NHK『あまちゃん』第78回

本日からアメ横女学園の「暦の上ではディセンバー」の配信が始まり(レコチョクほか)、早速購入したが2回ほど聞いて再生を止め、もっぱら「潮騒のメモリー」の替え歌「シロコロのメモリー」(歌詞文末)を自作して歌っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第78回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

ユイ(橋本愛)が2週間ぶりにスナック梨明日に姿を現した。町の大人たちはユイを歓迎し声をかけるが、ユイはむっつりとして急に店を飛び出してしまった。

春子(小泉今日子)だけはユイの気持ちを察し、大人たちを叱りつけた。上京が取り止めになって傷ついているところに、大人たちが腫れ物に触れるような接し方をすればますます傷つくというのだった。不自然に歓迎したり、上京したアキ(能年玲奈)のこと、ミス北鉄のことなどをまくし立てたせいでユイは傷ついたのだと諭した。春子にはユイの気持ちがよく分かるのだった。

GMTメンバーの遠藤真奈(大野いと)は、初日こそ衣装替えで大失敗をしたが、それ以外は立派に代役を務め、3日間の公演を終えた。GMTメンバーと水口(松田龍平)は、劇場近くの無頼鮨で打ち上げを行った。

真奈は初日に失敗した時は、アイドルを辞めて田舎に帰ろうと考えたという。しかし、アキの励ましがあって思いとどまることができたと感謝した。その言葉から宴が始まり、メンバーたちは開放的な気分になって大騒ぎを始めた。座敷で踊り始めたり、大声でおしゃべりしたりと、他の客に迷惑をかけるほどだった。店主・梅頭(ピエール瀧)は無口な男だったが、GMTらのマナーの悪さに眉をひそめた。

宴会の幹事はアキだったが、自分で寿司屋に来るのは初めてだった。夏(宮本信子)に電話で相談したところ、おまかせでもひとりあたり2000円くらいあれば足りるとの事だったが、実際に並べられた鮨を見ると、到底その金額では収まりそうになく、内心ヒヤヒヤし始めた。水口の様子を横目で伺ったが、彼も金は持っていないようだった。水口は鮨に一切手を付けず、焼酎のふりをしながら水ばかり飲んでいた。いざとなったら逃げる気であることが手に取るようにわかったのだ。

メンバーは自分の好きなタレントについて語り合った。好きな女優を聞かれ、アキは迷うことなく鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の名を即答した。芸能界では鈴鹿ひろ美の評判はあまりよくないという。他のメンバーは彼女の悪口を言い立てるのだった。

その時、隣の座敷の女性客が会計を済ませ、店を出た。しかも、大将・梅頭や店員(日向丈)によれば、アキたちの分までその客が支払ってくれたという。アキはその客の顔を一瞥しただけで、鈴鹿ひろ美本人だと気付いた。みんなは急いで店を出て彼女を追いかけた。

鈴鹿ひろ美は、自分もGMTらと同じくらいの年頃から芸能活動をやってきたし、みんなの話を漏れ聞いて気分が良くなったのだという。それで支払いをさせてもらったと、爽やかに答えた。GMTのメンバーは、うっかりと鈴鹿の悪口を言ってしまったことを深く謝罪した。それを受け入れ、鈴鹿はタクシーに乗り込んだ。

アキはタクシーの鈴鹿を捕まえ、握手を求めた。自分が鈴鹿の大ファンであることをもう一度話し、鈴鹿に憧れて上京したと自己紹介した。「潮騒のメモリー」がとても好きだということも説明した。それを聞いた鈴鹿は、いつかアキと一緒に芝居をしようと約束し去っていった。

アキは鈴鹿ひろ美にますます惚れ込むのだった。
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NHK『あまちゃん』第77回

ヒゲを剃ってから行くべきかどうか激しく迷っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第77回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

アキ(能年玲奈)は上野で安部(片桐はいり)と再会した。

安部は栃木県宇都宮市のデパートで、北三陸市の紹介とまめぶを販売する店をやっていたが、それは失敗に終わったという。それでも故郷に帰るわけにもいかず、安いトラックを手に入れて立ち食いそばの屋台を開いたのだ。客の注文はそばとうどんばかりだが、まめぶもメニューに載せ、口頭で地道に宣伝しているのだという。ごくわずかだが、まめぶを求める常連客もできたという。

アキは久しぶりに安部のまめぶを食べた。特に美味しいものではないが、安部の作るまめぶ汁はアキの大好物だ。上京して2週間だが北三陸市を懐かしく思い、安部との再会も大いに喜び、心が晴れ晴れとした。

