NHK『あさが来た』第84回

今日は年に一度のあの日(察してください)にしようと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第84回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

加野屋を臨時休業にして、亀助(三宅弘城)とふゆ(清原果耶)の結婚式が行われた。

あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)は夫婦として初めての仲人である。
ふたりは自分たちの結婚式の日を思い出した。新次郎は式をすっぽかして紅葉狩りに行ってしまったり、男に慣れていないあさは寝室で新次郎を投げ飛ばして初夜に失敗したことなど、互いの失敗を指摘しあった。
始まりは失敗ばかりで先行きが不安だったが、今では夫婦として形になったと言ってふたりで笑い合うのだった。

うめ(友近)がふゆの支度を担当した。ふゆはとても綺麗な花嫁になった。
うめは、女中の先輩として、自分は独身のままふゆを送り出す立場になった。それでもうめは後悔したり、卑屈になったりすることはなかった。自分は色恋や結婚に縁はないものと決めているので、それでよいと言うのだ。時々誰かを思うと心が少しだけ暖かくなる。自分にはそれで十分だと話した。

九州で炭鉱を監督している雁助(山内圭哉)が、亀助の結婚式のために帰ってきた。
うめは表立って声をかけることはしなかったが、陰から雁助の姿を見て心が少しだけ暖かくなった。

こうして、亀助とふゆの結婚式は無事に終わった。

それから数日後、亀助とふゆは九州の炭鉱に赴任したいと願い出た。
亀助は、ふゆに加野炭鉱を見せ、あさがどうやって鉱夫たちの心を掴んだのは話してやりたいという。ふゆも、九州の女たちが強く頼もしいという噂を聞くので、身近で学びたいと言うのだ。
その申し出は受け入れられ、雁助と入れ替わることになった。

早速、雁助は店の帳簿をあらためた。
現在の加野屋の商売の主流は明らかに炭鉱事業になっており、本来の商売である両替商とは扱う金額の桁が違うことがわかった。

あさは、そろそろ銀行業を始めたいと話した。大阪に国立銀行が設立されることとなり、地元での銀行業が発展していく状況に乗り遅れてはならないと思うのだ。
しかし、雁助はきっぱりと反対した。

あさは面白くなかったが、ふと脇においていた算盤が目に留まった。幼いころ新次郎からもらったもので子供用であるが、今でも使い続けている算盤である。それを見ると心が落ち着いた。

寝室であさは新次郎に話した。
自分はこれまで誰かに恋をしてドキドキしたことがなかったと思っていた。自分には親の決めた許嫁がいて、そのまま結婚したからだ。
しかし、その記憶は誤っていたというのだ。小さいころ、新次郎から算盤をもらった時にドキドキした。あれが自分の初恋であり、その時から現在までずっと新次郎に恋をしていたのだと思いだしたという。

新次郎も同じだと答えた。しかも、あさに恋をしたのは一度きりではなく、何度も惚れなおしていると言うのだ。
何度も惚れなおす点はあさも同意した。

ある日、よの(風吹ジュン)と新次郎(玉木宏)は榮三郎(桐山照史)を茶屋に連れ出した。榮三郎の許嫁に引き合わせるというのだ。

榮三郎はまったく乗り気ではなかった。しかし、許嫁・さち(柳生みゆ)は、よのに顔の似た可愛らしい女だった。
榮三郎は一目で気に入ってしまった。

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NHK『あさが来た』第83回

PHPをVer.7(10年ぶりのメジャーバージョンアップらしい。現在の主流は Ver.5)にするとシャア専用くらい速くなるという噂を聞いたのだが、うちのブログでは記事が表示されないという不具合が発生し、とりあえず導入を見送ることとした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第83回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

ある日、ふゆ(清原果耶)の父・日野彦三郎(上杉祥三)が、ふゆの婚約者・山本(山本浩司)と共に加野屋へ怒鳴りこんできた。

先日、山本が町を歩いていると、ふゆを見かけた。後をつけていくと新次郎(玉木宏)と寄り添って逢引きしていたというのだ。さらに、新次郎が帰ったかと思うと、入れ替わりに番頭の亀助(三宅弘城)がやって来た。ふゆは亀助の袖にすがって泣いていたという。
それを見た山本は、結婚を破談にすると言いだしたのだ。特に、ふゆの尻の軽さに失望したという。

ふゆは奥から出てくると、必死に頭を下げて謝った。
しかし、彦三郎は頭ごなしに怒鳴り、彼女を殴った。昔から何の取り柄も無かったのに、男に媚を売ることばかり覚えたふしだらな女になったとなじった。

