためにドレスを作ることを計画している。昔からおしゃれ好きだった母なのできっと喜ぶに違いないと思っていたのだ。しかし、母が頑なにドレスはいらないと言い出したという。
その話を聞いて、糸子は採寸を嫌がっているのだろうと見抜いた。澄子の母を昔から知っている糸子は、彼女の体型の変化も知っていた。昔はスラっと痩せていたのに、病気を患ってから急激に太ってしまった。女はただでさえ自分の体のサイズを測られるのが嫌なのに、太ってしまったらなおさらだと言うのだ。50年も仕事をしている自分に任せておけば、巻尺で体を測らずとも、見ただけでぴったりとしたドレスを作ることができると言い、母を連れてくるように言って帰した。

里香(小島藤子)のことが心配な優子(新山千春)からは、早く東京に帰してくれとしつこく電話がかかってくる。里香の人生にとって大事な時期なので、いつまでも学校を休ませておく訳にはいかないというのだ。それに、優子には里香が不良になる理由がさっぱりわからないと愚痴をこぼした。親の愛情が足りないと子供がグレるという話はよく聞くが、自分はちゃんと愛情を注いでいるという。優子自身は糸子から愛情のある子育てをされたとは思っていない。そんな自分ですら不良にならなかったのに、どうして里香が反抗的なのか理解出来ないというのだ。
糸子は優子の話をほとんど聞き流した。そして、あまり性急に更生させる必要もないと主張した。本人の心境に変化が表れるまでほうっておくのが一番だと言って電話を切った。

それでも、糸子は里香を完全に放任していたわけではなかった。家や店の掃除など、簡単な手伝いをさせた。
古い人々の写真を拭いている時、里香は泰蔵(須賀貴匡)の写真に目を留めた。彼が、里香の不良仲間の先輩に似ているというのだ。糸子は、どんな男よりも泰蔵の方がカッコいいと言い返した。生前の泰蔵はだんじりの大工方をこなす男の中の男であり、子供たちにも優しかったと言うのだ。そんな泰蔵が戦死したと聞いて、里香は少し複雑な気持ちになった。

里香は化粧こそ派手だが、ジャージ以外の服は着ようとしない。糸子は里香がジャージを着続けるうちは、ガミガミ言っても仕方がないと思っている。彼女が違う服を着るのを黙って待っている。
たとえ言葉がなくても、着る物はその人の言いたいことを表している。ジャージを着ているということは、「気安く話しかけないでほしい」というサインだ。だから糸子は深入りしないようにしている。

一方で、ジャージを着ることは、「自分は不良だ」、「ケンカはいつでも買う」ということを周囲に言いふらしていることになる。そのため、岸和田のスケバンたちと3対1の喧嘩になり、ボロボロに負けてしまった。通りすがりの男子高校生・神山(榎田貴斗)に背負われて帰ってきた。
神山は「警察が来た!」と叫んだという。そうすると、優勢な方が逃げていくことを知っていたのだ。糸子は神山の賢い機転を褒めると共に、里香を助けてくれたことに感謝した。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第129回

週刊アスキー2011年12月20日号の大槻ケンヂみうらじゅんの対談の中で(これに先立つふたりの対談はwebで読める。大笑い必至)、仕事場にやって来た編集者の前で原稿を書くことを「実演!」などと表していたのだが、それと同じように、泊まりがけでやってきた静岡県の宿が相部屋なので、本まとめ記事(のメモを取る様子)も同宿の人の前で実演せざるを得なかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第129回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

東京で直子(川崎亜沙美)のファッションショーが行われる。糸子(夏木マリ)は身の回りの世話係と称して里香(小島藤子)を連れていくことにした。
里香は優子(新山千春)の次女だが、東京での生活に嫌気がして、数日前から糸子のところに転がりこできたのだ。里香は、どさくさに紛れて優子のところへ送り返されるのではないかと警戒した。しかし、糸子はそんなことはしないという。その代わり、夜ふかしばかりして、日中はダラダラしている里香に腹を立て、ごはん分くらいは働けと言うのだった。

しぶしぶながら、里香は東京について来た。直子の華やかなファッションショーの舞台裏に案内してもらっても、ふてくされて隅の方に佇んでいるだけだった。けれども、いざファッションショーが始まると、仏頂面ではあったが、興味を示してモニタ画面を見つめた。

直子のファッションショーは大成功だった。直子だけではなく、多くの売れっ子デザイナーが群雄割拠する時代となった。デザイナーズ・ブランドの洋服がブームとなり、若者たちの間で大人気だ。糸子は、日本中の人々がお洒落を楽しめる時代になったことを感慨深く思う。

