NHK『ブギウギ』第60回

10年くらい前に買ったうちのHDDレコーダーはしばらく前から挙動が怪しいし、もうすぐクリスマスだから新調しようかなと思うのだけれど、せっかくなら4Kチューナー付きにしようかとも思うけれど、そうするとテレビも4K対応にしなきゃならないし、結構な出費だなと思って決められずにいる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第60回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのスズ子』

村山トミ(小雪)が上京し、愛助(水上恒司)は会社に呼ばれた。
トミには、すでに全てバレていた。愛助に鈴子(趣里)と別れるよう命じた。同時に、愛助が紹介した元村山興業社員・山下(近藤芳正)を鈴子のマネージャから解任しろと求めた。山下が間にいると、愛助と鈴子の関係が続くからだという。
愛助は、応じられないと反発した。自分は鈴子を好きだという一点張りだった。
埒が開かないので、トミは鈴子に直接会わせるよう要求した。

こうして、鈴子はトミと会うことになった。鈴子は隠し事が嫌いなので、トミに説明できる機会は大切だと考えていた。一方、芸能界の大物で、恐ろしい人間だと噂を聞いているので、会う前はひどく緊張した。

会うなり、トミは鈴子のことを褒めてくれた。いい歌手として認識しているという。梅丸少女歌劇団での下積みもあって今の立場があるのだろうと話した。
そして、下積みの苦労を知っている人間は分別があるはずだと話した。愛助は村山興業の後継ぎになる人間だということを理解して欲しいと告げた。それだけ話すと、あとは愛助と鈴子のふたりで話し合えと言って部屋を出ていってしまった。

面会があっという間に終わってしまい、愛助は戸惑った。トミの言葉の真意もよくわからなかったものの、自分たちにチャンスが与えられたと思った。
しかし、鈴子はトミの真意がわかっていた。短い会話の中で、言外に別れろと言っていたのだと説明してやった。自分のような歌手では、村山興業社長夫人は務まらないと宣告されたのだ。

愛助は、やはり反発した。鈴子のことが好きだから、このまま交際を続けたい。結婚の段階になれば、必ず自分が母に認めさせてみせる。鈴子には歌手を続けて欲しい。母になんと言われても鈴子を好きだと強情を張った。
鈴子も同じだけ愛助のことが好きだと応えた。
こうして、ふたりは別れることなく、これまで通りの生活を続けた。むしろ、鈴子は以前よりも愛助と一緒の時間が増えた。自分の下宿に帰る日よりも、愛助の下宿に泊まる日の方が多くなるほどだった。

1944年(昭和19年)の暮れになると、東京にもたびたび敵機が襲来するようになった。空襲警報が鳴り響くと、人々は防空壕へ避難する。

ある夜に警報が鳴った時、鈴子はやはり愛助の下宿にいた。ところが、鈴子は腹痛を感じてトイレにこもっていた。愛助が早く避難するよう声をかけても、鈴子は先に行けと言うばかりでなかなかトイレから出なかった。愛助は鈴子を見捨てるわけにもいかず、出てくるまで声をかけながら待った。やっと出てくると、鈴子を抱き抱えて防空壕へ走った。虚弱体質の愛助には珍しい姿だった。

空襲警報が解除され、ふたりは部屋に戻ってきた。
今まで愛助は鈴子のことを「福来さん」と呼んでいたが、これからは「スズ子」と呼んで欲しいと頼んだ。さっき、早く逃げるよう催促する時、愛助は思わず「スズ子」と呼び捨てにした。鈴子はそれにときめいたのだと言う。
そう話して、鈴子は愛助にキスをした。愛助のことが本当に好きだと述べた。

キスを終えると、愛助は咳き込んだ。珍しく思いっきり走ったせいで調子が悪くなったのかと思われた。
しかし、愛助は喀血した。

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NHK『ブギウギ』第59回

HDレコーダーに録画していた本作をBlu-rayディスクに移して保存しようとしたところ、どうやらうっかり誤って消してしまったようで51話だけが残っていないことが判明し、先週の月曜の放送回だから再放送を録画することもできず、ものすごくショックを受けている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第59回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのスズ子』

鈴子(趣里)と愛助(水上恒司)を別れさせる引き換えとして、マネージャー・五木(村上信悟)は村山興業の坂口(黒田有)から前金を受け取った。しかし、鈴子が承諾するはずもなく、五木は進退窮まった。

そのまま、鈴子たち一同は長野巡業へ出かけた。
公演前の控え室に、五木を訪ねて母子(香月ハル住田将太)が現れた。息子・三平は五木のことを父と呼び、たいへん仲が良い様子だった。
五木は以前から日本全国に彼女がいると豪語していた。しかし、地方の恋人が実際に訪ねてくるのは初めてのことで、楽団一同は驚いた。しかも、子どもまでいるとは初耳だった。