ところが、アキが寮に帰ると、正宗(尾美としのり)が待ち構えていた。正宗はアキの芸能活動に猛反対し、説教を始めた。

しかし、正宗との話し合いの途中で、GMT47に大ニュースが飛び込んできた。アメ横女学園のメンバー・成田りな(水瀬いのり)が体調不良で休演することになったので、その代役として遠藤真奈(大野いと)がステージに立つこととなった。当の真奈は緊張のあまり胃が痛くなってしまったが、GMTのメンバーが出演するのは初めてのことで、みんなは大いに盛り上がった。そのどさくさで、正宗のことは無視されてしまった。

いよいよ真奈の代役本番となった。ところが、真奈は衣装替えの段取りを間違えてしまい、アーミールックに着替えるべきところをパンダの衣装を着てしまった。再び着替える時間は残されておらず、仕方なくパンダの姿のままステージに出た。この失敗により、真奈はもちろんGMTのメンバー全員が、アメ女の正式メンバーたちから白い目で見られる事となった。

それ以外はうまくこなした真奈であったが、衣装替えの失敗が後を引き、終演後にひどく落ち込んでしまった。その日は、珍しく社長の荒巻(古田新太)も劇場に来ており、彼に失態を見られてしまった形になるからだ。

彼女に引きこまれ、他のGMTメンバーたちも沈み込んだ。そんな中、アキだけはマイペースだった。ステージ下のレッスンルームで陽の目を見ないよりも、いくら失敗したとしてもステージの上で客の目に触れる方が良いに決まっていると話した。自分たちはステージ下の「奈落」から真奈のことを応援しているから、翌日からの代役も精一杯頑張れと応援した。その言葉に、真奈をはじめメンバー全員の士気が上がった。

その頃、水口(松田龍平)は荒巻とGMT47の事について話し合っていた。荒巻は、自分の経験に照らして、アイドルユニットの成功はそれほど簡単なことではないと話した。アメ横女学園でさえ、人気が出るまで4年間の下積みがあった。水口がGMT47プロジェクトを性急に進めていることについて、もっと慎重に事を運ぶように注意を促した。また、アキについては、訛りのある独特のキャラクター以外には特に見るべき点がないと言うのだった。アメ女のトップメンバー・有馬めぐ(足立梨花)の代役に抜擢したことについても、近頃増長している有馬めぐを反省させるための当て馬であることを認めた。

水口は黙って荒巻の話を聞いていたが、彼には野心があった。GMT47をアメ女の単なる2軍で終わらせるつもりはないのだ。上野の東京EDOシアターを飛び出し、武道館をファイナルとする全国ツアーもできるアイドルユニットにしたいと考えていた。必ず47都道府県の全てからアイドルを集めることを決意している。仮にメンバー招集に失敗し、今のメンバーも辞めたとしても、最後の1人になるまで見捨てるつもりはない。GMT47は水口が初めてひとりで任されたプロジェクトであり、彼も熱意を持って取り組んでいるのだ。

水口は、自分の野心をGMTのメンバーに聞かせた。メンバーたちはそれを聞いて、ますます意気が揚がるのだった。

北三陸市では、第2回ミス北鉄コンテストが開かれようとしていた。しかし、初代チャンピオンのユイ(橋本愛)に比べて、地元にはこれといった候補者もおらず、どうも盛り上がりに欠けるのだった。

そんな中、喫茶リアスにヒロシ(小池徹平)とユイが現れた。
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中ぱみゅちゃんのこと

「中ぱみゅちゃん」とは、僕が毎朝立ち寄るコンビニの店員さんのことだ。

お人形さんのように白い肌で明るい茶色のロングヘア、少々ポップな化粧を施し、いい意味でエキセントリックな色合いのパンツとスニーカーをいつも履いている。その雰囲気がタレントの中川翔子に似ていたので、僕は心の中で彼女のことを「中川翔子ちゃん」と呼んでいた。
ある時、彼女は髪を切った。前髪をまっすぐに切りそろえたセミロングのボブカットだ。その姿は、もはや中川翔子というよりもきゃりーぱみゅぱみゅであった。
そういう経緯で、中川翔子ときゃりーぱみゅぱみゅを混ぜて、「中川ぱみゅぱみゅ」だとか「中ぱみゅちゃん」だとか呼ぶこととした。

僕が彼女を初めて見たのは、もう2年くらい前のことだと思う。
僕は、人の見た目や職業、出身や学歴、性別、その他などで偏見を持たない人間でありたいと常々思っている。そう心がけているつもりだ。

けれども、彼女を一目見た時、
「うわ、ヤンキーあがりのくだらない女に違いない。こんな子にレジ打ちされるなんて、今日はツイてない」
などと思ってしまった。情けないことに。

