NHK『あまちゃん』第74回

「♪ずんだ ずんだ~」(The Blue Hearts『リンダリンダ』の替え歌)と歌っている仙台ギュウタンガールズの小野寺薫子を演じている優希美青山瀬まみ足立梨花と同じくホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリ(2012)だと知った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第74回めの放送を見ましたよ。

* * *

第13週「おら、奈落に落ちる」

芸能界の厳しさに、アキ(能年玲奈)は上京初日から打ちのめされた。その辛さを慰めてもらおうと、別れた父・正宗(尾美としのり)の住むマンションへ向かった。

しかし、家にはアキの知らない女(大久保佳代子)がバスローブ姿でくつろいでいた。正宗の説明によれば、同窓会で再会した中学校の同級生で、彼女もバツイチだという。彼女と深い中になったのは春子(小泉今日子)と正式に離婚した後なので(離婚12月24日、同窓会1月4日)、決して不倫ではないと弁解した。

正宗に慰めてもらうために来たはずなのに、アキはさらなる悩みを抱え込んでしまうこととなった。その時、春子から様子を伺う電話がかかって来た。アキは正宗に会いに来たことは話したが、女がいたことは隠しておいた。しかし、アキの口調から春子は何か不審なものを感じるのであった。

アキは実家に住むわけにもいかず、あてもなく東京の町をさまよった。町を歩いていると、東京の学校でアキをいじめていたクラスメイト(星名利華宮城美寿々)に出くわした。彼女らはアキが地方アイドルになったことを知っており、そのことをからかった。アキは辛くなり、泣きながら逃げ出した。

行き場所のなくなったアキは、水口(松田龍平)に連絡を取り、谷中にあるGMT47の合宿所に住まわせてもらうこととなった。ただしそこは、古い民家で風呂もなく、寝室も2-3人で共有するという形式であった。しかも、プライバシーの少ない建物構造にも関わらず、水口も同じ家屋に住んでいるという。正宗以外の男性と一緒に寝泊まりしたことのないアキは緊張した一夜を過ごした。

それでも、アキは比較的スムーズに馴染むことができた。昼間は留守だったGMT47のメンバー宮下アユミ(山下リオ)に初めて会うと、アキは岩手出身だということを盛り込んだ奇妙なポーズを交えて自己紹介を行った。その様子には水口も感心した。また、メンバーたちが自炊する料理も、各自の故郷の食材がふんだんに盛り込まれた地方色豊かなものだ。アキはその食卓に感激したし、他のメンバーたちもアキのキャラクターをすぐに気に入った。

水口はアキにアメ横女学園のCDやDVDを手渡し、振付を覚えるよう命じた。アキは朝食を終えると、それらの資料を持って誰よりも早く劇場のレッスンルーム「奈落」へ向かった。すると、そこでは社長の荒巻(古田新太)がひとりで振り付けの確認をしていた。アメ横女学園のメンバーですらなかなか会えない人物なのだが、アキはいきなりふたりっきりとなってしまった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第73回

以前にガイドブックであらすじを読んだ時、どこでどう計算を間違えたのか東京編は7月からだと思いこんでおり、いろいろ運命的だなぁと思っていたのだけれど、今日から東京編になったことで肩透かしを食らった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第73回めの放送を見ましたよ。

* * *

第13週「おら、奈落に落ちる」

1984年夏、アイドルを目指して家出し上京した18歳の春子(有村架純)は上野のアメ横を見物した。それから25年、2009年夏に17歳のアキ(能年玲奈)も同じ場所に立った。

アメ横の入り口には、1年前にオープンした「東京EDOシアター」があった。荒巻(古田新太)率いる芸能事務所ハートフルが作った劇場で、アイドルユニット「アメ横女学園」の公演が行われている。平日は19時半からの1ステージだけだが、週末には1日に2ステージ行われる。アキは東京EDOシアターに向かい、マネージャーの水口(松田龍平)に出迎えてもらった。

