NHK『あまちゃん』第132回

フジテレビの『世にも奇妙な物語’13秋の特別編』(放送日時不詳)の「ある日、爆弾がおちてきて」というドラマにセーラー服姿の黒木華が登場すると聞いて胸をときめかせたのだが、なんだか昭和のビニ本のモデルみたいな雰囲気で少々微妙な気分になりつつも、むしろそれがいいんじゃない!と気持ちを切り替えたらニヤニヤが止まらなくなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第132回めの放送を見ましたよ。

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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

2011年3月5日(土)映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』が公開された。まずまずの好評で、アキ(能年玲奈)の地元・北三陸市でもグッズ販売が好況だった。

東京EDOシアターでは、3月12日(土)にアキとGMTのジョイント・コンサートが開催されることとなり、アキはその稽古に参加していた。アイドルになることを夢見て上京し、いつか自分も立ちたいと思っていたステージで歌えることとなり、アキは大いに喜んだ。一緒に下積みをしたGMTのメンバーと共に、思い出のリハーサル室「奈落」で練習できることも喜びの一つだった。アキは昔のことを忘れておらず、すぐにみんなと馴染んだ。

そんな中、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が春子(小泉今日子)を訪ねた。自分をスリーJプロダクションの所属女優にして欲しいというのだ。長い間、個人事務所として仕事をしてきたが、それにも限界を感じ、良い事務所を探していたのだという。春子が業界の悪しき風習にこだわらず、自分の信念を貫く押しの強さに感服し、春子にマネージメントを頼みたいというのが理由だ。アキを一人前のアイドルに育て上げた手腕も高く評価している。荒巻(古田新太)は、夫としてはいい人だが、仕事のパートナーとしてはほとんど評価していないという。春子は、鈴鹿が自分に白羽の矢を立たことに困惑するとともに、私生活をひた隠しにしている彼女が自分の婚姻関係についてさり気なく告白したことに激しく驚いた。しかし、その雰囲気に飲まれ、鈴鹿の申し出を受け入れた。

アキと春子は、東京の街を歩いていた。ふと春子は、自分の来し方を振り返った。これまで春子は、アイドルに憧れて家出したことを後悔して生きてきたのだという。しかし、上京したことで正宗(尾美としのり)と出会い、アキが生まれた。自分の叶えられなかった夢をアキが実現してくれた。しかもアキは、自分と鈴鹿が和解するというおまけまで付けてくれた。春子は何もかもが信じられなかった。しかし、アキのお陰で今の幸せな自分があると思うのだ。春子はアキに「ありがとう」と感謝した。
アキは気恥ずかしかった。自分の話題からはぐらかすために、春子が正宗と正式に復縁する気があるのか聞いてみた。春子は気軽い口調でそれを肯定した。

アキは、ユイ(橋本愛)にコンサートのチケットを贈った。ユイは東京でアキの晴れ舞台を見ることをとても楽しみにしていた。3月11日に北三陸を出発し、翌12日の朝に上野に着く計画を立てた。その日にアキのコンサートを観て、しばらく東京に滞在し、3月16日(水)には北三陸に帰るという。

北三陸の人々は、ユイの上京がついに実現できそうなことを喜んだ。その一方で、誰も口には出さなかったが、みんなにはユイがこのまま帰ってこないという予感もあった。ユイは誰にも何も言わなかったので、彼女の本心はついにわからなかった。

東京では水口(松田龍平)が荒巻にユイのことを話していた。ユイが上京するので、一度会ってみて欲しいと言うのだ。荒巻はそれに応じ、会う約束をしてくれた。

3月11日の午後、アキとGMTのリハーサルは大詰めをむかえていた。明日のリハーサルは絶対に成功させようと、気合も十分だった。

北三陸駅では、町の人々のほとんどが集まり、ユイの旅立ちを見送っていた。ただし、夏(宮本信子)だけは体調が良くないと言って自宅で寝ていた。最近は地震が頻発し、一人暮らしの夏の身が案じられたが、今はユイの出発を祝福することが優先された。

14:30ころ、ユイを乗せた列車は北三陸駅を出発した。

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NHK『あまちゃん』第131回

ダウンロード版のみで発売されたSachiko Mの歌う「潮騒のメモリー(秘蔵デモ)」を購入した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第131回めの放送を見ましたよ。

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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

2010年暮れ、アキ(能年玲奈)は主題歌「潮騒のメモリー」のレコーディングを行った。レコーディングには荒巻(古田新太)の他、春子(小泉今日子)と水口(松田龍平)も立ち会った。

レコーディングが始まって1時間、アキは5回ほど歌った。上手く歌えていないことは誰から見ても明らかだった。

そんな中、荒巻は集中力を欠いていた。時計を気にして、ケータイでメールをやりとりしてばかりいる。春子は荒巻の態度に腹を立てた。この歌はアキにとってのデビュー曲であり、彼女の人生を左右するものだ。プロデューサーの荒巻が気もそぞろでは困ると言って食ってかかった。

すると荒巻は、春子に手本を示して欲しいと返した。「潮騒のメモリー」を上手に歌えるのは春子だけだと言うのだ。春子は躊躇した。春子がオリジナルの「潮騒のメモリー」を歌っていたことは一生の秘密であり、その場には何も知らないスタッフもいる。荒巻が不穏なことを言い出したので、春子は困惑したのだ。

しかし、アキも春子の歌が聞きたいと言う。春子の歌を聞けばコツが掴めるかもしれないと説得した。春子は意を決してスタジオに入った。春子の歌声は少しも錆びついておらず、みんなの心を掴んだ。

