NHK『ちゅらさん』第1回

今朝1回限りでやめてしまった『ごちそうさん』まとめ記事のラストには、「次は、あの朝ドラで会いましょう。」とだけ書いて作品名は曖昧にしておいたのだが、2014年度上期に吉高由里子主演で放送される『花子とアン』(制作発表)ではなく、これまで一度も見たことのなかったこの作品を指していたのですよと、ネタばらしする当方が、2001年度上期NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の第1回めをBSプレミアム19:00の再放送で見ましたよ。

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第1週「美ら海の約束」

沖縄県の八重山諸島に属する小浜島に、古波蔵(こはぐら)一家が住んでいた。
古波蔵恵文(堺正章)は三線ばかり弾いていて、真面目に働かない男だった。一方、その妻・勝子(田中好子)は働き者だった。ふたりはサトウキビ農家として生計を立てていた。ただし、畑に出ても恵文はサボってばかりで、もっぱら勝子が仕事に精を出していた。それでも夫婦仲は良かった。

勝子の実家は那覇にあり、小浜島の古波蔵へ嫁いできた。姑・ハナ(平良とみ)と同居しているが、嫁姑の関係は良好だった。むしろハナは、実の息子よりも勝子の味方をすることが多いほどだった。他に、息子の恵尚(宮谷恵多)がいた。

1972年(昭和47年)5月15日、それまでアメリカの占領下にあった沖縄が日本へ返還された。
沖縄の人々の生活が劇的に変わるわけではなかったが、恵文はそれを好機だと捉えた。日本人が自由に行き来できるようになるので、小浜島にも大勢の観光客がやって来ると読んだのだ。自宅で民宿を経営すると言い出した。
ハナはいつも恵文の思いつきに振り回されるのでまともに相手にしなかった。夫に口答えすることがほとんどない勝子は、何も言わずにいた。

その日、それよりも大きな出来事は、身重だった勝子が産気づいたことだ。そうして無事に長女・恵里が生まれた。長男の恵尚と同様に、父・恵文から一文字授けられた名前だ。恵文はたいそう喜び、恵里に「ちゅらさん」と呼びかけた。それは沖縄の言葉で、美しいという意味だった。

1983年(昭和58年)11月、恵里(浦野未来)は小学5年生になっていた。
現在、兄・恵尚は石垣島の高校に入学し寮生活を行っている。古波蔵家には、次男・恵達(村上雄太)が生まれ、恵里と同じ小学校に通っている。恵里の夢は、祖母・ハナのように立派なおばばになることだった。恵里はいくぶんおてんば娘に育ち、弟の恵達にも威張ってばかりいた。

恵文の開いた民宿は、最初の年こそ何組かの客が来たが、その後は全く客足がなかった。恵里は物心ついて以来、一度も客を見たことがない。恵文と勝子は相変わらずサトウキビ畑で働いており、その稼ぎでは一家が食べていくだけで精一杯であり、蓄えをすることもできていなかった。

勝子は一家の将来が不安になった。特に、子どもたちの教育費が全くないことを心配した。これからの時代は大卒が当たり前になると言われているのに、一家には子どもたちを大学に行かせる余裕が無いからだ。勝子は、恵文に那覇へ引っ越すことを提案した。そこで稼ぎのいい仕事に就き、子どもたちの養育費を捻出しようと提案した。ハナは勝子の意見に半ば賛成だった。

しかし、恵文はのらりくらりと受け答えするだけで、小浜島を出るつもりは全くなかった。

まさにその時、東京の客から予約電話がかかってきた。母と2人の息子で長期滞在したいのだという。恵文は喜び勇んでそれを受け入れた。勝子も、客が来るということで那覇行きの提案を引っ込めた。むしろ、10年ぶりの客を受け入れる準備に張り切るのだった。

電話の翌々日、東京からの客を出迎えるため、恵文と恵里は港へ向かった。

港に入ってきた小型船には、上村母子が乗っていた。母・静子(真野響子)は、小浜島が見えてくるにつれ、何もない町並みに不平を言った。この島に来たいと言い出したのは、長男の和也(遠藤雄弥)だったのだ。和也の病気療養のため、次男・文也(山内秀一)と共にやって来たのだ。静子は、和也の快復のためにはなんでもする気でいた。

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NHK『ごちそうさん』第1回

色白ベビーフェイスが大好きな僕なので、今回のヒロインには何も惹かれるものがなくスルーするつもりだったが、「子役は文字通りべビーフェイスだな、うん」と考えなおすことにした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週「いちご一会」

1911年(明治44年)春、東京・本郷。
め以子(豊嶋花)は6歳だった。無類の食いしん坊で、毎晩食べ物の夢ばかり見ている。誰よりも朝寝坊だが、朝食の準備ができたといって起こされると、シャッキリと目を覚ます。

