NHK『あさが来た』第30回

今年も社心をサボってしまうのだけれど、同大会の盛会をお祈りする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第30回めの放送を見ましたよ。

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

あさ(波瑠)と正吉(近藤正臣)は、五代(ディーン・フジオカ)に会いに行った。五代の志に賛同し、大阪の商業都市化に協力すると申し出た。
加野屋の賛同が弾みになり、大阪中の商人たちもこぞって協力することを決めた。五代の指導で、大阪に巨大な通商会社をつくり、外国と取引をすることが計画された。

ただし、取扱商品を何にするかは未定だった。
あさは、石炭の取引をすることを主張した。あさ自身は石炭を見たこともなかったが、それで大きな車や船を動かすことができると聞いて夢中になっていたのだ。朝から晩まで石炭のことばかり夢想し、誰彼なく石炭のことばかり話すのだった。
しかし、石炭の良さを理解する人は皆無だった。石ころに夢中になっているあさのことを気でも狂ったのではないかと言い出す人まで出る始末だった。

ついにはつは、九州の炭鉱の視察に行くと言いだした。百聞は一見に如かずだと言うのだ。
しかし、家族は全員反対した。未だ日本国内で取引のされていない石炭に将来性があるのかどうか不明だから。
それに加えて、炭鉱は荒くれ者の巣窟だという噂だ。そのようなところに、あさを行かせる訳には行かないというのだ。

特に新次郎(玉木宏)が強硬に反対した。危険なところにあさを行かせたくないのだ。
いつも朗らかな新次郎とは打って変わって、大声を出して九州行きを禁じた。どうしても行きたいなら、離縁してから行けと言うほどであった。
あさはそれ以上何も言えなくなった。

翌日、あさは商人たちの寄り合いのため、役所へ出向いた。
すると、五代が政府からの命令で横浜に異動になるのだという。政府の方針は大阪よりも先に横浜を商業都市とするということに決まり、外国事情や商取引に詳しい五代を派遣するというのだ。五代は反発したが、抗いきれなかった。
その報せに、あさをはじめとした大阪商人たちは落胆した。しかし、それで大阪の商業都市化が頓挫するわけではなかった。商人たちは、横浜での仕事を終えた暁に五代が大阪に戻ってくることを期待した。五代がそれを約束したことで、商人たちは盛り上がるのだった。

その頃、はつ(宮﨑あおい)はしきりに胸が苦しくなるようになった。
その様子を見ていた菊(萬田久子)は子供ができたと判断した。栄達(辰巳琢郎)は、継ぐべき家が失くなった時に跡継ぎができるとは皮肉だといいながらも、孫ができたことを喜んだ。

ちょうど惣兵衛(柄本佑)は行商で留守だった。はつは、一刻も早く惣兵衛に報告したく、帰りを待ちきれなかった。町の方へ歩いて行き、帰ってくる惣兵衛を道で待ち構えようとした。

しかし、惣兵衛は一向に帰ってこない。
それどころか、道端には惣兵衛の天秤棒とカゴが打ち捨てられていた。
そのまま惣兵衛は姿を消した。
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NHK『あさが来た』第29回

目が悪すぎてコンタクトレンズを装着しないとあまり目が見えないのだけれど、最近は放送ギリギリに目を覚ますのでコンタクトをする時間がなく、メガネを使っているせいでボンヤリとしか見えないという当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第29回めの放送を見ましたよ。

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

あさ(波瑠)は寄り合いで耳に挟んだ新しい商売のことを新次郎(玉木宏)と正吉(近藤正臣)に話した。
外国では鉄道が普及していて、大量の人や物を一度に運べるという。しかもそれは、人や馬で動かすのではなく、石炭を燃やして動かす車だという。そこで、石炭を扱えば儲かるという。

ただし、あさの話はまったく曖昧なものだった。あさ自身が鉄道や石炭がどのようなものかわかっていないからだ。正吉と新次郎も、乗り気にならなかった。

そこで、あさと新次郎は、石炭に詳しい山屋与平(南条好輝)にもっと話を聞くことにした。山屋は、新次郎の三味線仲間でもあったため、あさは新次郎と共に三味線師匠・美和(野々すみ花)の家に出向き、そこで話を聞いた。
山屋によれば、九州の筑前に良い炭鉱があるという。そこへ直接行く方が話が早いというのが山屋の意見だった。

あさは、山屋の話に耳を傾けながらも、新次郎と美和のことが気になっていた。美和が、あさを差し置いて、新次郎へ甲斐甲斐しく茶を出したり、隣に座ったりするからだ。
しかも、新次郎の着物の綻びがきれいに縫い直されていることにも気付いた。それは、あさが何度やっても見苦しい縫い目にしかならなかったものだ。そう思うと、最近、新次郎はその着物ばかり気に入って着ていることにも思い至った。あさは、新次郎と美和の仲を疑い始めた。

家に帰り、正吉に炭鉱のことを報告した。しかし、正吉はまったく乗り気ではなかった。両替の仕事で手一杯で、九州まで派遣する人手などないと言うのだ。そもそも、両替商なら店に座っているだけでできるのに、九州の山にまでわざわざ出かける必要性も感じないのだ。
あさは、新次郎に援護を頼んだ。しかし、新次郎も乗り気ではないらしく、正吉の味方についてしまった。

それで、あさは頭にきた。
新次郎の着物の繕いを指摘し、美和との浮気を糾弾した。近頃は、以前にも増して昼も夜も外出することが多くなっていることが証拠だと言うのだ。

新次郎は、少々思案し、美和が縫ったものではないと否定した。
そして、別の女に縫ってもらったものだと説明し、その女にこれから会わせると言うのだ。
あさは、その女と対決することを決め、新次郎について行った。