そこへ、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が現れた。実は荒巻がメールで呼び出したのだ。荒巻は春子の歌を聞かせながら、鈴鹿のデビュー曲で歌声を差し替えていたことを白状した。荒巻は死ぬまで秘密を厳守するはずだった。しかし、アキに会ってしまったことで、鈴鹿に真相を明かす気になったのだという。鈴鹿は言葉を失う中、ずっと昔に気付いていたような、今はじめて知ったような、不思議な気持ちがするとだけ答えた。

鈴鹿に気付いた春子が録音スタジオから出てきた。鈴鹿は誰よりも先に春子に声をかけ、これまでのことを謝った。自分のせいで春子が表舞台に出られなかったことを深く詫びた。荒巻もそれにならった。そもそも荒巻が春子をゴーストシンガーにすることを決めたのだ。自分のせいだったと言って謝った。

ふたりから謝罪されたが、春子は何も答えなかった。春子はアキに歌えと言って、スタジオへ促した。春子がはぐらかしたため、ふたりの謝罪は有耶無耶になってしまった。しかし、3人はそれで十分に分かり合えた。

そうして、アキの録音が即座に再開された。今度のアキは上手に歌いあげることができた。

レコーディング中、春子と鈴鹿は隣に座っていた。春子は鈴鹿にポツリと話しかけた。アキのお陰で鈴鹿に会えたことを感謝するというのだ。鈴鹿は、アキはいい娘だとだけ答えた。

こうして、主題歌も含めて、映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』は完成した。試写会が開かれ、関係者一同はその出来栄えに感動した。

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NHK『あまちゃん』第130回

サントラCD『あまちゃん 歌のアルバム』には、初回特典として、GMTメンバーのカラーロゴステッカーがどれか1枚ランダムに封入されているのだが、うちに届いたのは喜屋武エレン(蔵下穂波)の紫色だったことをご報告申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第130回めの放送を見ましたよ。

『あまちゃん 歌のアルバム』に付属していたGMT推しメンカラーロゴステッカー

『あまちゃん 歌のアルバム』に付属していたGMT推しメンカラーロゴステッカー


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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

春子(小泉今日子)が東京に帰ってきた日は、映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』の撮影最終日でもあった。春子は自宅に荷物を置くと、撮影スタジオへ直行した。

撮影最終日は、映画のクライマックスシーンの撮影が行われていた。ヒロインが母に別れを告げて島を去るシーンであり、アキがNGばかり繰り返していたシーンだ。

本番中、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は突然台本を大きく逸脱し、アドリブで演技を始めた。セットの中を勝手に歩きまわり、タンスを勝手に開けたりした。タンスの中にはセット作成用のペンキなどが収められており、カメラに写りこむとNGになってしまう。スタッフは慌てたが、監督の荒巻(古田新太)は鈴鹿の演技に流れを任せることとし、ガラクタが写らないよう上手くカメラを回すよう指示した。アキ(能年玲奈)も大いに慌てたが、鈴鹿のアドリブに即興で応じた。

鈴鹿は、タンスの中からボロ雑巾を取り上げた。それをアキに手渡し、「辛いことがあったら、これで涙を拭け」と言った。それは、アキが北三陸を出る時に夏(宮本信子)に言われたとのそっくりな言葉だった。夏は「北の海女」手ぬぐいをアキに渡し、同じことを言ったのだった。その時のことを思い出し、アキは感極まった。自分の経験と演技が重なりあい、感情のこもった名芝居をすることができた。

そのシーンの撮影が終わった。すぐさま映像を確認し、カメラワークを気に入らない荒巻はNGにしようとした。しかし、鈴鹿はアキの演技が最高だったと褒め、そのまま使用するよう主張した。鈴鹿に頭の上がらない荒巻は、それに従わざるを得ない。こうしてカットが採用され、撮影は全て終了した。

花束の贈らえたアキは、スピーチを行った。最初こそ自分の拙い演技が皆に迷惑をかけたことを謝り、憧れの女優である鈴鹿ひろ美と共演できたことに感謝を述べていたが、次第に遠慮のない物言いとなった。荒巻が一度は自分を干したことをあげつらい、それにも関わらず自分をヒロインに抜擢するなど見どころがあると偉そうに述べた。鈴鹿ひろ美のことを何かとめんどくさい性格だと腐し、それさえ直せばもっと良い女優になれるなどと不遜な発言をした。立ち会っていた水口(松田龍平)はヒヤヒヤしたが、みんなは笑って聞き流してくれた。

スピーチの最後で、そこにはいない春子への感謝も述べた。春子は何かと口やかましいく、自分と衝突してばかりだったと言う。しかし、実の母子だからこそ言いたいことも言えるのであり、それを許してくれる母は立派なものだと締めくくった。ちょうどスタジオに到着した春子は、陰からそれを聞くことができた。春子は一人でにんまりとするのだった。

しかし春子は、水口を見つけるや否や、彼を人目のつかないところに連れ込んだ。ユイ(橋本愛)から、アキと種市(福士蒼汰)が付き合っていると聞いたことについて、水口を問い詰めた。予備校の広告契約の条件でアキは1年間の恋愛禁止が課せられているのだ。その約束を破ったことについて、マネージャーの水口の責任を追求したのだ。もとスケバンの春子は暴力に訴えた。水口の襟首を掴み、殴る蹴るの暴行を加えた。水口は震え上がり、ふたりの関係はプラトニックなものだから大事にはならないと弁解するのがやっとだった。

開放された水口は無頼鮨へ向かった。種市にのみ、春子に交際がバレたことを知らせた。プラトニックな関係だと報告してあるので、それを厳守するよう年を押した。しかし種市は、アキとキスしたことを正直に述べた。それを聞いて水口は怒り出すのだった。

