NHK『あさが来た』第94回

明日はもしかしたらまとめ記事が書けないかもしれないと予告しておく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第94回めの放送を見ましたよ。

* * *
第16週『道を照らす人』

新次郎(玉木宏)が新設する炭鉱会社の社長になるよう要請された。あさ(波瑠)に訳を聞くと、五代(ディーン・フジオカ)の助言もあったという。
新次郎は五代に一言文句を言おうと思い、大阪商工会議所へ出向いた。

すると、五代は倒れていた。
ようやく目を覚まし、ふたりはしばし話をした。

五代によれば、人の上に立つ者に必要とされる能力は世相によって異なる。
戦乱の時代ならば、他人に命令して従わせる能力が必要である。この点については新次郎は不得意である。
一方、今は戦乱の時代ではない。こういう時に必要とされる能力は、人の話を聞く能力である。たとえ主体的な意見がなくても、人の話を黙って聞いているだけでいい。これをできる人間はあまりいないが、新次郎は自然にできる。だから現代の社長に向いていると助言したのだと説明した。

新次郎は話題を変えた。
五代は日本全体を変えるようなもっと大きな仕事ができたはずである。自身で銀行や財閥を作ったり、薩摩閥に参画して政治家になることもできたはずだ。なぜそうしなかったのかと問うた。自分が表に出るよりも、人に力を貸すことに注力していた。そのせいで、北海道の官有物払い下げでは汚名をかぶる結果になったりもした。

五代は答えた。
自分は認められず、名を残さないまま死んでも後悔しないと言うのだ。みんなで作り上げた大阪が残ればそれでいいと答えた。
それを聞いた新次郎は、五代は自分のことをよく見せようとしていると言って笑った。

五代は、もう一つ格好を付けたいと言って新次郎に願い事をした。
弱っている自分の姿をあさには見せたくないと言うのだ。あさには、自分は多忙でしばらく会えないと伝えて欲しいと依頼した。
新次郎は一旦は断った。あさにはこれからも五代の助けが必要だと思うからだ。
しかし、五代は、今のあさに必要なのは自分ではなく新次郎だと言って聞かなかった。これまではあさを内側から支えていたが、これからは外からも助けて欲しいと頼むのだった。

新次郎が帰宅すると、家の者全員が新次郎を取り囲んだ。炭鉱会社の社長就任を渋る新次郎をもう一度説得しようと言うのだ。
あさは、五代のスキャンダルの時に新次郎が皆を説得して濡れ衣を晴らしたことを評価していた。その時に決めたのだという。
あさ、榮三郎に加え、母・よの(風吹ジュン)まで深く頭を下げて依頼した。よのは亡き正吉(近藤正臣)の名を挙げ、彼の願いは榮三郎とあさに加え、新次郎も中心となって加野屋を支えることだったと言うのだ。

そこまで言われると、新次郎はもう断るわけにはいかなかった。皆の前で社長就任を承諾した。頼りない自分ではあるが、皆に必要だと言うなら仕方ないと言うのだ。
遊び人だった新次郎が働くと約束したことで、皆は喜んだ。

あさは、新次郎に五代の様子を聞いた。
あさが五代の体調を尋ねると、新次郎は元気そうだたっと嘘を答えた。
あさが五代に会いに行くと言い出すと、彼は多忙で会えないなどと五代に頼まれた通りの返事をした。
あさはそれを信じ、しばらく五代に会いに行くのを遠慮した。

ある日、あさが晴花亭でお茶を飲んでいると、五代の秘書・三坂(中川浩三)がやって来た。
五代は翌日に東京に行く予定になっているが、もう二度と大阪に帰ってこれないかもしれないと言うのだ。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第93回

今日は雪で大荒れの予報だったので、雪が降ったらそれを理中に仕事を休むつもりでわざと朝寝坊したのだけれど、起きてみたらほとんど雪が降っていなくて大慌てで会社に行った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第93回めの放送を見ましたよ。

