NHK『あまちゃん』第97回

今日は7:30より早く家を出る用事があったのでわりとヘビーな幕開けで夕方に更新していますが、徐々にいつものバカみたいに朝っぱらから更新する生活に戻ると思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第97回めの放送を見ましたよ。

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第17週「おら、悲しみがとまらねぇ」

自分が鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の影武者だったと告白する春子(小泉今日子)の手紙を読み、アキ(能年玲奈)は久しぶりに正宗(尾美としのり)の家を訪ねた。そこで夕食を共にしながら、正宗から昔話を聞くのだった。

1989年、歌手になる夢を諦めた春子(有村架純)は故郷に帰るつもりで上野駅へ向かった。その時乗り込んだタクシーの運転手は正宗(森岡龍)だった。

正宗は春子のことをよく覚えていた。以前、春子と荒巻(古田新太)を乗せたことがあったのだ。その時、春子が鈴鹿ひろ美の影武者になることを話していたのを聞いていたのだ。荒巻から口外しないよう恫喝され、恐ろしい思いをした正宗は、今日までその秘密を守ってきたのだ。

一方の春子は、正宗のことを一切覚えていなかった。正宗は自分のことを思い出して欲しくて、色々と話しかけたが無駄だった。そうしているうちに車は上野駅に着き、春子は降りてしまった。正宗は、もう二度と春子に会えないかと思うとがっかりした。

しかし、正宗がロータリーで車を転回させ、世田谷に戻ろうとしたところ、再び春子に捕まえられた。春子が引き返そうとしていることを怪訝に思いながらも、正宗は運命的なものを感じた。ところが、次第に話題も途切れ、どうしても自分のことを思い出してはもらえなかった。

その時、車内のラジオで聴取者からのリクエストとして『潮騒のメモリー』がかかった。正宗は、一緒に口ずさみ、『潮騒のメモリー』の話を振った。すると、春子は急に機嫌を損ね、もう一度上野へ引き返せと言い出した。やはり故郷に帰ることにしたというのだ。

慌てた正宗は、自分の知っていることを正直に話した。荒巻と春子を乗せたのも自分で、春子が鈴鹿ひろ美の影武者だということも知っていると告げた。そこでやっと春子は正宗のことを思い出した。

ふたりは純喫茶アイドルに立ち寄り、しばし話し込んだ。春子は自分の秘密を正宗にすっかり打ち明けた。それで肩の荷が降りた春子は、やはり田舎に帰ると言い出した。

ところが正宗は激しく引き止めた。自分は春子のファン1号だという。鈴鹿ひろ美がデビューするより前に春子のことを知り、春子が歌っている鈴鹿ひろ美のデビュー曲が出るとすぐに購入したのだという。世間の人々は鈴鹿ひろ美の歌声だと思っているが、自分だけは正体を知っている。だから、自分こそが春子のファン1号だと言うのだ。春子の歌声が聞きたくて、鈴鹿ひろ美のレコードは全て買い揃えているという。

そして、自分が春子の声にどれだけ励まされてきたかを語った。タクシー運転手をしていると、頻繁に悪質な客に出くわし、嫌な思いをする。しかし、春子の歌声を聞くと励まされ、今日まで頑張ってこれたというのだ。自分だけではなく、多くのタクシー運転手も同じだろうと言う。春子の歌声に癒されるからこそ、タクシー運転手は安全運転を心がけ、そのおかげで交通事故も減るというのだ。

だから、春子に歌を辞めないで欲しいと説得した。正宗はもちろん、東京には春子の歌を待ち望んでいる人が大勢いる。だから残ってくれと懇願した。

その言葉に春子は笑顔を見せた。それからふたりは純喫茶アイドルの常連になった。そして、春子は歌手にはならなかったが、正宗の妻となった。さらには、アキが生まれた。

その話を聞いて、アキは大感激した。今まで軽蔑していた正宗のことを初めてかっこいいと思った。そして、歌で人の心を大きく動かした春子のことも尊敬した。

アキは、正宗の目の前で春子に電話をかけた。そして、自分の感動を素直に伝えた。これまではユイ(橋本愛)や鈴鹿ひろ美のようになりたくてアイドル活動を続けてきたが、新たな目標として春子のような歌手になりたいと伝えた。人の心に響く歌い手になりたいと告げるのだった。

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池波正太郎のエッセイ集に『男の作法』がある。食やファッションについて、池波流のダンディズムを説明するエッセイ集だ。

その中で、僕が一番好きな話は「タクシー運転手には必ずチップを渡すべきだ」というものがある。チップを貰って悪い気のする運転手はいない。むしろ、機嫌が良くなる。少しでも機嫌が良くなれば、運転手は歩行者に優しくしてやる気になったり、安全運転を心がけるようになったりする。その結果、日本全体で交通事故が減るだろうというものだ。
今日の『あまちゃん』を見ていて、この話を思い出しました。

ちなみに僕は、タクシーの運転手にはチップを渡す派。最近ではずいぶん年長の運転手さんも多く、僕みたいなチャラ男が目上の人に偉そうにチップを渡すなんて失礼かなと思いつつも、やらないよりはマシだとうと信じてチップを渡すようにしてる。10円でも20円でもいいことにしている。わざとお釣りが出るように料金を支払い「お釣りはとっておいて下さい」と言うようにしている。ちょっとチップが多すぎるかなーと思う時は「○○円だけ返して下さい。残りは運転手さんに」と言うことにしている。

池波正太郎のエッセイを読むより10年以上前、僕が大学生だった頃。ちょうど一回り年上のお兄さんと一緒にタクシーに乗った。そのお兄さんは30代なかばでそれなりの勤め先の立派な社会人のくせに、茶髪で独身でオンナ好きでちゃらんぽらんな風貌だったんだけれど、すごくスマートに運転手さんにチップを渡した。
その姿がカッコ良かったという思い出もあるので、池波正太郎の作法もすっと身についた。

・・・以上、今日の『あまちゃん』は心に染みる話であり、それをまともに総括すると泣いてしまいそうなので他の話でお茶を濁しておきます。朝から出張で、今は京都駅の待合室でこの文章書いてるし。公衆の面前で泣くわけにいかん。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)
『あまちゃん』 つづく

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