その時、アキと鈴鹿は無頼鮨の座敷でふたりだけの打ち上げを行っていた。いつも鈴鹿に食べさせてもらうばかりのアキだったが、今日ばかりは自分が鮨をご馳走すると胸を張った。

ふたりは撮影を振り返り、アキの女優としての才能について話し合った。鈴鹿によれば、相変わらずアキの演技は稚拙で、女優の才能はないと切り捨てた。今日の撮影でのアキの芝居は確かに良かったとは認めた。しかし、あの時カメラの前にいたのは映画のヒロインではなく、自分の経験を思い出して感極まった「天野アキ」本人でしかなかったと指摘した。女優として他人を演じる才能がアキにはないのだ。

鈴鹿は、アキはそのままのアキでよいと付け足した。「天野アキ」という個性的な人物を続けていけば良いとアドバイスした。「天野アキ」を演じる女優としてやっていけばいいというのだ。たとえ女優に向いていなくても、何かを一心に継続していくことも才能である。アキはその才能を伸ばすべきだと助言するのだった。

その日、種市は初めて板場を任された。種市が初めて作った刺し身がアキと鈴鹿に供された。アキはそれを美味しく食べるのだった。

そして、2010年の暮れ、主題歌のレコーディングが行われることとなった。アキは録音スタジオへ向かった。

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NHK『あまちゃん』第129回

今から25年くらい前、山瀬まみさんまのまんまに出演した際(この時は、「二段だもん号泣事件」が起きたことでも有名)、2つに切ったメロンのまん中に牛乳を注いで食べていたわけだが、メロンが手に入れば当然この「山瀬食い」をする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第129回めの放送を見ましたよ。

メロンの山瀬食い。なお、山瀬まみのデビュー曲は「メロンのためいき」

メロンの山瀬食い。なお、山瀬まみのデビュー曲は「メロンのためいき」


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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』の撮影が始まって1ヶ月ほどが経った。海女姿のシーンで、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は夏(宮本信子)を参考に演じているという。鈴鹿から見ても夏はかっこいい女性なのだという。アキ(能年玲奈)は、鈴鹿が夏を参考にしてくれたことを嬉しく思った。

荒巻(古田新太)は公開日や宣伝の計画を立てた。映画の公開日は2011年3月5日(土)と決められた。それに合わせて、2010年末から宣伝活動を始めるという。

そして、映画の主題歌は「潮騒のメモリー」のカバーと決まった。歌うのは「天野アキ feat. GMT&アメ女」とするという。そもそも荒巻の映画プロジェクトはハートフルのアイドルを売り出すためのものである。ヒロインこそアキにしたが、せめて主題歌では荒巻の事務所のアイドルを起用しなければビジネスにならないというのだ。アキの歌唱力にも問題があると指摘された。水口(松田龍平)は不服に思ったが、荒巻の剣幕に従うしかなかった。

北三陸市では、夏がすっかり回復して元気を持て余し始めた。ベッドから起き出て家の中を見て回ると、春子(小泉今日子)のずさんな家事にイライラした。春子は夏の小言を大人しく聞いた。春子は、夏が元気になれば自分と衝突することを予想していた。自分が夏の介護をするのも潮時だと思うのだった。

春子は夏と外出し、ケータイ電話を勝ってやった。自分がいなくなっても、いつでも連絡がとれるようにするためだ。それからスナック梨明日に連れて行った。町の人々は夏の久しぶりの外出を喜んだし、夏もみんなと一緒にいることが楽しそうだった。春子は、夏と町の人々の歓談の輪に入れなかった。自分は蚊帳の外だと思い、疎外感を感じ始めるのだった。

その時、水口から映画の主題歌について連絡が入った。春子は駅の待合室に移動し、ケータイ電話で水口と話した。春子は激しい剣幕でアキとGMTの抱合せに反対した。GMTやアメ横女学園の人気は下降線をたどっており、落ち目のアイドルグループと一緒に売り出すことなど我慢がならないのだ。荒巻は水口から電話を奪って春子と話した。荒巻はビジネスとして映画や歌を売っているのであり、アキ一人では商品価値がないと言い捨てて電話を切った。

駅の待合室を通りがかったユイ(橋本愛)がしばらく前から春子の様子を見ていた。ユイは、電話を終えた春子に話しかけた。ユイは、アキが母親や彼氏に守られていて羨ましいなどと話した。

春子は、ユイが「彼氏」と言ったことを聞き逃さなかった。アキが種市(福士蒼汰)と交際していることは春子に対して秘密にしていたのだが、ユイのうかつな一言でバレてしまった。それで春子は東京に帰ることを決意した。

翌朝早く、春子は夏には内緒で家を出た。

元気になった夏は、今朝からウニ丼販売を再開することにしていた。海女仲間と共に、小屋でウニ丼を作っていた。出荷準備が整った時、夏はウニ丼を一つ取り除けた。夏によれば、今日あたり春子が東京に帰るだろうから、土産に持たせるというのだ。夏は春子を起こしに行った。しかし、春子の寝室はすでにもぬけの殻だった。

夏は、春子に先を越されたことがおかしくて高笑いするのだった。

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NHK『あまちゃん』第128回

ドラマ『夫婦善哉』で尾野真千子が森山未來に膝枕してやるシーンを見ていて、「俺のファーストキスは、女の子に膝枕してもらいながらだったよなぁ」と思い出して甘酸っぱい気持ちになった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第128回めの放送を見ましたよ。