しかし、これだけ自由におしゃれができる時代なのに、里香はどういうわけか毎日ジャージ姿だ。直子のファッションショーに顔を出すにあたっても、普段着のジャージでやってきた。糸子には里香の気持ちがわからなかった。
一方、直子はそんな里香を見て愉快になった。自分が初めて東京に出てきた時に学校の制服ばかり着ていてバカにされていたことを引き合いに出しつつ、ジャージを着続けるつもりなら意地を通せと応援するのだった。

糸子と里香は、東京に3日間滞在した。糸子は里香を優子に引き合わせない代わりに、里香を毎日あちこち連れ出した。夜ふかしできないほど観光したおかげで、里香の生活リズムは昼型に戻った。岸和田に帰ると、ピタリと夜ふかしをやめてしまった。

最近、オハラ洋装店では洋服だけではなく、和服の勉強会を開いたりもしている。
その勉強会へ、生地問屋の跡取り息子の河瀬譲(川岡大次郎)が顔を出した。彼の一家と糸子には長い付き合いがある。戦争中、金糸入り布地の使用が禁じられた。金糸入り生地を大量に抱えて困っていた河瀬の曽祖父を助けたのが糸子だった(第52回)。その時の縁が今でも続いているのだ。
河瀬譲は、友人で京都の呉服屋の若旦那・吉岡(茂山逸平)を連れてきた。しかし、糸子にはどっちも頼りないドラ息子に見え、できえれば付き合いたくないと思うのだった。挨拶もほどほどに相手にしなかった。

後日、吉岡が一人でオハラ洋装店にやって来た。初対面で冷たくされたのにも関わらずやって来る度胸と懲りない態度を面白がり、糸子は少しだけ話を聞くことにした。吉岡は糸子に反物を見せた。白地に白糸で刺繍された生地は美しく、糸子は一目で気に入ってしまった。
その様子を見るやいなや、吉岡は床に土下座を始めた。間違えて100反も仕入れてしまったので、助けて欲しいというのだ。戦時中に金糸入り生地100反を引き受けた時のことを思い出し、糸子は呆れてしまった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第128回

今夜は泊まりがけの出張で某オジサンと相部屋であり、明日のまとめ記事はどうしようかなぁと思いつつ、おずおずと事情を説明したらその人から「あ、ボクも毎日見てるよ。明日の朝は一緒に見よう!」と言われてしまい、すっかり朝のまとめ仕事の段取りがついて安心した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第128回目の放送を見ましたよ。

* * *

第23週「まどわせないで」

1985年(昭和60年)10月。
糸子(夏木マリ)は72歳になっていた。オハラ洋装店や住居は改装されてすっかり現代風になったが、今でも岸和田の商店街に住んで商売をしている。
糸子は歳をとり、親しい人々のほとんどに先立たれた。彼らが死んだからといって、落ち込んだり、付き合い方が変わるのは避けたいと常々思っている。家の片隅に友人たちの写真を飾り、彼らが生きていた時と同じように語りかける。たとえ返事がなくても、それが糸子の日課だ。

糸子や店が年月を重ねたのと同じように、オハラ洋装店にやってくる客も老人ばかりになった。彼女らは年に1-2度しか服を作らないが、だからこそ1回あたりを豊かで気持ちのいい時間にしたいと願っている。気心の知れた従業員をふたり(竹内都子小笹将継)だけ雇って、ゆったりと商売をしている。

店がのんびりしているからといって、糸子の生活がスローになったかというとそうではない。むしろ、店以外のことで忙殺されていた。それぞれ独立した娘たちが、いまだにあれやこれやと糸子を頼ってくるのだ。頻繁に電話がかかってきて、糸子はその対応に忙しい。

ロンドンに渡った聡子(安田美沙子)は10年前に現地で自分のブランドを興した。それが成功し、今でもロンドンで暮らしている。糸子は聡子から電話がかかってくるたびに肝を冷やすが、なにぶん遠くに住んでいるので手も足も出ない。だからかえってあきらめも付く。

直子(川崎亜沙美)は7年前にパリコレで成功を収め、今や世界中を飛び回る売れっ子デザイナーになっている。けれども、細々とした事務作業を自分で片付けることができず、いまでも糸子を頼ってくる。電話がかかってくるたびに、糸子は呆れつつも面倒を見てやる。

一番頻繁に電話をかけてくるのは優子(新山千春)だ。
彼女のブランド「ユウコオハラ」は、全国に30店舗を展開するほどの一流ブランドになった。社長兼デザイナーの優子はとにかく忙しい毎日だ。ビジネス上の付き合いのパーティーにもたくさん呼ばれるのだが、その全てに出席することはできない。そこで、糸子に代理を頼むことがしばしばだ。

さらに、優子は次女・里香(小島藤子)のことに頭を悩ませている。
15歳になった里香は、夜な夜な家を抜けだしては悪い友だちと付き合っているようだ。苦労して入学させたミッションスクールにもほとんど通わなくなってしまった。
もっと悪いことに、里香は東京の家を出て、ぷいと岸和田に来てしまった。2日前から糸子の家に寝泊まりしている。里香にきちんと教育を受けさせたいと思っている優子は、説得して東京に送り返すよう糸子に頼んだ。しかし、糸子は賑やかになっただの、子供は歩いて話ができれば上出来だなどといって、のん気に構えている。