五木も楽しげに彼らを歓待していたが、しばらくすると二人を人目のつかないところへ連れ出した。鈴子は気になるところがあって、物陰から様子を伺った。
五木は、女・ナツに現金を渡していた。彼女によれば、夕方までに家賃を払うよう督促されていて困っていたという。金を受け取ると、親子は客席へ向かった。

頃合いを見て、鈴子は五木に声をかけた。
先ほどの子・三平は五木の本当の子どもではないという。女・ナツの元夫は、この辺りの地主の息子だったが、戦争で亡くなった。未亡人になってからは夫の実家にいじめられている。そのため、こっそり旅館の女中として働いており、そこで五木と知り合ったのだという。息子・三平は自分によく懐いているが、おそらく本当の父でないことは知っているだろうとのことだった。
出会った頃、五木は彼らのことを不憫に思い、なけなしの中から経済援助をしてやった。その関係が今でもズルズル続いているという。確かに全国に恋人がいたが、それらは全て縁を切り、今はナツと三平の親子とだけにしていると話した。

鈴子は、自分もいくらか金を援助すると申し出た。しかし、五木はそれを断った。日本国中が貧乏であり、それはナツ親子だけを助ければよい問題ではないからだ。それに、五木は自分が助けることに意味があると考えている。鈴子がどんなに言っても五木は断った。
五木は、自分が色恋に溺れていることを自嘲した。鈴子と愛助の恋愛沙汰を冷ややかに見ていたが、自分も同じようなものだと話した。

その後、鈴子の公演が始まった。
しかし、終演後、五木の姿がどこにも見えなくなった。団員たちは、開演直後に彼の姿を見たのが最後だと言っている。
すると、小夜(富田望生)がその日の宿の女将が預かっていたという手紙を持ってきた。
その手紙の中で五木は、鈴子と愛助の手切金として坂口から金をもらっていたことを白状した。その金の一部は楽団に残していくという。その上で、これからはナツと三平を幸せにするために生きていくと宣言されていた。
こうして、五木は逃げるようにマネージャーを辞職した。

東京に帰った鈴子は、愛助に一部始終を報告した。
すると愛助は、新しいマネージャーを紹介したいと言い出した。五木が出奔したのは坂口から手切金を受け取ったせいであり、その手切金のそもそもは自分に責任の一端があると思うからだ。

愛助は、新しいマネージャーとして山下(近藤芳正)を連れてきた。彼は村山興業の元社員だが、今は引退して孫と遊んでいるだけだと言う。
元々、山下は愛助の子守り役であり、父親がわりだった。早くに父を亡くした愛助のために、映画館や芝居などに連れていってくれた。あまりに愛助を甘やかすものだから、愛助の母であり社長でもあるトミ(小雪)からは頻繁に叱られていたという。一方で、仕事には自信を持っており、全国に知り合いも多い。マネージャー業は任せて欲しいと豪語した。
山下は、社長・トミのことを少し心配した。自分が再び愛助に近づいたと知れたらいい顔はしないだろうと言うのだ。ましてや、鈴子まで絡んでいるとなれば逆鱗に触れるのは間違い無い。しかし、山下は、昔からトミに隠れて愛助を遊びに連れ出していた。その時と同じだと言って笑った。もしトミに露見したら、やり返せばいいとまで言った。

隠し事の嫌いな鈴子は、トミに隠し続けることが気にかかった。なぜ報告しないのか訪ねた。
山下によれば、トミは夫を早くに亡くし、愛助の兄弟も夭折した。一人だけ残った愛助へ引き継ぐため、トミは女手一つで会社を大きくしてきた。当然、愛助の交際相手は結婚を見据え、愛助や会社を支えられる者でなければならないと考えていると話した。
急に結婚と言われて、愛助は照れた。しかし、時期が来たら母にきちんと話すと約束した。それで鈴子も納得した。

その頃、トミが上京していた。
坂口に愛助を呼び出すように命令した。直接話をしたいという。

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NHK『ブギウギ』第58回

愛助が自分で、鈴子が山瀬まみの夢を見てしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第58回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのスズ子』

楽団員たちが見ているのも構わず、鈴子(趣里)と愛助(水上恒司)は話し合い、正式に交際することになった。
しかし、それはまさに地方巡業に出発する矢先の出来事であり、愛助に見送られながら鈴子は慌ただしく出掛けていった。