* * *
第16週『道を照らす人』

加野屋が銀行設立に向けて動き出した。

変化を嫌い、両替商の大番頭として心血を注いできた雁助(山内圭哉)は、いよいよ自分の居場所がなくなると思いつめた。
台所仕事をしていた うめ(友近)に声をかけ、一緒に家を出ようと誘った。

突然のことで うめは動揺した。
動揺したせいで、火にかけていた鍋をひっくり返してしまった。雁助は慌ててそれを受け止め、熱された鍋で手を火傷してしまった。

冷水で手を冷やしているうちに、雁助の頭も冷えた。
一緒に家を出ようと言ったのは冗談だとごまかした。うめを頼りにしている あさ(波瑠)が許すわけがないと言い訳した。
うめは、自分を連れて行くと言うのは冗談だとしても、雁助が家を出る気なのかどうか確認した。
すると雁助は、少なくとも銀行が開業するまでは留まるつもりだと約束した。

それからしばらくして、榮三郎(桐山照史)は家の使用人を全て集め、3年後の開業を目指して銀行設立を行うと宣言した。
使用人たちは店が変わっていくことに動揺していた。

あさは、伝統ある加野屋を守っていくためには、時代に合わせた変化が必要だと説明した。確かに銀行に変化して成功した店は少数である。しかし、両替商として働いてきた皆の経験と熱意があれば、必ず成功するはずだと言って励ました。

あさの激励に加え、自信に満ちた榮三郎の表情や、全てを納得済みの雁助の様子を見ると使用人たちは落ち着きを取り戻した。それで一致団結して取り組む決意を固めた。

銀行設立の発表の後、新次郎(玉木宏)は雁助に声をかけ、ふたりきりで話をした。新次郎は、銀行開業の後、雁助が家を出て行くつもりだと見抜いていたのだ。新次郎によれば、雁助の清々しい顔を見たらすぐにわかったのだという。

雁助はまさにそのように考えていた。両替商しか知らない自分は銀行で働ける気がしないと打ち明けた。
銀行と同時に開業する炭鉱会社についても興味が持てないという。一時、九州の加野炭鉱に赴任した時、一生懸命働きはしたが、どうしても面白く思えなかったのだという。
雁助は、自分はカネが好きなのだと自己分析した。石炭は目に見えて、実態もある。一方、カネは目に見えるようであるが、実態は無い。そのような得体のしれないものに惹かれるのだと説明した。

新次郎は、雁助の自己分析を否定した。
雁助自身は気づいていないが、雁助は「信用」が好きなのだと説いた。先代・正吉(近藤正臣)から商売における「信用」を叩きこまれ、それが身についているのだと看破した。

雁助ははっとした。確かに新次郎の言うとおりだった。
両替商として付き合ってきたのは、大名や大阪の米会所の商人たちだ。彼らはどこの誰だか昔からよく知っていて信用できた。しかし、銀行になると、素性もわからず、成功するかどうかわからない相手にカネを貸さなければならない。そのようなことは自分には恐ろしくてできないと話した。
自分は江戸時代のままの古い考え方の人間である。榮三郎の将来を考えても、自分のような旧態然とした人間よりも、あさのような先進的な人物に指導してもらった方が良い。だから自分は身を引くのだと語った。

新次郎は、雁助の進退についてそれ以上何も言わなかった。
その代わり、自分がどうしたいかよく考えろと告げた。他人のことは脇において、自分がどうしたいかを優先しろと言うのだ。その結果、加野屋に留まろうが、出ていこうが新次郎は問わないというのだ。
加野屋に留まってくれれば嬉しいが、出て行くとしても気持よく送り出す準備はあると話した。雁助が新しい商売を始めるのに十分な資金を持たせてやると約束した。それが雁助の奉公に対する加野屋から恩返しだと言うのだ。