ふゆが殴られたことで、亀助は辛抱できなくなった。

亀助は、まず山本の軟弱さを批判した。
ふゆが目の前で殴られているのに、山本は傍観しているだけだったのだ。亀助は、男というものは一度惚れた女のことは全力で守るものだと話した。親であれ誰であれ、手をあげさせるようなことはしない。その覚悟ができていないかぎり、山本はふゆはもちろん、他の女を嫁に取る資格もないと避難したのだ。

続いて、彦三郎に向き直った。
亀助にとって、ふゆは自分の店の大事な身内である。一方、必死に頭を下げて謝っている女を殴る者は、その女の親でも身内でもない。故に、彦三郎はふゆと縁のない者になったのだから、今すぐに帰れと迫った。

しかし、そう言われておとなしく聞いている彦三郎ではなかった。
彦三郎は座敷で亀助に殴りかかり、亀助も応戦した。ふたりは取っ組み合いの喧嘩になった。

彦三郎らは帰ったが、亀助はこっぴどくやられた。それをふゆが手当した。

ふゆは山本との結婚が破談になって良かったと微笑んだ。
一方で、もう加野屋にはいられないと言う。これまでさんざん世話になり、結婚準備まで整えてもらったのに、大騒ぎを起こし恩を仇で返すことになったからだ。

ふゆは、亀助が自分のことを「大事な身内」と言ってくれたことは嬉しかったという。その言葉の思い出があれば、自分はどこへ行ってどんなことがあってもやっていけると話した。全て亀助のおかげだと言って感謝した。

亀助は、突如ふゆに結婚を申し込んだ。
自分は顔も悪いし、家も持っていない。しかし、ふゆを思う気持ちだけは誰にも負けないと誓った。

ふゆは、自分などは亀助にふさわしくないと思い、一瞬躊躇した。
しかし、すぐに思い直し、亀助の申し出を受け入れた。

あまりのことに一番驚いたのは当の亀助だった。腰を抜かしてしまった。

こうして、亀助とふゆの結婚が決まった。
あさ(波瑠)と新次郎は、夫婦として初めて仲人を務めることになった。

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NHK『あさが来た』第82回

フォーチュンクッキーってどうしてあんなに美味しくないんだろう、中に占いが入っているという点に力を入れすぎて味の改善を怠っているのではないかと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第82回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

結婚の決まったふゆ(清原果耶)には別に好きな人がいるらしい。そして、そんなふゆに対して亀助(三宅弘城)が片思いをしている。
そのふたりのことを思うと、あさ(波瑠)は胸がドキドキした。自分は幼い頃から許嫁が決められており、誰かに恋をすること現在に至った。だから、恋をするとはどういうものかわからず、そのせいで無性に動悸がするのだ。

新次郎(玉木宏)が辻占煎餅を買ってきた。新次郎には女難の相、あさには家中に争いありという占いが出た。
自分とは違って、いろいろと恋をして来たらしい新次郎に女難の占いが出たことで、あさはイライラするのだった。

亀助は自分の思いをふゆには伝えられないものの、彼女の幸せは願っている。せめて結婚前に新次郎との思い出作りをさせてやりたいと思った。そこで、新次郎にふゆを連れてどこかに遊びに行って欲しいとお願いした。
新次郎もふゆが自分に思いを寄せていることに気付いていた。新次郎にしてみれば面倒なことにならないようにふゆとは距離を置きたかったのだが、亀助の剣幕に押されてしまった。

乗り気ではない新次郎ではあったが、ふゆと一緒になると心底優しく、楽しそうにした。神社で子ども相撲の見物をしたり、茶屋でぜんざいを食べたりした。ふゆもたいそう楽しんだ。

ふゆは自分の育った境遇を話した。
父(上杉祥三)を見てきたせいで、子供の頃は男が苦手だったという。父は母やふゆたち姉妹にすぐに手を上げたり、酷い言葉を投げつけたりするのだという。まさに勝手気ままな乱暴者であり、男は全てそうであると信じ込んでいた。
しかし、あさの実家やはつ(宮﨑あおい)の嫁ぎ先、そして加野屋などで奉公をしているうちに、その認識が大きな誤りであることに気付いたのだという。

自分のような取り柄のない女であっても、男は優しくしてくれることもあるのだとわかり、幸せな気持ちで働けたと話した。
ふゆにとって、男に対する認識を覆した張本人は新次郎であった。ただし、そのことだけは話さないでいた。