ユイ(橋本愛)の父・功(平泉成)が倒れ、彼女が来れなくなったことはまだ水口に伝わっていなかった。1人で上京したアキから事情を聞くと、水口は激しく動揺した。水口はユイをグループのセンター候補にするつもりで、事務所のスタッフにもそう豪語していたからだ。水口はアキに八つ当たりをし、アキも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

アキは水口に連れられ、劇場スタッフにあいさつ回りをした。社長の荒巻は渋谷の本社にいて、劇場にはめったに顔を出さないため、彼に会うことはできなかった。その代わり、チーフマネージャーの河島(マギー)には会うことができた。アキとユイの顔を知らない河島は、水口にアキは「かわいい方」なのか「訛ってる方」なのかと尋ねた。水口は事務的に「訛ってる方」だと答えた。それ以後、アキは会う人全てから同じ質問を投げかけられ、毎回水口は同じ回答をした。

劇場内にはメンバーの名札表が張り出されていた。総勢40名近いメンバーが序列に従って上から下へと並べられている。トップメンバーの「アメ女八賢伝」を筆頭に、約20名がレギュラーと位置づけられていた。他の20人は補欠だという。しかし、アキの名札はアメ横女学園の補欠にも入れてもらえなかった。彼女が所属するのは、アメ横女学園のさらに下の「GMT47」だからだ。そこには現在5人の名札が張られていた。

アキは、休憩中のメンバー高幡アリサ(吉田里琴)13歳と成田りな(水瀬いのり)15歳に会った。ふたりはステージで披露するのと同じく、奇妙な自己紹介を行った。アキは自分よりも年下の先輩がいること、そして彼女らの独特のテンションに呆気にとられた。水口からは、アキも同じようなユニークな自己紹介を考えるよう言われた。東京についてまだ2時間しか経っていないが、早くも北三陸市に帰りたくなった。

続いてアキは、ステージのリハーサルを見学した。トップメンバーの有馬めぐ(足立梨花)を中心に、華やかなステージだった。アキはその様子を写真に撮り、ユイにメールで送ってやった。自分たちも同じステージに立てることを楽しみにした。

しかし、水口からはそう簡単にステージに上がれると思うなと釘を差された。誰しも最低1年はレッスンを積んでいるのだという。しかも、アキの所属するGMTは代役専門だという。メンバーに怪我や急病でもなければ表舞台に立つことはないのだという。最後に水口は、アキを「奈落」と呼ばれるレッスンルームに案内した。そこはステージの真下に作られた部屋で、ステージの音が漏れ聞こえてくる。

「奈落」にはGMT47のメンバーがたむろしていた。埼玉出身の入間しおり(松岡茉優)、福岡の遠藤真奈(大野いと)、沖縄の喜屋武エレン(蔵下穂波)、仙台・小野寺薫子(優希美青)らであった。アメ横女学園のメンバーの華やかさとは異なり、彼女らは私服姿で、どこか気だるい雰囲気を醸し出していた。彼女らはアキのことや岩手県のことを何も知らなかった。唯一知っていたのは、「かわいい方」はセンター確定で、「訛っている方」は一般受けはしないけれどマニア受けするキャラであるという噂話だけだった。

その時、真上のステージではリハーサルが再開された。すると、彼女らは突如態度が変わり、曲に合わせて熱心に振付の練習を始めた。いつ来るかわからない代役の日に備えて、レッスンに励んでいるのだ。

1日が終わり、アキは早くも東京が嫌になった。想像以上に厳しい世界に心細くなった。

アキは、東京では実家のマンションを住まいとするつもりでいた。今は、別れた父・正宗(尾美としのり)が1人で暮らしている。しかし、アキも春子(小泉今日子)も事前に知らせてはいなかった。突然アキが家に現れたことで、正宗は激しく慌てた。アキが家に入ろうとしても、正宗は頑なに拒んだ。押し問答をしながら家の中を覗くと、バスローブ姿の女(大久保佳代子)がいるのが見えた。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第72回

本ドラマでもアニメーションを担当している鉄拳が『第42回日本漫画家協会賞』を受賞した(Oricon Styleの記事)と知ってお慶び申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第72回めの放送を見ましたよ。

