NHK『あさが来た』第70回

本厄もあと半月で終わりだと気付いて、ほのかに夢と希望の湧いてきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第70回めの放送を見ましたよ。

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第12週『大阪一のおとうさま』

ある夜、あさ(波瑠)は娘・千代をあやすため近所を散歩していた。すると、新次郎(玉木宏)とサトシ(長塚圭史)が連れ立って歩いているのを見つけた。
こっそり様子をうかがうはずだったが、あさはくしゃみをしてしまい、ふたりに見つかった。それで、あさも合流してサトシから話を聞いた。

サトシこと松造の母は、彼とふたりで町から逃げ出した直後に亡くなったという。サトシはその後やっとのことで失踪した父を見つけたが、ずっと貧しい暮らしをしていたという。

サトシは、炭鉱に爆薬を仕掛けたのは自分であると認めた。
動機は、加野屋が憎かったことにあると白状した。金の亡者である加野屋が、金貸しの片手間で炭鉱にまで手を出したことが気に入らなかった。事故が起きれば手を引くと思ったのだ。あさが常々語っている「石炭が日本を変える」という決まり文句も空々しく聞こえていたという。

雁助(山内圭哉)が事件のことを警察に通報したため、サトシは鉱山から逃げざるを得なかった。おそらく日本中に手配され、今後はもうどこの鉱山でも働くことができないだろう。そのため、加野屋に放火するつもりで大阪に来たのだという。自暴自棄になり、加野屋もろとも破滅しようと企んだのだ。
しかし、今はその気も失せたという。大阪に来てみれば、正吉(近藤正臣)の先が短いことがわかった。引退したとはいえ正吉が今でも加野屋の大黒柱である。正吉が死ねば、加野屋は放っておいても滅亡すると思ったからだ。

新次郎は、サトシの今後を深く心配した。それと同時に、サトシがひねくれてしまったのは自分のせいだと後悔した。サトシの家が潰れそうになった時、自分が何も手を差し伸べられなかったのが原因だと思ったのだ。
新次郎は、今こそサトシのために手を尽くす時だと考えた。仕事の世話や住居を手配してやろうと申し出た。そして、自分の財布を取り出して、当座の金を渡そうとした。

そんな新次郎の様子に、サトシは気分を害した。
あさも、新次郎の対応は誤りであるとして、止めた。

それまで黙っていたあさが、一気に話し始めた。
あさは、サトシが加野屋を憎み、復讐を企てるのも無理はないことだと認めた。
しかし、炭鉱を道連れにすることは大きな誤りだと指摘した。爆薬を仕掛けて落盤させるなど、一歩間違えば大勢の死人が出てもおかしくはなかった。それに、長期間の休業になって一番困るのは鉱夫たちだ。たとえ加野屋の資産を全てつぎ込んだとしても、鉱夫たちの今後の生活の安定は補償できない。
サトシは、みなから一目置かれる立派な鉱夫であり、組頭であった。そんなサトシが、他の鉱夫たちの生活を壊し、申し訳なくは思わないのかと問い詰めた。

あさは、今こそ厳しく接する時だと考えていた。炭鉱や鉱夫たち、そして家を守るためには偽善者でいるわけにはいかないと決意していたのだ。

サトシは、優しくしようとする新次郎ではなく、厳しい態度のあさの方に共感した。
サトシは加野屋から暖簾分けを受けるときに、自分の父が正吉から言われたという言葉を思い出した。正吉によれば、なにがあっても温情で金の貸し借りはできないと言ったのだという。そのせいで自分の家は潰れてしまったが、その冷酷さは家を守るために必要なことだと理解もできると話した。
故に、自分に情けをかけようとしている新次郎ではなく、冷酷なあさの言うことの方が理解できるという。
サトシは、あさの言うとおりだと思い、深く頭を下げて謝罪した。

サトシは、最後の願いだと頼みこんで、正吉と面会した。
正吉は、サトシの父を助けられなかったことを謝った。当時の自分はしきたりを守ることに固執して、全く手を差し伸べなかった。手を尽くせば、何か助ける方法があったかもしれないが、力不足の自分にはどうすることもできなかったと後悔した。サトシに深く頭を下げた。

正吉は、サトシの父の思い出を話して聞かせた。
当時の大福帳を見せ、サトシの父は字が綺麗で几帳面で、頼りがいのある人物だったと話した。そして、彼の好物だったというまんじゅうを振る舞った。