新次郎があさを連れて行ったのは、郊外の畑である。そこでは、みすぼらしい女が野良作業をしていた。
近づいてみてみると、はつ(宮﨑あおい)だった。
新次郎は、はつの居場所を漏らさないと約束していたはずである。そこで新次郎は、はつの居場所を教えたのではなく、「着物を縫った女の居場所を教えただけ」と詭弁を弄してごまかすのであった。そうして、あさとはつをふらりっきりにしてやった。

はつは困惑したが、あさと再会した嬉しさが勝った。
あさに対して、立派な両替商の若旦那の着物が不様な縫い目ではいけないと注意した。そう言って笑った。

はつは、新次郎が自分たち一家にとてもよくしてくれていると話した。
惣兵衛(柄本佑)に何度も酒を持ってきてくれたり、はつには繕い物の内職を紹介してくれているのだという。自分の居場所を秘密にするという約束も守ってくれていた。新次郎への感謝でいっぱいだという。

続けてはつは、百姓に間借りして農作業をするという貧乏な暮らしは惨めだと話した。手紙を出す金もないので、京都の実家に連絡も取れない。日々の仕事に忙しくて、その他のことを考える余裕もない。
しかし、忙しいのは案外いいことで、くよくよと考えなくて済むのだという。たとえ今は落ちぶれてしまっても、自分は一生懸命に家を守ろうと努力している。自分は元気だし、そのことをくれぐれも実家に伝えてくれと託した。

あさははつの気丈さに安心し、それを陰ながら支えてくれていた新次郎に感謝もした。

数日後、あさと正吉は五代を訪ねた。
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NHK『あさが来た』第28回

昨日の「大公」の謎が解けてすっきりした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第28回めの放送を見ましたよ。
2015-10-28 03.59.35

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

はつ(宮﨑あおい)の行方を探していた新次郎(玉木宏)は、一家を見つけた。みすぼらしい姿で百姓の手伝いをして食いつないでいた。

彼らの新次郎に対する反応はそれぞれ異なっていた。
義父・栄達(辰巳琢郎)は、新次郎の姿を認めるや否や、走って逃げ出してしまった。

はつは、自分と会ったことを一切あさ(波瑠)には知らせないで欲しいと頼んだ。また、援助などの施しも一切いらないと気丈に断った。

惣兵衛(柄本佑)はすっかり日に焼け、健康的で朗らかな顔つきになっていた。新次郎の家が潰れず、激動の時代を生き抜いていることを妬むでもなく、喜んでいる様子ですらあった。彼は何かが吹っ切れた様子だ。

その夜、新次郎と惣兵衛は連れ立って飲みに出かけた。安い酒とうどんという質素な食事であったが、惣兵衛はひどく感激していた。
惣兵衛は、新次郎に今の心境を話した。彼は母・菊(萬田久子)のことを恨んでおり、いつか殺してやりたいと常々思っていた。しかし、今はその気も失せたという。それというもの、健気なはつの様子を見ていたら、自然と心が穏やかになってくるのだという。あさと同様、はつも神経が図太い女だと最近わかってきたと言って笑うのだった。
その時、惣兵衛は心に何か決意を固めかけていた。しかし、それを新次郎に言いかけて、やめた。新次郎は何も気づかなかった。

その日、あさは商人たちの寄り合いに出席していた。その日の会合は、政府の役人である五代(ディーン・フジオカ)が役所に商人たちを招待するという特別なものだった。集められた部屋は西洋の調度品が設えられ、とても豪華なものだった。いつもより大勢集まった商人たちも、部屋の物珍しい様子に興奮すると共に、五代から直接話しが聞けるとあって期待も高まっていた。

しかし、商人たちの期待はすぐに裏切られた。
五代は、英語交じりで、抽象的な将来展望を語るばかりだった。大阪を国内随一の商業都市とし、西欧との貿易を発展させたいという計画はなんとなく理解できた。
しかし、商人たちの懸案事項は、今日明日の金のやりくりであった。自分の店が潰れるかどうかの瀬戸際にある。日本や外国といった大きな視野や、即効性のない投資などには全く興味がなかった。商人の中には、五代は元武士のくせに西洋かぶれで話の意味が分からないなどと陰口を叩く者も出始めた。

会合後、あさだけが残って五代と話をした。商人たちの理解を得られずに意気消沈していた五代であったが、あさはとても勉強になったと感謝を述べた。
加えて、あさは姉・はつが行方不明で何も手に付かないことを打ち明けた。しかし、姉の事ばかり心配していても何も始まらないので、今は心配な思いを商売に向けて行くつもりだと決意を述べた。

五代は、山王寺屋などいくつもの商店が潰れてたことは、新政府の政策の失敗のせいであることを本心では認めていた。
その罪滅ぼしのためにも、大阪の商業を復興し、世界に誇れる街にすることが自分の使命だと決意を新たにするのだった。

あさが帰宅すると、京都の母・梨江(寺島しのぶ)から手紙が来ていた。
そこには、新政府の御用達となって、家の景気が上向いているとの報告があった。ただし、商売の都合により、東京へ移転する可能性も浮上していると記してあった。あさは、自分の育った屋敷がなくなるかもしれないことを少々寂しく思った。そして、はつと過ごした楽しかった日々を思い出さずにいられなかった。

しかし、それも一時だけのことだった。
あさの心は、はつへの思いを全て商いに向けるように燃えていたのだ。
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NHK『あさが来た』第27回

「木公」はふつう「きこう」と打って変換するもんだと思うのだけれど、下図の♀は一体どういう文字で変換してタイポしたのか気になって、昨夜はなかなか眠れなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第27回めの放送を見ましたよ。
2015-10-27 22.20.34