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

アキ(能年玲奈)が北三陸駅から旅立つことになった。駅舎では、海女クラブの面々がアキを大いに祝福して送り出した。しかし、夏(宮本信子)だけは浜にワカメを採りに行ったきり、見送りに来なかった。

大吉(杉本哲太)の計らいで、出発前にアキと春子(小泉今日子)がふたりきりで車内で話ができる時間が設けられた。しかし、前日にたっぷりと話をしたふたりなので、今さら何も話し合うことは見つからなかった。春子は、現金の管理法や水口(松田龍平)に迷惑をかけないこと、いよいよ困ったら別れた父・正宗(尾美としのり)を頼ることなど、通り一遍の事務的なことしか話さなかった。
いよいよ出発の時間になると、アキは突然、東京には行きたくないと泣き出した。しかし、それは一時的な弱音であり、夏からもらった鉢巻で涙を拭くと、すぐに立ち直った。

春子は、アキと別れる瞬間、手紙を渡した。後でわかったことであるが、それには春子の半生が綴られたものであった。

アキは、この1年でアキ自身が変わったかどうか春子に尋ねた。しかし、春子はそれを否定した。アキは相変わらず「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないパッとしない娘」だと言うのだ。ただし、春子によれば、アキの代わりに周囲の人々が変わったのだという。アキが人々の心を変えたことはすごいことだと褒め、自信を持つように言い含めて送り出した。

アキを無事に送り出し、町の人々は喫茶リアスで休憩した。春子は、自分が家出した時は逃げるように出て行ったのに、アキはみんなに祝福されて幸せだと話した。

それを聞いていた琥珀掘りの勉(塩見三省)は、1984年当時ひとりだけ春子の旅立ちを応援し、祝福していた人物がいるという。25年間口止めされていたが、それはまさしく夏だったという。当日、勉がたまたま浜に出かけると、夏がいたという。竿に大漁旗を結びつけ、電車に向かってそれを振りながら、懸命に春子を激励していたという。

しかし、その時の春子(有村架純)は、車中で大吉(東出昌大)に話しかけられたり、ふて腐れたりしていたせいで、窓の外を見ていなかった。そのため、全く気づいていなかったのだ。春子はショックを受けた。春子は、自分の夢が夏に反対されていると思って、ずっと夏のことを恨んでいた。まさか、夏の気持ちが正反対だったとは知らずに生きてきたのだ。

その頃、アキを乗せた列車は、袖が浜の近くを通っていた。アキは車窓から夏の姿を見つけた。夏は、列車に向かって大漁旗を振り、声を限りにアキを激励していた。アキもそれに応え、列車から夏の鉢巻を振り、大声で叫んだ。

列車は畑野駅に停車した。ここからユイ(橋本愛)が乗り込んでくることになっている。しかし、ホームに立つユイは一切の旅支度をしていなかった。ユイの父・功(平泉成)が意識を失って倒れたのだという。功の容態が安定するまで残ることにしたというのだ。

それを聞いて、アキも上京を取りやめようとした。しかし、ユイは自分もすぐに追いかけると説得し、アキを一人で行かせることにした。ユイは自分もすぐに行くと泣け叫び、ホームからアキを乗せた列車を見送るのだった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第71回

昨日の放送の若・春子(有村架純)のオーディション番組シーンについては、司会者役の小藪千豊とチャンピオン役の渡辺万美にばかり気が取られて、バックダンサーの1人として古田新太がいた(おそらく、若い頃は彼も芸能活動をしていたのだろう)ことには全く気が付かなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第71回めの放送を見ましたよ。

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

春子(小泉今日子)はアキ(能年玲奈)の将来について、夏(宮本信子)とふたりっきりで話をした。その中で、夏は春子に深く謝罪した。25年前、同じように春子がアイドルを目指していた時に、夏は冷たく突き放してしまったからだ。春子は夏の謝罪を受け入れ、長きに渡ったふたりのわだかまりは解消された。