その日の朝食は、とても大きなオムレツだった。洋食店・開明軒を営む父・大五(原田泰造)の自慢料理の一つだ。卵を大量に使い、分厚くてフワフワに仕上げてある。それが大好物のめ以子は、口いっぱいに頬張って食べた。

母・イク(財前直見)も大五の店を手伝っており、彼の料理の腕には一目置いている。しかし、家族の朝食用に大量の卵を使ってしまったことにブツブツと小言を言うのだった。

小学校の昼食用に持たされた弁当はケチャップライスだった。それもめ以子の大好物だ。ガキ大将の源太(屋島昂太)は、め以子の弁当が美味いことを知っている。今日もめ以子の弁当をつまみ食いしようとしたが、め以子は取られる前に大急ぎでかっこむのだった。

放課後、め以子は校庭の鶏小屋に立ち寄った。産みたての卵で作ったオムレツを食べてみたいと思ったからだ。鶏小屋に侵入し卵を盗もうとしたが、抵抗した鶏たちに襲われてしまった。全身傷だらけになるとともに、イクが学校に呼ばれて叱られた。

その晩、め以子は夕食抜きの罰を受けた。食べることが何よりも好きなめ以子は落ち込んだ。祖母・トラ(吉行和子)は、隠しておいたカステラをこっそりとめ以子に食べさせた。め以子は美味しいカステラに喜んだ。

それと同時に、トラはそこらにある物を取って食べないよう注意した。おかしなものを食べると腹をこわすからだという。腹をこわしてしまうと、美味しいものが食べられなくなる。それは損だから、拾い食いはするなと言い含めるのだった。

ある日、め以子が遊び場の寺に行ってみると、ガキ大将の源太に声をかけられた。お堂を覗くと、見たこともない赤くて丸い果物(いちご)が供えてあった。め以子はそれを食べてみたくて仕方なくなった。

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NHK『あまちゃん』最終回(第156回)

今回のまとめ記事シリーズでは、「つづく。」というアキ(能年玲奈)の画像をいつも文末につけており、「ドラマがつまらなくなったら、その画像を外し、告知なく連載をやめる」という密かな規律の下で連載を続けてきたわけだが、そういう事態も発生せず無事に完走できたことを喜ばしく思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の最終回(第156回め)の放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

2012年7月1日。
北鉄の北三陸駅-畑野間が運転再開された。記念式典が開かれ、大勢の市民や鉄道ファンが集まった。1984年同日の北鉄開通式も盛況だったが、今日はその時の人手や興奮を大きく超える盛り上がりだった。大吉(杉本哲太)は感激した。

北三陸市長・足立功(平泉成)が祝辞を述べ、その娘でありミス北鉄でもあるユイ(橋本愛)がくす玉を割ろうとした。その時、人のドミノ倒しが発生し、予期せぬ状態でくす玉が割れてしまった。

それは、1984年の開通式とそっくりな光景だった。当時は家出しようと人混みをかき分けた春子(有村架純)がきっかけでドミノ倒しが起きたのだが、今回は正宗(尾美としのり)がきっかけとなった。春子(小泉今日子)が鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に同行し、すでに北三陸を発ったことを知らなかった正宗が、彼女を探すために慌てて駅に来た。その時に人混みをかき分けたのが原因となったのだ。

運行再開の1号列車が駅を出発した。列車は満員で出発し、沿線からも運行再開を喜ぶ人々が笑顔で手を振った。
袖が浜の海開きにも大勢の観光客が集まった。アキ(能年玲奈)がウニを獲って海から顔を出すと、大きな歓声が上がった。
列車が袖が浜にさしかかった時、同乗していたユイは窓から大きく手を振った。浜からそれを見つけたアキも大きく手を振り返すのだった。

北三陸始まって以来の観光客が押し寄せ、北鉄と袖が浜だけでは収容しきれなくなった。そこで、琥珀堀り・勉(塩見三省)の琥珀坑道が開放され、発掘体験が開催された。そこに参加した小学生が、奇妙な石を見つけた。勉が吟味してみると、それはコエルロサウルス類の後ろ足の指の骨だとわかった。琥珀とは比べ物にならないほど珍しいものなので、勉は興奮した。北三陸で恐竜の骨が見つかったというのは大発見であり、自分がその第一発見者になれると思ったからだ。
勉はすぐに弟子の水口(松田龍平)に知らせた。しかし、水口は前日にそれとそっくりなものを見つけていたという。その価値を見出だせなかった水口は箸置きとして使っていたが、それも間違いなく恐竜の化石だった。勉は自分が第一発見者でなかったことに落胆した。