気温がぐっと下がり、雪がちらついてきた。新次郎は家に帰ることを促した。
しかし、ふゆは帰りたくなかった。新次郎のそでを掴み、もう少しだけ一緒にいて欲しいと頼んだ。

そして、ふゆは新次郎の妾でもいいからそばにいたいと述べ、自分の恋心を打ち明けた。

しかし、新次郎はきっぱりと断った。
ただし、ふゆを嫌って言うのではなく、ふゆの幸せを願ってのことだった。

新次郎が見るに、ふゆは自分を卑下してばかりいる。もっと自分に自信や誇りを持つべきだと助言した。
妾の地位に甘んじるようなことはすべきではないと伝えたのだ。

新次郎は、泣き出したふゆに自分の羽織をかけてやった。そして、茶屋に彼女を残して、新次郎は一人で大急ぎで帰宅した。

家に着くや否や、新次郎は亀助に襟巻きを持たせた。そして、急いで茶屋まで行けと命じた。亀助は言われるままに駆けつけた。

亀助は、震えながら泣いているふゆの首に襟巻きを巻いてやった。
ふゆは涙声で新次郎との一件を亀助に打ち明けた。
亀助はふゆの勇気を讃えた。気持ちを伝えられてよかったと言うのだった。

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NHK『あさが来た』第81回

つい一瞬前、マクラを書き忘れたまま記事をアップしようとしてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第81回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

五代(ディーン・フジオカ)の大阪経済復興における陰の立役者とは新次郎(玉木宏)だったという。
大阪商人たちは商工会議所への参加に乗り気ではなかったが、新次郎が説得してまわったのだという。その結果、多くの商人たちが参集する事になったのだという。

ただし、新次郎のやり方というのは、決して表立ったり、積極的なものではなかった。
三味線の会や晴花亭、うどん屋などに出入りした際、世間話のようにさり気なく話を持ちかけた。そして、加野屋が率先して加入することや、大阪商人たちが互いに足を引っ張り合うのではなく、力を合わせて東京や世界の商人たちと戦うべきだと話したのだという。

五代は新次郎の人望に驚き、見なおしたという。あさ(波瑠)も、新次郎の以外な一面に大いに驚いた。

そんな新次郎が、商人たちの晴花亭での新年会に姿を現した。
晴花亭に初めて来たあさは、新次郎が常連であると聞かされた。しかも、自分が九州や東京に出張して忙しかった時期に特に頻繁に来ていたという。さらには、自分以外の家族を連れてきたこともあるし、美和(野々すみ花)とも親しく飲んでいると聞いて、あさは激しく嫉妬した。

そんなやり取りを聞いていた五代は、新次郎に一泡吹かせたくなった。東京で、酔った五代があさに抱きついてしまったことを遠回しに取り上げ、自分とあさにも東京で秘密の出来事があったなどと話した。それを聞いた新次郎は逆にヤキモチを焼くのだった。

その頃、加野屋ではうめ(友近)と亀助(三宅弘城)が話をしていた。

亀助は、ふゆ(清原果耶)が新次郎に心を寄せていることにやっと気付いたのだという。
一方のうめは、ふゆが加野屋に来た時からそのことに気付いていたのだという。ふゆが主人に対する道ならぬ恋に踏み出さないよう、うめと雁助(山内圭哉)は亀助を焚き付けていた面もあったと認めた。

亀助は、自分は新次郎に叶うわけがないと言い、ますますふゆのことを諦め始めるのだった。
しかし、うめは亀助を応援した。新次郎がいい人であることは認めるが、夫にするにはいい加減すぎるというのだ。夫にする男は働き者のほうがよく、その点では亀助の方が優れていると言うのだ。
亀助はうめの励ましに感謝したものの、それ以上どうすることもできなかった。

それから数日後、よの(風吹ジュン)がふゆの婚礼衣装を準備した。よのは使用人の嫁入り支度をするのが昔から好きで、それが当然の努めだと考えているのだ。ふゆは喜んでお礼を言った。

興が乗ったよのは、ふゆを新次郎の妾にしようと考えたこともあったと打ち明けた。結局、新次郎が誰であれ妾を取ることを拒絶したため立ち消えになったが、それほどまでにふゆのことを認めていたという証拠である。