それをきっかけに、春子はアキの希望を叶えてやることに決めた。地元の人々はアキの上京に猛反対しているが、春子が彼らを説得すると請け負った。春子が全面的に応援してくれることとなり、アキは大喜びした。

そして、アキとユイ(橋本愛)は(松田龍平)の芸能事務所と正式に契約を結んだ。ユイはどんなに辛いことがあっても、最低1年は帰ってこないことを決意した。アキもユイと同じ思いだった。

上京の前日、アキはこれまでのように観光海女の仕事をこなした。思う存分潜り、大量のウニを獲った。しかし、家に帰ると少しだけしんみりとした。大好きな北三陸市の風景をしばらく見ることができなくなるのが寂しいのだ。

アキは、春子も一緒に東京へ行くことを誘った。しかし、春子は断った。東京に多少の未練はあるが、北三陸市で暮らすことに決めたという。アキを一人にすることよりも、夏のことが心配なのだという。そして、アキは自分と違うので、アイドルになれる素質があると激励した。

いよいよ、アキが東京へ発つ朝となった。アキとユイの門出を祝福するため、大吉(杉本哲太)は臨時列車を運行させることとした。8:30にアキを乗せて北三陸駅を出発し、ユイは9:20に自宅最寄りの畑野駅から乗り込む。臨時列車が終点の宮古についた後、さらに電車や新幹線を乗り継いで、ふたりは東京へ向かう。

朝食前、夏がアキに声をかけた。餞別として、「北の海女」の鉢巻を手渡した。辛いことがあった時には、その鉢巻で涙を拭けと言うのだ。ただし、辛くなったときは、寒い朝に海に潜った時のことを思い出すよう忠告した。それより辛いことなどないと言って激励した。

アキは、留守の祖父・忠兵衛(蟹江敬三)の写真に線香を手向けて、出発の挨拶をした。その間に、夏は朝食用のワカメがないと言って、浜に行ってしまった。そのせいで、夏は駅の見送りには来なかった。湿っぽいのが嫌いな夏は、そうやってアキとの別れを紛らわせようとしたのだ。

いよいよ、臨時列車の出発時刻が迫った。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第70回

アリスのベスト盤を借りてきて、近くで「チャンピオン」を聞きながら~の当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第70回めの放送を見ましたよ。
2013-06-20 07.45.44

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

上京してアイドルになりたいと言うアキ(能年玲奈)に対して、春子(小泉今日子)はそれを絶対に認める気になれなかった。自宅2階の部屋でふたりっきりで話し合った。

その部屋は、春子がアイドルに憧れていた頃のまま残されており、春子がその思い出をアキに語った部屋でもある。アキはそこで春子から話を聞いたのが楽しかったと話した。一方の春子は、自分がおかしなことを話したせいでアキがおかしくなったのではないかと後悔していた。

春子は、アイドルを目指すといつか必ず後悔する時がくると話した。春子はアキの上京に反対しているわけではない。韓流スターの追っかけやガールズバーの店員として東京に行ってもいい。しかし、アイドルになるのだけは絶対にいけないと言うのだ。女の子の純粋な気持ちは欲にまみれた大人たちによって弄ばれ、消費されるだけだからだ。本人が不幸になり、心が折れても、手のひらを返したように誰も助けてくれなくなる。アキがそうなるのを見ていられないというのが春子の意見だった。

アキは、それでも挑戦してみたいと強く訴えた。そして、アイドルになりたいと思ったきっかけは、春子の歌を聞いた時だという。オリジナルの「潮騒のメモリー」を聞き、映画も見て、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)にも憧れた。しかし、アキにとっては春子の歌の方がかっこ良く思うし、そちらの方を気に入っているのだと言う。

それに加えて、自分はまだ春子のように上手には歌えないが、歌うことが楽しいと話した。お座敷列車や海女カフェで歌った時、客の心を動かしたという手応えを感じた。今後は、もっと多くの人に感動を届けたいと言うのだ。自分一人ではなく、ユイ(橋本愛)と一緒ならば上手くいくだろうという自信を語った。