アキとユイのお座敷列車イベントが始まった。
琥珀や化石には無感情で対峙する水口だが、念願のお座敷列車には興奮して参加した。ビデオカメラを構え、典型的なアイドルファンとして列車に乗り込んだ。
本来、北三陸に来る予定のなかった正宗はチケットを用意していなかった。お座敷列車のチケットはすでに売り切れで、数日先の分まで予約でいっぱいだ。たとえ身内であっても載せてやる余地はないという。ホームで落ち込む正宗に声をかけたのは、アイドル評論家のヒビキ一郎(村杉蝉之介)だった。自分は全ての回のチケットを持っているので、初回のチケットを正宗に譲ることを申し出た。こうして正宗は無事に乗り込むことができた。

北鉄の運行再開やお座敷列車のことはテレビニュースでも取りあげられ、東京の喫茶アイドルの店主・甲斐(松尾スズキ)も見た。彼は、アキや春子が自分の店でバイトしていたことを客に自慢するのだった。
お座敷列車の映像はネットでも公開され、ベーリング海上を航海していた忠兵衛(蟹江敬三)も見ることができた。外国人乗組員に対して、自分の孫だといって自慢しながら見せるのだった。
イベントの模様は地元の新聞でも大きく扱われた。ただし、その日の1面は恐竜の化石を発見した水口と小学生が飾ることとなった。

お座敷列車イベントの初日は無事終了した。畑野駅で列車を降りたアキとユイは、いくつか失敗したところがあると反省した。しかし、翌日も翌々日もイベントがあるのだから、そこでは改善しようと話し合った。さらに、今年だけではなく、翌年も同じようにイベントをしようと誓い合った。その頃には北鉄の再開区間も延長され、畑野より先に行けるようになるだろうと期待した。そして、畑野駅から先は東京に繋がっていると語り合うのだった。

ユイは、今すぐ先に進みたいと言い出した。ふたりは線路に降り、畑野駅の先にあるトンネルへ向かって走りだした。

暗いトンネルを走り抜けると、そこは光り輝く世界だった。

(おしまい)

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NHK『あまちゃん』第155回

この半年間、毎日マクラを考えるのが一番辛かったのだけれど、それも明日で終わるのかと思うとほっとしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第155回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

3組の合同結婚式の最後に新郎新婦からの花束贈呈が行われた。大吉(杉本哲太)の家系はアルコールに弱く母親が酔いつぶれてしまったり、身寄りのない(片桐はいり)、親族が来ていない鈴鹿(薬師丸ひろ子)や荒巻(古田新太)などの事情があったので、夏(宮本信子)が全夫婦から花束を受け取ることになった。

引き続き、夏の挨拶が行われた。
最初に夏は、鈴鹿に感謝の言葉を述べた。鈴鹿が北三陸にやって来たことで地元が大いに盛り上がり、おまけに、一人娘の春子(小泉今日子)の花嫁姿も見ることができたというのだ。
荒巻には、北三陸や東北、その他の田舎へどんどん金を落とすように言った。それが金持ちの勤めであり、金が入れば田舎の人々は元気になるというのだ。
大吉には、二度と安部を泣かすことのないよう釘を差した。そのようなことが起きたら、二度と北鉄には乗らないし、ウニ丼も納入しないと脅すのだった。

スピーチの最後に、夏は今年限りで海女を引退すると宣言した。一昨年には体を壊して入院し、前年には大震災で恐ろしい目に遭った。明日がどうなるかわからない不安な毎日の中で、春子やアキ(能年玲奈)に助けられてなんとか生きてくることができた。その他、町の人々の世話にもなった。老兵の時代は終わり、これからは若い世代の時代だと言うのだ。
そうして、町の人々にエールと感謝の言葉を述べて、夏は挨拶を終えた。

結婚式が終わり、鈴鹿は天野家の春子の部屋でくつろいでいた。そこに春子がやって来た。ふたりは80年代の懐かしのアイドルグッズを眺めて大いに盛り上がった。ふたりは口に出して言うことはなかったが、影武者問題について互いにわだかまりを持っていた。ふと春子は、今日のリサイタルで鈴鹿がわだかまりを解消できたのか聞いてみた。鈴鹿は肯定した。それは春子も同じだった。そうしてふたりは、こころから打ち解け合った。

北三陸駅舎では、アキとユイ(橋本愛)が翌日のお座敷列車イベントについて話していた。テレビカメラも入り、その模様は全国へ向けて放送されるという。ユイは極度に緊張していた。一方のアキは平常心だった。アキは、一人だと心細いが、ふたりが揃えば怖いものはないと言うのだった。
ふたりが一緒に歌うのは3年ぶりだ。アキはあっという間の3年間だったと振り返るが、同じ時間をユイはとても長いものだと感じているのだった。