サトシは泣きながらまんじゅうをかじった。

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NHK『あさが来た』第69回

500 Internal Server Error を吐きたい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第69回めの放送を見ましたよ。

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第12週『大阪一のおとうさま』

新次郎(玉木宏)はあさ(波瑠)に、サトシこと松造(長塚圭史)のことを話した。

松蔵の父は加野屋の番頭をしており、新次郎と松蔵は同い年ということもあり、とても仲が良かった。
しかし、松造の父が加野屋から暖簾分けして両替商を始めた途端、松造の家は没落した。

松蔵は、自分たちの不幸は加野屋のせいだと思い込んだ。そのため、新次郎との仲も険悪になった。
松蔵は、新次郎の父・正吉(近藤正臣)は金の亡者で、人でなしの人殺しだと罵った。正吉のせいで松蔵の父は失踪し、家も潰れた。加野屋も同じように潰れればいいと言うのだ。

新次郎は内心では、松造の言葉にも一片の真実があると思った。しかし、自分の父を侮辱されたことで頭に血がのぼった。
新次郎は松蔵に飛びかかり、取っ組み合いの喧嘩になった。新次郎が人と喧嘩をしたのは、後にも先にもこの時だけだった。
そしてその次の日、松造は母と共に姿を消した。
この時から、新次郎は金を扱う仕事が大嫌いになった。だから、家で真面目に働かないのだ。

同時に、喧嘩別れしたものの、新次郎は松造のことがずっと気になっていた。家が潰れて、あのまま死んでしまっていたらどうしようかと心配していたのだ。
そのため、九州の炭鉱で彼を見かけた時はとても嬉しかったという。子供の時以来会っておらず、名前も変えていたが、力強い目つきは昔のままなので、すぐに松蔵だとわかったという。
しかし、彼に対する引け目もあって話をするきっかけを作ることができなかった。次に会った時にゆっくり話をしようと思っていたのだという。

そう考えていたが、松造が坑道に爆薬を仕掛けて加野屋に復讐し、そのまま行方をくらましてしまった。
新次郎は、自分が松蔵ともっと早くに話をしていれば坑道爆破事件を防げたかもしれないと悔いた。新次郎は泣きながら、あさに深く頭を下げた。
いつまでも悔し涙を流す新次郎と、あさは優しく抱きしめるのだった。

その頃、加野屋の周囲を怪しい男が徘徊しているという噂が持ち上がった。
ふゆ(清原果耶)によれば、体つきのしっかりした男で、加野屋を恨みがましく睨みつけていたという。

あさたちは、それは松造であると推理した。
榮三郎(桐山照史)や亀助(三宅弘城)も松蔵の恨みは知っており、家に火でもつけられるのではないかと警戒した。
しかし、新次郎が彼らをなだめ、この件は自分に任せて欲しいと言うのだった。

その夜遅く、出かけていた新次郎は松蔵を伴って帰ってきた。

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NHK『あさが来た』第68回

本ドラマのまとめ記事も70回近く続いて割と順調なようだけれど、過去には『おひさま』の連載64回で止めてしまった例もあるので油断がならないと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第68回めの放送を見ましたよ。

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第12週『大阪一のおとうさま』

九州の加野炭坑から帰って来た亀助(三宅弘城)の話によれば、報告によれば、サトシ(長塚圭史)が炭鉱から姿を消したという。
雁助(山内圭哉)が赴任した日、雁助とサトシは何やら随分と話し込んでいた。それから何日かして、サトシは荷物を全てまとめて行方をくらましたのだという。

それから亀助は、落盤事故の後始末に手間取っていることも報告した。
岩盤が緩んでしまっているので、闇雲に新たな坑道を掘ると再度崩れる恐れがあるのだ。地盤調査には思った以上に日数が掛かりそうだし、費用も随分と嵩みそうなのだという。

その話を聞いた当主・榮三郎(桐山照史)は炭鉱を売却すると言いだした。事故の後始末にかかる費用は仕方ないが、元通りに復旧させるのは諦めるというのだ。現在の加野屋にその費用を賄うだけの余裕はなく、下手をすると破産するからだという。そもそも両替商であった加野屋が炭鉱に手を出したのも間違いで、そのせいで事故が起きたと主張した。

