NHK『おひさま』第24回

本当は今日を限りに本まとめシリーズをやめるつもりでいたのだが、昨日オルニオ氏がコメントを残してくれたので、最低もう1週間以上は判断を保留しようと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第24回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

松本で出会った春樹(田中圭)と真知子(マイコ)は互いに惹かれあった。しかし、双方とも相手の気持ちに気づいていなかった。陽子(井上真央)だけはふたりの気持ちを知っていたが、真知子の境遇を考えると素直に喜ぶことはできなかった。

兄との約束は果たさねばならぬと思い、陽子は意を決して、預っていた詩集を真知子に手渡す。感激した真知子は、いつもの寄り道を断り、一刻も早く貰った本を読みたいと、笑顔を浮かべて駆け足で家に帰った。

残された陽子と育子(満島ひかり)は、普段どおり村上堂に寄った。そこで、陽子は春樹と真知子のことを育子に打ち明けた。
陽子は、自分の大好きな春樹と真知子の恋が成就するのはたいへん嬉しいことだと思う。しかし、許婚との結婚という運命を受け入れ、春樹のことを諦めかけている真知子にそのことを伝えるべきかどうか悩んでいることを告げた。
それを聞いた育子は、ふたりには絶対に秘密にしておくべきだと意見した。他人の運命を左右するようなことを不用意に行うことは許されないと言うのだ。その考えに賛成した陽子は、黙っておくことに決めた。

一方で陽子は、育子の様子がおかしいことに気づいた。朝から、顎に絆創膏を貼っていることも気になった。本人は大きなおできができたと主張していたが、それが嘘であるらしいことを見抜いていた。
正直に話し始めた育子は、進路の事で父親と揉めたのだという。東京女子大学に進学したいと打ち明けたところ猛反対された。父が娘に直接手を出すことはなかったが、激昂してちゃぶ台をひっくり返し、割れた茶碗の破片が育子に当たって腫れたのだという。
娘に怪我を負わせた原因を作ったことに、父はしょぼくれてしまったという。育子の方もショックを受けた。意見が衝突したことではなく、父を愛しすぎていることで自ら板挟みになってしまっていることが辛いのだという。大嫌いな父親であったなら家を飛び出すこともできただろうに、父を愛しているがためそれができないのだ。

現代の陽子(若尾文子)は、当時の女生徒は学校を卒業したら結婚するのが当たり前で、進学や就職することはとても特殊なことであったと、房子(斉藤由貴)に改めて説明した。そして、陽子自身も教師になる夢を抱いていたが、それを誰にも言えなかったと回想した。

ある決意を持った当時の陽子は、小学校に向かった。

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NHK『おひさま』第23回

「せっかくの連休だというのに、どこにも出かける予定のない当方」と、ちょうど1年前にも書いていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第23回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

茂樹(永山絢斗)が海軍飛行隊を志望していることを打ち明けた翌日、父・良一(寺脇康文)は何も告げずに早朝に家を出た。

茂樹は翌年1月の試験にむけて、春樹(田中圭)に勉強を見てもらっていた。そんな二人の兄を見ていて、陽子(井上真央)は頼もしく思った。茂樹が合格して家を出ていくことを心から望む一方で、この幸福な時間が永遠に続けば良いとも思うのだった。

茂樹は、急に春樹へ深い感謝の意を述べたが、春樹には何のことだかわからなかった。茂樹は、自分が祖母(渡辺美佐子)の所へ養子に出されそうになった時に春樹が身を挺して反対してくれたことを思い出していたのだ。
茂樹が何も言わなくても、祖母から同じ話を聞いていた陽子には彼の気持ちがわかった。突如、陽子も茂樹とともに感謝するのだった。

そこへ、父が帰ってきた。諏訪神社まで出かけて、茂樹のために学業成就と安全祈願のお守りを授かってきたという。本来なら母親の役目だが、母を亡くした茂樹のために、自分が行ってきたのだという。
父の深い愛情に触れて、茂樹は涙を流す。
そして、家族そろっての団欒で、みんなは心の底から笑った。とても楽しい時間だった。
しかし、後に陽子が思い出すところでは、家族揃っての幸福な時間はそれが最後だった。

翌日、春樹が松本へ戻った。陽子には、真知子(マイコ)によろしく伝えて欲しいと述べた。その素っ気ない態度を見て、陽子はきっと兄も初恋なのだろうと気づくのだった。

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NHK『おひさま』第22回

好きな女の子に銀色夏生の詩集(書名は伏せるが無名時代の裕木奈江のやつとか、ブレイク直前の森高千里のやつとかではない)をプレゼントしたことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第22回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