時は1944年(昭和19年)3月になっており、国内の経済状況や統制が厳しくなっていた。東京や大阪の大劇場は閉鎖されてしまった。
茨城では小さな集会場で公演が行われた。客は満員だったが、興行主からは出演料がすぐには払えないと言われてしまった。前払いとして芋を持って帰って欲しいと頼まれた。マネージャー・五木(村上信悟)は即金払いでなければ困ると抗議したが、鈴子は後日送金することを念押しした上で芋を受け取ることにした。
また、検閲の警察官からは鈴子の衣装や化粧が派手だと注意された。鈴子は、興行主に対する柔和な態度とは打って変わって、自分の装いにケチをつけられたことに強く反発した。ここでは先ほどとは逆に、マネージャー・五木が驚くほど卑屈な態度で場をとりなした。五木は、鈴子が逮捕されたら楽団が立ち行かなくなるので仕方なかったことだと説明した。

こういった顛末を、鈴子は巡業先で手紙に書いて愛助に送った。手紙の最後には「あなたのスズ子」と署名した。鈴子はそう書いたことで有頂天になった。受け取った愛助も、その署名を見て舞い上がった。

10日ほどして鈴子は巡業から帰ってきた。早速、鈴子は愛助の下宿へ会いにいった。
ただし、五木から言われ、愛助に会う時には必ず小夜(富田望生)がついてくるようになった。それでも、鈴子は愛助に会えるだけで嬉しかった。

マネージャー・五木は事務所で経理を行なっていた。今月も収支は赤字だった。このままでは楽団が立ち行かなくなると心配である。
五木は、財布に大事にしまってあった1枚の写真を取り出した。そこには母子(香月ハル住田将太)が写っており、それを眺めながら五木は考え込んだ。

その後、五木は村山興業東京支社を訪れた。支社長・坂口(黒田有)に呼び出されていたのだ。
坂口は、愛助と鈴子を別れさせたいという。愛助の母であり社長であるトミ(小雪)に知られる前に手を打ちたいという。

五木は、鈴子と愛助は深く愛し合っており別れさせることは容易ではないと告げ、イヤらしい笑みを浮かべた。
その表情を見た坂口は、封筒に入った金を差し出した。五木はそれをそのまま受け取った。

五木は、鈴子とふたりだけで話をした。
単刀直入に愛助と別れて欲しいと頼んだ。今のままでは楽団の経営が苦しいが、鈴子が愛助と別れれば金が入ると言うのだ。鈴子は、すぐに坂口が裏で手を引いているとわかった。
鈴子は坂口のことを思い出して不快な顔をした。五木もそれに調子を合わせ、自分も坂口のことが嫌いだと話した。そこで、坂口を騙して金だけ受け取ることを提案した。鈴子が愛助と別れたふりだけすればよいという。
しかし、鈴子はきっぱりと断った。そのような騙し合いは性に合わないというのだ。楽団の経営が苦しいなら、自分の蓄えを提供するとも申し出た。

最後に鈴子は、まだ坂口からは金を受け取っていないか確認した。五木は、金はまだ受け取っていない、坂口にも断ってくると嘘をついた。

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NHK『ブギウギ』第57回

「今日はお前らにタイのかわい子ちゃんを紹介する。よく聞け」などとほざいている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第57回めの放送を見ましたよ。

@ninedayo

タイのケンタッキーだよ タイ バンコク ケンタッキー

♬ オリジナル楽曲 – ナインだよ – ナインだよ

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第12週『あなたのスズ子』

愛助(水上恒司)は子供の頃から体が弱く、運動も禁じられていた。そのことで彼はずっと劣等感を持っていた。同級生の学生たちが学徒出陣する中、自分だけが徴兵されない。そのような時に、鈴子(趣里)との恋愛にうつつを抜かしていてよいのかと思い悩んでしまった。

鈴子は、愛助が自分自身で折り合いをつけなければならない問題だと思い、何も言わずに彼の決断を待っていた。しばらく愛助からの連絡がなくなった。鈴子は愛助に任せることにしたものの、彼のことが一時も頭から離れなくなってしまった。羽鳥夫婦(草彅剛市川実和子)に話を聞いてもらったりもしたが気は晴れず、ずっとぼんやりしていた。

そんな中、愛助のもとへ実家の母・トミ(小雪)から手紙が届いた。その手紙は、愛助が自分だけ徴兵されないことに後ろめたさを抱いていることを看破していた。しかし、そのことで思い悩む必要はないと書かれていた。果物も人間も、上等なものほど傷つきやすい。トミは愛助を上等な人間に育てたのだから、繊細で優しく、傷つきやすい子になったのだと主張していた。愛助は今のままでいいし、戦場には行かなくても、自分のやり方で国のためになることをすればよいと書かれていた。