アキの話を聞いているうちに、春子は混乱してきた。若かった頃の自分(有村架純)がオーデション番組に出演し、楽しく歌っていた時のことを思い出した。アキになんと話をすればいいのかわからなくなってしまった。アキを部屋に残し、夏(宮本信子)と相談することにした。

春子は、布団に入っている夏に話しかけた。しかし、夏は寝たふりをしていて答えなかった。春子は腹を立てた。25年前の家出前夜も、夏は同じように寝たふりをして春子の話を聞こうとしなかった。その時とまったく同じ様子に晴子は腹を立てた。春子が立ち去ろうとすると、夏はやっと体を起こした。そして、真剣な表情で春子に話し始めた。

夏は、アキのしたいようにさせてやればいいという意見だった。それに対して、春子はますます腹を立てた。春子が上京してアイドルになりたいと言った時には頭ごなしに否定されたのに、アキに対しては甘く、彼女を守ろうとするからだ。

夏は春子に深く謝罪した。夏は春子を突き放してしまったことをずっと後悔していたのだという。母親として、春子の希望を叶えさせてやりたいと思ってはいた。しかし同時に、海女クラブの会長として、地域の活性化に貢献しなくてはならないという義務感も抱えていた。だから、春子を高校生海女として観光の目玉にしたいという地域の希望を受け入れざるを得なかったのだという。あの時、欲深い大人たちから春子を守ってやるべきだったと、ずっと後悔しているのだと言って、夏は謝った。

初めて夏の本心を聞き、春子は心を打たれた。晴子は、25年間のわだかまりの原因は夏が一度も謝らなかったことだと気づいた。それが今実現し、春子と夏はすっきりと和解した。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第69回

ちょうど20年前、僕が通っていた予備校でバレーボール大会が開かれ、生徒は好きな仲間とチームを作り、それぞれがチーム紹介ビラを作ったわけだが、予備校の中でもみんなの注目を集めるカワイコちゃん6人が集まって一つのチームを作ったというだけで大きな話題だったのだが、彼女らのチーム名がアメフトの49ersをもじって “69ers” だったことでたいへんな衝撃が走ったことを思い出す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第69回めの放送を見ましたよ。

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

アキ(能年玲奈)の決意に心を動かされた海女クラブの面々は、彼女の上京を応援するために観光協会に乗り込んだ。しかし、町の大人たちは、自分たちの利益ばかり追って、アキやユイ(橋本愛)を手放そうとしない。

ユイの父・功(平泉成)は多少の理解はあるものの、ユイに高校だけは卒業させたいと考えている。プロデューサーの荒巻(古田新太)からは夏休みの間に上京するように言われており、ユイはそれでは間に合わないと考えている。

春子は、頑なにアキの上京を拒んでいる。アキを利用して食い物にしようとしている大人は北三陸だけではなく、芸能界にもたくさんいる。アキがアイドルを目指せば、そういう大人たちに利用され、彼女が傷つくのが目に見えているからだ。

夏(宮本信子)は、大人たちが揃って自分の都合を押し付けていることで怒りを露わにした。アキとユイのおかげで町が盛り上がったのだから、このあたりでふたりに恩返しするのが筋であると主張した。強欲な大人たちの犠牲にせず、若者たちの夢を応援すべきだと訴えた。

夏の主張に、食ってかかったのは春子だ。高校時代の春子がアイドルになりたいと言った時には少しも応援せず、春子を観光海女として利用しようとする大人たちから守ってくれなかった。その事件を引き合いに出し、夏をやり込めようとした。春子と夏の対立は解消されず、話し合いはそこで終わった。

最後に、アキは自分を応援してくれる海女クラブに礼を言った。北三陸市に移り住んでよかったこと、地元の人々に出会えてよかったこと、みんなから叱られたり可愛がられたりしたことの感謝を述べた。そして、自分は大きく成長したと話した。今では心強い仲間であるユイもいる。だから東京に行っても心配はいらないと話すのだった。