あさ(波瑠)は反対した。
前所有者・櫛田(木村佳乃)とは、炭鉱を宝の山にすると約束して買った手前、軽々しく手放すことはできないと口答えした。それに加え、加野屋が新たに銀行として再出発するためには莫大な資金が必要であり、それを稼げるのは石炭事業しかないと主張した。

いつも物静かな榮三郎であったが、珍しく大きな声を上げた。今の加野屋は潰れるかどうかの瀬戸際で、炭鉱の再稼働や銀行開業などと言ってられないというのだ。
それからというもの、あさと榮三郎の中は険悪になった。

数日後、雁助から手紙が届いた。
炭鉱の復旧にかかる費用や工程表の事細かな報告書が同封されており、炭鉱での仕事を始めたばかりなのに如才ない雁助の手際に一同は舌を巻いた。

また、雁助の手紙ではサトシのことも報告されていた。
鉱夫から聞き取りをしたところ、サトシの組の者たちが坑道に火薬を仕掛けたことが判明したという。さらに、サトシは加野屋が炭鉱を買ったことを最初から快く思っていなかったことも分かったという。今すぐに追跡してサトシを捕まえたいところだが雁助は炭鉱の復旧で忙しく身動きがとれないため、警察に通報して任せることにしたという。
そんな中、親分・治郎作(山崎銀之丞)は、サトシは根はいい者だから許してやって欲しいと懇願されていると報告した。

そして、サトシは「松造」に間違いなかったとも記されていた。
それは新次郎(玉木宏)と正吉(近藤正臣)の予想通りだった。

寝室で、新次郎はあさに、サトシこと松造のことを話した。
松蔵は新次郎と同い年の幼なじみだったという。父は加野屋の大番頭で、しばらくして暖簾分けをしたという。ところが、暖簾分けをした店は思い通りに行かず、程なくして一家は惨めな思いをしながら町を出て行った。

あれだけ仲の良かった松造が、新次郎に向かって最後に言った言葉が「人殺し」だったのだという。

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NHK『あさが来た』第67回

昨日は映画『母と暮らせば』(監督・山田洋次)を見てきたわけだが、黒木華が期待通りに可愛かったということ以外の感想としては、同じように不慮の死を遂げた夫や長男のことはほとんど顧みないのに、どうして母(吉永小百合)は次男(二宮和也)にばかり執着していたのかよくわからなかったということである当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第67回めの放送を見ましたよ。

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第12週『大阪一のおとうさま』

明治10年(1877年)。加野炭鉱の落盤事故から1ヶ月が経った。

心臓の発作で倒れた正吉(近藤正臣)は3日間意識を失っていたがやっと目を覚ました。心臓の悪いことを新次郎(玉木宏)や榮三郎(桐山照史)には秘密にしていたが、もう隠し切れなくなった。それでも、正吉が意識を取り戻したことで、彼らも安堵した。

正吉が目を覚ました時、あさ(波瑠)は留守だった。心臓によく効く舶来物の薬があるという噂を聞きつけ、それを買いに出かけていたからだ。

あさはでかけたついでに、五代の寄り合い所に久しぶりに顔を出した。
他の商人たちからは、九州・加野炭鉱の落盤事故について声をかけられた。彼らは怪我人が出たのにまだ続けるのか、女だてらに炭鉱に手を出すからだ、などと厳しい声をかけられた。
古い馴染みの山屋(南条好輝)だけは、あさのことを心配してくれた。そもそも九州の炭鉱を紹介したのは彼だから悔やんでいるのだ。彼は、今回の事故で加野屋が潰れるのではないかと噂になっていることも教えてくれた。

居心地の悪い思いをしたあさは、すぐに帰ることにした。すると、通りがかった五代(ディーン・フジオカ)に声をかけられ、しばし話をした。
五代は、あさには爆薬を仕掛けた犯人の目星が付いているのだろうと聞かれた。しかし、あさは人を疑うことはしないと言って、何も答えなかった。
五代は、誰に対しても優しいのがあさの良い所だと褒めた。しかし一方で、人の上に立つ者は、時には非情にならなければならないと諭した。あさは黙っているだけだった。五代は言い過ぎたことを悟って、話を打ち切って去っていった。

近頃、五代には心を痛めている事があったのだ。
鹿児島で西郷隆盛が政府に対して反乱し、西南戦争が起こった。五代は西郷と同じく薩摩の出身であるし、政府で指揮をとる大久保利通(柏原収史)も同様である。同郷の者同士が戦うことに複雑な思いを抱いているのだ。
五代自身、非情にはなりきれないでいたのだ。