その手紙に鈴子のことは一切触れられていなかったが、愛助は自分は自分らしく鈴子と交際してもよいのだと自信を得た。
村山興業東京支社長・坂口(黒田有)を訪ね、鈴子と交際することを宣言した。もちろん坂口は引き止めようとしたが、愛助の決意は強かった。坂口は、トミに知られたら自分の身も危なくなると恐れながらも、もう何も言えなくなってしまった。

「福来スズ子とその楽団」が巡業に出る日になった。一同が事務所に集まって出発しようとしていたまさにその時、愛助が訪ねてきた。愛助はみんなが見聞きしているのも構わず、鈴子に交際を申し込んだ。母からの手紙で勇気づけられ、戦争に行けなくても自分は自分のできることをすればよいのだと腹を括ることができたと説明した。今は親に頼るばかりで情けないが、この先は必ず鈴子に相応しい男になって見せると豪語した。

鈴子は、自分が愛助の母のように勇気や力を与えられるか自信はないと答えた。しかし、愛助のことを思う気持ちは強いと話した。会えない間、ずっと愛助のことを考えていて、愛助のことが好きな気持ちに間違いはないと思ったと話した。
こうして、二人は正式に交際を始めることとなった。

一部始終を目撃していた楽団員たち(陰山泰えなりかずき国木田かっぱ伊藤えん魔)は、自分たちの楽器で祝福のファンファーレを演奏した。
愛助のことを苦々しく思っている小夜(富田望生)は、鈴子に相応しくなってから出直せだの、鈴子のことを泣かせたら殺すだのと悪態をついたものの、渋々認めた。

マネージャー・五木(村上信悟)はこれからよくないことが起きるのではないかと密かに心配し始めた。

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NHK『ブギウギ』第56回

部屋を片付けていたら今年の4月ころに買った『週刊SPA!』が出てきて、当時は黒木華さんの記事しか読んでなかったので改めてパラパラとめくってみたら、「年の差SEXの極意」という中年男性が若い婦女子とセックスする時のコツについて書かれているページがあって冷やかし半分に眺めていたんだけど、筋力が弱まり始めている中高年が立位をすると転倒して怪我をするリスクがあるから避けろと書いてあって、「バカにすんじゃねぇよ」と呟きながら冷笑したんだけれど、その後にコンビニに買い物に行ったら、入口に設置してある点字ブロックもしくは玄関マットのいずれかわからないのだけれど、とにかくそういった類の薄いものに足が引っかかって転倒しドアに激突したものだから店内にいた客やら店員やらから驚きの顔で見られてしまい、すごく恥ずかしかったし、やはり中高年は転倒して怪我をするリスクがあるなと身をもって学んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第56回めの放送を見ましたよ。

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第12週『あなたのスズ子』

鈴子(趣里)は、愛助(水上恒司)との交際を受け入れるつもりで彼の下宿へ向かった。しかし、部屋の中から村山興業東京支社長・坂口(黒田有)の声が聞こえてきて、しばし聞き耳を立てた。坂口は、愛助に鈴子との交際をやめるよう説得しているようだった。その口ぶりは鈴子を愚弄するもので、鈴子が愛助をたぶらかし、仕事を取るために利用しているだけだなどと言うものだった。
鈴子は純粋に愛助のことを好きになっていた。坂口の根も葉もない言葉に頭に来た。鈴子は部屋に怒鳴り込んだ。

坂口は鈴子の姿を見ると、自分の歳と立場をわきまえろと告げた。鈴子も食ってかかり、これ以上ないほど険悪な雰囲気である。
愛助が間に入り、鈴子と二人で話をしたいと坂口に懇願した。坂口は、それを受け入れ、きちんと別れ話をするように告げ、帰って行った。

愛助は鈴子に今の気持ちを話した。学徒出陣が始まった中、自分は体が弱いせいで徴兵されない。同じ年頃の同級生たちが出征しているのに、自分だけが安全なところで色恋にうつつを抜かしていてよいのかと自問自答しているのだと言う。

鈴子は、自分に弟のいたことを話した。彼は愛助より少し年上だが、愛助とほぼ同年代である。彼はトロくさくて周囲からバカにされていたが、鈴子にとってはかわいい弟だった。そんな彼は徴兵検査に合格したことで、やっと自分が認められたと喜んでいた。しかし、戦死してしまった。
鈴子は、学徒出陣の新聞記事を読んだ時、真っ先に愛助のことが思い浮かんだという。愛助が弟のように戦死してしまったらと考えると心が苦しかった。だから、体が弱いせいで愛助が徴兵されないと聞いてホッとしているのだと話した。