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

はつ(宮﨑あおい)たちの一家は、没落して借金取りから逃げまわる日々であった。菊(萬田久子)がはつのことを疫病神呼ばわりしたことで、ついに惣兵衛(柄本佑)は堪忍袋の緒が切れた。惣兵衛は包丁を握って、菊に襲いかかった。

とっさにはつが菊をかばった。そのせいで、はつは肩に軽い怪我をした。
はつは、惣兵衛が母に危害を加えるという罪を犯さなくて良かったと言う。惣兵衛の罪を未然に防いだことで、やっと自分も家の役に立つことができたと誇った。
はつは、自分が菊から罵倒されたことも、山王寺屋が潰れたことも、家族の誰のせいでもないと話した。それは時代の流れや新政府のせいだと断じた。だから、惣兵衛が逆上して罪人になる必要はないと言うのだ。
これから先どうなるかはわからないが、今は前向きに進んでいくしか無いと諭した。

はつの言葉で、一同は落ち着いた。
惣兵衛は母・菊を許し、腰を抜かしてしまった彼女を背負って歩き始めた。

その頃、加野屋には新政府の役人となった五代(ディーン・フジオカ)が訪ねてきていた。
五代は、加野屋が中心となって、大阪で商業を復興し、外国との貿易港とする計画を持ちかけた。しかし、主人の正吉(近藤正臣)はひどく消極的であった。
あさ(波瑠)もしおらしく茶を出すだけで、以前のような活発さは微塵もなかった。はつの行方がわからず、落ち込んでいたからだ。

その態度に五代は憤慨した。
五代は腹立ちまぎれに、あさに説教をした。あさがふつうの奥様のようになってしまって落胆したとなじり、加野屋も潰れてしまえばいいと息巻いた。

一方的な物言いに、あさもカッとなって言い返した。
外国に行って見聞を広めたはずの五代が、政府の一役人になってしまって情けないと言い放った。そして、新政府のやり方も気に入らないとまくし立てた。新政府は先立つ金も無かったくせに新しい時代を作って、大阪の商人たちに莫大な上納金を要求してきた。旧大名たちが借金を返さないことを知っているのに、何も手を打ってはくれない。
明治の世など糞食らえだ、と啖呵を切った。

その威勢の良さに、五代は感心した。
五代はあさと加野屋を許した。そして、あさに商人たちの寄り合いに出席しろと告げて帰って行った。

これまで女が商人たちの寄り合いに参加したことはない。
あさを連れて行っていいものか議論になったが、新次郎(玉木宏)は出席を強く勧めた。五代に楯突いた以上、彼の言いつけを守らないと加野屋は大変なことになるだろうと言うのだ。それに、あさにとっても商売の勉強がでいる良い機会だと言うのだ。

あさは、正吉に連れられて寄り合いに参加した。
あさは追い出される程ではなかったが、話し合いの輪からはほぼ外されていた。酌を強要されるなど、単なる女としてしかみなされなかった。
それでもあさは、男たちの話に辛抱強く耳を傾けた。おかげで多くの知識を得ることができた。大阪に造幣局ができること、そのための材料として鉱山開発が盛んになりつつあること。また、外国では鉄道と呼ばれるものが普及していること。帳面上にいくら金があっても、現物がなければ商売は危険であることなど。

あさは、もっと早くに参加していればよかったと後悔した。そして、姉・はつにもいろいろ教えてやれば、彼女の状況も変わっていたかもしれないと思った。
そのようなことから、これからの時代は女にも知識が必要だと痛感した。

はつの捜索は一度後回しにし、今は商売の勉強を優先させることとした。
毎日昼は店に張り付いて帳簿の確認をし、夜は商人たちの寄り合いに参加し、それが無い日は遅くまで書物で商売の勉強をした。家事は多少疎かになったが、本を読みながら縫い物をするなど、努力を怠らなかった。
あさのことは、良い意味でも悪い意味でも噂になりはじめた。

あざが商売にばかり打ち込むので、新次郎は毎日昼からも外出するようになった。あさは商売のことに夢中で、特に気を留めるでもなかった。新次郎はますます抜け出しやすくなった。

実は新次郎は、忙しくなったあさに代わって、はつの行方を探っていたのだ。
山道で、大八車に野菜を乗せて運搬しているはつと出会った。
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NHK『あさが来た』第26回

寒いから気が滅入るのか、気が滅入っているから寒さがキツイのか判断のできない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第26回めの放送を見ましたよ。

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

はつ(宮﨑あおい)の一家は、夜逃げして谷町の長屋に身を隠していた。それを見つけ出したあさ(波瑠)であったが、はつは家に閉じこもって会おうとしない。はつはあさに帰れと言うだけだった。

長屋の奥から菊(萬田久子)の恨み声があげた。はつの実家に借金を申し込んだが断られ、そのせいで没落したと罵るのだった。はつも、あさに顔を見たくない、帰れと言うばかりだった。あさはどうすることもできず、引き下がるしかなかった。
はつの言葉は本心ではなかった。しかし、この場はあさを返すしかなかったのだ。はつはあさへの謝罪を何度もひとりごちた。

翌日、あさは着物や食料などの援助物資を携えて、はつたちの隠れている長屋を再訪した。しかし、すでに一家は居を移しており、足取りがわからなくなった。
あさは、自分がはつの窮状に気付かず、何もしてやれなかったのが原因だと思い込み、ひどく落ち込んだ。