長兄の春樹(田中圭)が突然帰省した。海軍航空隊入りを父(寺脇康文)に打ち明けるつもりだった茂樹(永山絢斗)は、一家全員が揃ったことを好都合だと喜んだ。

茂樹の意気込みに反して、陽子(井上真央)は心ここにあらずだった。祖母・富士子(渡辺美佐子)から母(原田知世)の少女時代の話を聞き、頭の中が喜びと混乱でいっぱいになってしまっていた。

いつものように茂樹にからかわれた陽子は負けずに反撃したが、その中で口が滑ってしまい、茂樹の軍隊入りをしゃべってしまった。そそっかしい茂樹が海軍に行くなど無理だと言ってしまったのだ。
あっけにとられる一同であったが、茂樹は手間と緊張がほぐれたと、かえってサバサバした。

茂樹の説明はこうだ。自分は医者を目指す春樹に比べ、昔から劣等感を抱いている。そんな時、生前の母が自信を持てと言ってくれた。その言葉に、自分が世の中の役に立つ道を考え、軍人になるという結論になった。国を守ることで、ひいては家族を守りたいというのだ。
その説明に納得した父は、茂樹に対して深く頭を下げた。亡くなった妻の意思が息子に受け継がれていることを嬉しく思った。夜、一人仏壇に向かい、茂樹の安全を妻に祈るのだった。

その頃、春樹が陽子の寝室にやって来た。
本当は川原(金子ノブアキ)も連れてくるつもりだったが、足をくじいてしまい来れなくなったという。初恋は諦めたはずの陽子であったが、彼の名前を耳にしただけで、気持ちが揺らいでしまった。

春樹はハイネの詩集を取り出し、真知子(マイコ)に渡して欲しいと託した。知子同様、どうやら春樹も彼女のことを好きになったらしいと気づいた。

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NHK『おひさま』第21回

本ドラマのヒロインの兄が旧制松本高校に通っており、そこはまた、作家・北杜夫の出身校だというので『どくとるマンボウ青春記』を読み始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第21回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

陽子(井上真央)が生まれた時、紘子(原田知世)が祖母・富士子(渡辺美佐子)へ手紙を書いて寄こしたという。娘の名前を「太陽の陽子」にするという内容だった。祖母は、いかにも紘子が付けそうな、いい名前だと思ったという。
なぜなら、富士子は紘子に対して、太陽のようになれ、誰の力も借りずに自分の力で輝く太陽のような女性になれ、これからの女性は自分でなんでもできる時代なのだ、と教育していたからだ。その言葉は、まさに陽子が亡き母から受け継いでいた言葉だった。

富士子は、陽子が窮地に陥ったとき、一度だけ助けてやると約束した。何度もチャンスがあると思えば甘えた人間になるので、助けるのは一度だけだときつく申し渡した。

その時、女学校の裁縫教師・望月(梅沢昌代)が村上堂に買い物に来た。女学校の生徒が学校帰りに買い食いすることはご法度の時代だ。陽子と親友たち(満島ひかりマイコ)は慌てて身を隠す。しかし、すぐに望月に見つかってしまった。

その時、富士子が進みでて、陽子の祖母だと名乗った。陽子からの手紙には、望月先生に憧れていると書いてあったと、即興で嘘をついた。それが功を奏して、気を良くした望月は見逃してくれた。

陽子は裁縫が大の苦手だと知り、富士子はそんなところまで自分に似るとは、と苦笑しながら帰って行った。

窮地を脱した陽子たちであったが、望月からかばってもらったことが「一度だけの援助」なのではないかと話し合った。なんてつまらない事で消費してしまったのかと公開するのだった。
ただし、それはあくまでおまけで、後に陽子は祖母から多大な援助を受けることになる。

帰宅すると、次兄・茂樹(永山絢斗)が陽子のところへ来た。「自分の味方になる」との約束を、今日こそ果たして欲しいと頼むのだった。

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NHK『おひさま』第20回

本文前のこのマクラ部分を、本ドラマに関しては「おひさマクラ」と称している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第20回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

宿へ訪ねてこない陽子(井上真央)にしびれを切らし、祖母・富士子(渡辺美佐子)が会いに来た。
手頃な場所を他に知らない陽子は、行きつけの水飴屋・村上堂へ祖母を案内する。庶民的すぎる店構えに眉をひそめる祖母であったが、まんざらでもない様子であった。