ところが、僕の愚かな先入観は瞬く間に覆った。
彼女は僕の目をしっかりと柔和に見据えて、ハキハキと丁寧に挨拶をした。テキパキと商品のバーコードを読み取り、慎重かつ手早く袋詰めしてくれた。ポイントカードの有無の尋ね方や電子マネー読み取り機への誘導も気持ちのよい口調だった。接客マニュアルからそのまま飛び出してきたかと思うほどの適切さであった。お腹の低い位置で両手を合わせ、腰から折り曲げて会釈をする姿には気品が感じられた。接客の間中、常に口角を上げて上品な笑顔をたたえていた。

月に何度かしか立ち寄らないコンビニであったが、気持よく買い物ができたので、それからは週に何度か行くようになった。無論、頻度は増加する一方だった。今ではほぼ毎日立ち寄る。「ほぼ毎日」であって、必ず毎日ではない。なぜなら、今や中ぱみゅちゃんの週4日の出勤シフトを把握したので、彼女がいない日には行かないからだ。

彼女の出勤日には、駐輪場にかわいいスクーターが停まっている。松田優作がドラマ『探偵物語』で乗ってたやつみたいな小洒落たスクーターだ。それがない日はお休みだ。僕はコンビニを素通りする。彼女の休暇予定日でも駐輪場だけは必ず確認する。そこにスクーターが停まっていれば、彼女の臨時出勤かもしれないからだ。
ていうか、あのスクーターかわいい。彼女によく似合っている。2-3回、彼女がそれに乗っている姿を見たこともある。少女向けファッション雑誌のお手本のようだった。

ほぼ毎日顔を会わせているおかげで僕達が親しくなったかというと、残念ながらそのようなことはない。
ふたりの関係で変わったことといえば、彼女が僕の顔と電子マネー利用者であるということを覚えてくれた程度だ。僕が何も言わなくても、率先して電子マネーでの支払いモードに切り替えてくれる。よく言えば「あうんの呼吸」ができ上がったのだ。しかし、そのせいで彼女の僕に対する口数は減ったことになる。親切丁寧で耳障りの良い彼女の声があまり聞けなくなったことは残念だ。

それでも、毎朝の通勤が楽しくて仕方がない。つまらないことがあって会社に行きたくないなぁと思う日でも、その途中に中ぱみゅちゃんがいると思えば会社に行く意欲が湧いてくるし、彼女に接客してもらえば「今日はいい日だ」と前向きな気分にもなれる。ありがたいことだ。
特に親しくなったり、私的な会話を交わすことがなくても、それで良かったのだ。


そんな僕と中ぱみゅちゃんとの関係は、明日の朝を限りに大きく変化することだろう。何がどう変わるかについては、いずれ知れることと思う。

NHK『あまちゃん』第76回

NHKの公式サイトでアメ横女学園の特集ページができつつあることを知り、その気合に頭がクラクラするけれど、顔はニヤニヤしてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第76回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

アキ(能年玲奈)は春子(小泉今日子)が自分の半生を綴った手紙を読んでいた。

春子(有村架純)は1984年夏に上京しオーディション番組でチャンピオンになったものの、その番組が急遽打ち切りとなり、歌手デビューへの道が絶たれてしまった。故郷に帰るわけにもいかず、原宿・竹下通りの近くにある純喫茶アイドルでアルバイトをしながらアイドルデビューを目指すことになった。喫茶店主・甲斐(松尾スズキ)がかわいがってくれたこともあり、春子は前向きに努力していた。

しかし、オーディションでの春子は落選続きであった。春子はボイストレーニングやダンスレッスンに力を入れ、プロ意識を持って応募していた。しかし、時代が変わり、おニャン子クラブのような素人っぽさを全面に押し出すアイドルがもてはやされるようになっていたのだ。春子のような玄人的な女の子は審査員の受けが悪かったのだ。

春子が上京して1年ほど経った頃、荒巻(古田新太)が純喫茶アイドルに現れた。オーディション番組の専属ダンサーをやっていた荒巻だが、彼も番組の打ち切りで仕事を失ってしまった。それを機にダンサーを辞め、今はタレントのスカウトをしていた。街で声をかけた少女(神定まお)を説得するために喫茶店に来たのだ。しかし、スカウトとしてはまだ半人前の荒巻は、少女に逃げられてしまった。

春子は素知らぬふりをして彼らの話を聞いていた。そして、荒巻が目を離した隙に、テーブルの上に放置されていた彼の名刺を盗んだ。

春子の手紙はそこで終わっていた。アキは春子と荒巻が知り合いらしいことに驚くとともに、いい所で手紙が終わっていることにがっかりした。そして、娘を気遣う母親らしい言葉がほとんど書かれていないことにもがっかりした。

寮の居間で熱中して手紙を読んでいたアキは、そこに水口(松田龍平)がいたことに気づかなかった。水口は北三陸市へ行って、ユイ(橋本愛)の様子を探ってきたという。結局ユイには会えなかったが、母・よしえ(八木亜希子)から詳しい話を聞けたという。脳の疾患で倒れた功(平泉成)の手術は成功し意識は戻ったものの、重度の後遺症があり家族総出での介護が必要だという。ユイがつきっきりで看病しており、功の回復の目処が立たないうちは上京することもできないのだという。