そんな時、新政府の役人となった五代(ディーン・フジオカ)が加野屋を訪れた。彼は、大阪の商工業の復興を担当しているという。これまで幕府や大名に頼った商売をしていたが、これからはやり方を買えなければいけないという。五代のプランは、大阪の港を整備し、西洋諸国との貿易の拠点にするというものだった。そのためには、大阪商人を結集する必要があり、加野屋に中心的役割をはたして欲しいというのだ。

しかし、正吉(近藤正臣)らには雲を掴むような話だった。五代の提案の意味がさっぱりわからなかった。しかも、加野屋は現在の苦境を乗り越えるのに精一杯で、将来の計画など考える余裕はないのだ。五代の申し入れを体よく断った。

そこへ、あさが茶を運んできた。
五代は、あさと再会できたことを大いに喜んだ。しかし、五代の興奮とは対象的に、あさは完全に塞ぎこんでいた。はつのことで頭が一杯で、他のことは何も考えられないのだ。茶だけ出すと、五代への挨拶もそこそこに奥へ引っ込んでしまった。

あさは、茶を出し終えると、再びはつを探すために家を出た。
家の前で、外出から帰って来た新次郎(玉木宏)と出くわした。新次郎は、手がかりもないのに闇雲に探しまわるのは愚策だと言って、あさを落ち着けて家に帰そうとした。
そして、そこに、用事を終えた五代も出てきた。あさ、新次郎、五代の3人が一堂に会する事となった。


その頃、はつの一家は大八車に最低限の家財だけを乗せて、借金取りから逃げまわっていた。郊外の山里をもう何日もさまよっていた。野宿の連続で、疲労も極限に達していた。

菊ははつに八つ当たりした。山王寺屋が傾き始めたのは、はつが嫁に来てからだという。はつのことを疫病神だと罵った。

その言葉に、惣兵衛(柄本佑)は逆上した。包丁を構えて、菊に襲いかかった。
それを庇ったはつが怪我をしてしまった。
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NHK『あさが来た』第25回

僕の一番好きな宮﨑あおいさんと言えば、映画『好きだ、』であり、僕の大好きな永作博美さんの少女時代を演じているという夢のような映画であり、特に瑛太が宮崎あおいさんに鼻を近づけて匂いを嗅ぐというシーンが妙にエロティックで忘れられない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第25回めの放送を見ましたよ。

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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』

あさ(波瑠)の交渉により、加野屋は奈良の豪商・玉利(笑福亭鶴瓶)から資金援助を受けることに成功した。加野屋は明治維新の混乱を乗り切る目処が立った。

一方、はつ(宮﨑あおい)の嫁いだ山王寺屋は危機を脱することができないでいた。最後の望みとして京都の実家に金の無心に向かったが、援助を断られてしまったからだ。

あさとはつは金策の帰り道に、大坂の町中で旅装束のまま出会った。
何も知らないあさは親しげに話しかけるが、はつはどこか元気がなさそうで、そそくさと立ち去ってしまった。以来、あさははつのことが気がかりで、何も手につかなくなった。

見かねた新次郎(玉木宏)はある夜、三味線の稽古のついでに、あさを山王寺屋まで連れて行ってくれた。
近所まで来てみると、夜だというのに山王寺屋の前には人だかりができ、何やら大騒ぎをしている。なんと、山王寺屋は夜逃げをして、店も家ももぬけの殻だったのだ。当然、はつの姿も見当たらない。あまりのことに、あさは言葉を失った。

大坂では、両替商が次々に潰れていた。生き残った両替商は、加野屋を除いてほとんどなかった。加野屋では、今後の方針について話し合いが持たれた。

大番頭・雁助(山内圭哉)は、伝統を守って両替商以外の事業に手を出すことに反対した。
しかし、家長の正吉(近藤正臣)は時代の変わり目だからこそ、新しい事業を始める重要性を認識していた。跡取りの幼い息子・榮三郎(吉田八起)も同様の意見だった。特に榮三郎は、天皇や政府が江戸に移ってしまい、このままでは京都や大坂の勢いが衰えていくことを懸念していた。今こそ、上方の意地を見せる時だと発奮した。

新次郎は、石炭の取引に将来性があるという噂を口に出した。
大きな山を購入し、そこから石炭を掘り出して売るのだという。ただし、芸事の稽古の折に、とある商人から聞いた噂話だと言って、あまり乗り気ではなさそうだった。話を聞いた面々も、石炭が何かは知っていたが、具体的な使い方は思いつかず、それがどうして商売になるのかわからなかった。

一同は、あさに意見を求めた。そもそも、新しい商売が必要だと見栄を張ったのは彼女だからだ。
しかし、あさはしょぼくれていて、何も意見を言えなかった。彼女の頭の中は、行方不明になった姉・はつのことでいっぱいで、他のことは一切考えられなくなっていたのだ。
新しい商売についての話し合いは、一度打ち切られた。

あさは、それから毎日、うめ(友近)を伴ってはつを探しまわった。
やっと、谷町にそれらしい人物を見かけたという噂を聞きつけ、現地へ向かった。谷町は、貧しい長屋街だった。

そこで、落ちぶれたはつを見つけた。
はつは、あさの姿を認めると、長屋の中に逃げ隠れてしまった。あさがいくら声をかけても、戸を固く閉め、返事もしなかった。
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NHK『あさが来た』第24回

イノセントな女子相手に遠慮も躊躇もなく下品な言葉を投げつけること(下図)が非モテの原因だと少しずつ理解し始めてきたので、そろそろ心を入れ替えたいと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第24回めの放送を見ましたよ。
2015-10-23 15.02.50