2012年7月1日早朝。
袖が浜の海開きに向けて、『いつでも夢を』が流れる中、海女たちを招集する放送が行われた。なんと今年は、北三陸に滞在していた鈴鹿ひろ美がアナウンスをするというサプライズが行われた。何も知らされていなかったアキは驚き、楽しい気分になるのだった。

ただし、鈴鹿は海開きやお座敷列車イベントには参加せずに北三陸を去るのだという。チャリティーリサイタルの東北ツアーに向けて、朝の新幹線で移動しなくてはならないからだ。そのツアーには荒巻はもちろん、所属事務所社長である春子も同行する。ゆえに、春子も朝のうちに北三陸を発つことになった。

アキは、せめて北三陸の再開通式だけでも見ていくように勧めた。しかし春子は、北三陸鉄道の開通式といえば、自分が家出した日のことなど、よくないことを思い出してしまうので見たくないというのだった。アキはそれ以上何も言わなかった。

こうして、北三陸の再生の日が始まった。

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NHK『あまちゃん』第154回

「残り3回マーメイド♪」と歌っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第154回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は音程を外すどころか、とても上手に歌った。そして、リサイタルは大成功に終わった。

春子(小泉今日子)は、本当の鈴鹿は歌の名人なのではないかと勘ぐった。これまで、わざと下手に歌っていたのではないかと荒巻(古田新太)に話した。鈴鹿は、女優としてのプライドを持っており、それはデビュー当時から一貫している。しかし、新人アイドルとして売りだされた鈴鹿は、歌の仕事もやらされることとなった。それが嫌だった鈴鹿は、音痴の振りをすることで歌の仕事を避けていたのではないかと考えたのだ。
しかし、真相は本人以外にはわからなかった。

リサイタル終了後、夏(宮本信子)は忠兵衛(蟹江敬三)が何も言わずに漁に出たことに気付いた。旅立つ直前の忠兵衛に会った正宗(尾美としのり)は、忠兵衛がへそを曲げて無言で漁に出たことを知らせた。海女カフェや北鉄の再開などで、町の人々も夏も忠兵衛の相手をしない。それに腹を立てて旅立ったというのだ。
突然の忠兵衛の旅立ちに、夏は深く落ち込んだ。

春子が海女カフェの控室に呼ばれて入っていくと、そこには花嫁衣裳が3着準備されていた。大吉(杉本哲太)と安部(片桐はいり)、鈴鹿ひろ美と荒巻の合同結婚式にしては1着多い。町の人々は春子と正宗の結婚式も一緒にやろうと言うのだ。
春子は抵抗した。しかし、忠兵衛がいなくなって落ち込んでいる夏の姿を見ると気が変わった。

そうして、3組の合同結婚式が挙行された。海女カフェに作られたバージンロードの上を、計6人の中年たちが半笑いで着飾って歩く姿は、アキ(能年玲奈)にはとても奇妙に見えた。誓いのキスを促されても拒否したり、指輪を床に落としたりと、散々な結婚式だった。

それでも、みんなは笑顔で祝福した。落ち込んでいた夏もすっかり元気を取り戻した。めでたい結婚式となった。

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NHK『あまちゃん』第153回

アキ(能年玲奈)×種市(福士蒼汰)、ユイ(橋本愛)×ハセヘンの恋愛はこのまま描かれることなくフェードアウトしそうな雰囲気が漂っているわけだが、春子(小泉今日子)×正宗(尾美としのり)、鈴鹿×荒巻(古田新太)、大吉(杉本哲太)×安部(片桐はいり)の復縁をそれぞれ見せることで目をそらさせている巧妙な脚本に舌を巻いている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第153回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

2012年6月27日。
アキ(能年玲奈)と水口(松田龍平)は、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が音痴でることをユイ(橋本愛)にだけ伝えた。驚くユイであったが、『潮騒のメモリー』を聞き直し、確かに若い頃の春子(有村架純)の声だと認めた。

チャリティーコンサートまで残り3日。アキとユイは鈴鹿の特訓に付き合った。しかし、鈴鹿の歌唱力は一朝一夕に向上するものではなかった。

そういているうちに、本番の6月30日を迎えた。この日を楽しみにしていた地元の人々で、海女カフェは満員になった。仮設住宅に住んでいる人には特別招待券が配布され、お年寄りから小さな子どもを持つ家族連れまで、老若男女が集まった。夏(宮本信子)ももちろん来ていたが、忠兵衛(蟹江敬三)だけは来ていなかった。彼は今日、宮古から漁に出ようとしていた。

北三陸の様子はテレビで中継され、正宗(尾美としのり)がテレビで見ていた。春子(小泉今日子)を呼んで一緒に見ようとしたが、彼女の姿が見えない。当日は東京にいるはずだった春子がいないことに、正宗は胸騒ぎがした。すぐに北三陸へ向かった。