雁助は感激した。
そして、商売嫌いの新次郎であるが、どこか先代・正吉に似ていると評した。新次郎のことを大人物だと認め、彼を認めているあさの目利きに感心した。

実は、あさは新しく設立する炭鉱会社の社長を新次郎にするつもりだったのだ。新次郎にだけ話していなかったが、榮三郎や雁助らの間ではそれで合意していた。
新次郎にとっては寝耳に水だった。

新次郎はあさに考え直すよう直談判した。
しかし、あさは取り合わなかった。女が社長になるなど、世間が認めないというのだ。
それに、あさは新次郎の人当たりの良さに期待しているのだという。大阪商人の間で、あさの手腕は認められているものの、人間性は気に入られていない。会合に出て行っても、あさが来ると嫌な顔をするものもいるという。
一方、新次郎は顔も広く、皆に好かれている。それは新次郎の才能だというのだ。実際の商売についてはあさが取り仕切るので、新次郎は社長でいてくれるだけで良いと話した。よの(風吹ジュン)や榮三郎も、これを期に新次郎が心を入れ替えて働き者になるかもしれないと期待しているのだという。

そして、五代(ディーン・フジオカ)も新次郎を社長にするというアイディアに大賛成しているのだという。

五代が裏で手引していたと知った新次郎は、彼に文句の一つでも言ってやろうと思い、大阪商工会議所へ出かけて行った。
すると、建物が騒がしかった。

五代が倒れたのだ。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第92回

今日はとにかく冷える日で、朝は起きれなかったし、夕方も家に帰って来たらそのまま寝てしまおうとしてしまい、危うくまとめ記事のことを忘れてしまうところだった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第92回めの放送を見ましたよ。

* * *
第16週『道を照らす人』

今や大阪に残っている両替商はほとんどなかった。
当主の榮三郎(桐山照史)も加野屋もいよいよ銀行になる時期に来たと感じていた。

榮三郎は雁助(山内圭哉)を説得した。
雁助は両替商の番頭としての矜持を持ち、暖簾分けしてもらうことを夢見ていた身としては忸怩たる思いであった。しかし、時代の変化を認めざるを得なかった。また、加野屋の存続のためにも両替商に固執することは誤りだと理解している。雁助は渋々ながら銀行設立を承諾した。

加野屋が銀行になると、経営方法が変わる。これまでの家族経営ではなく、会社組織にならなければならない。
家族経営では、番頭や女中たちを家に住まわせ、寝食をともにし、実の家族のようであった。会社組織になると、彼らは給料を貰って決められた時間だけ働く身分になる。住まいや食事は各自で準備し、他人のような関係になる。

加野屋の使用人たちは動揺した。
よの(風吹ジュン)もこれまで家族として生活してきた者たちと離れがたかった。そこであさ(波瑠)に、しばらくの間は使用人たちが通いと住み込みを自分で選べる形式にするよう提案した。
あさは素直に応じた。会社組織を作ることに頭がいっぱいで、働く者たちの気持ちを全く考えていなかったことを反省した。

うめ(友近)が深刻な顔をしてあさに話しかけてきた。
うめは雁助がどうなるか心配なのだという。雁助は先代の時代から加野屋のために身を粉にして働き、もう少しで暖簾分けを受けるという所まで来ていた。それなのに、会社ができてしまうと「暖簾分け」という制度そのものがなくなってしまう。雁助が可哀想だというのだ。
あさは、雁助を一番大きな支店の店長に任命し、大いに実力を発揮して働いてもらうつもりだと説明した。しかし、うめはどうにも納得がいかない様子だった。
話はそれで終わったが、あさはうめの態度に驚いた。うめが仕事のことに口出しするのは初めてだったからだ。

うめはひとり台所で働いていた。そこへ雁助がふらりとやって来た。
雁助は、気がついたら時代が変わっていたとボヤいた。「会社」というものはなんだか冷たい感じがすると言う。もう自分が必要とされる時代ではないのではないかと弱音を吐いた。

そして、一緒に家を出ようとうめに告げるのだった。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第91回

先週まで家が寒くて寒くて意気消沈していたのだけれど、エアコンのフィルタを掃除したら暖房性能が復活し、一足先に初夏がやって来た感じになって元気を取り戻した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第91回めの放送を見ましたよ。