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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』では、アキ(能年玲奈)の演じるヒロインが海で溺れる。そこへ偶然通りかかったイカ釣り漁船の漁師・トシヤに救助される。そして、以前からヒロインに心を寄せていたトシヤが愛の告白をするというシーンがある。ト書きには、ふたりが「貪るような接吻」をすると書かれていた。

アキは困惑した。アキは生まれてから一度もキスをしたことがなかったのだ。大好きな種市(福士蒼汰)以外の男にファーストキスを捧げることはどうしても避けたかった。無頼鮨の裏に種市を呼び出し、相談した。種市も承諾しかねたが、仕事だから仕方がないと言う他なかった。

これまでアキは種市とキスをするチャンスが何度もあった。しかし、その度に怖気づいてしまいキスから逃げていた。けれども、意を決して種市とキスしようとした。けれども、水口(松田龍平)や梅頭(ピエール瀧)に見つかってしまい、未遂に終わった。そのままアキは撮影所に向かった。

アキの相手役は、TOSHIYA(勝地涼)だった。TOSHIYAはツーストリート・ボーイズというダンスチームのメンバーで、若い女性の間で大人気だった。本人が言うには、芝居には全く興味が無いが、たまたまスケジュールが空いたのでオファーを受けたという。彼は当世風の個性的な髪型で、金属製のアクセサリーを身につけている。体は筋肉質であるが、常にクネクネと踊っているかのような立ち居振る舞いだった。いけ好かない男であり、アキの最も嫌いなタイプの男性だった。アキは、こんな男とキスをすることが心底嫌になった。

リハーサルが始まったが、アキはNGを連発した。TOSHIYAへの嫌悪感がすぐに表情に出てしまうのだ。しかも、TOSHIYAはがっつくようにアキへ迫ってくる。それがますますアキの嫌悪感を掻き立てた。まだキスまではしていなかったが、リハーサルと本番を合わせて複数回キスするのかと思うと、アキは身の毛がよだつのだった。

開店前の無頼鮨に鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が現れた。鈴鹿の撮影は休みであるが、アキの事が心配で居ても立ってもいられなくなったのだという。鮨を差し入れしたいと申し入れ、種市を伴って撮影所へ向かった。

鈴鹿の付添いを装ってやって来た種市だったが、アキに近寄ると「仕事だから仕方がない、頑張れ」などと話した。しかし、種市の心中が穏やかでないことは明らかだった。TOSHIYAの顔がアキに近づくと、我慢ならずに叫び声を挙げてしまった。種市が撮影の邪魔になるので、みんなから帰るように言われた。アキも種市に去るように告げた。種市はそれに従って撮影所を後にした。

休憩時間になり、アキはトイレからユイ(橋本愛)に電話をかけた。好きでもない人とキスなどしたくないと弱音を吐いた。それを聞いたユイは、アキが語るに落ちたと指摘した。好きでもない人うんぬんということは、別に好きな人がいるという意味だからだ。しかもユイは、アキが種市と交際していることに勘づいていたと話した。仕事なのだから別の男とキスするのは仕方がないと割り切り、撮影後に種市に優しくしてもらえばいいと励ますのだった。

電話を終えると、鈴鹿ひろ美がトイレに入ってきた。鈴鹿は自分の経験を話して聞かせた。鈴鹿のファーストキスもデビュー作『潮騒のメモリー』の撮影だったのだという。鈴鹿もそれが嫌で仕方がなかったという。しかし、マネージャーだった荒巻(古田新太)に強く説得されたのだという。女優は好きでもない男を好きになる演技を見せることが仕事であり、本人の気持ちに嘘をつく仕事である。女優であり続ける限り、自分の気持ちに正直でいることはできない。それが嫌ならば、デビューする前に女優を辞めてしまうべきだとと言われたのだ。

荒巻にそう言われ、鈴鹿は腹をくくったのだという。鈴鹿は自分の気持ちに正直に生きることをやめ、女優の道を選んだ。自分の本当の気持ちはひた隠しにし、台本に書いてある通りに生きることにしたのだ。映画を見る人が、それが本当の鈴鹿ひろ美だと思うように人生の全てを捧げたのだという。アキもそれで腹をくくった。種市が焼いて持ってきた玉子焼きを頬張り、スタジオへ戻った。

アキが決意してスタジオに戻ると、荒巻とTOSHIYAが揉めていた。TOSHIYAは本番ではキスをしたくないと言い出したのだ。TOSHIYAは若い女性に人気であり、映画でキスをすると人気が落ちることを心配していたのだ。しかも、アキが心を開かないからキスができないなどと文句まで言い出した。

結局、本番はカメラの角度で上手くごまかし、アキとTOSHIYAはキスをしなかった。

撮影が終わると、アキは無頼鮨へ向かった。TOSHIYAとキスをしなかったこと、種市の卵焼きが美味しかったことを報告した。

そして、アキは種市にキスをした。一番好きな男性に無事ファーストキスを届けることができたことをアキは喜んだ。

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NHK『あまちゃん』第127回

前回の記事のマクラで「某あまちゃんファンの先生と一緒に当然のごとく『太巻ポーズ』で写真に収まった」と書いたのだが、送られてきた写真を見たところ、彼は「太巻ポーズ」をとっていなかったことが判明し(彼と僕は離れたところに立っていて、撮影時には僕からは彼のポーズが見えなかった)、軽くショックを受けた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第127回めの放送を見ましたよ。

荒巻ポーズをとっていない某先生(左)と、荒巻ポーズの俺(右)

荒巻ポーズをとっていない某先生(左)と、荒巻ポーズの俺(右)