開演直前、鈴鹿は『潮騒のメモリー』の歌詞に悩んでいた。最後の「三途の川のマーメイド 友達少ないマーメイド」の部分が、場に相応しくないためどうしても変更したいのだ。しかし、適切な歌詞が思いつかない。アキたちが歌唱力について心配するのをよそに、本人は歌詞のことばかり気にしていた。

荒巻(古田新太)は、鈴鹿の音痴が露呈するという最悪の事態を避けるために手を打っていた。春子を会場に呼び寄せていたのだ。昔と同じように、春子をゴーストシンガーとして歌わせるつもりでいた。しかし、春子の到着が遅れていて、荒巻は肝を冷やした。

いよいよリサイタルが始まった。鈴鹿が舞台に登場した。真相を知る関係者一同は、運を天に任せるしかないと諦めた。

その瞬間、春子が会場に到着した。荒巻は予備マイクを春子に渡し、春子は舞台袖に潜んだ。春子の姿に気付いた鈴鹿は、驚き、声が出なくなってしまった。そしてそのまま、春子がマイクを構え、演奏に合わせて『潮騒のメモリー』の冒頭を歌い始めた。

しかし、その時事故が起きた。マイクを受け取る時、荒巻も春子も慌てていたため、マイクの電池が抜け落ちてしまっていたのだ。春子が歌っても、その声が会場に流れることはなかった。

その様子を見て、鈴鹿は自分の声で朗々と歌い始めた。そしてそれは、奇跡のように見事な歌唱だった。何も知らない客達は鈴鹿の歌の上手さに聞き惚れた。鈴鹿の音痴を知る関係者は、本番に強い鈴鹿の悪運に舌を巻くと共に、鈴鹿と春子の暗い過去がやっと精算できたことに感動するのだった。

鈴鹿の『潮騒のメモリー』は終盤に差し掛かった。彼女が思い悩んでいた「三途の川のマーメイド 友達少ないマーメイド」の部分は「三代前からマーメイド 親譲りのマーメイド」に変更されて歌われた。それが天野家の3人の女たちを意味していることは誰にも明らかだった。

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NHK『あまちゃん』第152回

本作の制作を初めて知った時、「大丈夫かな、これ・・・。」などと言ってしまった自分の不明を恥じている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第152回めの放送を見ましたよ。


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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

6月30日の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)チャリティーリサイタル、および荒巻(古田新太)との結婚披露宴へ向けて海女カフェの内装の仕上げが終わった。また、7月1日の北鉄運転再開(北三陸-畑野間)の準備も順調で、試運転の準備が整った。

そんな中、副駅長・吉田(荒川良々)の妻・しおり(安藤玉恵)がおかしな事を言い出した。鈴鹿が音痴なのではないかと言うのだ。しおりが子どもを連れて歩いていると、鈴鹿に出会った。鈴鹿は子どもをあやすために『だんご3兄弟』を歌ってくれたという。しかし、その歌声があまりに不快で、死霊のうめき声のようだったのだ。子どもは激しく泣きだし、しおりも恐ろしさのあまり足早に立ち去ってしまうほどだった。

しおりがそう訴えても、吉田をはじめ、町の人々は聞く耳を持たなかった。人々は「鈴鹿ひろ美は歌が上手い、しおりは若いから彼女のヒット曲を聞いたことがなく、変なことを言うのだ」と言うばかりだった。春子(小泉今日子)が鈴鹿ひろ美の影武者で歌っていたことは秘密であり、その場にいた水口(松田龍平)は秘密がばれるのではないかと肝を冷やした。

鈴鹿は悩んでいた。リサイタルで披露する『潮騒のメモリー』には、「寄せては返す波のように激しく」や「三途の川のマーメイド」など、津波を連想される歌詞がある。それが津波被災者の心を傷つけるのではないかと心配していたのだ。その気持を夏(宮本信子)に打ち明けた。

しかし夏は、それは鈴鹿の杞憂だといって笑い飛ばした。鈴鹿が歌おうが歌うまいが、被災者は常に津波のことを思い出して苦しんでいる。今さら鈴鹿が1度歌ったくらいでは傷つかないと明るく言うのだった。被災者は落ち込むどころか、鈴鹿が目の前で歌ってくれるということで大喜びするというのが夏の意見だった。夏は、むしろ鈴鹿のチャリティ活動に感謝し、深く頭を下げるのだった。

夏は、春子のことを引き合いに出して話をした。春子もアイドルを目指していたが、鈴鹿のようにはなれなかった。夏と春子は長らく疎遠になり、春子の夢も破れてしまった。しかし、春子はかわいい孫・アキ(能年玲奈)を連れて帰ってきた。夏はそれで自分の人生が報われたと思い、大逆転したと話すのだった。