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第4週『若奥さんの底力』

はつ(宮﨑あおい)と惣兵衛(柄本佑)は、はつの実家・今井家を訪れた。菊(萬田久子)に命じられて、家の窮状を救うべく金の無心をするよう命じられたからだ。
惣兵衛は、妻の実家に借金を申し込むという屈辱的な使命を与えられたことに落ち込んでいた。それを察したはつは、自分一人で行くことを申し出た。しかし、惣兵衛は自分が責任をもって全うすると言って、はつの提案を退けた。

惣兵衛は、これ以上ないほどへりくだって、はつの実父・忠興(升毅)に借金を申し込んだ。山王寺屋が今にも潰れそうなことを正直に話し、助けて欲しいと願い出た。

忠興は、惣兵衛に金を返す目処は立っているか尋ねた。しかし、明日の見通しもないほど困窮している惣兵衛には何も答えることができなかった。
その様子を見て、忠興ははっきりと断った。商売には先を見る計画性と、それを貫く強い意志が必要である。今の惣兵衛にはそのどちらも無いので、金を貸すことができないというのが忠興の答だった。

惣兵衛はそれ以上何も言わなかった。
代わりに答えたのははつだった。はつは断ってくれて良かったと言う。喉から手が出るほど金が欲しいことに間違いはないが、断ってくれたことがなぜか嬉しいという。嫁の実家から金を借りるなど恥ずかしいことである。それが今の自分たちのせめてもの誇りだというのだ。
そうして、はつと惣兵衛は手ぶらで大坂へ帰った。

同じ頃、あさ(波瑠)は番頭の亀助(三宅弘城)だけを伴って、奈良の豪商・玉利家を訪ねていた。加野屋は以前、玉利に金を用立ててやった事があり、その恩に報いてくれると期待したからだ。
新次郎(玉木宏)は、商売の事がわからないことに加えて、山道は苦手だと言って来なかったのだ。

玉利家で、あさは門前払いをされた。主人は留守だというのだ。
あさは大坂から遠路はるばるやって来たので出直すのは難しい、家で待たせて欲しいと食い下がった。
すると、あさは馬小屋に通された。そこはたいへん粗末な小屋で、まったく掃除もされていなかった。加えて、今夜の宴会のために呼ばれたという旅芸人たちと一緒に押し込められた。それは、宇奈山藩で男達の居室に寝泊まりした時よりもひどい環境だった。

それでもあさはめげなかった。
馬小屋の掃除をして快適な寝床を作り、旅芸人たちにも親切にした。そうやって、玉利家の主人に会える機会を待つことにした。

翌朝、玉利家の主人(笑福亭鶴瓶)は使用人たちから報告を受けていた。あさのおかげで馬小屋が綺麗になったというのだ。また、旅芸人たちもあさに感謝していると口々に言っているという。
実は、世の中の景気が悪くなって、玉利に借金を申し込む輩も多い。辟易した玉利は金を借りに来た相手に嫌がらせをしていたのだ。
しかし、あさが他の連中とは違う行為をしたので興味を持ち、会ってみることにした。

あさと対面した玉利は、旅芸人の猿にまで親切にした人間は初めてだと言って快活に笑い、あさの人間性を気に入ったと話した。
しかし、商売と人情は別物だと言って真顔になった。瀕死の両替商がどうやって金を返すつもりかと問い詰めた。

あさは、これからの新しい時代には、それに応じた新しい商売が出てくる。加野屋はそういった新しい商売を始める予定であり、必ず返済できると豪語した。
玉利はどのような商売をするつもりか聞こうとしたが、あさは答えなかった。本当は単なるでまかせで、具体的な計画はなかったから答えようがなかったのだ。しかし、あさはそんなことはおくびにも出さず、玉利の目をじっと見据え、商売敵に手の内を明かすわけにはいかないと言い放って不敵に笑った。

玉利はあさの度胸にすっかり惚れ込んだ。あさは日本一の女商人になると評し、金を貸すことを決めた。
ただし、今回の恩は一生忘れるなと釘を差した。ところが、あさも負けてはいなかった。(1)以前に加野屋が金を貸した恩に玉利が素直に応じなかったこと、(2)自分を汚い馬小屋に泊めたこと、(3)今回の借金のことの以上3点を一生忘れないと言い返した。
その物言いに、玉利は大笑いした。気分の良くなった玉利は、無利息で金を貸してくれた。

あさが大坂に帰ってくると、ちょうどはつも京都の実家から帰ってきたところだった。両者は往来で偶然出会った。はつと惣兵衛が一緒に歩いている姿を見かけ、あさはふたりの仲が良さそうなことに嬉しくなった。
あさは、はつに何処へでかけていたのか無邪気に聞いたが、はつははぐらかして答えなかった。その代わり、どんなことがあっても嫁ぎ先の家を守ることが自分たちの使命であり、互いに頑張ろうと誓い合った。そして、はつは足早に立ち去った。
あさは何か様子がおかしいことに気づいたが、それ以上詮索はしなかった。

あさたちと分かれた直後、惣兵衛ははつに話しかけた。
本来なら、はつは新次郎と結婚するはずであり、そうなっていれば今のような苦労をかけることもなかった。あさは、惣兵衛や山王寺屋のことを恨んでいることだろうと言うのだ。
はつは、自分が新次郎と結婚するはずだったなど、初めて聞く話だった。
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NHK『あさが来た』第23回

今朝もいまいち起きれなくて、気がついたらあさイチのプレミアムトークで宮﨑あおいさんが撮影秘話を語っている時間だったという当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第23回めの放送を見ましたよ。

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第4週『若奥さんの底力』

新政府は全国統一の新しい貨幣を発行した。そのため、大坂で流通していた銀貨は価値がなくなった。
加野屋に銀貨を預けていた大坂町人たちが退去してやって来た。預け入れの手形を掲げ、金に替えて返せと乱暴に迫った。本来なら正吉(近藤正臣)が対応するはずだが、彼は腰を痛めて動けない。