ユイの状況を説明した上で、水口はアキの意思を再確認した。元々、上京することはユイの意向であり、アキはその付添いのような形だ。ユイが来れなくなってしまった以上、アキが帰郷したいと言うならそれを認めるというのだ。

しかし、アキは東京に残ることを強く主張した。今朝、荒巻から有馬めぐ(足立梨花)の代役に抜擢されたことを報告し、それをチャンスとして頑張ることを宣言した。そして、ユイとの約束を果たすために、彼女の上京を待ち続けるというのだ。

水口によれば、荒巻の決定は単なる気まぐれかもしれないという。実力の劣る新人を代役にすることで、正式メンバーの危機感を煽り、彼女らを奮起させることがよくあるのだという。特に、近頃の有馬めぐは天狗になっていたので、反省を促したというのが水口の見立てだった。有馬めぐが本気を出せば、体調管理を徹底させ、休演することはないだろうという。そうなるとアキの出番は一切ないのだ。それでもアキは諦めずに頑張ることを誓った。

翌日、ユイからアキへメールが届いた。その文面は明るく前向きなもので、アキは改めて勇気づけられた。

一方で、アキの毎日はとてもハードなものだった。ひたすらダンスの稽古をすると共に、アメ横女学園の公演が始まると裏方としてメンバーの着替えや力仕事をやらされた。就寝前には寮でGMT47のメンバーと危機感を持ったミーティングが行われた。特に、自分たちがいつまでも縁の下の力持ちばかりで日の目を見ないままではいけないと意識合わせが行われた。

上京して1週間が経ち、2学期が始まった。アキは新たに朝日奈学園芸能コースに通うこととなった。芸能活動で売れている生徒は学校に来ることができず、クラスの半分近くが欠席していた。このクラスでは、遅刻や欠席がステータスなのであった。

アキは忙しい毎日に慣れ始めてきたが、荒巻とは一度会ったきりだ。有馬めぐの代役として具体的な指示は全くない。水口の言うとおり、自分の大抜擢は単なる気まぐれだったのではないかと心配になり始めた。

そんな時、アキは街で「まめぶ」という声を聞いた。その声が聞こえた立ち食いそばのトラック屋台を覗いてみると、そこにいたのは懐かしい安部(片桐はいり)だった。
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NHK『あまちゃん』第75回

古田新太が踊る大和ハウス工業株式会社のCM「ベトナムにも」篇の大好きな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第75回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

誰よりも早くレッスンルームに向かったアキ(能年玲奈)は、ひとりで踊りながら振り付けを考えている荒巻社長(古田新太)に出くわした。

荒巻は新しい振り付けに悩んでおり、アキに意見を求めた。実際には荒巻は深く考えもせずに声をかけただけだったのだが、アキは自分のアイドルとしての資質が試されているのだと勘違いした。荒巻が提示した候補を無視して、自分なりの振り付けを考案して提案した。すると、即座にアキのアイディアが採用された。そこへ、アメ横女学園のトップ・有馬めぐ(足立梨花)が姿を現した。荒巻は、アキの考えた振り付けを有馬に早速教えた。

荒巻はそこで初めてアキが誰なのか尋ねた。アキが北三陸市から来たことを説明すると、やっと荒巻はアキの事を思い出した。そして、その場で急に有馬めぐのシャドウにすることに決めてしまった。つまり、有馬めぐが病気や怪我で休演した時にアキが代役となるのだ。有馬は、無言の微笑で応えたが、荒巻やアキの見えない所で不服な表情を浮かべた。

他のGMT47のメンバーに聞いたところ、荒巻は元ダンサーで、田原俊彦のバックを務めたほどだったという。そのような経歴を持っているため、自分がプロデュースするときは、はじめに振り付けを考えるのだという。通常なら、曲や詩が先にあってそれに振り付けをするのだが、荒巻の場合は順序が逆なのだという。メンバーたちは、音楽なしに踊りを作れる荒巻の才能を褒め称えた。

アキの上京を知った父・正宗(尾美としのり)は春子(小泉今日子)に電話をかけた。正宗は、自分が女性(大久保佳代子)と交際していることは一切伏せた上で、アキが芸能界のような浮ついた世界に入ることを猛反対した。そのことについてすでに北三陸市で散々やりあった春子は正宗の相手をするのが面倒くさくなった。荒巻の事務所に入ったとだけ説明した。彼の何かを知っている正宗は、一方で安心するような、他方でむしろ心配するような素振りを見せた。