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第22週「おらとママの潮騒のメモリー」

2010年10月、映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』の撮影が始まった。初日はオープニングの撮影が予定されていた。日の出のシーンを撮影するため、夜明け前から漁港でスタンバイしていた。クランクインにあたって、母役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が挨拶を述べた。しかし、鈴鹿のスピーチは20分以上も続き、その間に太陽が昇ってしまった。結局、そのシーンの撮影はできなかった。波乱のクランクインとなった。

映画は物語の順序通りに撮影されるわけではなく、翌日はスタジオでクライマックス・シーンの撮影が行われることになった。娘役のアキ(能年玲奈)が病気で臥せる母を心配しながらも、島を出て行くという複雑な心情表現が重要視される場面だ。「親孝行できなくて、ごめんなさい」というセリフを離す場面であり、ヒロイン・オーディションで何度も演じたシーンである。その時のアキの演技が荒巻(古田新太)の心を打ち、アキを抜擢する決め手となったシーンである。

ところが、撮影本番のアキはどうしても上手く演じることができなかった。オーディション1次審査の日は、夏(宮本信子)が北三陸で倒れたという報せを受けた日だった。その日のアキは、夏のことを心配していたおかげで、素直に役に入り込むことができた。しかし、今では夏の容態はすっかり良くなったと聞いており、オーディションの日のように気持ちを込めることができなくなってしまったのだ。結局、その日の撮影は全てNGとなってしまった。

その日の夜、無頼鮨で食事をしながら、アキは鈴鹿ひろ美からみっちりと叱られた。撮影現場でのアキには表情に硬さがあり、普段の様子と全く違うのだと指摘された。鈴鹿ひろ美との間にも目に見えない壁のようなものがあるという。そこで鈴鹿は、アキと一緒に暮らすことを決めた。映画と同様、私生活でも母娘になることで見えない壁を取り除こうと言うのだ。

アキはその提案を受け入れた。アキは自分が鈴鹿ひろ美の家に住み込むものだと思い込んでいたのに、逆に鈴鹿がアキの家で暮らし始めることとなった。アキはそれを拒絶するわけにもいかず、正宗(尾美としのり)と3人の奇妙な共同生活が始まった。鈴鹿ひろ美は天野家でもマイペースだった。誰よりも早く朝5時前には起床し、ウォーキングと風呂に入り、本人特製の野菜ミックスジュースを飲むのが日課だった。鈴鹿の物音で目を覚ましたアキは、起き抜けに特製ジュースを飲まされた。あまりの不味さに、アキは衝撃を受けるのだった。

その頃、春子(小泉今日子)はいつ東京に戻るか思案していた。夏の容態はすっかり良くなったし、地元の人々も手伝いに来てくれるので、春子は必ずしも必要ではなくなった。夏に「ありがとう」と言わせるという密かな目標も達成された(第126回)。その上、元気になった夏と小さな衝突も起こすようになってきたのだ。しかし、東京の自宅に鈴鹿ひろ美が住み込み始めたと聞いて自分の居場所が無いように感じられた。その上、自分の性格上、やめようと思っていてもアキの撮影に余計な口を挟むだろうことが予想された。今回の映画ヒロインはアキが自分自身の実力で掴みとった大役であり、自分はしゃしゃり出るべきではないと考えている。それで、もうしばらく北三陸に滞在することにした。

夏も、春子に頼る気はなかった。昔から、夫・忠兵衛(蟹江敬三)や娘の春子は家にいないものと思って一人で生きてきた。だから、今さら春子に頼る気にもなれないという。気心の知れた地元の人々が毎日顔を出してくれるので、そちらと付き合っている方が気楽でもあるのだった。

映画の撮影3日目は、初日に撮影できなかった日の出のオープング・シーンの撮影が行われることとなった。朝日をバックに、漁船に乗って島へ帰ってくる母・ひろ美を迎えるシーンだ。舳先に立つ鈴鹿ひろ美からは大女優のオーラが強烈に漂い、本番中であるにも関わらず、アキは見とれてしまってセリフを間違えた。

そのせいで太陽が昇りきってしまい、その日のロケも失敗に終わった。クランクインから3日、まだ1シーンも撮影出来ていなかった。

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NHK『あまちゃん』第126回

昨日は某研究集会に参加し、懇親会会場で記念撮影するという機会があったのだが、某あまちゃんファンの先生と一緒に当然のごとく「太巻ポーズ」で写真に収まった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第126回めの放送を見ましたよ。

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第21週「おらたちの大逆転」

アキ(能年玲奈)が映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』のヒロインを勝ち取った。

報せを受けて駆けつけた水口(松田龍平)は、東京EDOシアター楽屋口前の往来で、人目もはばからずアキを抱きしめて祝福した。落ち着いているアキとは裏腹に、水口は感極まっていた。アキを抱きしめたまま男泣きするのだった。

その時、アキはミサンガが1本切れていることに気がついた。ミサンガが願いを叶えてくれたと思うのだった。

正宗(尾美としのり)も合流し、無頼鮨でささやかな祝賀会が行われた。アキは誰よりも先にユイ(橋本愛)に電話で報告した。ユイはまるで自分のことのように大喜びした。
ユイは小田勉(塩見三省)に電話を代わり、水口と話をさせた。過去の水口は芸能事務所のスカウトである身分を隠し、琥珀掘り・勉に弟子入りするという計略で北三陸の人々に近づいた。それが明るみになった時、勉は裏切られた気持ちでいっぱいになった。その一方で、勉は水口のことを応援してもいた。琥珀の原石は磨かなければ光らない。それと同じように、アイドルの卵も磨かなければ光らないという言葉を送ったのも勉だ。その経緯を思い出し、ついに努力が報われたと言って、水口と勉は電話を介して共に泣くのだった。