加野炭鉱に赴任した雁助(山内圭哉)と入れ替わりに、亀助(三宅弘城)が大阪に帰ってきた。
亀助の報告によれば、怪我をした治郎作(山崎銀之丞)の治りは早く、すでに杖を付きながらではあるが、一人で歩けるほどに回復したという。また、鉱夫たちは強面の雁助の言うことはよく聞いており、統率も取れているという。一同は安心した。

ただひとつ、亀助は気になることも報告した。
サトシ(長塚圭史)が出奔したというのだ。

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NHK『あさが来た』第66回

11月25日放送の『ためしてガッテン』で酒粕漬けを見て、マシュマロの粕漬けに挑戦したり(山瀬まみが大絶賛。確かに激烈にうまかった)、今日の昼は鶏肉の粕漬けを焼いて食べようと計画したりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第66回めの放送を見ましたよ。

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第11週『九転び十起き』

加野炭鉱の事故現場から治郎作(山崎銀之丞)が救出された。彼は、とっさに側道へ逃げ込み、比較的軽症で助かったのだ。一同は彼の無事を喜んだ。

五代(ディーン・フジオカ)は現場で火薬の痕跡を見つけた。誰かが故意に落盤させた可能性があり、事故ではなく、計画的な事件ではないかと言うのだ。
しかし、あさ(波瑠)は五代の調査に感謝しつつも、犯罪説にはほとんど取り合わなかった。あさは鉱山を復旧させることだけを考えており、犯罪行為かどうかは興味の外にあった。
五代はあさの態度に呆れてしまったが、あさの意向を汲み、大阪へ帰って行った。

その後、警察の取り調べが始まった。
あさが鉱夫たちを互いに競わせるような制度を作ったため、鉱夫たちは安全対策よりも自分の欲望を満たすことを優先したことが事故につながったと結論付けられた。あさは厳しく追求されることになった。

一通りの取り調べが終わり、あさはやっと大阪へ帰ってきた。
加野屋では後始末にかかる費用の計算が行われた。炭坑の復旧、怪我をした治郎作への見舞金、鉱夫への休業補償などに莫大な金が必要となった。新次郎(玉木宏)は、それらの費用を削ることは人の道に外れる行為であり、きちんと支払うべきだと主張した。
しかし、当主の榮三郎(桐山照史)や大番頭・雁助(山内圭哉)は反対した。現在の加野屋の経営状況では捻出が難しい額だからだ。そればかりか、再度事故が起きれば、加野屋は破産だというのだ。

ついに雁助は、加野炭鉱は手放すべきだと主張した。あさは反論することができず、塞ぎこんでしまった。

夜、あさと新次郎はふたりきりで話をした。
新次郎は、負けのない人生はつまらないと明るく話した。勝ってばかりいたら、人の心のわからない人間になってしまう。今回の失敗は神様に与えられた試練だというのだ。「七転び八起き」の精神で頑張れと励ました。
あさはこれまでの挫折を数えてみた。(1)明治維新による混乱、(2)つわりの苦しみ、(3)今回の鉱山事故の3つしかなかった。まだまだ転んだ回数が少ないと思った。むしろ回どころか、9回転んで10回起き上がることを決意した。
こうしてあさは元気を取り戻した。

ある日、正吉(近藤正臣)は雁助を自室に呼び、ふたりきりで話をした。
正吉は、雁助に加野炭鉱へ赴任することを頼んだ。正吉は、石炭産業は今後も発展し、加野屋を支える重要な収入源になると信じている。しかし、すでにあさ一人の手には負えなくなってしまった。かと言って、新次郎や榮三郎を送り込むこともできない。正吉が最も信頼している雁助以外に、炭鉱や加野屋を救えるものはいないと言うのだ。
雁助は正吉に珍しく口答えをした。自分は正吉の言うことはなんでも聞く覚悟で仕えてきたが、大阪の加野屋を離れることだけはできないと断った。
正吉はもう一度頼んだ。これが自分の最期の頼みであり、たとえ死に目に会えなかったとしても、雁助に行って欲しいのだと説得した。そうまで言われると、雁助は断ることができなくなった。