* * *
第16週『道を照らす人』

あさ(波瑠)の主導する探鉱事業はますます拡大していた。
新しい炭鉱が売りに出れば、あさは直接視察して吟味し、良い物件であれば買い付けと現地指揮をとった。それらは全て大成功を収めているのだ。

加野屋の当主は、白岡家の八代目である榮三郎(桐山照史)である。しかし、大阪の町の人々の間ではあさの評判ばかりがあがり、中にはあさが社長だと思い込む人も出てきた。榮三郎は、自分はあさには敵わないので、それも仕方のないことだと納得していた。

しかし、大番頭・雁助(山内圭哉)はこの状況を苦々しく思っていた。
雁助は加野屋に忠誠を誓っているが、その主な対象は先代・正吉(近藤正臣)であった。ゆえに正吉の嫡男である榮三郎と加野屋の伝統である両替商を第一に考えているのだ。雁助には、あさの事業がそれらを蔑ろにするにしているように思えてならないのだ。

あさは、炭鉱で稼いだ資金を元手に新たな事業を開始したいと思っていた。
それを実行する前に新次郎(玉木宏)の意見を聞きたいと思ったが、商売に興味のない新次郎はなかなか応じてくれない。
あさが新規事業を本格化しようとしている素振りに気づいた雁助は面白くなかった。

あさは久しぶりに大阪商工会議所で五代(ディーン・フジオカ)に面会した。
北海道の官有事業払い下げに関するスキャンダルで失脚しかけた五代であったが、地元の人々の応援で復帰していた。応援を受け、生涯をかけて大阪の町に尽くすと誓った五代は、以前にもまして精力的に仕事をしていた。
最近では、神戸の港に桟橋を作る事業に集中しており、大阪に滞在する時間も少なかった。そのため、あさと会うのも久しぶりのことであった。

あさは、五代の顔色が悪く、痩せていることが気にかかった。酒を飲み過ぎないようにと注意した。

五代の体調が悪いことは事実であった。しかし、五代はそのことを知られないようにごまかした。
体調が悪いのではなく、忙しく働いているせいで一時的に痩せているだけだと話した。むしろ元気が余っていて、やりたいことがたくさんあるくらいだと言うのだ。
自分が死んでも、自分が造った大阪は残る。そのような仕事をするために休む暇はないと話すのだった。

あさは五代の言うことを素直に聞いていたが、胸の内に小さな不安が生まれた。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第90回

マンガを貸してあげたら、いつも律儀にお菓子をつけて返してくれるポスドクちゃんがかわいいなと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第90回めの放送を見ましたよ。
『荒野のグルメ』とポップコーン

* * *
第15週『大阪の大恩人』

時代はどんどん変わっていた。
国会や日本銀行が設立され、日本は近代国家としての体裁を次々に整えていた。

あさ(波瑠)は時流に取り残されないよう、商人仲間と活発に議論し、これからの展望を語り合った。
また、九州で買い増した炭鉱にも出かけ、これまでの経験を活かして作業現場での細かい指示を怠らなかった。その甲斐もあり、新しい炭鉱からは以前の炭鉱以上の採掘量が得られた。あさの投資は大成功だった。

一方で、あさは娘・千代(中川江奈)をほとんど構ってやれなかった。

千代は千代で、不平不満を言わない聞き分けの良い子に育っていた。
以前は「自分の両親は普通と違う。なぜ母が外で働き、父が家にいるのか」などと聞いてばかりいたが、最近は表立って言うことがなくなった。
また、姑・よの(風吹ジュン)や義妹・さち(柳生みゆ)、そして夫・新次郎(玉木宏)が千代の面倒をみてくれていたので、あさはすっかり任せきりにしていた。