その日、夏(宮本信子)は2週間ぶりに退院した。春子(小泉今日子)はもちろん、町のみんなに付き添われて夏は帰宅した。家には夏の介護用ベッドが準備され、夏はそこに横たわった。

その時、アキから春子に電話がかかってきた。アキの映画主演決定のニュースを受け、集まった人々は一斉に大喜びするのだった。夏の退院と合わせて、みんなにとってとても明るい話題だった。

ほどなく、映画の台本が完成した。ダブル・ヒロインの映画となっており、母役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の役名は「鈴鹿ひろ美」、娘役のアキの役名は「鈴鹿あき」と決まった。アキは自分が鈴鹿ひろ美の本当の娘になったような気分になり、嬉しくもあり恥ずかしくもあった。

予備の台本は、北三陸に送られた。それを読んだ夏は、面白いと言って機嫌を良くするのだった。
一方で夏は、今年の本気獲り(シーズン最後の海女漁)に参加できないことを残念に思った。夏によれば、何十年も海女をやってきて、本気獲りに参加しないのは初めてのことであると言う。それを聞いた春子は、2年前にアキに本気獲りの権利を譲った(一家で一人しか参加できない決まり)ことがあると指摘した。ふたりは、アキがその時の本気獲りで初めてウニを獲ったことを思い出し、温かい気持ちになった。

話が一段落したところで、春子は麦茶の準備をした。それに対して、夏は「ありがとう」と礼を言った。夏に「ありがとう」と言わせることを目標としていた春子は、あっけない幕切れに拍子抜けした。しかし、春子はそれをおくびにも出さず、普通に話を続けた。春子は夏に「ありがとう」と言われるまで北三陸に滞在するつもりでいた。その目標は達成されたのだが、春子はもうしばらく残ることを決めた。

その年の本気獲りで、ユイは4つのウニを獲った。ユイの人気は相変わらずで、ユイファンの男たちが大勢北三陸に集まった。ユイが獲ったウニを競売にかけたところヒビキ一郎(村杉蝉之介)が4万円で落札するなど、北三陸は賑やかだった。

アキは映画の撮影開始に向けて、準備に忙殺された。撮影中は他の仕事ができないので、人気幼児向け番組『見つけてこわそう』を20回分溜めどりした。それ以外の時間は、東京EDOシアターのリハーサル室で連日の稽古が行われた。監督の荒巻(古田新太)も母役の鈴鹿ひろ美も、アキの演技を厳しく指導した。それでもアキはめげることなく懸命に食らいついた。稽古のない時は、ボイストレーニングや発声練習を初め、膨大な資料の読み込み、素潜り、和服の所作、日舞、ペン字、生花、料理などの習い事もやらされた。そのまま嫁に行けるのではないかというほど様々なことを叩きこまれ、アキは目が回るほどの忙しさだった。

10月になり、いよいよクランクインとなった。最初の撮影は夜の漁港だった。

鈴鹿ひろ美は、アキが懸命に勉強をしたことを褒めた。そして、それが女優の影の努力だと話すのだった。それと同時に、今を限りに覚えたことを全て忘れろと命じた。リセットして0から再び始めるのが芝居や映画の極意だというのだ。

鈴鹿はアキの手を引っ張り、セットへ向かった。

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NHK『あまちゃん』第125回

39年生きてきた中で、女の子の実家の寝室でその子が風呂から出てくるのを待つというシチュエーションが一度だけあったわけだが、そもそも出かけた理由というのが焼き増しした写真を自宅まで届けるという健全な用事であり、出かけたタイミングがたまたま入浴中だったから部屋で待つよう彼女の家族から正式に言われたのであり、要するに「家に誰もいない」という状況ではなく、ナニをするわけにもいかなかったわけだが、風呂あがりで上気した彼女の頬と髪から漂ってくるシャンプーの香りは、当時若くて健康な男子だった我が身にはかなり刺激的なものであり、しかもさっきまで世間話をしていたはずなのに、いつの間にか彼女の性体験を聞かされるという欲情的な雰囲気になっていたわけであり、これは彼女が俺を誘ってるってことか?階下に彼女の家族がいることも構わずにアレしちゃっていい場面なわけ?と思って僕の心のカウントダウンは残り5秒となったわけだが、彼女の当時の彼氏というのが近辺で有名なヤンキー高校の生徒であることが思い出され、バレた時に半殺しにされるかもとビビってしまい、スゴスゴと帰ってきたという20年以上前の出来事を回想している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第125回めの放送を見ましたよ。

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第21週「おらたちの大逆転」

自宅に種市(福士蒼汰)を招き、シャワーを終えたアキ(能年玲奈)は彼の待つ寝室へ向かった。ふたりは初めてキスをしようとするが、なかなかうまく行かなかった。種市が緊張のあまり怖気づいてしまったり、空腹のアキの腹の虫が鳴ったりするのだ。

春子(小泉今日子)から様子を見に行くよう命令された水口(松田龍平)は、正宗(尾美としのり)と合流し天野家へ到着した。ふたりは一目散にアキの寝室へ踏み込んだ。しかし、部屋は無人だった。

空腹を満たすため、アキと種市はキッチンで玉子焼きを作っていたのだった。ふたりが一線を超えなかったことに水口と正宗は少々安堵し、アキがオーディションの最終選考へ向けて種市と一緒にセリフ合わせをしていたと口裏を合わせ、春子に報告した。水口は、人目につかないところで逢引していた点については評価したが、アイドルにあるまじき行為だと言ってアキを非難した。