決して会いに来ようとしなかった陽子のことを強情な娘だと評した。そういうところは母・紘子(原田知世)にそっくりだという。そして、元をたどれば、自分の強情さが伝わったのだと言う。
その話題を口火に、祖母・富士子は一人で次々と話し始めるのだった。

陽子の祖父は子爵を拝命しており、一人娘の紘子の進学祝のために帝国ホテルで盛大なパーティーを行うことができるほどの財力があるという。そのような家筋だが、紘子は生まれた時から体が弱かった。医者には、小さいうちに死んでしまうかもしれないと言われていた。それにも関わらず、3人も子供を生むことができて良かったと、祖母は言うのだった。

紘子は音楽と本の好きな少女で、学校の先生になるのが夢だった。しかし、女に職業は必要がないという祖父の考えのもと、その夢は実現しなかった。さらに、祖母も経緯は知らないが、いつしか良一(寺脇康文)と出会い、親の反対を押し切って駆け落ちしてしまったというのだ。それ以来、親子の縁は切れてしまったという。

しかし、陽子の祖父母は他に子どもがなく、跡継ぎを必要とした。そこで、次兄の茂樹(永山絢斗)を養子に迎えることに決めた。紘子らの意向は無視され、半ば強制的に連れていくことが決まっていた。
その時、直談判に来たのが長男の春樹(中川大志)だった。自分が家族を守るのだ、祖父を殺して自分も死ぬ覚悟だと訴えた。その熱意に負けた祖母は、初めて夫に逆らい、養子縁組を反故にさせた。

その話を聞いて、一同は涙するのだった。
そして、村上堂の外では、通りがかった茂樹が一部始終を耳にしてしまった。

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NHK『おひさま』第19回

昨夜の日テレ『おしゃれイズム』では永作博美が足裏マッサージを受ける様子が放送されており、永作ファンかつ足裏フェチのため、とても興奮した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第19回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

初対面の祖母・富士子(渡辺美佐子)から、陽子(井上真央)がはじめてかけられた言葉は、陽子が母・紘子(原田知世)にあまり似ていないという冷たい一言だった。

茶を淹れるために下がった陽子は、祖母の靴が気になって玄関へ見に行った。祖母の靴は映画の中に出てくるような立派なものだった。それに比べて、自分や家族の靴はとてもみすぼらしかった。恥ずかしくて隠してしまいたい反面、そうすることは卑しい行為に思われた。にわかに靴を磨き始め、自分たちの靴を堂々と玄関に並べるのだった。

次男・茂樹(永山絢斗)も帰宅した。自分の祖母が来ているとは知らず、近所にとても豪華な乗用車が停まっていると玄関で大騒ぎしてしまう。その声の聞こえた祖母は、自分の孫が田舎者になってしまっていることを嫌悪するのだった。
陽子や茂樹に会うのは初めてであったが、長男・春樹(田中圭)の事だけは知っているかのようだった。

富士子の夫は、紘子が家を捨てた事を今でも許していないという。そのため、夫が仕事で海外に行っている隙に目を盗んで安曇野にやって来たという。夫の許しが出ず、紘子の葬儀にすら来ることができなかったと富士子はこぼした。

紘子の墓に案内するという良一(寺脇康文)であったが、富士子は山の中の墓になど行きたくない、自分の一族の墓はこのような場所にはない、と言って帰ってしまう。
ただし、帰り際に、明日まで穂高に逗留すると告げた。遠まわしに、孫たちが会いに来るようにと指図したのだ。

その夜、父・良一は、紘子が最期に「安曇野に来て良かった」と言ってくれたことが自分の唯一の誇りだと、子どもたちの前で話した。そして、もし母の若い頃の話を聞きたかったら、祖母を尋ねるようにと言った。
しかし、茂樹は自分の知っている母の思い出だけで十分だと言い捨てた。陽子も、思わずそれに同意したが、本心では知りたくて仕方がなかった。悩みを抱える自分に照らし、同じ年の頃の母が何を考えていたのか知りたかったのだ。

けれども、陽子は祖母に対して反感を持っていた。だから、素直に祖母に会いに行くことができなかった。
すると、翌日の下校途中、祖母が車で追いかけてきた。そして、なぜ訪ねてこないのかと詰問されたのだった。