正吉に代わって新次郎(玉木宏)が応対するのが筋であるが、商売の分からない彼は恐れをなして逃げ回った。それどころか、あさ(波瑠)に役割を押し付けてしまった。

あさは毅然とした態度で債権者と対峙した。
あさは金をすぐに返すつもりはなかった。加野屋が他所に貸している金も返ってきておらず、新政府からは莫大な戦費を負担しろと命令されている。ここで町人に返金すれば、加野屋の現金は底をついてしまう。
まずは興奮する人々を落ち着かせようとした。

ところが、債権者たちの勢いは少しも収まらなかった。
商売が成り立たなくなると嘆く商人や、赤ん坊を抱えて路頭に迷うと訴える母親の様子を見ているうちに情にほだされてしまった。
あさは決意を曲げ、金を返すことにした。

その決定に、新次郎(玉木宏)や番頭・雁助(山内圭哉)は猛反対した。加野屋の台所事情を考えれば当然である。あさとの間で揉めた。

すると騒ぎを聞きつけて、正吉が姿を現した。正吉はあさの味方をした。彼の鶴の一声で返金が決まった。
あさは、債権者ひとりひとりから事情を聞き、個別に返金するかどうか決めることにした。しかし、彼らの窮状を聞くと放っておくことができなくなり、結局ほぼ全ての人に金を返してしまった。
そのせいで、加野屋の蔵はほとんど空になった。

そんな中、正吉はひとつだけ金を借りるあてがあると話しだした。
奈良に、寺社仏閣の修繕で一代で財をなした者がいる。正吉は過去にその人物に金を貸して助けてやったことがある。その義理できっと金を貸してくれるのではないかと言うのだ。
あさは目を輝かせて、その人から金を借りられるよう手を尽くすことを決め、準備に取り掛かった。

あさが席を外すと、正吉は新次郎に向き直った。
正吉は、新次郎の人を見る目を褒めると共に感謝した。元々、あさは山王寺屋に嫁ぎ、姉・はつが嫁に来るはずだった。しかし、あさのおてんばぶりに愛想を尽かした山王寺屋が許嫁の交換を申し込んできたのだ。正吉は断るつもりだったが、新次郎があさのことを好きだというので応じた。その結果、あさという素晴らしい嫁を手に入れることができたのだ。それが新次郎の最大の貢献だという。

さらに正吉は、あさは「金の卵」だという。卵は正しく温めないと孵らない。彼女を守って助けることが新次郎の役目だと言いつけ、しっかりあさを支えるよう命じた。
偶然途中からその話を耳に挟んだあさは感激した。ふたりの前で、家のためにできることは何でもしたいと宣言するのだった。

その頃、はつ(宮﨑あおい)も山王寺屋のために何かがしたいと思っていた。
倒幕の混乱は山王寺屋にも影を落とし、加野屋よりも状況は悪かった。使用人を雇う余裕がなくなり、ほとんどの者に暇を出した。店や家は荒れ放題になっている。はつは少しでも何か手伝いたいと思っていたのだ。

そのことを義母・菊(萬田久子)に打ち明けたが、感謝されるどころか冷たくあしらわれた。
菊は、はつは琴を弾くことしか取り柄がなく、そんなものは今の状況では何の役にも立たないと皮肉を込めて言うのだった。さらには、はつの付き人のふゆ(清原果耶)にも辞めてもらうことにしたと告げた。

はつは、ふゆの姿を求めて家の中を探したが、見つけられなかった。何もかもが嫌になり、中庭に座り込んでしまった。

ふと気づくと、目の前に井戸があった。その井戸は、以前にふゆがあさから預かった手紙を誤って落としたと言っていたところである。
はつが中を覗くと、涸れ井戸になっており、底に手ぬぐいが落ちているのが見えた。
はつは棒きれを握り、手ぬぐいを取ろうと奮闘した。もう少しで棒が届きそうになり、もう少しだけ腕を伸ばした拍子に、あさは井戸の中に転落してしまった。

ふゆは家を出る支度をしていたのだが、その悲鳴を聞いて駆けつけてきた。しかし、彼女一人ではどうすることもできず、人を探しに行った。

井戸の底に落ちたはつだが、幸いひとつも怪我はなかった。
はつは手ぬぐいを拾って眺めた。そこには、あさの手で描かれたへのへのもへじと「わろてね(笑ってね)」の文字しか書かれていなかった。

あさから秘密裏に託された手紙だと聞いていたので、どんなに良いことが書いてあるのかと期待していたのだが、予想に反するバカバカしさに呆れてしまった。はつは思わず声を立てて笑った。
笑った瞬間、はつははっとした。この家に来てから声を出して笑ったのは初めてのことだと気付いたからだ。

そうしているうちに、井戸の上から惣兵衛(柄本佑)の声が聞こえてきた。彼は縄を準備し、それを使って自ら井戸の底へ降りてきた。先に笑っていたせいで、はつはとても呑気な様子で惣兵衛と対面した。
一方の惣兵衛は大慌てだった。「何してんのや!」と怒鳴った。直後、声を落として「よかった。死んだかと思った」と弱音を吐きながら、はつを強く抱きしめた。

しばらくして我に返った惣兵衛は、きまり悪そうに腕をほどいた。
はつはにやにやと笑っていた。
そして、はつはあさの描いたへのへのもへじを見せた。それが惣兵衛にそっくりだと言って、また声を立てて笑った。
はつは、あさのおかげで笑えたことを感謝した。