七夕の季節になった。
千代は短冊に「ラムネを飲んでみたい」という願いを書いていた。子供らしい願い事であり、あさは微笑ましく思った。

その直後、義妹・さちが保管していた前年の七夕飾りを見せてもらった。
1年前の千代は「おかあさんと いっぱいあそべますように」と短冊に書いていた。

あさは強いショックを受けた。
この1年間で、千代は自身の欲求を抑圧する子どもになってしまったようなのだ。自分の態度がそれを招いたと思うと、あさは反省すると共にたいへん悲しくなった。
あさは人知れず千代に謝り、大粒の涙を流すのだった。

晴花亭で酒を飲んでいた五代(ディーン・フジオカ)が発作を起こし、倒れこんだ。
女将・美和(野々すみ花)は助けを呼ぼうとするが、五代は他言しないように頼むのだった。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第89回

左手薬指を深爪して思うようにギターが弾けなくてイライラしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第89回めの放送を見ましたよ。

* * *
第15週『大阪の大恩人』

政府が1500万円を投資した北海道開拓事業を五代(ディーン・フジオカ)にたった39万円で払い下げられるということで日本中が大騒ぎになった。
五代に乞われ出資した大阪商人たちも激怒した。五代が密かに私腹を肥やそうとしているのだと思い、裏切られたと感じたからだ。

五代は大阪商工会議所の会員を集め謝罪した。
しかし、ただ頭を下げ、商工会議所会長を辞任すると述べるだけで、事件の真相については何も話さなかった。その態度がますます商人たちを怒らせた。

あさ(波瑠)も真相を知りたかった。他の商人たちが怒鳴る中、あさだけは幾分冷静だった。みんなが納得するよう説明するよう諭した。
けれども、五代は頑なに黙っているばかりだった。

そこへ、商工会議所にはめったに顔を出さない新次郎(玉木宏)がやって来た。

新次郎は北海道開拓事業に関する政府資料を調べたのだという。本来それは機密文書であったが、五代の秘書である三坂(中川浩三)が事態を収拾さえるために見せてくれたのだという。
その写しを大阪商人たちに配布した。

資料によれば、政府の北海道開拓事業はここ10年間失敗ばかりで、全く利益が出ていなかった。しかし、ここで手を引いては投資が全て無駄になる。そこで、政府の方から商売上手な五代に託したのだわかった。
要請を受けた五代も利益が得られる見込みがあるかわからなかった。そこで精一杯投資できる額が39万円だったのだ。それで政府も合意し、払い下げられることとなった。
つまり、五代は儲かるとわかっている事業を安く買い叩いて密かに私腹を肥やそうとしていたのではなく、むしろ逆に損失を出す覚悟で臨んでいたのだ。

儲けが確実ではなかったと知り、大阪商人たちはますます騙された気になり、怒気を強めた。

それをなだめたのは榮三郎(桐山照史)だった。実は、新次郎に政府資料を調べるよう指示を出したのも彼だった。
榮三郎は、五代が自分たち大阪商人が日本一の商売上手だと信じて仕事を任せてくれた期待に応えるべきだと話した。自分たちは、その期待に答えられないばかりか、今まで世話になった五代の初めての失敗に手のひらを返すほど白状だとは恥ずかしいことだと説得した。

その話に商人たちは反省し、溜飲を下げた。五代をもう一度信じ、共に商売をすることを誓った。
五代に大阪商工会議所の会長を続けるよう要請し、一致団結した。
五代もそれを受け入れ、これ以後も大阪商人たちと共に多くの事業を手がけることとなった。

騒動が落ち着き、あさは家に帰った。
千代(中川江奈)は人形遊びをしていた。人形を子供に見立て、千代は母親の役をしていた。彼女は世間一般の母親のセリフを言っているのだ。

あさは自分が普通の母親と違う理由を説明した。
自分は商売が好きである。みんなで力を合わせて困難を乗り越え、世の中を良い方向へ変えていくことが好きでたまらない。だから普通の母親とは違うのだと話した。

あさは、千代には理解できない話だと思っていた。
しかし、意外にも千代はすんなりと受け入れた。千代の物分りのよさに、あさは胸が打たれた。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第88回