新次郎のことを話に出され、ふゆの心は波だった。せっかく新次郎のことを忘れて結婚しようとしているのに、また彼のことを思い出されたからだ。

その後、ふゆはあさとも話をした。
ふゆは、先輩として働くうめに憧れていたのだという。うめがあさのことを守る姿を見て、自分もはつ(宮﨑あおい)のことを守りぬくと決意していたという。だから、山王寺屋が倒産して夜逃げした時もはつに付き添って行ったのだ。しかし、結果としてはつの元を離れてしまったことを悔やんでいるという。

また、ふゆは6人姉妹の下から2番めで、父からはいらない子だと言われて育ったのだという。そのため、幼い時から自分の居場所がないと思っていた。そんな自分が、はつやうめ、そしてあさと過ごすことで居場所を見つけられて嬉しかったという。また、はつを守りきれなかったことに劣等感も抱いている。
そんな自分を見初めて、嫁に貰いたいと思っている人が現れたのだから、喜んで嫁に行く他に道はないと話した。

あさは、本当は別に好きな人がいるのではないかと訪ねた。あさは、ふゆが誰かに恋をしているということには気付いていたが、相手が誰かまではわかっていなかった。ましてや、新次郎だとはつゆにも思わなかった。
ふゆは、好きな人がいることは認めた。しかし、その人には自分よりもお似合いの人がいるから諦めたと答えるのだった。

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NHK『あさが来た』第80回

気分が乗る乗らないの話では無いのだが、どうも今年は気分が乗らなかったので年賀状作成をしなかったわけだが、みなさんからたくさんの年賀状を頂戴し、恐縮すると共に、どうもありがとうございましたと感謝を述べ、同時に自分の不義理を人知れず謝罪する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第80回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

ふゆ(清原果耶)の縁談相手・山本平蔵(山本浩司)がまたしても加野屋を覗きに来た。
しかし、あさ(波瑠)たちと目が合うと、ばつが悪そうに逃げて行ってしまった。

表でそんなことがあるとは知らず、亀助(三宅弘城)とふゆはふたりだけで話をしていた。

亀助は、いくら親が決めたこととはいえ、一度も会ったこともない相手と結婚することには慎重になった方がよいと助言していた。それに、ふゆは思いを寄せている人がいる様子であり、その人のことを忘れられるのかと訪ねた。

すると、黙って聞いていたふゆがにわかに色をなした。
自分が仕えてきた あさ や はつ(宮﨑あおい)も親の決めた許嫁と結ばれて幸せになった。彼女らとは家柄や身分が違うとはいえ、自分もそうすべきだと考えているのだ。
ふゆの今回の結婚に心の底から納得しているわけではない。しかし、なんとか自分を言い聞かせて、親の言うとおり結婚しようと決意したのだ。
亀助の発言は、ふゆの決意を踏みにじった。それで腹を立てたのだ。

亀助は、自分がふゆのことを強く思っていると言い返した。言い訳まぎれに本心を言ってしまったのだ。ふゆは、亀助の気持ちに驚いた。
言ってしまってから失敗に気づいた亀助は、自分はふゆの兄代わりなのだと取り繕った。兄として、ふゆには幸せになって欲しいのだと言ってごまかした。
ふゆはそれ以上なにも言わなかった。亀助に深く頭を下げて、その場を去った。

以上が、元日の出来事であった。
そして、三が日が明けた。加野屋にも日常が戻り始め、あさも店先で仕事を始めていた。それでもなお、まだ新年の挨拶で人の出入りがあった。

そんな中、加野屋にふゆの父・日野彦三郎(上杉祥三)が、結婚相手の山本と共に挨拶に来た。

日野彦三郎は京都で染物屋を営んでいるという。
あさと新次郎(玉木宏)が見たところ、彼は下品な男だった。ふたりは、日野が家の前に到着した時に加野屋の悪口を言っているのを聞いたのだ。曰く、鉱山に手を出して失敗し潰れかけだと噂になっているのに、存外に立派な店構えだなどと話していたのだ。そのくせ、よの(風吹ジュン)の前に出ると、これ以上ないほどお世辞を言うのだった。

さらに日野は、ふゆの悪口も言った。小さい時は体が弱く、犬や猫の方がまだ丈夫だったなど言って笑うのだ。あさと新次郎はその態度に呆れた。
それでも、山本は嫌な顔をしなかった。男と言われようが、彼はふゆにぞっこんだったのだ。ふゆが挨拶に表れると、嬉しそうにふゆを見つめた。