こうして、雁助は加野炭鉱に赴任した。
炭鉱に着くや否や、雁助はサトシ(長塚圭史)の姿を探した。それも正吉からの指示だった。
雁助はサトシの顔に見覚えがあった。雁助は声をかけ、サトシを「松造」と呼びかけた。サトシも雁助のことをおぼろげに思い出し、呆然とした。

その頃、大阪では正吉が発作を起こして倒れた。

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NHK『あさが来た』第65回

主題歌「365日の紙飛行機」のMP3をamazonで購入しようと思ったのだけれど、同じ歌のはずなのにアルバムによって収録時間が異なるのでどれを買えばいいのか迷っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第65回めの放送を見ましたよ。
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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱で大きな落盤事故が起きた。
夜のことだったので鉱夫たちはみな宿舎で休んでいて無事だったが、不審な点を見つけて坑道に入った親分・治郎作(山崎銀之丞)が巻き込まれた。坑道の奥で火があがり、大量の煙も充満している。消火作業や治郎作の捜索は難航した。

この事故はサトシ(長塚圭史)が仕組んだものだった。鉱夫たちに被害が出ないよう、夜中に事故が起きるようにしていた。しかし、治郎作が様子を見に入ることは想定外だった。

鉱夫の福太郎(北原雅樹)は馬で一睡もせずに大阪まで駆け抜け、賀野屋に事故を報せた。
娘・千代が生まれ、平穏な日々を過ごしていたあさ(波瑠)であったが、報せを受けると即座に緊張し、すぐに九州への旅支度を始めた。

周囲の者は、あさが九州へ行くことを止めようとした。女が夜を徹して旅をするなど、いつ山賊に襲われてもおかしくない。とても危険なことなのだ。
しかし、あさはすぐに駆けつける決意でいた。あさにとって、加野炭鉱は我が子も同然なのである。大阪で千代を産み育てることと同様に、加野炭鉱を守り拡大させることも重要だと考えているのだ。

みなが反対する中、新次郎(玉木宏)だけはあさの味方をした。新次郎は、あさの考え方を理解しており、そのような考え方をする女性だからこそ愛しているのだ。千代の世話は全て自分が引き受けると約束し、子供のことは気にせずに行けと応援した。

あさの出発について押し問答をしていると、五代友厚(ディーン・フジオカ)がやって来た。彼も福岡に炭鉱を持っており、現地の部下から加野炭鉱の事故の報せを得たのだという。五代の炭坑からも煙が見えるほどの大事故だと報告を受け、心配で様子を見に来たのだ。
そして、あさの護衛として一緒に九州へ行くことを申し出た。こうして、あさの現場入りが決行された。

あさが加野炭坑に到着した時、まだ煙は収まっていなかった。桶で水を運んで消化しているのだが、火元が遠いためはかどらないのだという。しかも、煙の勢いもあり、治郎作もまだ見つかっていないという。

あさは、治郎作の妻・カズ(富田靖子)に面会した。
カズは、山に事故は付きものであり、鉱夫は常にそれを覚悟して働いているのだと話した。治郎作もそうであったし、その妻である自分も覚悟はしていたのだと気丈に答えた。
しかし、あさの顔を見て、そこまでしゃべると気が抜けてしまった。あさの胸に抱きついて泣き出してしまった。

そこへサトシがやって来た。
サトシは、あさを詰った。今回の事故の原因はあさにあるというのだ。あさが、採れ高に応じて報酬を出すことにしたため、鉱夫たちは競い合って掘るようになり、安全対策が疎かになった。そのために発生した事故だというのだ。
その上、これほど大きな事故が起きれば、加野炭鉱はしばらく閉山となり、鉱夫たちの働き口がなくなってしまう。加野屋も炭鉱を手放すことだろう。食いっぱぐれた鉱夫に対してどう責任をとるつもりだと詰め寄った。

カズはサトシの言い分に反対した。
鉱夫ならば、いつ仕事が失くなっても仕方がないと割りきって働いていたはずだ。今さら、今後の働き口の世話を要求するなど筋違いだと言うのだ。それに、あさが来るようになってから鉱山に活気が出てきた。あさには感謝をすべきで、責任を追求するべきではないと弁護した。

そのようなカズの応援であったが、あさの考えは違った。
あさは、まさに自分に責任があると後悔していた。出産のためとはいえ、自分が鉱山を離れたことに原因があるのだと認めた。留守にしたために細かい所に目が行き届かなくなり、それが事故の原因だと言うのだ。経営者として責任はとると述べ、深く頭を下げた。