一方で鈴子は、愛助が学徒出陣していく同級生たちに申し訳ない気持ちでいっぱいなのも理解できると話した。
出生できない不甲斐なさと恋心の板挟みの結論を出せるのは愛助本人のみだと告げた。どのような答えでも構わないので、決断は愛助に任せると話、鈴子は帰った。

愛助に一任したとはいえ、鈴子はそれでよかったのかと思い悩んでいた。さまざまなことに身が入らず、ぼんやりするようになった。
そんな中でも、日課の発声練習だけは欠かさなかった。いつもの場所で発声練習をしていると、村山興業の坂口がやってきた。
坂口は鈴子に手切れ金を差し出した。愛助が色恋にうつつを抜かしているという噂が、彼の母であり社長でもある村山トミの耳に入ったのだと言う。大事になる前に無かったことにしてしまいたいというのだ。

鈴子はその金を受け取らなかった。自分と愛助はまだ交際していないので、手切れ金を受け取る筋合いはないと断った。ましてや、自分たちのことは自分たちで決めるべきで、誰からも指図を受けないと啖呵を切った。
坂口は大興業主の村山トミを敵に回すつもりかと脅したが、鈴子は一歩も引かなかった。こんなことで敵になるのだったら、それで構わないと答えた。
交渉は決裂した。

そんなことがあったとは知らない愛助は、相変わらず悩み続けていた。
そんな中、実家の母・村山トミから手紙が届いた。

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NHK『ブギウギ』第55回

今日は雨っぽいのでテンションの上がらない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第55回めの放送を見ましたよ。

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第11週『ワテより十も下や』

鈴子(趣里)は、愛助(水上恒司)から好きだ、恋人になってほしいと告白された。鈴子は、その場では返事を保留し、去った。
鈴子は本心では嬉しかった。しかし、年齢差や身分の違い、世間体などと考えると躊躇してしまったのだ。鈴子は苦しい気持ちになった。

1943年(昭和18年)10月、それまで大学生の徴兵は免除されていたが、20歳以上の文科系学生を対象に学徒出陣が始まった。愛助も対象となり、いつ召集されてもおかしくない状況となった。
告白されて以来、愛助とは会っていなかったが、鈴子は彼の身を案じた。愛助は体が弱いせいかまだ徴兵されないが、自分の同年代が戦地で戦っていることに対して自身の不甲斐なさを感じていた。

マネージャー・五木(村上信悟)は、鈴子に愛助と別れろと迫った。愛助の母は村山興業の社長であり、恐ろしい人物だとの噂である。彼女を怒らせると、全国の興業主に声をかけて「福来スズ子とその楽団」を使わせないようにすることも簡単だろう。楽団の存続のためにも、波風を立たせないようにしてほしいと言うのだ。

鈴子は、付き人・小夜(富田望生)を伴って、伝蔵(坂田聡)のおでん屋台で酒を飲んだ。その場で、小夜に聞かれるまま、愛助のことを話した。
初めは、亡き弟・六郎(黒崎煌代)のようにぼーっとしていてかわいい子だと思い、まさに弟のように思っていた。しかし、話をするうちにしっかりした人だと思わされるようになった。チャップリンのように世界中の人を笑わせたいなどと夢も大きく、頼もしい。近頃は、学徒出陣の新聞記事を読んで、愛助も戦地に行くかもしれないと思うと胸が苦しくなる。

鈴子は、まだ迷っている。戦争が激しくなり学徒出陣まで始まった時に、ずいぶん年下の男に現を抜かしていることに自己嫌悪を抱くと言うのだ。
一連の話を聞いていた屋台主・伝造は、変な歌を歌っている人間が変なことを気にするなと一括した。以前、鈴子が愛助を連れてきた時のことを思い出し、彼はいい目をした好人物だったと話した。

翌日、決意した鈴子は愛助の下宿を訪ねた。
部屋に入ろうとすると、中から村山興業東京支社長・坂口(黒田有)が愛助を諭す声が聞こえてきた。鈴子はしばらく廊下で聞き耳を立てた。
坂口は、鈴子と別れるよう説得していた。愛助は体が弱くて徴兵されない分、勉学に取り組まなければならない。ゆくゆくは村山興業の立派な跡取りとなり、芸人を戦地慰問に送り出すなどして国に貢献すべき立場である。
鈴子のような歌手にのぼせ上がっている場合ではない。ましてや、向こうは手だれなのだから、愛助は弄ばれた挙句に捨てられるのがオチだ。ましてや、興業会社の跡取りと歌手が結婚することなどできない。ふたりとも一時の気の迷いであり、ままごとをして遊んでいるようなものだ。そうでないとしたら、鈴子は愛助を利用してのし上がろうとしているだけだと結論づけた。