新次郎は、一部始終を亀助に知らせた。父・日野は問題があるが、結婚相手の山本は悪い男じゃなさそうだと話した。彼は洋傘屋を経営しており、洋装の流行のおかげで景気も良さそうだと言うのだ。ふゆの父にしてみれば、これ以上ないほど良い話に違いないと説明した。

加えて、よのもかなり乗り気だと伝えた。小正月(1月15日ころ)を済ませたら、すぐに嫁に出すと言って張り切っているという。
新次郎は亀助に、なんとかするように迫った。しかし、亀助にはどうする術もなかった。

ふゆの父の対応を終えたあさは、榮三郎(桐山照史)と共に大阪商人の寄り合い所へ出かけた。新次郎も同行するよう誘ったのだが、堅苦しいことの嫌いな彼は行かないと言い張ったのだ。

寄り合い所に集まった後は、皆で晴花亭へ出かけた。そこは、三味線の師匠だった美和(野々すみ花)が開いた店で、大阪では珍しいビールを提供する店だった。

そこであさは、久しぶりに五代(ディーン・フジオカ)と会って話をした。
彼は以前にもまして忙しい身となり、日本中を駆けまわっている。近頃では大阪株式取引所や大阪商工会議所を開設し、それらの会長も務めている。今日は久しぶりに大阪にやって来て、みなと会うことができた。

あさと会うのも随分久しぶりのことであり、大久保利通(柏原収史)が暗殺された日に東京で会った時以来である。

五代は、大久保の死んだ日に酔って抱きついたことを謝罪した。本来、五代は酒に強くめったなことでは酔わないのだが、あの日だけは感情を押さえつけることができなかったと弁解した。
もちろん、あさはもう気にしてはいなかった。

五代が大阪経済を牽引していることは誰もが認めるところだが、五代本人に言わせれば、影で自分を助けてくれた立役者がいたという。
その人物が、ちょうど店にやってきた。

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NHK『あさが来た』第79回

朝ドラ仕事始めの当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第79回めの放送を見ましたよ。

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第14週『新春、恋心のゆくえ』

あさ(波瑠)が嫁いで13年。
明治11年12月となった。
加野屋は新年の準備で大忙しだった。

去年の暮れ、あさは九州の炭鉱に行っていたため年越し準備を手伝えなかった。だから今年こそはと思い、張り切っていた。
しかし、慌て者のあさは家の掃除や料理の支度では失敗ばかりであった。奥の手伝いをさせてもらえないので、あさは店の仕事を手伝おうとした。ところが、店の方でもあさは邪険にされた。店の男たちは、年末で忙しい今こそ自分の実力を発揮する場だと思っており、あさに仕事を取られたくなかったのだ。

行き場を失ったあさは、餅つきの見物をすることにした。餅屋の男たちが、威勢のいい掛け声とともに手際よく餅をついている。年越し準備を尻目にのんびりと眺めている新次郎(玉木宏)と千代(東出奈々)に合流した。
新次郎は、あさはいつも忙しく働きっぱなしなので、今くらいはのんびりとしていればいいと声をかけた。しかし、あさは働かずにおれない性分だったのだ。
それを見かねた女中は、あさに餅を丸めるのを手伝ってくれるよう声をかけた。餅相手ならば、高価な食器を壊したりなどするおそれもなく、粗相者のあさでも迷惑をかけないからだ。あさは張り切った。

大晦日になり、あさはうどんを作った。
あさは祖父・忠政(林与一)から、そもそもうどんは練って丸めためでたい菓子だったと聞いた。それにあやかって、太く、めでたくありたい。だから、年越しそばと一緒に食べれば良いと発案したのだ。それは家の者達にも受け入れられ、以後、年越しにそばとうどんを食べるのは加野屋の恒例となった。

無事に新年を迎えた。

大食いの亀助(三宅弘城)は、人一倍餅を食べた。雑煮を何度もおかわりして、みんなを驚かせた。

亀助の大食いは、やけ食いの側面もあった。ふゆ(清原果耶)に恋心を寄せる亀助は、彼女に縁談が持ち上がっていることで気が気じゃなかったのだ。
ふゆにおかわりの雑煮を差し出されると、嬉しさと嫉妬でのぼせ上がってしまった。そのせいで、餅を喉につまらせ、大騒ぎになった。

亀助は、新年早々失態をおかしたことで落ち込んでしまった。あさはそんな彼を慰めた。「初転び」と言って、年のはじめに転ぶことは、福が転がり込んでくるので縁起がいいと話した。
そして、せっかく縁起がいいのだから、ふゆに自分の気持ちを伝えるよう助言した。ふゆの縁談相手は洋傘屋で儲けていると聞くが、亀助も負けているとは思えない。頑張れと励ました。