そこへ、五代がやって来た。五代は、事故現場を調査してきたのだ。
すると、そこには火薬が落ちていたという。つまり、今回の事故は偶発的なものではなく、誰かが計画的に仕組んだものだと言うのだ。

そして、親分が見つかったという声が上がった。

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NHK『あさが来た』第64回

珍しくスーツを着て寝ているところを起こされたのだけれど、小さすぎてどこにいるのかわからない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第64回めの放送を見ましたよ。


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第11週『九転び十起き』

あさ(波瑠)は、難産ながらも元気な女の子を産んだ。

久しぶりの明るい出来事に、家中の者はみな喜んだ。
新次郎(玉木宏)が喜んだのももちろんで、あさに心の底から感謝した。

生まれた子供は、正吉(近藤正臣)が千代と名付けた。この先、永遠に店が栄えるようにとの願いを込めたのだ。あさも新次郎もその名前を気に入った。

生まれた子が女の子だったため、家の跡取りにはなれない。新次郎はそのことを申し訳なく思った。
しかし、よの(風吹ジュン)は全く気にしていないどころか、女の子で良かったと言うのである。その理由は、男の子だったら生まれつきの才能の出来具合で家の将来が決まってしまう。一方、女の子だったら、いくらでも出来の良い婿養子を取ることができるというのだった。
新次郎は、母の屁理屈に呆れながらも、女の赤ちゃんであることが受け入れられて安心した。

あさは、しばらくの間は一切の仕事をせず、千代の世話と体調の回復に専念した。しかし、ほどなく仕事に復帰し、以前と同じように第一線で働き始めた。
代わりに、新次郎は遊びに行くことをキッパリとやめてしまった。家にいて、甲斐甲斐しく千代の世話をするのだった。榮三郎(桐山照史)などは、それほどのマメさがあるなら、少しは家業の手伝いもしてほしいとこぼすほどだった。

あさは、そろそろ九州の炭鉱へ様子を見に行きたいと言いだした。現場を任せている亀助(三宅弘城)から手紙で報告は届いており、順調であることはわかっている。しかし、うまく行っているからこそ気を引き締める必要があり、自分のように厳しい人間が睨みを利かせる必要があるというのだ。
また、このことは誰にも話さなかったが、あさはうまく行きすぎていることを却って不審に思っているのだ。何か、良くないことが隠されているという胸騒ぎがしていた。

そんなあさに対して、榮三郎と雁助(山内圭哉)はふたりでコソコソと話をした。
あさは、炭鉱事業を拡大し、そこで設けた資金で銀行を開こうとしているのだ。しかし、榮三郎と雁助は加野屋が銀行を行うことに反対だった。けれども、加野屋の利益のほとんどは炭鉱事業から生み出されており、それを主導するあさに対して表立って反対はしにくかった。加えて、正吉もあさに肩入れしているため、ますます声を上げにくい。

雁助は、榮三郎こそが正当な当主なのだから何も遠慮することはないと励ました。そして、何があっても自分は榮三郎の味方だと約束するのだった。

そのころ、九州の加野炭鉱で事件が起きた。
終業後、親方・治郎作(山崎銀之丞)が歩いていると、炭坑の中から何人かが走り出てきたのを見た。もう作業は終えているので、鉱夫が中にいるはずはないのである。
治郎作は様子を見るために炭坑に入っていった。すると炭坑の奥で爆発が起きた。

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NHK『あさが来た』第63回

昨日は大阪証券取引所の前にある五代友厚の像を見学に行き、そのあまりのデカさ(台座から頭のてっぺんまでで2階建て以上の高さがあった)にびっくりぽんだった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第63回めの放送を見ましたよ。
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第11週『九転び十起き』

秋になった。
初夏に髷を切った新次郎(玉木宏)らの髪も生えそろい、男前が上がった。

妊娠しているあさ(波瑠)の腹もずいぶん大きくなり、胎児は順調に育っていた。
あさは赤ん坊が自分の腹を蹴る度に幸せな気分になった。一方で、腰が痛くなったり、足が攣ったりすることもしばしばで、思い通りにならない自分の体が不甲斐なく思った。
それでも、生まれてくる子供のためにやれることは何でもやろうと思うのだった。近頃では、新次郎との合言葉が「安全第一」となっており、子供が無事に生まれてくることを何よりも優先していた。