昨夜は微熱があったのだけれど、たっぷり寝たら熱も下がって持ち直した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第88回めの放送を見ましたよ。

* * *
第15週『大阪の大恩人』

あさ(波瑠)は九州で新たな炭鉱を視察し、問題ないとわかったので現地で購入契約を交わしてきた。
東京や名古屋からも購入の申し出があったが、所有者はあさの到着を待ってくれていたという。加野炭鉱の爆発事故への対応を見ていて、加野屋が真摯に炭鉱業へ取り組んでいることを知っていたからだ。それで他でもない、加野屋に売ろうと思っていたのだという。

大阪に帰ってきたあさは、当主・榮三郎(桐山照史)に事後報告をした。
借金が増えたことで榮三郎が怒ると予期していたが、当の榮三郎は平気な顔をしていた。榮三郎は炭鉱のことはあさが一番良く知っており、彼女の能力を信頼している。あさが問題ないと言うなら、その判断に間違いはないと思うからだ。
また、雁助(山内圭哉)の態度も榮三郎の後押しとなった。雁助はあさに小言を言っているが、きっぱりと止めはしなかった。彼も心の底ではあさの鉱山に対する見識を認めているのだ。彼が認めているなら、榮三郎も止める理由がなかったのだ。

それと前後して、五代(ディーン・フジオカ)のスキャンダルが新聞で叩かれていた。
政府は1400万円(当時の国家予算の20%)をかけて北海道の開拓事業を整備した。それをたった39万円で五代の会社に払い下げると報道されたのだ。政府には薩摩出身の役人がおり、同郷の五代と癒着していると言って激しく批判されたのだ。
全国で五代が悪徳商人だと呼ばれるようになった。

大阪商人たちの間にも動揺が広がった。
五代に事情を聞こうにも、彼は姿をくらましており会うことができなかった。大阪商人の多くは五代の会社に出資しており、混乱していた。
ついには、五代に協力していたという理由で、大阪商人たちも新聞で叩かれるようになったのだ。

そして、新聞での批判を受けて、五代の会社への官有物の払い下げが取り消しになった。

五代は視察と雲隠れを兼ねて、北海道にいた。
払い下げの取り消しを受け、混乱の収拾のために大阪へ帰ることを決意した。大阪商工会議所の会長を辞任するというのだ。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第87回

気温が低くて手足が冷えるのに加えて、微熱まで出て、意気消沈している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第87回めの放送を見ましたよ。
2016-01-13 20.51.27

* * *
第15週『大阪の大恩人』

あさ(波瑠)は炭鉱事業を拡大しようと考えていた。
そこで、九州の加野炭鉱に赴任した亀助(三宅弘城)に手頃な鉱山がないか調査させていた。すると、加野炭鉱の近くに売出し中の鉱山があるとの報告が届いた。

あさは加野屋の重役を集めて鉱山買収の計画を相談した。
現在の加野屋には一括で購入するだけの資金はない。だから借金をして購入することとなる。昨今は石炭事業が注目されており、鉱山の価格も上がり続けている。一日でも早く購入することが重要だから、借金してでも買いたいというのだ。
また、鉱山というものは、どれほどの埋蔵量があるかは事前にはわからない。だから、大金をはたくことは大きな博打である。しかし、目をつけている鉱山は加野炭鉱から距離が近い。地勢的に加野炭鉱と同程度の埋蔵量があると読んでいるのだ。

あさの提案に真っ向から反対したのは大番頭の雁助(山内圭哉)である。彼は、加野屋の本業は両替商だと思っている。だから、炭鉱業に入れ込むことには反対なのだ。
それどころか、雁助は加野屋の両替商としての伝統を守ることが何より重要だと信じている。だから、次々に新しいことを始めようとする あさのことが気に入らないのだ。あさは両替商を旧い商売だといい、加野屋を銀行に変えようとしていることもあって、ますます あさのことを腹に据えかねている。