そこまで聞いた鈴子は頭に来て、部屋に怒鳴り込んだ。

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NHK『ブギウギ』第54回

『まんぷく』の再放送を見るともなく見ていて、「おいしいおいしいダネイホン」というフレーズが頭で回り続けて困っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第54回めの放送を見ましたよ。

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第11週『ワテより十も下や』

良い蓄音機があると言って、村山愛助(水上恒司)は鈴子(趣里)を自分の下宿に誘った。世間体のことを考え、小夜(富田望生)を同伴することを条件に鈴子は応じた。

愛助の住んでいる家は立派な屋敷だった。彼の母の知り合いの家で、一部屋だけ借りているとは言うものの、それは通常の学生には似つかわしくないほどだった。鈴子は驚いた。
さらに驚いたことは、それだけ豪華な家にあって、愛助の部屋だけは散らかり放題だった。彼が収集したレコードや芸能雑誌が床にまで散乱し、足の踏み場もないほどだった。愛助けは全く悪びれる様子もなかったが、鈴子と小夜はまず座る場所を作るために片付けから始めなければならなかった。

なんとか落ち着ける場所を作り終えると、愛助は自分の収集品を次々に紹介した。鈴子のレコードはもちろん全て持っていて、出荷数の少ない貴重なものまで所持していた。芸能雑誌も鈴子の記事の掲載されているものはほとんど持っていた。それらをいちいち取り出してきては、鈴子に見せるのだった。そうしながら、鈴子の歌がどんなに素晴らしいか一方的に捲し立てた。愛助は大和礼子(蒼井優)がトップスターだった時代から大阪の梅丸少女歌劇団を見ていたが、礼子よりも鈴子のファンだったという。その後、東京での梅丸楽劇団の旗揚げ公演も観覧したという。

その日は、そうして終わった。別れ際、愛助はまた会いたいと述べた。明日でも明後日でも予定は空いているので、ぜひ会ってほしいと言うのだ。あまりのことに鈴子は苦笑いしたが、はっきりとは断らなかった。

実際、鈴子は、小夜に秘密で愛助に会うようになった。下宿の掃除を手伝ったり、行きつけの伝蔵(坂田聡)の屋台でおでんをご馳走したりした。

愛助は屋台で食事をした経験はほとんどないという。屋台は汚いから行くなと言いつけられていて、それを守っていたのだ。愛助がまだ小さかった頃は父に道頓堀の屋台に連れて行ってもらったことはあるものの、その父も亡くなり、そのような機会は全くなくなってしまったという。

愛助は小さい頃から体が弱く、母から心配されて育ったのだと話した。学校も休みがちで、友達もあまりできなかった。そうなると学校に行くのも億劫になり、ますます休みがちになる。そんな時、母は自身の経営する演芸場に入れてくれた。芸人たちを見て笑っていると、生きる気力が湧いてきた。
そのような経緯もあり、将来は演芸場を拡大したいと考えている。日本ばかりか、世界中に笑いを届けたいと願うようになった。戦争が終わったら、世界中から面白い芸人を集めるとともに、外国にも演芸場を開設したいと夢を語った。

鈴子と愛助は、純粋な友達として友情を深めていった。そのおかげで、鈴子は毎日上機嫌だった。

そんなある日、村山興業東京支社の支社長だと名乗る坂口(黒田有)が鈴子の事務所を訪ねてきた。坂口によれば、愛助は村山興業の跡取りであり、大学を卒業したらすぐに仕事を始めることになっている。愛助をたぶらかさないよう釘を刺しにきた。鈴子は、プラトニックな友情にすぎないと反論した。
しかし、坂口の剣幕は変わらなかった。本人がなんと言おうが、世間の見る目は違うと言うのだ。10歳も年下の大学生を弄んだとして、醜聞になると言うのだ。マネージャー・五木(村上信悟)も坂口に同調した。もっとも彼は、大興業主である村山興業を敵に回したくないのだった。

鈴子は、愛助の下宿を訪れ、坂口支社長が来たことを報告した。そして、彼の言うとおり世間体が悪いと話し、関係を見直すよう話した。
すると愛助は、今のような友人関係がだめなら、恋人になってほしいと願った。

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NHK『ブギウギ』第53回

昨夜は早くに気を失ってしまい『大奥』の最終回を見逃したので、NHK+でちゃんと見ようと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第53回めの放送を見ましたよ。