その日の夜、アキは春子から渡された手紙の存在を思い出し、読み始めた。そこには春子がアイドルを目指して上京した時の様子が書き綴られていた。


1984年夏、素人参加型オーディション番組「君でもスターだよ!」に出場した春子(有村架純)は、松田聖子の「風立ちぬ」を歌った。歌い出しのリズムも高音の伸びも申し分なく、春子は手応えを感じた。ただし、審査委員長(浜田晃)のヘッドフォンのコードが抜けていて、彼が聞いたふりをしていることだけは気になった。それでも春子はチャンピオン(渡辺万美)に圧勝し、新たなチャンピオンの座についた。

ところが、最後に司会者(小藪千豊)から今日の放送で番組が終了することが発表された。来週からは素人参加型モノマネ番組に変わるのだという。せっかくチャンピオンになったのだが、春子の活躍の場がなくなってしまったのだ。モノマネをするなら来週も出演してよいと言われたが、春子にはモノマネをする能力も意欲もなかった。

失望した春子がテレビ局の廊下を歩いていると、番組の中で春子のバックダンサーを務めていた男とぶつかった。彼も番組の打ち切りでダンサーとしての仕事を失い、ショックを受けていたのだ。その男こそ、若き日の荒巻であった。
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NHK『あまちゃん』第74回

「♪ずんだ ずんだ~」(The Blue Hearts『リンダリンダ』の替え歌)と歌っている仙台ギュウタンガールズの小野寺薫子を演じている優希美青山瀬まみ足立梨花と同じくホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリ(2012)だと知った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第74回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

芸能界の厳しさに、アキ(能年玲奈)は上京初日から打ちのめされた。その辛さを慰めてもらおうと、別れた父・正宗(尾美としのり)の住むマンションへ向かった。

しかし、家にはアキの知らない女(大久保佳代子)がバスローブ姿でくつろいでいた。正宗の説明によれば、同窓会で再会した中学校の同級生で、彼女もバツイチだという。彼女と深い中になったのは春子(小泉今日子)と正式に離婚した後なので(離婚12月24日、同窓会1月4日)、決して不倫ではないと弁解した。

正宗に慰めてもらうために来たはずなのに、アキはさらなる悩みを抱え込んでしまうこととなった。その時、春子から様子を伺う電話がかかって来た。アキは正宗に会いに来たことは話したが、女がいたことは隠しておいた。しかし、アキの口調から春子は何か不審なものを感じるのであった。

アキは実家に住むわけにもいかず、あてもなく東京の町をさまよった。町を歩いていると、東京の学校でアキをいじめていたクラスメイト(星名利華宮城美寿々)に出くわした。彼女らはアキが地方アイドルになったことを知っており、そのことをからかった。アキは辛くなり、泣きながら逃げ出した。

行き場所のなくなったアキは、水口(松田龍平)に連絡を取り、谷中にあるGMT47の合宿所に住まわせてもらうこととなった。ただしそこは、古い民家で風呂もなく、寝室も2-3人で共有するという形式であった。しかも、プライバシーの少ない建物構造にも関わらず、水口も同じ家屋に住んでいるという。正宗以外の男性と一緒に寝泊まりしたことのないアキは緊張した一夜を過ごした。

それでも、アキは比較的スムーズに馴染むことができた。昼間は留守だったGMT47のメンバー宮下アユミ(山下リオ)に初めて会うと、アキは岩手出身だということを盛り込んだ奇妙なポーズを交えて自己紹介を行った。その様子には水口も感心した。また、メンバーたちが自炊する料理も、各自の故郷の食材がふんだんに盛り込まれた地方色豊かなものだ。アキはその食卓に感激したし、他のメンバーたちもアキのキャラクターをすぐに気に入った。

水口はアキにアメ横女学園のCDやDVDを手渡し、振付を覚えるよう命じた。アキは朝食を終えると、それらの資料を持って誰よりも早く劇場のレッスンルーム「奈落」へ向かった。すると、そこでは社長の荒巻(古田新太)がひとりで振り付けの確認をしていた。アメ横女学園のメンバーですらなかなか会えない人物なのだが、アキはいきなりふたりっきりとなってしまった。
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NHK『あまちゃん』第73回

以前にガイドブックであらすじを読んだ時、どこでどう計算を間違えたのか東京編は7月からだと思いこんでおり、いろいろ運命的だなぁと思っていたのだけれど、今日から東京編になったことで肩透かしを食らった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第73回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

1984年夏、アイドルを目指して家出し上京した18歳の春子(有村架純)は上野のアメ横を見物した。それから25年、2009年夏に17歳のアキ(能年玲奈)も同じ場所に立った。