それからしばらくして、1968年9月。元号が明治に変わった。
あさは正吉の代理として、奈良へ借金の申し込みに向かった。

一方、はつと惣兵衛は、菊から京都へ行けと命じられた。
はつの実家の今井家は明治政府の御用達になって羽振りがよさそうだという。そこで、はつと惣兵衛が出向いて金を借りてこいというのだ。家の商売にとって役立たずのふたりにできることは、それしか無いなどと菊は冷たく言い放つのだった。

惣兵衛にとっては屈辱だった。
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NHK『あさが来た』第22回

昨日、ばかみたいに長いマクラを書いた隠れた理由の一つが、原田宗典『優しくって少し ばか』を久しぶりに読み返していたからであり、あのダラダラと続く気怠い文体を真似したかったからだという種明かしをする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第22回めの放送を見ましたよ。

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第4週『若奥さんの底力』

新政府は、徳川の残党討伐のための出兵を計画している。戦費の供出を大坂の商人たちに求めた。
その額は1店あたり10万両という莫大なものだった。ただでさえ旧幕府に貸していた多額の借金が焦げ付いている中、どの店も対応に頭を痛めた。

はつ(宮﨑あおい)が嫁いだ山王寺屋では、義母・菊(萬田久子)が新政府の命令を拒絶することを決めた。彼女は新興勢力である新政府のことを信用しておらず、徳川に肩入れしているのだ。
義父・栄達(辰巳琢郎)や夫・惣兵衛(柄本佑)は新政府の勢力は無視できないほど成長しているので、迎合して金を差し出すべきだと意見した。しかし、入婿の栄達たちは家での発言力は弱く、菊によって却下された。
さらに菊は、惣兵衛の不甲斐なさを詰った。山王寺屋は200年も続く伝統ある両替商であり、常に反映していた。それが、惣兵衛が働き出すようになってから景気が悪くなったというのだ。家勢の衰えを全て惣兵衛の責任に押し付けた。
惣兵衛はそれっきり黙ってしまったが、悔しさのあまり密かに震えていた。

あさ(波瑠)の嫁ぎ先の加野屋でも、対応に苦慮した。あさが幾つかの藩から借金の取り立てに成功していたが、家中の金をかき集めても、新政府から要求されている額には遠く及ばないのだ。

あさは、ぎっくり腰になってしまった正吉(近藤正臣)の腰を揉んでいた。ふたりきりになった機会に、正吉はあさに自由に意見を述べるよう求めた。

あさは、戦争のために一家の大切な金を差し出すことなど大反対であった。けれども、時勢を読めば、新政府に金を供出した方がいいと進めた。足りない分は借金してでも工面すべきだと言うのだ。

あさは、過去に新次郎(玉木宏)に言われたという言葉を引用した。彼曰く、よく考えて進んだ道には、からなず新しい朝が来る。今、新政府では立派な誰かがよくよく考えて新しい世の中を作ろうとしている。その結果、きっと新次郎が言うように新しく素晴らしい世の中が来るに違いないと考えているというのだ。だから、新政府に協力すれば自分たちの将来も良くなると主張した。

その言葉に正吉は感心した。
新選組の土方(山本耕史)に失礼なことを言ったのに許されたことや、宇奈山藩からの借金取り立てに粘り勝ちしたのも、あさの言動に一本筋が通っているからであると評した。あさと夫婦になってから、新次郎も少しずつだが頼りになるようになってきた。

正吉はあさの意見に賭け、新政府に取り入ることを決心した。

1968年(慶応4年)5月、新政府は貨幣制度を刷新した。
それまで、藩などが発行していた貨幣を全て廃止し、全国共通の貨幣を制定したのだ。その影響は大坂にも及び、大坂で独自に発行されていた銀貨も使えなくなってしまったのだ。

大坂の町人たちは、両替商に銀貨を預けている。それをめぐって壮大な取り付け騒ぎが巻き起こった。
人々は手形を持って両替商に殺到したが、店にはそれらを全て返すほどの現金がない。

加野屋にも人々が集まり、大混乱となった。店主を出せと言って騒ぎ立てている。
しかし、腰を痛めて臥せっている正吉は店に出ることができない。一家の後継者は三男・榮三郎(吉田八起)であったが、彼はまだ幼く、客への対応ができるはずがない。

そうなれば、榮三郎の後見人である新次郎が対応するのが筋だが、商売の事を何も知らない新次郎は怖気づいて、逃げ回っている。

窮した新次郎は、あさに対応するよう命じた。
あさは、男以上にしっかりした女である。自分の見込んだ格別な女だから、この窮地も解決できると言って押し付けてしまった。

仕方なくあさは、町人たちの矢面に立った。
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NHK『あさが来た』第21回