そんな折、ちょっとした騒動が起きた。
これまでほとんど喧嘩らしい喧嘩をしたことのない正吉(近藤正臣)とよの(風吹ジュン)が大喧嘩を繰り広げたのだ。しかも、その原因にはあさの妊娠が関わっていた。
出産の際に、医者にかかるか、産婆に手伝ってもらうかでふたりの意見が割れたのだ。

正吉は、西洋の最先端の医学知識を持つ医者に分娩を任せるのが良いと考えている。つわりの重かったあさの事なので、出産時の体調のことも心配である。その点、医者ならば不自由のない対応ができるというのだ。
一方のよのは、産婆を推していた。昔ながらの産婆ならばたいていのトラブルに対応できるし、なにより女のことは女に任せるのが一番だというのだ。ましてや、いくら医者とはいえ、女は夫以外の男に体を見せるべきではないというのだ。

あさは、自分のせいで舅と姑が仲違いしたことに心を傷めた。
そこで、玉虫色の解決策を講じた。医者と産婆の両方に診てもらうというのだ。多少費用はかさむが、正吉とよのの両方の顔を立てることができる上、「安全第一」の考え方に従い万全の体制で望むことができるからだ。

産婆(春やすこ)と医者(関秀人)を同時に呼び、検診を受けた。
産婆と医者にとっても初めてのことであったが、彼らの関係も良好だった。あさの妊娠は順調であと10日ほどで子供が生まれるという見立てに関してもふたりの意見は一致した。
正吉のよのも仲直りし、八方が丸く収まった。

検診が終わった直後、正吉が胸の発作を起こし、ひどく苦しんだ。幸い、居合わせた医者が手当をして、大事には至らなかった。よのの話によれば、正吉の発作はしばらく前からあったのだが、日に日に発作の程度がひどくなっているという。
正吉は、あさに向かって、家の者には秘密にしておくよう約束させた。特に跡取りの榮三郎(桐山照史)は小心者なので、動揺して手がつけられなくなるからだと言うのだ。また、正吉は、家の者に対しては堂々とした態度でいたいのだと説明した。だから、情けない姿は絶対に見せたくないという。
そう言われると、あさも承諾せざるを得なかった。

あさとふたりきりになった時、よのはあさに感謝した。
よのは産婆を頼むつもりだったが、あさが医者も呼んでくれたおかげで正吉の応急処置ができたからだ。よのの意見だけを飲んでいたら、どうなっていたかわからない。
加えてよのは、あさに無事に子供を産むよう頼んだ。どうか正吉に孫の顔を見せてやって欲しいと言うのだった。

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NHK『あさが来た』第62回

今日は意外と大事な日にもかかわらず、朝ドラ仕事だけは欠かさない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第62回めの放送を見ましたよ。

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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱では、サトシ(長塚圭史)が密かに企みを抱いていた。加野屋が炭鉱の経営をできなくなるようにしてやろうしているのだった。

あさ(波瑠)はサトシの態度の不審さが気になっており、本心がわかるまで炭鉱に残るつもりでいた。しかし、日に日につわりが酷くなるばかりである。新次郎(玉木宏)に促され、亀助(三宅弘城)だけを残して大阪に帰ることになった。
炭鉱で働く者たちは、あさを明るく送り出した。それはまるで大きな家族のような様子だった。

帰阪したあさは、それから1ヶ月ほど酷いつわりが続いた。しかし、初夏の頃にやっと落ち着いてきた。外出したり、軽い掃除程度なら難なくできるようになった。

その頃、あさの実家が日本で初の銀行を開業した。
正吉(近藤正臣)は店の現在の経営陣である、跡取り・榮三郎(桐山照史)、後見人・新次郎(玉木宏)、大番頭・雁助(山内圭哉)の3人を集め、銀行について話した。
正吉によれば、あさは3年も前に加野屋でも銀行業を営むことを提案していたという。しかし、その時の正吉は時期が違うと言って断った。ところが、今になって考えてみれば、加野屋は本業の両替商ではほとんど利益は上げていない。儲けのほとんどは炭鉱事業に依存するという経営体質である。今後の事業計画をよく考えるべきだと助言した。
しかし、あくまで最終判断は現在の経営陣であるといい含め、正吉は判断を行わなかった。