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第11週『ワテより十も下や』

神戸での公演を終えた鈴子(趣里)は、東京に帰る途中で大阪に立ち寄った。
生まれ育った銭湯・はな湯や、歌手として育ててくれた梅丸少女歌劇団を訪問した。どちらでも、懐かしい人々に再会し、かれらの変わらぬ様子に安心した。迎えた面々も鈴子を熱烈に歓迎した。

こうして旧交を温めた後、鈴子は東京に帰り着いた。
すると、下宿には鈴子宛の何通もの手紙が届いていた。それは全て村山愛助(水上恒司)からのものだった。泥棒疑惑は晴れたものの、付き人・小夜(富田望生)は愛助のことをどこか怪しんでいた。全く警戒していなかった鈴子は壊れるままに彼に住所を教えたが、小夜は愛助がよからぬことを企んでいるのではないかと腹を立てた。

最初の手紙は、鈴子と知己を得たことを喜び、体調を気遣うという穏当なものだった。二通目は鈴子の生家のはな湯に行ったという内容だった。そこに集う人々の明るく穏やかな様子は、鈴子の歌の原点のように感じるなどと書いてあった。
小夜は、愛助の行動に異常なものを感じた。鈴子に対して強い執着や恋心を抱いていると感じ取った。
一方の鈴子は、彼は自分より10歳も年下だし、彼から見れば自分はオバさんである。何も間違いは起きないと笑い飛ばした。

鈴子は長旅の疲れと小夜のやかましさに辟易した。小夜を部屋から追い出して、昼寝をすることにした。
昼寝の夢に愛助が現れた。夢の中の彼は、まるで亡き弟・六郎(黒崎煌代)のようにカメを可愛がっていた。そしてそのカメを鈴子にプレゼントするという。
そこで鈴子は目を覚ました。

鈴子が昼寝から目覚めたのにはもう一つ理由があった。小夜が部屋の外から騒ぎ立てているのであった。なんと愛助が下宿に訪ねてきたという。

鈴子が表に出てみると、本当に彼はそこにいた。
愛助は、自分の家に良い蓄音機があるといって、家に来るよう誘った。小夜は、ついに愛助が本性を表し、鈴子に襲うつもりだと警戒した。愛助に食ってかかり、追い払おうとした。

鈴子は愛助がそのような考えを持っているとは思っていなかった。しかし、そのまま着いていくのも非常識なことだと思い、失礼にならないよう丁重に断った。
愛助はそれ以上食い下がることもなく、納得して帰っていった。

その背中はしょんぼりしていて、悲しげに見えた。
鈴子は彼に声をかけ、小夜も一緒ならば家に行ってもよいと提案した。
愛助は喜んでそれを受け入れた。

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NHK『ブギウギ』第52回

昨日の小倉(北九州市の方)は雨だったんだけれど、地元出身の人に案内してもらい、ほんの少しだけ遠回りになるけれどアーケード街を巧妙に通り抜けて一切傘を使うことなく資さんうどんにありつくことができて、評判通り美味しいうどんだったと感激した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第52回めの放送を見ましたよ。

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第11週『ワテより十も下や』

行きがかり上、宿で一緒になった学生は村山愛助(水上恒司)と名乗った。東京の学生だが、実家の大阪に帰るところだという。途中の愛知で鈴子(趣里)の公演があると知り、立ち寄ったのだと説明した。
小夜(富田望生)は愛助が自分たちの金を盗んだ泥棒だと疑い続け、ずっと睨んでいた。しかし、鈴子は無闇に人を疑うべきではないとし、彼と話し続けた。学生は金がないものと決めつけ、腹一杯夕食を食べるよう勧めた。

愛助はモジモジしながらも、ずっと鈴子の大ファンだったと話した。鈴子の大阪時代の公演も見ているし、自分が東京の大学に通うようになってからは鈴子の東京での活動もずっと見ていたという。話は徐々に熱を帯び、鈴子の歌も動きも素晴らしいと大絶賛した。鈴子の歌を聴いていると、とてもいい気持ちになるのだと述べた。

翌朝、鈴子たち一行が宿を出ようとすると、愛助は先に出発したという。しかも彼は、一文なしになってしまった鈴子たちの宿代の半分を置いていったという。鈴子は恐縮し、帰京後に全額送金するのっで、学生には金を返してほしいと女将に頼んだ。