アキは水口に反論した。自分は女優やアイドルである前に、18歳の少女なのだという。恋愛をし、好きな人を励みに仕事に撃ちこむのは至極当然のことだと主張するのだった。けれども水口の怒りは収まらなかった。種市が他の人を好きになったらアキが悲しくなるのと同じように、アキが恋愛しているのを知ると100万人のファンたちは失恋したのと同じ気持ちになると言うのだ。だからアイドルとしてのアキの恋愛は決して認められないという。種市は、ファン100万人分と同じだけアキを幸せにしてみせると豪語した。冷静な水口は、種市がどんなにアキを大切にしても、それはファンの気持ちとは無関係だと否定した。

そこで助け舟を出したのは正宗だった。若い時、タクシーで春子(有村架純)と偶然知り合い、彼女のファン1号になった。春子の歌声に励まされて仕事を頑張ることができた。それと同じように、アキと種市も互いに励まし合い、いい関係が作れるだろうというのだ。正宗は種市のことを認め、種市も正宗に心酔した。

正宗までがアキと種市の味方についたことで、水口はふたりの交際を認めざるを得なくなった。ただし、ふたりがメールのやりとりと無頼鮨での面会以外は行わないという条件をつけた。それで一件落着した。

いよいよオーディションの最終審査となった。候補はアキと小野寺薫子(優希美青)の2名だけに絞られていた。最終選考では台本を持たず、母親役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)を相手に本番さながらの演技を行った。鈴鹿ひろ美は、2名の候補者に対して公平に対応した。迫真の演技を見せ、2人には逐一指導を行った。厳しい雰囲気であったが、アキも小野寺薫子も全力を尽くした。

その様子を荒巻(古田新太)は黙って見ていた。彼の心は大きく揺れていたのだ。事務所の社長であり、商売人としての立場からは小野寺薫子を主演にして映画を撮る以外に選択肢はない。しかし、荒巻の人情がアキを推すのだ。春子やアキに対する後ろめたさがあり、アキを見捨てることができないでいた。

最終審査の選考会で、荒巻は正直な心情を他の審査員に語った。小野寺薫子を主演にし、カナヅチの彼女の影武者としてアキを起用するのが当初の予定だった。しかし、荒巻はアキを切り捨てられないという。前夜、荒巻はアキのネット動画を見つけたと言ってみんなに見せた。それは、アキが初めてウニを獲った時の映像だった。それを見ていたら切なくなり、アキを代役に留めておくことができなくなったのだという。そうして荒巻は、アキを主演にすることを決断した。

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NHK『あまちゃん』第124回

39年生きてきた中で女の子から「家に誰もいない」と言われて誘われたことはたったの1回しかなく、たいへん貴重な機会だったにも関わらず、たらこスパゲティをご馳走になっただけで何もしないで帰ってきたことを20年以上経った今でも後悔している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第124回めの放送を見ましたよ。

ロマンチックな思い出は何もないのに、昨夜たらこスパゲティを自作して食べた当方である。

ロマンチックな思い出は何もないのに、無性に食べたくなって昨夜自作した当方である。


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第21週「おらたちの大逆転」

オーディション2次審査を終えて緊張感から開放されたせいで、アキ(能年玲奈)は大胆にも種市(福士蒼汰)を家に誘った。春子(小泉今日子)は夏(宮本信子)の看病で帰省、正宗(尾美としのり)はタクシー営業、水口(松田龍平)はオーディション参加の挨拶として東京EDOシアターに残るなどしており、その夜は家に誰もいないからだ。アキは半分無意識に大胆なことを言ってしまったことに驚き動揺したが、流れに身を任せることにした。

アキの家に着くや否や、種市はシャワーを浴びたいと言い出した。無頼鮨で修行中の種市は、卵焼きを任されるようになったのだという。炭火でじっくりと45分かけて焼きあげるため、汗だくになってしまい気持ち悪いのだという。仕事が終わるとすぐにシャワーを浴びるのが習慣になっているのだ。種市は単に習慣に従ったつもりだったが、現在のふたりの状況においては意味深な発言だった。それに気付いた種市もアキも、動揺してしまった。

アキが種市を浴室に案内した直後、自宅兼事務所の電話が鳴った。アキが電話にでると相手は春子だった。春子は留守番電話のメッセージを聞くために電話をかけたのだという。アキはごく簡単にオーディションの出来栄えを報告した。

電話の最中、種市が浴室から出てきた。天野家のシャンプーとリンスのボトルにはラベルがついていないので、どっちがどっちかわからないというのだ。アキは受話器を持ったまま種市に説明した。そのやりとりの詳細まではわからなかったが、春子には誰かの気配が伝わった。尋ねられたアキは、水口が来ていると嘘をついて誤魔化した。それでその場は収まり、春子は電話を切った。

シャワーを出たふたりは、ソファーに座って話を始めた。種市は今の仕事が面白くなってきたのだという。無頼鮨で修行を終えたら、北三陸市に帰って店を開きたいと夢を語った。そうしているうちにいい雰囲気になってきた。ふたりは以前にも来た三陸鉄道の倉庫で並んで座りながら話をしたことを思い出した(第46回)。その時、種市はユイ(橋本愛)が好きだったこと、吉田(荒川良々)の忘れていった携帯電話が突然鳴り出したことなどを懐かしく話した。

そうしているうちに、種市の感情が高ぶった。種市はアキに顔を寄せ、キスしようとした。

しかしその時、またしても家の電話が鳴った。すんでのところでアキは顔を離し、電話に出た。再び春子からの電話だった。春子は留守番電話を聞きたいのだと言う。アキに電話に出ないよう指示すると電話を切った。