アメ横の入り口には、1年前にオープンした「東京EDOシアター」があった。荒巻(古田新太)率いる芸能事務所ハートフルが作った劇場で、アイドルユニット「アメ横女学園」の公演が行われている。平日は19時半からの1ステージだけだが、週末には1日に2ステージ行われる。アキは東京EDOシアターに向かい、マネージャーの水口(松田龍平)に出迎えてもらった。

ユイ(橋本愛)の父・功(平泉成)が倒れ、彼女が来れなくなったことはまだ水口に伝わっていなかった。1人で上京したアキから事情を聞くと、水口は激しく動揺した。水口はユイをグループのセンター候補にするつもりで、事務所のスタッフにもそう豪語していたからだ。水口はアキに八つ当たりをし、アキも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

アキは水口に連れられ、劇場スタッフにあいさつ回りをした。社長の荒巻は渋谷の本社にいて、劇場にはめったに顔を出さないため、彼に会うことはできなかった。その代わり、チーフマネージャーの河島(マギー)には会うことができた。アキとユイの顔を知らない河島は、水口にアキは「かわいい方」なのか「訛ってる方」なのかと尋ねた。水口は事務的に「訛ってる方」だと答えた。それ以後、アキは会う人全てから同じ質問を投げかけられ、毎回水口は同じ回答をした。

劇場内にはメンバーの名札表が張り出されていた。総勢40名近いメンバーが序列に従って上から下へと並べられている。トップメンバーの「アメ女八賢伝」を筆頭に、約20名がレギュラーと位置づけられていた。他の20人は補欠だという。しかし、アキの名札はアメ横女学園の補欠にも入れてもらえなかった。彼女が所属するのは、アメ横女学園のさらに下の「GMT47」だからだ。そこには現在5人の名札が張られていた。

アキは、休憩中のメンバー高幡アリサ(吉田里琴)13歳と成田りな(水瀬いのり)15歳に会った。ふたりはステージで披露するのと同じく、奇妙な自己紹介を行った。アキは自分よりも年下の先輩がいること、そして彼女らの独特のテンションに呆気にとられた。水口からは、アキも同じようなユニークな自己紹介を考えるよう言われた。東京についてまだ2時間しか経っていないが、早くも北三陸市に帰りたくなった。

続いてアキは、ステージのリハーサルを見学した。トップメンバーの有馬めぐ(足立梨花)を中心に、華やかなステージだった。アキはその様子を写真に撮り、ユイにメールで送ってやった。自分たちも同じステージに立てることを楽しみにした。

しかし、水口からはそう簡単にステージに上がれると思うなと釘を差された。誰しも最低1年はレッスンを積んでいるのだという。しかも、アキの所属するGMTは代役専門だという。メンバーに怪我や急病でもなければ表舞台に立つことはないのだという。最後に水口は、アキを「奈落」と呼ばれるレッスンルームに案内した。そこはステージの真下に作られた部屋で、ステージの音が漏れ聞こえてくる。

「奈落」にはGMT47のメンバーがたむろしていた。埼玉出身の入間しおり(松岡茉優)、福岡の遠藤真奈(大野いと)、沖縄の喜屋武エレン(蔵下穂波)、仙台・小野寺薫子(優希美青)らであった。アメ横女学園のメンバーの華やかさとは異なり、彼女らは私服姿で、どこか気だるい雰囲気を醸し出していた。彼女らはアキのことや岩手県のことを何も知らなかった。唯一知っていたのは、「かわいい方」はセンター確定で、「訛っている方」は一般受けはしないけれどマニア受けするキャラであるという噂話だけだった。

その時、真上のステージではリハーサルが再開された。すると、彼女らは突如態度が変わり、曲に合わせて熱心に振付の練習を始めた。いつ来るかわからない代役の日に備えて、レッスンに励んでいるのだ。

1日が終わり、アキは早くも東京が嫌になった。想像以上に厳しい世界に心細くなった。

アキは、東京では実家のマンションを住まいとするつもりでいた。今は、別れた父・正宗(尾美としのり)が1人で暮らしている。しかし、アキも春子(小泉今日子)も事前に知らせてはいなかった。突然アキが家に現れたことで、正宗は激しく慌てた。アキが家に入ろうとしても、正宗は頑なに拒んだ。押し問答をしながら家の中を覗くと、バスローブ姿の女(大久保佳代子)がいるのが見えた。
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映画『グッモーエビアン!』

水曜どうでしょう』で大泉洋を気に入り、『時効警察』で麻生久美子に惚れ、『あまちゃん』で能年玲奈にノックアウトされたけど、三吉彩花のことはよく知らなかった当方が、映画『グッモーエビアン!』をDVDで見ましたよ。

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中学3年生のハツキ(三吉彩花)は自分の父親のことを一切知らない。母・アキ(麻生久美子)は17歳でハツキを身ごもった時、相手の男と別れてしまったからだ。それ以来、アキは未婚のままハツキを育ててきた。