春子のことは鈴鹿の胸に今でも引っかかっていた。鈴鹿は、自分と春子の秘密を夏に打ち明けようとした。しかし、その瞬間に、アキが大吉(杉本哲太)らを連れて帰宅した。それで言うタイミングを逸した。

夏の家にやってきた大吉は、安部(片桐はいり)との再婚を決意し、翌日の試運転終了後に喫茶リアスで彼女にプロポーズするつもりだと話した。ふたりは22年前に一度結婚し、半年で離婚した。それ以後は、元夫婦としての友情関係で結ばれていたが、正式に再婚したいのだという。大吉は、自分が安部のどこが好きなのかわからないと話した。それでも安部と再婚したいのだという。安部の得意料理「まめぶ」は甘いのか塩っぱいのかわからないのに、いつの間にか好きになってしまう。それと同じように、理由もないが、いつの間にか安部のことが好きになっていたのだと言う。

アキをはじめ、人々は大吉のことを祝福した。そして、大吉にいたずらを仕掛けた。試運転の車両に「安部ちゃん おらど結婚してけろ!大吉」と大きく書いたのだ。試運転当日、出発前に車両の隅々を点検しようとする大吉であったが、吉田が妨害して大吉を真っ直ぐ運転席へ誘導した。大吉は何も知らないまま、試運転列車が出発した。

沿線の人々は、プロポーズの言葉の書かれた車両を見て大笑いしながら手を振った。いたずら書きされていることを知らない大吉は、北鉄再開が町の人々を喜ばせているのだと思って感激した。大吉の勘違いはあったが、試運転は大成功に終わった。北三陸のホームに戻ってくると、大吉は一目散に喫茶リアスに向かった。そこに安部を待たせてあるのだ。

喫茶リアスではアキが店番をしていた。客は安部以外になかった。試運転列車が戻ってくると、アキはホームに面した窓へ安部を誘導した。そこで安部は、車両に書かれた大吉のプロポーズの言葉を読んだ。安部は、本人の言葉より先に、大吉の気持ちを知った。

大吉がリアスに飛び込んできた。息を整え、プロポーズの言葉を述べようとする大吉だが、安部は窓の外ばかり気にしていた。つられて外を見た大吉は、そこで初めて真相を知り驚いた。何も言えなくなってしまった大吉に向かって、安部は自分から先に「よろしくお願いします」と承諾の返事をした。

それを合図に、リアスの常連たちが姿を現した。クラッカーや紙吹雪、くす玉が割られ、みんなでふたりを祝福した。大吉はもみくちゃにされ、結局、自分の口からはプロポーズの言葉を発することができなかった。しかし、幸せだった。

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NHK『あまちゃん』第151回

泣いても笑ってもあと6回だなあと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第151回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

北三陸でのチャリティリサイタルに向けて、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が関係者に無断で先に現地入りした。それを追いかけて、彼女のプロデューサーであり夫である荒巻(古田新太)が追いかけてきた。ごく一部の関係者しか知らないことだが、鈴鹿は無類の音痴だ。荒巻はそのことが心配でならないのだ。一方で荒巻は、観客の前で鈴鹿の音痴が露呈し、プライドが傷つけられることで彼女が一歩成長するのではないかと期待も寄せていた。

荒巻はスナック梨明日でユイ(橋本愛)と初めて会った。以前からユイに注目していた荒巻は、やっと対面が叶ったことを喜んだ。しかしユイは、憧れだった大物プロデューサーの前で極度に緊張してしまい、我を失った。荒巻が鈴鹿との話に気を取られている隙に、店を抜けだし、駅舎のトイレに篭ってしまった。

そんなユイを、アキ(能年玲奈)と水口(松田龍平)、そして荒巻が追いかけた。荒巻は、ユイに東京でアイドルになることを勧めた。既にユイは二十歳になっており、アイドルとしてデビューするには今がラストチャンスだと説得したのだ。しかしユイはそれを断った。トイレから姿を現し、自分は北三陸を出るつもりはないと言い切った。東京も北三陸も同じ日本であり、自分は地元アイドルとして一生を北三陸に捧げるというのだ。荒巻はそれ以上食い下がることなく、ユイの希望を受け入れてやることにした。

荒巻と水口は、しばしふたりきりで話をした。水口によれば、鈴鹿はアキに出会って変わったという。当初は、アキを鈴鹿の付き人にすることで、アキが変化することを期待していた。しかし、結果は逆になり、アキは全く変わらなかったのに鈴鹿がすっかり変わってしまったと話すのだった。