せっかくの雰囲気をぶち壊されたアキだったが、そのことが却ってアキを大胆にさせた。自分もシャワーを浴びてくると言い、種市には寝室で待っているよう告げた。

その頃、東京EDOシアターではオーディションの2次審査会議が行われていた。荒巻(古田新太)はアキを無条件に落選させるつもりでいたが、荒巻の思惑を知らない2人のプロデューサー(諏訪太朗望月章男)は公平な立場からアキを評価し、最終選考へ残すべきだと主張した。鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)もアキを残すことに異存はない。

しかし、荒巻はその意見を却下しようとした。山口百恵の『伊豆の踊子』や松田聖子の『野菊の墓』、鈴鹿ひろ美の『潮騒のメモリー』など、アイドルのデビュー映画にはインパクトが重要だという。その点、「天野春子」にはインパクトが無いため、主演するには力不足なのだという。荒巻は演技テストのアキの迫真の演技が、若かりし頃の春子(有村架純)に重なって見えた。春子ををデビューさせてやれなかった負い目もあり、頭がすっかり春子に占領されていたのだ。本人も無自覚のまま、アキのことを「春子」と呼んでしまっていた。鈴鹿らに指摘され、荒巻は黙りこんでしまった。それでアキの審査通過が認められる形となり、GMTの小野寺薫子(優希美青)と共に最終選考へ進むこととなった。

劇場に残っていた水口は、すぐさま審査結果を聞くことができた。嬉しさのあまり気の大きくなった水口は、無頼鮨で腹いっぱい食べることにした。ただし、店に入る前に、事務所の留守番電話にアキのオーディション通貨の報告だけは吹き込んでいた。

アキがシャワーを浴びている間、春子は三度留守電を聞こうと電話をかけた。今度はアキが電話に出なかったので、遠隔操作でメッセージを再生することができた。するとそこには、水口からのオーディション通過報告と共に、彼が事務所によらずに直帰するという連絡が入っていた。春子は矛盾に気付いた。先ほどの電話で、アキは水口が事務所に来ていると話していた。しかし、水口本人の留守録メッセージでは直帰すると言っているのだ。

春子はすぐさま水口のケータイに電話をかけ、事務所へ行くよう命令した。

シャワーを出たアキは、今まさに種市の待つ寝室のドアを開けようとしていた。

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NHK『あまちゃん』第123回

昨日、自宅にある大量の野菜について調理法を募集したところ、Kayoさんからは「キュウリと塩昆布の和え物」、あさりんからは「キュウリとおろしニンニクの和え物」、mimozaっちからは「ラタトゥイユ」というアドバイスをいただき、それらを全部作って食って、大変美味しい思いをした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第123回めの放送を見ましたよ。
2013-08-20 19.51.14

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第21週「おらたちの大逆転」

心臓の手術が無事に終わり、夏(宮本信子)は目を覚ました。アキ(能年玲奈)もヒロイン・オーディションの1次審査を通過したと聞き、春子(小泉今日子)は安堵感と喜びでいっぱいになった。

春子は当分の間北三陸に留まるという。やれるうちに親孝行をしたいと言うのだ。それに、夏は今まで春子に「ありがとう」と言ったことが一度もない。お茶を淹れるなどちょっとした事でも「ありがとう」とは言わず、「ああ」などと素っ気ない返事をするのだという。春子が家出してからの24年間、夏との関係は冷えきっていた。そして、春子が帰郷したことでふたりは和解した。夏から「おかえり」と「すまなかった」という言葉を聞けたことには満足している。しかし、「ありがとう」とは未だ言われていないので、それを言わせることが春子の目標となったのだ。

そんな話をスナック梨明日でしていると、功(平泉成)とよしえ(八木亜希子)が来店した。カウンターには他に人手がなく、ユイ(橋本愛)が一人で忙しく働いていた。その様子を見たよしえが手伝いを買って出た。よしえに対してわだかまりの残るユイであるが、春子の話もあり、複雑な思いを抱くのだった。

映画『潮騒のメモリー: 母娘の島』ヒロインの2次審査が始まった。アキを落選させる気でいる荒巻(古田新太)は意地悪な質問を次々に投げつけた。しゃべり方に訛りがあることを否定したり、アキがいじめられっ子だったという噂を持ちだして攻撃したりした。アキは気圧されてしまった。

そこに助け舟を出したのは鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)だった。いじめられっ子だったアキがどうして変わることができたのかと優しく尋ねた。するとアキは、水を得た魚のように、多くの人びとと出会うことで変わることができたと話した。北三陸の人々や東京での仲間たちのお陰で変わることができたと活き活きと話した。

続いて、演技審査が始まった。今回は長めのセリフをしゃべったり、体を動かしたりしなくてはならない。元から演技の苦手なアキはなかなかうまくこなすことができない。ここで再び鈴鹿がアキを助けた。鈴鹿は審査をそっちのけで、アキに演技指導を始めた。自分が手本を見せてアキに真似させるなどした。

常識はずれなオーディションであったが、鈴鹿に頭の上がらない荒巻は口を挟むことができなかった。それどころか、真にせまったアキの演技に見入ってしまった。目の前にいるアキの姿が、若い頃の春子(有村架純)に重なって見えた。演技テストは母と喧嘩した娘が飛び出していくシーンであったが、荒巻には春子が実際に家出する様子に錯覚して見えたのだった。

そうして2次審査は終わった。世間では給料日なので正宗(尾美としのり)は書き入れ時だと言ってタクシー業務に出かけたままだ。水口(松田龍平)は古巣・ハートフルの関係者に挨拶をしていくという。それでアキは一人で家に帰る事になった。

水口と別れた直後、アキはこっそりと無頼鮨へ向かった。種市(福士蒼汰)を呼び出し、今夜は家に誰も居ないと誘うのだった。

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