ふたりはまるで友達のような親子だった。今でこそアキは普通に勤めに出ているが、ハツキが生まれた頃は名古屋で名の知れたパンクロックバンドのギタリストだった。アキはハツキを学習塾に行かせている以外は、特に教育熱心でもなかった。子育てに関しては放任主義で、ハツキの進路に関する三者面談にも出席しない。ハツキがどのような進路を選ぼうとも、全て本人の自由に任せるつもりでした。むしろ、登校前のハツキといつまでもおしゃべりしていたり、制服のスカートの丈を短くした方がカワイイなどとアドバイスするほどだった。

ハツキ(三吉彩花)とアキ(麻生久美子)は朝の準備をそっちのけでおしゃべりにふける。

ハツキ(三吉彩花)とアキ(麻生久美子)は朝の準備をそっちのけでおしゃべりにふける。



ただし、ハツキとアキは完全な母子家庭ではなかった。ハツキが生まれてから中学生になる頃まで、矢口・通称ヤグ(大泉洋)が同居していた。ヤグはアキと同じバンドのヴォーカリストで、アキへの恋愛感情を隠そうとはしていなかった。アキの妊娠が判明した時、彼女の事情を全て受け入れた上でプロポーズしたのだ。しかし、アキは正式に結婚することを拒んだ。けれども、ハツキの父親代わりとして、同居することになった。幼かったハツキは、ヤグが本当の父親だと信じて育ち、彼によく懐いた。

ヤグは根っからのプー太郎気質だった。ロックと酒以外に熱中するものはなく、のべつ幕なしに軽薄なことばかりしゃべっている。これといった定職に就くこともなく、もっぱらアキが食い扶持を稼いでいた。それでも、ヤグの明るい性格は、アキやハツキに愛されていた。

ある時、ヤグは交通事故に遭った。賠償金としてまとまった金が手に入ると、ヤグは一人で海外へ放浪の旅に出てしまった。残されたアキとハツキは、特に寂しがったりすることもなく、明るく愉快な母子として楽しく暮らしていた。

そんなある日、ヤグが旅から帰ってきた。アキはヤグの帰還を喜び、昔通りの生活に戻ろうとした。しかし、難しい年頃となったハツキは、ヤグのことを手放しで迎え入れることができなかった。世間一般とは異なる家庭状況を引け目に感じたり、ヤグの軽薄な態度を蔑視したりするようになっていた。

トモ(能年玲奈)はヤグ(大泉洋)の自由な生き方に憧れるが、ハツキは面白くない。

トモ(能年玲奈)はヤグ(大泉洋)の自由な生き方に憧れるが、ハツキは面白くない。



特に、ハツキの親友トモ(能年玲奈)と一緒にいると、その思いがいっそう強くなった。トモの家庭にはきちんとした両親が揃っており、生活も豊かだった。トモの家ほど裕福になりたいとは思わなかったが、せめて常識を有した両親であって欲しいと願うのだった。

一方のトモは、アキやヤグのような自由気ままな両親への強い憧れを抱いた。ハツキもトモも互いに互いを羨ましがり、ないものねだりをするのだ。そして、それがハツキとトモの友情に亀裂を生じさせる。
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NHK『あまちゃん』第72回

本ドラマでもアニメーションを担当している鉄拳が『第42回日本漫画家協会賞』を受賞した(Oricon Styleの記事)と知ってお慶び申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第72回めの放送を見ましたよ。

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第12週「おら、東京さ行くだ!」

アキ(能年玲奈)が北三陸駅から旅立つことになった。駅舎では、海女クラブの面々がアキを大いに祝福して送り出した。しかし、夏(宮本信子)だけは浜にワカメを採りに行ったきり、見送りに来なかった。

大吉(杉本哲太)の計らいで、出発前にアキと春子(小泉今日子)がふたりきりで車内で話ができる時間が設けられた。しかし、前日にたっぷりと話をしたふたりなので、今さら何も話し合うことは見つからなかった。春子は、現金の管理法や水口(松田龍平)に迷惑をかけないこと、いよいよ困ったら別れた父・正宗(尾美としのり)を頼ることなど、通り一遍の事務的なことしか話さなかった。
いよいよ出発の時間になると、アキは突然、東京には行きたくないと泣き出した。しかし、それは一時的な弱音であり、夏からもらった鉢巻で涙を拭くと、すぐに立ち直った。

春子は、アキと別れる瞬間、手紙を渡した。後でわかったことであるが、それには春子の半生が綴られたものであった。

アキは、この1年でアキ自身が変わったかどうか春子に尋ねた。しかし、春子はそれを否定した。アキは相変わらず「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないパッとしない娘」だと言うのだ。ただし、春子によれば、アキの代わりに周囲の人々が変わったのだという。アキが人々の心を変えたことはすごいことだと褒め、自信を持つように言い含めて送り出した。