こんな夢を見た、用事があったので名古屋に行ったところオルニオさんとばったり出くわしたわけで、彼が言うには「高井美希って知ってる?」「いや、ちょっと名前が違います。高村美希ですよね?つーか、なんでオルニオさんが彼女の名前を知ってるんですか?」高村美希というのは中学生の時に僕が好きだった女の子で、家の躾が厳しくて校則はしっかり守るし成績も優秀だったという女の子で、僕は彼女のことが好きなんだけどそれを言い出せずにイジワルばかりするという中学生にありがちな状態になっており、相手も僕のことを好いているらしいのだけれどイジワルし返してばかりという、なんだかこう微笑ましい関係の相手だったわけだが、高校が別々になってしまって以来疎遠になって、大学に入った後は完全に消息がわからなくなったという女の子のことであり、なんでその子のことがオルニオさんの口から出てきたのか訝しんでいたら、「いやさ、ナリーリさんが飲みに行ったらたまたま一緒になったんだって。話をしているうちに木公くんが共通の知り合いだってわかったらしい。この店で飲んでたらしいよ」と言って、複数の人の手を渡ってクシャクシャになった飲食店のレシートを手渡してきて、それには僕の家から車で目と鼻の先なんだけれど入ったことのない飲食店名が印字されていて、会える見込みは無いだろうけれど今度行ってみようと思ってポケットに仕舞いこみ、オルニオさんとは別れて自分の宿泊先のホテルに戻ったら、ホテルの前に退屈そうで派手な身なりの中年女が立っていて、特定の誰かを待っているようにも、不特定な客を待っているかのようにも見えて、どちらかというと後者の可能性が高そうなのだけれど、妙に気になったので素通りする風を装って近寄ってみたら、随分と老けこんでしまったけれど間違いなく高村さんの面影を残しており、思わず声をかけたところ、彼女もすっかり変わってしまった僕の風貌にもかかわらず思い出してくれたみたいで、「やぁ」「やぁ」などと声をかけ合って、「今どこに住んでるの?」「この前までは横浜にいたけれど、今は名古屋」「へぇ、『ハマから流れてきた子だね』?」「なにそれ?」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカだよ」「知らない」「元気だった?」「元気だよ」「お父さんとお母さんは元気?」「あの時の父は病気で倒れた、母は再婚して今妊娠してる?」「へ?マジで?」「マジで」「俺、これから飲み会で久屋大通に行かなきゃいけないんだけれど、また会える?」「私もヒサヤに用事があるから、一緒に行こうか?」「いいね、地下鉄?タクシー?」「ちょっと距離があるけれど、歩かない?」「いいね」と歩き出したものの、道中では何を話していいかわからず互いに黙って歩いていて、どのくらい歩いただろうか、そろそろ目的地も近づいてきた、また会いたいから連絡先を聞きたいのだけれどなかなか聞き出せない、もどかしい思いをしているところで目覚まし時計が鳴って、とても悔しくて、ふたりのその後はどうなったのかと気になってしかたない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第21回めの放送を見ましたよ。

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第4週『若奥さんの底力』

借金の取り立てのため宇奈山藩へ日参しているあさ(波瑠)。毎日門前払いされるので、勘定係に会わせてくれるまで動かず、門の前で寝泊まりすると言いだした。
さすがに屋敷の前で女に座り込みをされるのは恥である。門番たちは、あさを藩士たちのたまり場となっている部屋へ通して、待たせることにした。そこならば往来の人々の目につかないし、粗野な藩士たちに囲まれれば、あさも懲りて帰ってしまうと考えたからだ。

しかし、あさは全く意に介さなかった。あさに付いてきた番頭・亀助(三宅弘城)ですら震え上がるのを尻目に、あさは休めるうちに休もうと言って、悠々と眠ってしまった。

新次郎(玉木宏)と正吉(近藤正臣)は、あさが帰ってこないことをひどく心配して落ち着かず、仕事も手につかなかった。

翌朝、あさはいつもより元気に帰ってきた。
そしてなんと、ごく一部であるが借金の回収もできたという。あさは、自分では特別なことは何もしていないのに、急にお金を返してくれたのは不思議がっていた。
付き人の亀助の話によれば、豪胆なあさにいつまでも居座られてはかなわないと言って、根負けしたのだという。金を受け取るやいなや、あさは腹が減ったと言って藩の使用人たちと一緒に飯まで平らげてしまったという。

その顛末を聞くと、新次郎は拍子抜けすると共に腹を立てた。
自分の心配が杞憂に終わった安堵感と、あさが自分の身を大切にしないことへの焦燥感が同時に襲ってきたのである。金よりあさの身の方が大事だと諭すのだが、あさには暖簾に腕押しだった。新次郎は面白くなくて、ぷいと出て行ってしまった。

一方、正吉はあさの働きを大いに認めた。
そこで、あさを正式に加野屋の働き手の一人とすることにした。あさは喜び勇んでそれを引き受け、諸藩の屋敷を回って借金回収をする係となった。それからというもの、あさは張り切って働き、少しづつではあるが借金を回収していた。

その頃、対象的にはつは家の外との連絡を一切絶たれ、本人も塞ぎこむ一方だった。
それを見かねた義父・栄達(辰巳琢郎)は、機会を見つけてはつに声をかけた。栄達は自分の身の上を話した。元々は山王寺屋の丁稚で、そこから番頭になり、ついには跡継ぎ娘の菊(萬田久子)の入婿となった。一見、トントン拍子の人生であるが、現在はとてもつらい思いをしているという。跡継ぎ娘の菊には頭が上がらない。菊がはつにつらくあたっているのもわかっている。しかしそれは、彼女が先祖から引き継いだ家を守ろうとするあまりの行動であり、どうか悪く思わないで欲しいと優しく語りかけるのだった。

そこへ、顔面蒼白の惣兵衛(柄本佑)が現れた。幕府がついになくなったというのだ。

1868年(慶応4年)。
徳川が負けて、大坂城に逃げ込んできた。その大坂城にも火の手があがり、炎と煙はあさの家からも見ることができた。あさは、これから世の中がどうなっていくのかと不安になった。町人たちも大騒ぎした。

ある日、新政府から呼び出しがあり、全ての大坂商人が京の二条城に呼びだされた。もちろん、加野屋の正吉も山王寺屋の栄達もそれに応じた。

しばらくして、正吉は疲れきってフラフラと帰ってきた。あまりの衝撃と疲労で家に着くやいなやぎっくり腰になってしまった。

正吉が二条城で聞かされた話というのは、加野屋から10万両を準備しろという命令だったという。
新政府は江戸に向かって出兵することを計画しており、そのための軍資金が必要なのだという。10万両といえば、千両箱100個分に相当し、それは途方も無い金額だった。加野屋の面々は頭を抱えた。
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