鈴子たちの次の行き先は神戸だった。
汽車の座席について一息つくと、そばに愛助も乗車していることに気づいた。彼は実家の大阪に向かう途中なので、同じ汽車に乗り合わせたのだ。
愛助のことを泥棒だと疑い続けている小夜は、彼がまたしても跡をつけてきたと言って睨みつけた。しかも、学生の身分で鈴子たち一行7人の宿賃の半分を支払うなど常識では考えられない。それこそが金を盗んだ証拠であり、せめてもの罪滅ぼしのつもりで金を置いていったに違いないと考えられたのだ。
口論していると、近くに座っていた少女が愛助を弁護した。彼は腹の空いた自分にふかし芋をくれたという。優しい人なのだからいじめるなというのだ。そのふかし芋は、前夜の夕食で鈴子が分けてやったものだ。鈴子からもらったものをさも自分のものだとして少女にくれてやったと見て、小夜はますます頭にきた。

それでも鈴子は、彼のことを悪人だとは思なかった。愛助には後日宿代を返すと約束し、送金先として住所を聞いた。

そこへ、一人の軍人がやってきた。愛助の姿を認めると、腰を低くして挨拶した。その軍人によれば、愛助は有名な村山興行の御曹司だという。村山興行が多くの芸人を戦地慰問に派遣してくれて助かっているという。
芸能界の大企業の息子だと判明し、鈴子たちの宿代を簡単に支払うことのできた理由が判明した。それまで小夜と一緒に愛助を疑っていたマネージャー・五木(村上信悟)もすっかり態度が変わった。愛助にうやうやしく名刺を渡した。

鈴子は、愛助に身分を隠していた理由を尋ねた。すると愛助は、特別扱いされるのがいやだからだと説明した。鈴子もそれに共感した。鈴子自身も特別扱いされるのが苦手なのだ。鈴子は、少しも偉そうにしない愛助のことがますます気に入った。

そんな騒ぎの中、小夜は足に違和感を覚えた。足袋を脱いでみると、そこから金が出てきた。用心のために、財布ではなく旅の中に隠していたのだ。こうして、愛助の泥棒疑惑は完全に晴れた。

機嫌の良くなった鈴子は、この場で一曲歌うことを決めた。先の少女のリクエストで『ふるさと』を朗々と歌い上げた。
乗り合わせた乗客たちはうっとりと聞き入った。中でも、愛助は天にも昇る心持ちでその歌声を聞いた。

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NHK『ブギウギ』第51回

今、小倉(北九州市の方)にいるんだけど、事前に独立な何人かに名物を聞いたら、異口同音に資さんうどんを勧められ、それ以外の情報を一切得られなかったんだけれど、まだ行ってない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第51回めの放送を見ましたよ。

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第11週『ワテより十も下や』

1943年(昭和18年)6月5日、戦死した山本五十六の国葬が行われた。国内では防火訓練が繰り返し行われていた。食糧事情も悪化し、アメリカとの戦争は終わりが見えなかった。

そんな中、「福来スズ子とその楽団」は地方巡業を続けていた。地方では娯楽が少ないせいか、どこに行っても歓迎され、客も大勢やってきた。ただし、報酬は決して多いとは言えなかった。それでも鈴子(趣里)は、このようなご時世に人々の前で歌い続けられることを幸せに思った。

その日は愛知県での講演だった。
終演後、鈴子らが控室で休んでいると、主催者に連れられて一人の男子学生(水上恒司)がやって来た。彼は鈴子の大ファンだというが、モジモジしてばかりで、鈴子に話しかけられると恥ずかしそうに逃げ去ってしまった。団員たちは、迷惑なファンだと言ってバカにした。

そんな中、鈴子だけは何か感じ入るところがあった。
顔形は全く似ていないのに、死んだ弟・六郎(黒崎煌代)の面影を思い出させたのだ。

その後、一行はその日の宿に到着した。
宿泊料の支払いをしようとしたところ、全ての金がなくなっていた。付き人・小夜(富田望生)が財布を預かっていたはずだが、中身が空っぽになっていた。誰かに盗まれたのではないかと玄関先で大騒ぎになった。

そこへ、先ほどの男子学生も宿にやって来た。小夜は、彼こそが泥棒で、自分たちの跡をつけてきたのだと詰め寄った。学生は否定したが、小夜の剣幕はますます激しくなった。マネージャー・五木(村上信悟)も小夜に同調した。

しかし、鈴子だけは彼は潔白だろうと擁護した。金は見つからなかったが、宿賃を後日送金することで許してもらえることになった。
鈴子は、騒動に巻き込んだ詫びとして、学生を夕食に誘った。

宿の夕食は、ふかし芋のほか、吸い物やご飯、はては漬物まで全て芋づくしだった。それほど食糧事情がよくないのだ。それでも、件の学生を交えて楽しく始まった。鈴子は若い人にはたくさん食べてもらわなければならないと言って上機嫌だった。

学生の言葉は関西弁だった。聞けば、鈴子と同じく大阪出身で、今は東京の大学に通う2年生だという。歳は二十歳とのことだった。

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