実は雁助は、一度は店を辞めようと思ったこともあるのだ。
雁助は炭鉱事業などやりたくなかったが、先代・正吉(近藤正臣)に頼み込まれて九州に赴任した。その間に、正吉が亡くなった。雁助は正吉こそ唯一の主人であり、恩人であると考えているのだ。彼が亡くなった以上、加野屋に留まる理由もなくなったのだ。
しかし、正吉の実子で跡継ぎである榮三郎(桐山照史)のことも心配だった。彼を盛り立てて、加野屋の暖簾を守るためには、自分が手伝う必要があると思いとどまった。それで今日に至るのだ。

そんな思いを胸に秘めている雁助なので、あさが借金を作ってまで炭鉱業を拡大すると言いだしたことには腹を立てた。

一方で、あさの炭鉱業で加野屋が助けられていることも認めざるを得なかった。
雁助は、不承不承ながら あさの好きにさせることにした。ただし、失敗したとしても二度と自分は手を貸さないという条件をつけた。

翌日、あさは早速九州へ行くことにした。
迷って時間を浪費する間に、他人に鉱山を買われてしまうのではないかと心配だったからだ。自分の目で確認して、問題がなければすぐに契約してくるつもりだ。

あさと新次郎。
また九州に行く。迷っていたら、他の人に買われる。自分で見て、よいと思ったらすぐにはんこを押してくるつもりだ。

そんな矢先の1881年(明治14年)7月、五代(ディーン・フジオカ)の醜聞が全国の新聞で大きく取り上げられた。
薩摩出身の政府役人が同郷の五代と癒着し、北海道の官有事業を五代に安く払い下げていると書かれたのだ。
五代が北海道の開拓事業に乗り出したのは事実であったが、新聞に書かれていることは寝耳に水だった。

大きな騒ぎになった。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第86回

来週1月18日から始まるフジテレビの月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(出演: 有村架純高良健吾)が我が故郷であるところの苫小牧市でロケが行われたという噂を聞いて俄然興味を持ったわけだけれど、先ほどあらすじを読んだところ「幼いころに女手ひとつで育ててくれた母を亡くした杉原音(有村架純)は、(中略)北海道のさびれた町で暮らしていた。」などと書かれていて、「なにぃ?さびれた町だと!」とプリプリした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第86回めの放送を見ましたよ。

* * *
第15週『大阪の大恩人』

ままごとで母親役をやっていた千代(中川江奈)は、あさ(波瑠)のように家事をせずに外で働く真似をした。その素振りを友達(かわさき鈴乃細川凛乃)から笑われた。普通の母は家にいて家族の世話をするのが当たり前だと言うのだ。

千代は、あさが普通の母親とは違うのだと知らされた。それで、なぜ普通の母親と違うのかと、あさに直接質問した。
聞かれたあさは困惑し、うまく答えることができなかった。

千代が気にしていると知って、あさは自分が悪いことをしているのではないかと落ち込んだ。
新次郎はそんなあさを励ました。確かに、九州の炭鉱や大阪商人の寄り合い所に出かけてばかりで、ほとんど家にいない。家にいたとしても、店で算盤を弾いてばかりいる。しかし、それがあさの良い所なのだから、今さら気にしても仕方がないと慰めた。
そう言われると、あさも少し気が晴れた。

その頃、大阪商人たちは炭鉱業に進出するものが続出していた。あさが加野炭鉱を始めて10年経っていたが、やっと周囲が追いついてきたのである。あさは商人たちから炭鉱業についての説明を乞われると、喜んで説明した。

あさは幼い時から、疑問に思ったことはなんでも人に聞く質だった。多くの人はそんなあさに辟易していたが、祖父・忠政(林与一)だけは熱心に答えてくれた。そしてまた忠政は、いつかあさが人から尋ねられる立場になったらきちんと説明しなくてはいけないと教えられていた。
あさは、今こそ自分が人に説明をする時だと思い、炭鉱業について親切に話しているのだ。