ふたりで話していると、ふゆが亀助のために茶を持ってきた。あさは気を利かせて席を外し、ふたりっきりにさせてやった。
舞い上がった亀助はモジモジとするばかりだったが、ふゆに本当に嫁に行って後悔しないのかと聞くのだった。

新次郎は表で千代と羽子板で遊んでいた。
あさは、そこへ亀助とふゆのことを報告に行った。あさと新次郎は、亀助のことを応援しようと申し合わせた。

そこへ、弥七(竹下健人)が以前からよく店を除きに来る男がまた現れたと指をさした。
洋傘をステッキ代わりにした男が立っていた。

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NHK『あさが来た』紅白歌合戦特別編

今年はまとめ記事をすでに納めたはずだった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第66回紅白歌合戦特別編を見ましたよ。

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紅白歌合戦特別編『加野屋の大みそか』

大晦日の夜、加野屋の面々は部屋に集まって語らっていた。

無事に年を越せるのも今年1年間お世話になった人々のおかげだ。各自がお世話になった人の名前を挙げて、お礼を言おうということになった。

榮三郎(桐山照史)は日本を代表する立派な学者として、大村智梶田隆章の名を挙げた。しかし、加野屋の人々はそれが誰だか全くわからなかった。

よの(風吹ジュン)は亡き夫・正吉(近藤正臣)、うめ(友近)は大番頭・雁助(山内圭哉)、亀助(三宅弘城)は心を寄せる相手・ふゆ(清原果耶)にそれぞれお礼を言いたいと述べた。

新次郎(玉木宏)は、娘・千代にお礼を言いたいのだという。

最後にあさ(波瑠)は、東京にいる2人にお礼を言いに行きたいと言いだした。
そのふたりとは、有働由美子と井ノ原快彦だった。ふたりは毎朝『あさイチ』でコメントをしてくれるからだ。このふたりに一番お礼を言いたいという。

一同は、NHKホールまで出かけることにした。
そこで有働由美子と井ノ原快彦に対面し、毎日見てくれていることについて直接お礼をいうことができた。そして、来年も変わらずに見てくれるようお願いした。
さらに、来年の見どころとして、炭鉱事故の後始末、子育てに奮闘する様子、榮三郎や亀助の結婚問題などを予告した。

そして、NMB48の『365日の紙飛行機』紹介し、曲の最後では一緒に踊った。

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NHK『あさが来た』第78回

今年のNHK紅白歌合戦で本作の特別ドラマがあるかもしれないという情報(紅白にあさが来る “番外編”放送検討: デイリースポーツonline)をゲットした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第78回めの放送を見ましたよ。

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第13週『東京物語』

大久保利通(柏原収史)が暗殺されたことにショックを受けた五代(ディーン・フジオカ)は、彼と一緒に飲み干すはずだったウィスキーを一人で飲んでいた。酔いのまわった五代は、慰めに来たあさ(波瑠)に思わず抱きついてしまった。

すぐに過ちに気づいた五代は、あさから離れた。
あさも怒ってはいなかったが、たいそう驚いたという。多くの女は、男から急に抱きつかれることに慣れていないからだ。
今日は自制できたが、次に同じことをされたら、驚きのあまり投げ飛ばしてしまうだろうと予告した。自分は相撲が得意なのだと説明した。
五代は謝罪した。

続けてあさは、五代が自分のことを男女の隔て無く友として自分を頼ってくれ、弱みを見せてくれたのなら嬉しいと付け加えた。自分は大久保利通には適わないが、五代の心の友になりたいと希望を伝えた。心の友となって、五代の役に立ちたいと述べた。
五代は嬉しくなった。

上機嫌になった五代は、あさにウィスキーを勧めた。亡き大久保と、新たな友・あさのために乾杯しようと言うのだ。
あさは見よう見まねで、五代がするようにウィスキーを一口で飲み干した。生まれて初めて酒を飲むあさは、むせ返ってしまった。男たちが美味しそうに酒を飲むのを見てきたが、ちっとも美味しくないと話した。
五代は笑った。

五代は、あさのことを不思議な人だと評した。これまでに色々な物を見聞してきたが、あさほど自分を驚かせる存在はないという。どんな時でも、あさを見ていると自然と笑顔になれる。とても貴重な存在だというのだ。
五代は薩摩藩や政府に属していた時に、嫌なものをたくさん見てきた。何もかもを投げ出したくなった時にあさに出会った。あさに会っていなかったら今の自分はなかったと話した。