アキを無事に送り出し、町の人々は喫茶リアスで休憩した。春子は、自分が家出した時は逃げるように出て行ったのに、アキはみんなに祝福されて幸せだと話した。

それを聞いていた琥珀掘りの勉(塩見三省)は、1984年当時ひとりだけ春子の旅立ちを応援し、祝福していた人物がいるという。25年間口止めされていたが、それはまさしく夏だったという。当日、勉がたまたま浜に出かけると、夏がいたという。竿に大漁旗を結びつけ、電車に向かってそれを振りながら、懸命に春子を激励していたという。

しかし、その時の春子(有村架純)は、車中で大吉(東出昌大)に話しかけられたり、ふて腐れたりしていたせいで、窓の外を見ていなかった。そのため、全く気づいていなかったのだ。春子はショックを受けた。春子は、自分の夢が夏に反対されていると思って、ずっと夏のことを恨んでいた。まさか、夏の気持ちが正反対だったとは知らずに生きてきたのだ。

その頃、アキを乗せた列車は、袖が浜の近くを通っていた。アキは車窓から夏の姿を見つけた。夏は、列車に向かって大漁旗を振り、声を限りにアキを激励していた。アキもそれに応え、列車から夏の鉢巻を振り、大声で叫んだ。

列車は畑野駅に停車した。ここからユイ(橋本愛)が乗り込んでくることになっている。しかし、ホームに立つユイは一切の旅支度をしていなかった。ユイの父・功(平泉成)が意識を失って倒れたのだという。功の容態が安定するまで残ることにしたというのだ。

それを聞いて、アキも上京を取りやめようとした。しかし、ユイは自分もすぐに追いかけると説得し、アキを一人で行かせることにした。ユイは自分もすぐに行くと泣け叫び、ホームからアキを乗せた列車を見送るのだった。
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NHK『あまちゃん』第71回

昨日の放送の若・春子(有村架純)のオーディション番組シーンについては、司会者役の小藪千豊とチャンピオン役の渡辺万美にばかり気が取られて、バックダンサーの1人として古田新太がいた(おそらく、若い頃は彼も芸能活動をしていたのだろう)ことには全く気が付かなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第71回めの放送を見ましたよ。

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第12週「おら、東京さ行くだ!」

春子(小泉今日子)はアキ(能年玲奈)の将来について、夏(宮本信子)とふたりっきりで話をした。その中で、夏は春子に深く謝罪した。25年前、同じように春子がアイドルを目指していた時に、夏は冷たく突き放してしまったからだ。春子は夏の謝罪を受け入れ、長きに渡ったふたりのわだかまりは解消された。

それをきっかけに、春子はアキの希望を叶えてやることに決めた。地元の人々はアキの上京に猛反対しているが、春子が彼らを説得すると請け負った。春子が全面的に応援してくれることとなり、アキは大喜びした。

そして、アキとユイ(橋本愛)は(松田龍平)の芸能事務所と正式に契約を結んだ。ユイはどんなに辛いことがあっても、最低1年は帰ってこないことを決意した。アキもユイと同じ思いだった。

上京の前日、アキはこれまでのように観光海女の仕事をこなした。思う存分潜り、大量のウニを獲った。しかし、家に帰ると少しだけしんみりとした。大好きな北三陸市の風景をしばらく見ることができなくなるのが寂しいのだ。

アキは、春子も一緒に東京へ行くことを誘った。しかし、春子は断った。東京に多少の未練はあるが、北三陸市で暮らすことに決めたという。アキを一人にすることよりも、夏のことが心配なのだという。そして、アキは自分と違うので、アイドルになれる素質があると激励した。

いよいよ、アキが東京へ発つ朝となった。アキとユイの門出を祝福するため、大吉(杉本哲太)は臨時列車を運行させることとした。8:30にアキを乗せて北三陸駅を出発し、ユイは9:20に自宅最寄りの畑野駅から乗り込む。臨時列車が終点の宮古についた後、さらに電車や新幹線を乗り継いで、ふたりは東京へ向かう。

朝食前、夏がアキに声をかけた。餞別として、「北の海女」の鉢巻を手渡した。辛いことがあった時には、その鉢巻で涙を拭けと言うのだ。ただし、辛くなったときは、寒い朝に海に潜った時のことを思い出すよう忠告した。それより辛いことなどないと言って激励した。

アキは、留守の祖父・忠兵衛(蟹江敬三)の写真に線香を手向けて、出発の挨拶をした。その間に、夏は朝食用のワカメがないと言って、浜に行ってしまった。そのせいで、夏は駅の見送りには来なかった。湿っぽいのが嫌いな夏は、そうやってアキとの別れを紛らわせようとしたのだ。

いよいよ、臨時列車の出発時刻が迫った。
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