3人は、彼らだけで集まってもう一度銀行経営について話し合った。
雁助は銀行経営に反対だった。両替商が時代に合わないことは事実だが、銀行というものも一時の流行に過ぎず、本腰を入れるべき事業ではないという意見だった。加野屋は両替商の伝統を守り、優良顧客を獲得して従来の商売を続けていけば良いと述べた。
榮三郎も同意だった。銀行を推進したがっているのは、五代(ディーン・フジオカ)など洋行帰りの者たちばかりである。異国かぶれの者の意見など聞く必要はないと断じた。

新次郎にも意見を求められた。彼は、外国文化のことを軽蔑していなかった。外国のものでも、良い物はどんどん取り入れるべきだと考えていた。
ただし、彼の意見は経済のことではなかった。店の経営には全く興味はなく、榮三郎と雁助に全て任せると告げた。その代わり、他の点で外国文化を取り入れることばかり考えていたのだ。
新次郎は、榮三郎と雁助を強引に連れ出し、どこかへ出かけていった。

3人の留守中、五代が訪ねてきた。他に誰も居ないため、あさが応対した。
五代は、妊娠中のあさに対して、無理はせずに子を産むことに集中するようアドバイスした。子供を産み育てることは、他のどんな産業よりも国のためになるというのだ。人はどんなに働いても、墓場まで金はもっていけない。生きている間にすべき事は、後世に何かを残すことだと話した。今のあさがすべき事は後世に人を残すことである言うのだ。
一方の五代は、後世のために大阪経済の再生に尽力していると話した。最近は、かつての賑わいをなくした大阪の米会所を復興させるべく働いているという。

そのような話をしていると、店の方から家の者たちが騒ぐ声が聞こえてきた。
新次郎らが驚くべき姿になって帰って来たのである。

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NHK『あさが来た』第61回

ダノンのヨーグルト「オイコス」の広告に出ている黒木華さんを見るだけで幸せな気分になれる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第61回めの放送を見ましたよ。


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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱で働いている最中、あさ(波瑠)の妊娠がわかった。あさのつわりは重く、食べ物はおろか、水すら喉を通らない。
それにもかかわらず、あさは大阪に帰ろうとしない。組頭・サトシ(長塚圭史)の態度に不審な点があり、それが気になって炭鉱を離れられないのだ。

あさが帰ってこないことを心配した新次郎(玉木宏)とうめ(友近)は、あさを連れ戻すべく九州の加野炭鉱へ向かった。

炭鉱に到着した新次郎は、あさを抱きしめた。
新次郎とあさは結婚して11年になる。その間、明治維新の混乱があり、加野屋の立て直しのためにあさは働き詰めだった。今でも、九州の炭鉱に入り浸りで、大阪の新次郎とは別居である。もう子供はできないと諦めていたのに、子供ができて嬉しいと言って新次郎は涙ぐんだ。

いつもなら新次郎に抱きすくめられると喜ぶあさであったが、今は違った。つわりのせいで、新次郎の鬢付け油の匂いにすら吐き気を催すのだった。新次郎が水筒を差し出し、水を飲んで落ち着けと言っても、あさは断った。

新次郎は、水筒に入っているのは自分が淹れたお茶だと勧めた。そう聞いたあさは、するりと飲むことができた。
さらに新次郎は、はつ(宮﨑あおい)から送られてきたみかんを持参していた。そのみかんを食べてみると、とても美味しかった。さらに、その香りは、あさの心を落ち着けた。あさは寝床でみかんの皮を手に持ち、その香りを嗅いでばかりいた。

新次郎は、野外で亀助(三宅弘城)を捕まえ、大阪に帰ってこない理由と問い詰めた。亀助は、態度のおかしい組頭が居て、それが気になって帰れないことを説明した。
新次郎は、その組頭の顔を見た。すると、どこか見覚えのある顔だった。亀助から「サトシ」という名を聞き、ますます思い当たる節があった。

サトシは新次郎と目が合うと、無言でぷいと炭坑の中へ入っていった。炭鉱支配人・宮部(梶原善)は、炭鉱の所有者への態度がなっていないことを心配した。宮部が追いかけて注意すると、サトシは悪びれることもなく、呑気な金持ちを見ると虫唾が走ると吐き捨てるのだった。
そして、このようなことももう終わりだとつぶやいた。

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