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NHK『おひさま』第18回

昨日の朝、家の前でゴミ出しをしていたら、近所に住む88歳だというおじいさんに声をかけられ、本作のヒロインと同じ時代を生きた人なんだなぁと思うとなんだか感激してしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第18回目の放送を見ましたよ。

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第3週「初恋」

陽子(井上真央)が食べ過ぎで倒れたことに関して、迎えに行った次兄・茂樹(永山絢斗)は何か言いにくい事情があるのだろうと悟った。茂樹は、今回の事を父(寺脇康文)に内緒にする代わりに、陽子には何があっても自分の味方になって欲しいと頼む。近いうちに父の前で重大発表をするから、その時は何も言わずに応援して欲しいと言うのだった。
陽子は知らない振りをしたが、茂樹が航空隊に入隊したがっていることに違いはなさそうだった。茂樹の決意が固いことを知り、陽子は少々驚くのだった。

陽子(若尾文子)からその辺りまでの話を聞き、房子(斉藤由貴)は当時の少女たちの天真爛漫さをかわいらしく思った。自分の娘(山谷花純)も同じ年ころなのに、素直じゃなくて困っているとこぼす。しかし陽子は、今も昔も、少女の根本はまったく同じだと思うと優しく話すのだった。
それから連想して、房子は陽子の両親のことをもっと知りたいと思った。

当時の陽子も、実は自分の母のことを詳しくは知らないことに気づいた。しかし、父から根掘り葉掘り聞くのも筋違いな気がして、尋ねることができないでいた。

ある日、陽子が帰宅すると、今までに見たこともないような立派な婦人靴が玄関にあった。その来客は、仏壇の前で手を合わせていた。
見ず知らずの老婆であったが、父からは母方の祖母(渡辺美佐子)だと紹介された。

祖母は紘子(原田知世)に向けて、このようなところで死ぬとはバカな子だと冷たく言うのだった。

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NHK『おひさま』第17回

女学生トリオといえば、どうしても南野陽子、相楽晴子、吉沢秋絵(『スケバン刑事II: 少女鉄仮面麺伝説』)を思い出し、南野陽子はそのまま陽子だし、相楽晴子は不良少女の育子、吉沢秋絵はお嬢様の真知子に当てはめればピッタリだと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第17回目の放送を見ましたよ。

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第3週「初恋」

苦しい初恋を告白した真知子(マイコ)は、翌日珍しく学校を休んだ。心配した陽子(井上真央)と育子(満島ひかり)は、放課後に真知子の家を訪ねた。
しかし真知子はピンピンしていた。その上、大量の白米を平らげようとしていた。たくさん食べて太り、醜くなれば許婚から嫌われる。そうすれば春樹(田中圭)との恋の障害がなくなるという打算であった。親友たちからは、醜くなれば春樹からも嫌われるだろうと笑われるが、他に打つ手もなく食べ続けるのだった。
陽子と育子は、その行為を無意味だと思いつつも、友情の証として一緒に食べるのだった。

その時、留守にしていた真知子の母(中村久美)が帰宅し騒ぎを嗅ぎつけた。陽子と育子は腹いっぱいご飯を食べたいと頼んだと訴え、真知子をかばった。
しかし、突然の緊張と食べ過ぎで、陽子は気分が悪くなり、その場で倒れてしまった。真知子の母からは、陽子が片親だから他人の家で身勝手なことをするのだと嫌味を言われてしまう。真知子は本当のことを言おうとするが、陽子がそれを止め、あくまで自分が全ての罪を負った。

次兄の茂樹(永山絢斗)がリヤカーで迎えに来てくれた。リヤカーを牽く兄の背中を見て、普段は子供っぽくて喧嘩ばかりしている兄のことを、とても頼もしい一人前の男だと思った。
また、そのリヤカーは、一家が安曇野に引っ越してくるときに陽子(八木優希)と生前の母(原田知世)が乗ってきたものだ。その連想から、もう一度母に会いたいと強く思った。母に、学校のこと、友達のこと、初恋のことなど、いろいろな話を聞いて欲しいと思った。

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NHK『おひさま』第16回

昨日のまとめ記事では、春樹(田中圭)が真知子(マイコ)に恋したかのような意味深な眼差し向けたという重要なシーンへの言及を失念してしまい、この場に追記しておくことにした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第16回目の放送を見ましたよ。