その話を受け、荒巻は水口も変わったと指摘するのだった。東京でアイドルを育てることを夢見ていたはずの水口が、今ではアイドル育成よりも、北三陸で琥珀を掘ることに熱中しているようにみえるというのだ。水口は、自分が見つけた琥珀を荒巻に見せた。それは、8500万年前のアリが琥珀の中に閉じ込められた、珍しいものだ。水口は、それをユイになぞらえた。中心にあるアリがユイであり、周囲の琥珀がユイの「田舎意識」なのだという。ユイは派手に注目を浴びることはなかったが、「田舎意識」に守られ、永遠に色褪せないだろうと豪語するのだった。
ただし、水口の比喩は荒巻に通じなかった。水口も、興奮したせいで、思ってもいない滅茶苦茶な話を展開したことを認めるのだった。

水口は、荒巻と鈴鹿を海女カフェに案内した。荒巻は、手作り感溢れる内装を皮肉交じりに褒めた。雑で野暮ったい作りだが、地元の人々の愛情が込められていて、プロには真似できない絶妙な仕上がりだというのだ。当初、海女カフェの設備に期待していなかった荒巻は、多額の寄付をするつもりで北三陸へ来た。しかし、現場を見てそれを取りやめた。海女カフェの温かい雰囲気をそのまま残した方がいいと思うからだ。

現地視察を終えた荒巻は、そのまま東京へ帰っていった。

東京へ帰った荒巻は、海女カフェの内装には口出ししなかったが、最新の音響設備を導入してくれた。
そしてなんと、事前の相談なく、6月30日に海女カフェで自分と鈴鹿の結婚披露宴をすると決めてしまった。急にFAXで通知され、春子(小泉今日子)はひどく驚くのだった。

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NHK『あまちゃん』第150回

昨夜の三次会は某巨乳ちゃんの隣の席だったので、これ幸いにと胸の谷間ばかりガン見していた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第150回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

2012年6月18日。鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が誰にも告げずに北三陸へやって来た。チャリティーライブは30日の予定だが、鈴鹿は気持ちを高めるために早くに北三陸入りしたのだという。何も知らされていなかった北三陸の人々は、大女優の突然の出現に激しく驚き、取り乱した。しかし、町の人々の人柄と鈴鹿のマイペースさで、すぐに打ち解けるのだった。

そんな中、忠兵衛(蟹江敬三)だけは鈴鹿を敵視した。自分も2年ぶりの帰郷なのに、鈴鹿と同じ日に帰ってきたことで、誰も相手にしてくれないからだ。さらに、その日最後のウニ丼を鈴鹿に奪われたり、鈴鹿が夏(宮本信子)と橋幸夫を引きあわせたなどと聞いて、ますます面白くなかった。

鈴鹿は、天野家に宿泊することになった。アキ(能年玲奈)の寝室を覗くと、そこは1984年のまま時が止まっており、壁中に当時のアイドルの写真が飾られていた。アキから、高校生だった春子(有村架純)が使っていた部屋であり、彼女がアイドルに憧れ夢を育んだ部屋だと説明された。それを聞いた鈴鹿は深く感じ入り、その部屋に寝泊まりすることになった。

天野家では、大震災があったのに忠兵衛が帰ってこなかったことが責められた。それに対する忠兵衛の返答は、陸が大変な時だからこそ、海でできる限り稼いでいたのだというものだった。そうすることで陸の人々を助けるのが自分の努めだと豪語した。その男らしさに、鈴鹿は感動した。また、鈴鹿が忠兵衛に羨望の眼差しを向けたことで、忠兵衛も気を良くした。それでふたりは和解した。

ユイ(橋本愛)も鈴鹿に面会した。初めは緊張して怖気づいていたユイだが、気づくとすっかり鈴鹿と打ち解けていた。それどころか、持ち前の毒舌が発揮され、鈴鹿のドラマの共演者にダメ出しするなど遠慮がなかった。そんなユイであったが、鈴鹿は彼女を受け入れてにこやかに会話した。

翌日、アキと鈴鹿は海女カフェの下見に出かけた。そこでは水口(松田龍平)らがカフェ再建の追い込みに汗を流していた。鈴鹿のマネージャーを放り出して北三陸にやって来た水口は、鈴鹿との再会に恐縮した。円満に東京を去ったのかと思われていたが、実は鈴鹿に顔を合わせにくく、メールで辞任を報告しただけだったのだという。鈴鹿は苦笑しながらも水口のことを許してやるのだった。

それから鈴鹿は、喫茶リアスに向かった。アキが目を話した隙に、人々からおだてられた鈴鹿は、店のカラオケで「潮騒のメモリー」を歌おうとした。前奏が流れる中、マイクの前に立つ鈴鹿。

しかし、そこへアキが走りこんできた。そして、マイクを奪いつつ、演奏を止めた。鈴鹿が音痴であることは厳重な秘密であり、不用意に歌うとそのことがバレてしまうからだ。人々はアキの剣幕に驚くが、その場は誤魔化すことができた。