しかし、その話をあさはほとんど聞いていなかった。1杯のウィスキーで酔いつぶれて眠ってしまっていたのだ。

翌朝、迎えに来たうめ(友近)と共に1日遅れで大阪へ帰った。

新次郎(玉木宏)は、あさの帰りが予定より遅れたのでヤキモキしていた。
あさは、大久保利通の暗殺と、五代を慰めるために居残ったことを正直に話した。もちろん、あさの身は潔白なのだが、新次郎は面白くなかった。あさが東京のその他の珍しいことをいくら話しても、新次郎には馬の耳に念仏だった。

あさは東京で、大久保利通や物知りの奇妙な男(福沢諭吉: 武田鉄矢)に会ったこと、鉄道やレンガ、牛鍋など新しい物を見たことを思い出していた。
中でも一番思い出に残っていることは、道に並ぶガス灯だった。キラキラと光っていてきれいだった。いつか新次郎や娘・千代に見せてやりたいと思うのだった。

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NHK『あさが来た』第77回

昨日、同僚の人から年末年始の予定を聞かれ、「ギター弾きまくる」とだけ答えたら呆れられた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第77回めの放送を見ましたよ。

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第13週『東京物語』

大久保利通(柏原収史)が暗殺された。

大阪へ帰るために駅に向かっていたあさ(波瑠)は号外でそれを知った。すぐに五代(ディーン・フジオカ)のことが心配になった。五代と大久保は大の親友だからだ。

あさは、大阪で自分の帰りを待つ家族のことを思うと予定通り帰るべきだと思った。しかし、五代のことも放っておけない。
迷った末、うめ(友近)だけを先に帰し、自分は1本後の汽車で帰ると約束し、五代の所へ向かった。

その頃、加野屋ではふゆ(清原果耶)に縁談話が持ち上がっていた。彼女の実家が話をまとめ、加野屋に手紙で知らせてきたのだ。

相手の男は、元々は草履屋をやっていたが、最近は洋傘の商いをはじめ、かなり儲かっているという。
相手はふゆのことを紹介された時、一度姿を見てみたいと思い、加野屋に覗きに来た。すると、ふゆが想像以上に美人だったので気に入った。ふゆのことを忘れられなくなり、一度だけのつもりが、何度も様子を見に来るようになった。そのうちに、ふゆの勤勉さも知るようになり、ますます惚れたのだという。

ふゆは、よの(風吹ジュン)からそのことを聞かされるも、突然のことにどうしていいかわからなくなった。

新次郎(玉木宏)は、番頭・亀助(三宅弘城)がふゆに惚れていることを知っている。そこで、彼にだけは先に事情を話してやった。そして、せめて自分の思いだけは伝えてはどうかと亀助に助言した。
しかし、亀助は拒絶した。ふゆにとってめでたい話が来た時に、自分の好意を伝えることは無粋だと言うのだ。自分はふゆの兄貴分を自認しており、彼女が幸せになるならそれで満足だと虚勢を張るばかりだった。

あさは五代の事務所に着いた。
五代は一人で酒を飲んでしたたかに酔っていた。

五代のひどく悔いていた。
大久保からは何度も政府で働くよう要請されていたのだが、彼は大阪にこだわって断り続けた。もし自分が要請を受け入れ、大久保のそばで働いていれば、暗殺事件も防げたのではないかと言うのだ。自分が大久保を守りきれなかったことを激しく後悔していた。

その言葉を聞いたあさは否定した。
大久保のそばにいなくても、五代は彼の支えになっていたと説いた。離れていたからこそ、互いに励みになったという一面もある。それこそ、ふたりが「心の友」であった所以であると話した。あさは、大久保と五代が一緒にいた時、大久保が真っすぐで偽りのない顔をしていたのと見たという。あれこそが大久保の真の姿であり、信頼できる人だと思ったと伝えた。
あさは、大久保の施策や人柄を忘れないと誓った。彼の遺志は、五代と共に自分が受け継ぎ、将来の大阪や日本を支えていきたいと語った。

五代はあさに抱きついた。
あさは身を任せた。

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NHK『あさが来た』第76回

昨日は『スター・ウォーズ: フォースの覚醒』を見てきたわけだが、事前には「女主人公?それってどうなん?コケるんちゃうの?」と思っていたわけだが、見てみるとこれ以上ないくらいよく出来たスター・ウォーズになっていて、事前の不明を恥じるしかなくなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第76回めの放送を見ましたよ。