優子は、里香が夜遊びしないように気をつけてくれというが、夜はぐっすり眠っている糸子には注意のしようがなかった。実際、昨日の夜も里香は派手な格好で夜遊びし、明け方に帰宅したのだが糸子は何も気づいていなかった。
ただし、糸子も里香の姿を見てまともでないことは理解していなかった。けれども、岸和田の空気やだんじりに触れれば、自然と更生すると気長に考えていた。

糸子は、昔とはすっかり様変わりしてしまった商店街を歩いた。昔はあんなに元気に走りまわった道なのに、今はゆっくりとしか歩けない。
それでも、だんじりの速さだけは今も昔も変わらない。そのことが嬉しくもあり、切なくもあった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第127回

週明け5日(月)は本まとめ記事の更新が遅れる予定だが、その理由は当方が早朝から移動するためであり、ヒロインが尾野真千子から夏木マリに交代することへのボイコットではないことを先に明言しておく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第127回目の放送を見ましたよ。

* * *

第22週「悔いなき青春」

1973年(昭和48年)9月14日。だんじり祭の日。
だんじり祭りがテレビで取り上げられたことで、全国からの観光客が殺到した。岸和田は未だかつてない混雑と賑わいになった。その熱気に取り込まれ、小原家も朝から大忙しだった。次々と新旧の親しい人々が訪れ、日の高いうちから宴会が始まった。
客への対応に大忙しの糸子(尾野真千子)であったが、少しも苦にならないどころか、人が集まることをとても喜び、楽しんだ。往来に面した2階の窓から、いつもと同じようにだんじりが行くのを見物し、大きな声援を送った。

ところが、ふと気づくと千代(麻生祐未)の姿が消えていた。近頃、特に痴呆のひどくなった千代のことが心配になり、糸子らは慌てて近所を探しまわった。程なく、松田(六角精児)が見つけて無事に連れ帰ってきた。
千代は、善作(小林薫)の姿が見えないと言って探しに行ったのだという。家に大勢の客が来ているのに、善作がいないと困ると言うのだ。千代は善作が死んだことすらわからなくなっていたのだ。糸子は怒鳴りながら善作が死んだことを思い出させようとするが、松田によればそれは逆効果だという。善作は近所に挨拶に行っただけだからすぐに帰ってくるなどと話を合わせた。やっと落ち着いた千代は、おとなしく家に戻った。

日が沈み、糸子は北村(ほっしゃん。)とふたり、2階で酒を飲んだ。
その場で、糸子は東京行きを断った。
北村は、糸子が周防(綾野剛)の住む長崎に行くつもりなのではないかと疑ったが、糸子はそれをきっぱり否定した。

糸子は、自分の生きる場所は岸和田のこの家だと考えていた。極楽も地獄も、全て往来に面したこの窓から見てきた。自分の宝物は全てこの家にあるのだという。
北村は食ってかかった。自分達は随分と歳をとった。これから先は、多くのものを失っていく。親しい人々も次々に死んでいく。岸和田に留まることは、そういった喪失感を一人で耐えていくことにほかならない。それがどんなに辛いことかを話し、なんとか糸子を説得しようと試みた。
しかし、糸子の考えは変わらなかった。むしろ、弱気な北村のことを笑い飛ばすのだった。

糸子には、北村の言う喪失感を理解することができなかった。人が死んだからといって、自分は何も失わないし、変わらない。この地で自分の宝物を抱えて生きていくつもりだと言い切った。

1階に降りると、溢れんばかりの人々が集まって宴会の真っ最中だった。誰もが笑顔で楽しそうだった。
静かに座っていた千代は、人垣の向こうにやっと善作を見つけた。善作は賑やかな人の輪から一歩引いて、静かに盃を傾けていた。くいっと酒を煽ると、ニヤリと笑った。
千代が慌てて横に座ると、善作は空になった盃を差し出した。千代は徳利を持つ手の形を作り、何も持たないまま酒を注いだ。善作は美味そうにその酒を飲んだ。千代は善作の飲みっぷりを嬉しそうに眺めた。

夜がふけ、客も引き上げた後、糸子は善作に買ってもらったミシンを愛おしく撫でた。そして、2階の窓から静かになった夜の街をいつまでも眺め続けた。

1985年(昭和60年)10月。
優子の次女・里香(小島藤子)が朝帰りした。里香はまっすぐに祖母の部屋に入ると、声をかけて起こした。
72歳になり、歳をとったとはいえ、糸子(夏木マリ)はまだまだ元気だった。ぱっと目を覚ますと、自分でさっさと布団をあげてしまった

* * *

続きを読む