ただし、あさは「普通の母親と違うのはなぜか?」という千代の質問にだけは答えられないでいた。それだけはずっと心に引っかかっている。

五代(ディーン・フジオカ)が加野屋を訪れ、久しぶりにあさと面会した。
加野屋の銀行経営について尋ねると、五代は今は時期ではないと回答した。確かに今は雨後の筍のように銀行設立が相次いでいる。しかし、その殆どは貴族や氏族が莫大な財力に任せて作ったもので、銀行経営の基本をわかっていない。それらは遅かれ早かれ、潰れていくだろうと予言した。加野屋は出遅れていることを焦る必要はないと諭した。
一方で、昔ながらの両替商が時代の変化の中で消滅していくという あさの考えは正しいと認めた。今は、じっと資金を貯めて将来に備えるのが良いと助言した。

近頃の五代は、北海道の開発を手がけているという。政府が北海道開発を進めているが、結果は芳しくない。五代に協力するよう要請があったという。北海道は農業や漁業、畜産、石炭など多様な資源があり、発展が期待できるため、五代も注力しているという。ぜひ加野屋にも手伝って欲しいというのだ。

あさは、千代のことを思った。ただでさえ、九州と大阪の往復で留守にしていることが多い。その上、北海道にまで出張することになると、ますます不在が増えることになるからだ。
しかし、あさは「大阪一の女商人」だと認められたことも嬉しく思った。千代のことを頭から追い払い、五代の北海道開発に協力することを約束した。

加野屋からの帰り道、五代は誰かにつけられていることに気付いた。

* * *

続きを読む

NHK『あさが来た』第85回

今日は休日なので思いっきり寝つぼった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第85回めの放送を見ましたよ。

* * *
第15週『大阪の大恩人』

1880年(明治13年)。
榮三郎(桐山照史)と結婚した さち(柳生みゆ)が加野屋にやって来た。
さちは生花が得意でまだ若く、あさ(波瑠)と違っておしとやかな女性だった。加野屋の面々は、やっと普通の嫁が来たと言って喜ぶのだった。

1年経ち、1881年となった。
あさの娘・千代(中川江奈)は数え6歳となった。

幼いころのあさは、木登りをしたり、男の子と相撲をとったりするなど、おてんば娘だった。
幸い、娘・千代はそのような性質を引き継がなかった。女の子らしい言葉遣いで、近所の女の子たちとままごとをして遊ぶような子供に育っていた。その様子に新次郎(玉木宏)も満足気だった。

ただし、少々おかしな点もあった。
ままごとで母役をやっていたのだが、家の用事を済ませると「炭鉱に行く」と言って家を出て行ってしまうのだ。あさを見て育った結果であるが、新次郎は呆れてしまった。

この頃、九州の加野炭鉱の復興は順調に進んでいた。
亀助(三宅弘城)の働きもあり、採掘が再開され、わずかであるが利益も出るようになっていた。

あさは銀行設立の希望を捨てていなかった。
しかし、大番頭・雁助(山内圭哉)は猛反対しており、あさと雁助は店先で人目もはばからず口論ばかりしていた。そして、いつもあさがやり込められ、銀行設立の準備は全く進んでいなかった。

また、同じ頃、五代(ディーン・フジオカ)が大阪に商業講習所を設立した。
大阪の若い商人たちを集め、近代的な商売のやり方を伝授する学校である。受講者たちも熱意に溢れており、将来の大阪経済を担う人材が着実に育っていた。

あさは頼もしく思う一方、自分が若かった頃にしっかり勉強できていれば今頃はもっとたくさん稼ぐ事ができただろうにと残念にも思うのだった。
また、講習所には男性ばかりであることも気にかかった。女性にも教育が必要だと思うのだった。

季節は七夕である。
千代は、七夕飾りの作成に熱中していた。

その時、千代は急にあさに質問をした。
あさは、どうして普通の母親とは違うのかと訪ねるのだった。
あさはどう答えていいものかわからず、困惑してしまった。

* * *

続きを読む