その時、荒巻(古田新太)も北三陸に来ていた。正宗(尾美としのり)からは、「リアス」という店に行けと指示されていた。土地勘のない荒巻は、タブレットで検索しながら歩いていた。しかし、検索結果には「喫茶リアス」と「スナック梨明日」の2つが表示され、それが同一の店だと思い至らない荒巻は迷ってしまった。

駅舎に入った荒巻は、せっかく喫茶リアスの前にたどり着いたのに、そのまま素通りしてしまった。その時、一瞬だけドアから顔を出したユイとすれ違った。荒巻はユイの美しさに思わず見とれてしまったが、再度「リアス」を探すために歩き去った。

ユイは荒巻の顔を知っていたはずだが、予期せぬ事だったのでそれに気づかなかった。しかし、店に引っ込んだ瞬間、今の男に見覚えのあることを思い出した。ドアを開け、彼のことを探したが、荒巻は既に立ち去った後だった。

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NHK『あまちゃん』第149回

洋食&ワイン しんで20年近く憧れ続けているママさんにお会いし、うおや一丁でラーメンサラダを食べたので、今回の札幌出張の目的は80%ほど達成され、残りの20%は今日の午前中で終わる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第149回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

2012年4月。
北鉄は、7月1日の北三陸-畑野間の運転再開に向け、順調に点検作業が進んでいた。

一方、6月30日オープン予定の海女カフェの再建作業は停滞していた。再建費用は1000万円と見積もられ、企業や一般からの寄付を募ったが足りないのだ。海女カフェの内装の目玉は、潮騒のメモリーズZや鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)のライブが行われるステージと、珍しい魚を集めた店内水槽だ。ステージは必須なので、水槽を諦めて再建するしかなかった。関係者は一様に落ち込むのだった。

その時、大吉(杉本哲太)が北三陸駅舎をうろつく不審者を捕まえた。大吉が問い詰めても、ほとんど何もしゃべらず、唯一アキ(能年玲奈)の知人であるとだけ話しているという。連絡を受けたアキは駅へ急行した。

そこにいたのは、さかなクンだった。アキと一緒に幼児向け番組『じぇじぇじぇのぎょぎょぎょ』(旧『つくってこわそう』)に出演した仲だ。さかなクンは北三陸に帰ったアキのことが気になって、ネットで検索したという。すると、観光協会のサイトに掲載されている潮騒のメモリーズZの動画を見つけたという。アキとユイ(橋本愛)が海女カフェの再建や北三陸への観光客誘致を訴える映像だ。それを見て、居ても立っても居られなくなった彼は、自分で集めた珍しい魚や水槽を海女カフェへ寄贈することを決め、それを伝えるためにやって来たのだ。

2012年6月。
さかなクンの水槽が海女カフェに搬入され、再建が順調に進んだ。それでもまだ予算が足りなかったので、町の人々や子どもたちが総出で内装を行った。さかなクンと共に壁に絵を描き、むしろ手作り感のあふれる温かい店になった。アキは、あちこちで様々な苦労をした人たちが、再び海女カフェに集い、一緒に作業していることをとても嬉しく思うのだった。

さらに海女クラブの面々は、観光海女漁の再開に向けて、海中のウニの調査を行った。大津波でウニはほとんど流されてしまい、繁殖のためにウニの放流を行った。しかし、一般にはウニを放流しても資源が復活するまで3-4年かかると言われており、今年のウニ漁が危ぶまれていたのだ。

ところが、海に潜ってみると、大量のウニが生息していた。アキはそれを取りあげて水面に顔を出すと、大喜びで首尾を報告するのだった。7月1日の海開きの成功は約束され、みんなは歓声を上げた。

町の人々は海女カフェの再建作業やウニの調査にでかけ、喫茶リアスは吉田(荒川良々)が一人で店番をしていた。客もおらず、店内は閑散としていた。

そこへ、忠兵衛(蟹江敬三)が帰郷した。忠兵衛は真っ先に夏(宮本信子)に会えなかったことを残念がったが、久しぶりにウニ丼を食べようと注文した。それと前後して、全身黒尽くめでサングラスをかけた一人旅の女が入店した。彼女もウニ丼を注文するのだった。

しかし、あいにくウニ丼の在庫は1つしかなかった。吉田はふたりにじゃんけんで決めるよう促した。その結果、忠兵衛が勝ち、ウニ丼は彼の手にわたった。

その瞬間、女はサングラスをはずし、ひどく悔しがった。そこで吉田は、その女が鈴鹿ひろ美であることに気付いた。鈴鹿の大ファンである吉田は、忠兵衛からウニ丼を取りあげ、鈴鹿に食べさせるのだった。

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