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第3週「初恋」

陽子(井上真央)は、川原(金子ノブアキ)に触れた手をそのまま残しておくため、手袋をはめ、絶対に洗わないようにしようとした。次兄の茂樹(永山絢斗)は理由をしつこく聞き出そうとするが、父・良一(寺脇康文)は陽子の気持ちを慮って何も言わなかった。

夜、布団の中で、陽子の目から急に涙がこぼれでた。松本訪問は心の底から楽しかったのだが、逆に、このような日はもう二度とないのかもしれないと思うと悲しくて仕方なかったのだ。

明け方、寝苦しかった陽子は、無意識に手袋をはずしてしまった。起床後、いつもどおりに庭の井戸で洗顔を行った。ふと、手を洗ってしまったことに気づいて、陽子は落ち込んでしまった。
学校では、育子(満島ひかり)と真知子(マイコ)が笑いながら慰めてくれた。洗わないでいると臭くて痒くなっただろうし、何よりも、また川原に手を握ってもらえばいいと言うのだ。川原の事を考えると、陽子は嬉しくなって小さな悩みは忘れてしまった。

放課後、真知子がふたりを家に誘った。フランスの珍しいケーキを食べながら、話に花が咲いた。その真知子の部屋で、陽子は彼女の許婚の見合い写真を見つけた。
自分は与えられた運命に従って生きる女だと気丈に振舞っていた真知子が、突然泣き崩れてしまった。真知子は松本で出会った、陽子の兄・春樹(田中圭)に恋をしてしまったと告白した。これまで男性に対しては心を閉ざし、親の決めた許婚と素直に結婚するつもりでいたのに、それが簡単なことではなくなったと訴えた。そして、自分を春樹に引きあわせた陽子のことを逆恨みした。

陽子は、自分の行動が真知子を苦しめる結果になったと思い、同様に泣き出した。それは明らかに不幸な偶然であり誰のせいでもない、と育子は仲裁するが、親友たちの苦しみに同情して、自分も泣き出してしまった。

家に帰り、ひとりきりになると、陽子はますます落ち込むのだった。曇りガラスに、川原姓に続けて自分の名前を書いた。そして、それを一気に消して、川原との決別を決意するのだった。真知子が初恋を諦めなければならないのなら、自分も同じように諦めることに決めたのだ。

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NHK『おひさま』第15回

7:30からNHK BSプレミアムを見て8:00過ぎまで本まとめ記事を書いている時間帯は、ちょうどテレビ神奈川でsaku sakuが放送されていることに気づき、そっちを見ようかと少し心の揺れている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第15回目の放送を見ましたよ。

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第3週「初恋」

松本で川原(金子ノブアキ)に再会した陽子(井上真央)は舞い上がってしまい、完全に平常心を失っていた。川原を見てはいけないと思えば思うほど、彼ばかりを盗み見してしまう有様だった。
松本城の見学に出かけ、急な階段で川原が手を貸してくれた。戸惑いつつも彼の手に捕まった。それは陽子にとって幸福な触れ合いだった。

喫茶店では、それぞれの将来の夢を語り合った。
育子(満島ひかり)は、東京の大学に進学したいと言い出した。天守閣からの風景を見ていて、郷愁よりもまだ見ぬ世界に飛び出したいという気持ちが高まったのだという。
真知子(マイコ)は、逆に、どこにも行かずに安曇野で一生を過ごすのだという。親に決められた許婚もいる。

ふたりの話を聞いた陽子の兄・春樹(田中圭)は、人には常に新しいことに向かうタイプ(育子)と、自分に与えられた運命に向き合うタイプ(真知子)がおり、どちらもそれぞれに正しいとまとめた。そして、自分自身は運命に従うタイプで、川原は新しい世界に飛び込むタイプだと付け足した。

さらに春樹は、陽子は太陽であり、どちらのタイプにも属さないと評した。
そして、母(原田知世)が亡くなった直後の陽子(八木優希)のエピソードを披露した。家の中が暗く沈んでいた時、陽子が突然酒に酔ったふりをして踊りだしたという。それをきっかけに一家は明るさを取り戻したという。
その話を聞いた川原は、陽子はきっといいお嫁さんになるだろうとコメントした。陽子は照れくさくも、川原にそう言われたことが嬉しかった。

3人娘は安曇野に帰ってきた。陽子は二人からからかわれっぱなしだったが、まんざらでもなかった。
川原と手が触れ合った余韻に浸り、その手を絶対に洗わないでおこうと決意するのだった。

その頃、本人以外は誰も気づいていなかったが、真知子には恋心が芽生えていた。

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