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第13週『東京物語』

あさ(波瑠)の実家は、現在は東京にある。しかし、あさは東京へ来ることを内緒にしていた。
父・忠興(升毅)は、昔から女が学問や商売をすることを禁じていた。あさはその教えに背いており、夫や娘を放置して東京に来たなどとしれたら、こっぴどく叱られると予期したからだ。

それでも、家族は恋しかった。そこで、弟・忠嗣(興津正太郎)にだけこっそりと連絡をつけ、会うことにした。彼はアメリカ留学から帰国しており、海外の話も聞いてみたかったからだ。

あさは忠興と牛鍋屋で落ち合った。
すると、突然そこへ父・忠興が姿を現した。忠興は、忠嗣の様子がおかしいので後を付けてきたのだった。忠嗣は、あさの非常識さに怒っていた。自分の教えに背くどころか、親への挨拶も無いからだ。

あさは、自分が商売に熱中していることを『学問のすすめ』から引用して言い訳した。
同書によれば、男も女も同じ人間であるとされ、これからは女も勉強して、男と対等に意見を戦わせる時代になる。自分はその考え方に賛同しているのだと話した。

その店では、福沢諭吉(武田鉄矢)本人も食事をしていた。自分の名前が出たことで、諭吉はあさたちの話の輪に割り込んできた。
男であれ女であれ、どんな人間も自由と独立を妨げられてはならないと言って、あさを弁護した。これからの女性は、単に男に従うだけではなく、経済的に自立すると共に世間に対する責任をもつ必要がある。大いに学び、しっかり働き、財産を作ることで独立自尊していくことが必要だと説いた。
そして、あさに対して将来は女社長になれと助言した。

あさたちは、諭吉の正体に気づいていなかった。唯一、忠興だけが看破仕掛けたが、諭吉は名乗らずにそそくさと立ち去ってしまった。
帰り道、諭吉は満足していた。この7年後、諭吉は『日本婦人論』を刊行することとなり、それは将来のあさの心の支えとなるのだった。

その後、あさと忠興は互いの商売について話し合った。
あさの炭鉱は事故の復旧のため休業状態だし、忠興の銀行も思うように事業が成長していない。共に苦労が多いのだ。
そんな中でも、あさは前向きだった。もうすぐ文明開化が成し遂げられる。それまでは辛抱の時期だと捉え、耐え忍ぼうというのだ。

その他、あさは内務卿(首相)の大久保利通(柏原収史)と面会したことなどを報告した。あさによれば、大久保は少しも偉ぶるところのない、優しい人だったという。女の自分とも対等に話をしてくれたという。
日本で一番偉い政治家と会ったことに、忠興や忠嗣はひどく驚いた。

牛鍋屋からの帰り道、忠興は感心していた。あさと話をしていると、女と話をしている気がしなかったのだ。あさを一人前の商売人だと認めざるを得なかった。
忠興の父・忠政(林与一)は生前、あさを男として育て、家督を継がせようと言っていた。当時は馬鹿げた一笑に付していたが、今になると忠政の言い分が正しかったのだとしみじみ思うのだった。

その頃、大久保利通は五代(ディーン・フジオカ)と会っていた。堅苦しい話は抜きにして、気楽に将来の展望を語り合った。
内務卿の大久保とはいえ、これまで外国や旧藩閥の影響力に屈せざるを得なかった。しかし、これからはそれらの妨害を跳ね返し、より一層国造りに励むと誓った。これまでの10年は国政の変化を落ち着かせるための10年だった。次の10年は政治や経済を完成させる10年だと見積もっている。そして、さらにその後10年をかけて、新しい日本が完成すると展望した。
その頃には、武力に頼らずとも強い国が出来上がっていると言うのだ。

五代は、大久保の考えに大いに賛同した。常々、大久保が力を入れている、産業、農業、物価、教育の各政策には賛成だった。
ただし、今の大久保が一つだけ忘れているものがあると指摘した。それは女性を育て、活用することである。女性の能力を活かせば、武力に頼らない国という大久保の理想をより盤石なものにできるというのだ。
大久保も納得した。

それから数日後、あさが大阪へ帰る日となった。
にわかに町中が騒然としていた。あさが号外を受け取ると、大久保が暗殺されたことを知った。明治11年5月14日のことだった。

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