その日の夜、スナック梨明日に集まった大人たちは、たくましくなったアキに感心していた。春子でさえ、アキの成長についてみんなに感謝した。しかし、春子はアキの上京を認める気にはなっていなかった。スナックの仕事を途中で切り上げ、家でアキを説得するつもりでいた。

春子がスナックを出て帰ろうとした時、いつのまにか水口(松田龍平)が店にいることに気づいた。水口は、オーディション無しでアキとユイを正式に事務所の所属アイドルにしたいと申し出た。事務所社長の荒巻が「海女~ソニック」の映像を見て、ふたりのパフォーマンスと観客の盛り上がりに感銘を受けたのだという。荒巻は、地元アイドルを集めたユニットGMT47を作ることを計画しており、すでに全国に16の地元アイドルグループを公認している。その一員にアキとユイの潮騒のメモリーズを加えたいというのだ。すぐにでも上京させてレッスンを受けさせたいというのだ。

春子は水口のことを一切信頼しておらず、怒りを露わにした。これから家に帰ってアキを説得するつもりであり、絶対に東京には行かせないと啖呵を切るのだった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第68回

昨日の昼は、社内の某おっさんと2人で車に乗ってラーメンを食べに行ったのだが、道中ではエロ話ばっかりしており(主に、某おっさんが)、このままでは邪淫の罪で地獄に堕ちるだろう(主に、某おっさんが)と思っていたところ、さらに悪いことに、どこに潜んでいたのか車内に大きな蜘蛛が現れ、虫が苦手なふたりなのでたいそうパニックになったわけだが、車を路肩に停め、なんとか蜘蛛を殺さずに外へ追い立てることに成功したわけで(主に、某おっさんが)、主に某おっさんが地獄に落ちた場合にはお釈迦様がこの日の善行を思い出して彼を救ってくれるといいなあ、たとえエロ話しかしないおっさんでも、などと願う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第68回めの放送を見ましたよ。

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)の家出は、誤ってローカルバスに乗ってしまったことで失敗に終わった。ふたりは個別に大人たちに呼ばれ、事情を聞かれた。

ユイは観光協会に呼ばれ、大人たちに説教された。大吉(杉本哲太)によれば、今では北三陸鉄道の乗客の7割が観光客だという。彼らが来なくなると大きな損失となるのだ。長内(でんでん)が代表の漁協は、海女カフェ開業のために銀行から2,000万円の融資を受けた。その返済が滞ることをひどく心配している。観光協会長の菅原(吹越満)も観光収入の激減を見逃すことができない。大人たちはみな金に目が眩み、アキとユイに依存しているのだ。

しかし、ユイも負けてはいなかった。自分たちがいなくなれば一時的に観光客は減るかもしれないが、その分以上を東京で北三陸市をPRして取り戻すと言うのだ。方言を話すアイドルとなり、名物のまめぶ汁とウニ丼を売り込み、「じぇじぇ(‘ j ’)/」を流行語大賞にする意気込みだという。東京で宣伝をすれば、全国に北三陸の名が知れ渡り、むしろ効果的だと主張した。大人たちは、その計画に圧倒され、反論できなくなった。

春子(小泉今日子)は率先してユイの計画を評価し、ユイの東京行きを応援することとした。ただし、アキを巻き込まないようにと釘を差した。東京では暗かったアキは、やっと北三陸で明るい子になった。東京に戻って元の木阿弥になることを心配しているのだ。

その頃、アキは海女クラブの面々に事情を聞かれていた。アキと春子を一緒にすると喧嘩になることを考慮し、海女たちが敢えてふたりを引き離したのだ。

夏(宮本信子)はアキを叱った。第一に、観光海女業の要であるアキが上京することによる損失を指摘した。続いて、海女同士の信頼関係について諭した。海では危険と隣り合わせであり、海女は互いの信頼によって成り立っている。アキがその信頼を一方的に裏切ったと言うのだ。

アキは自分がアイドルになりたいのだということを説明した。敏腕プロデューサー荒巻(古田新太)に直接声をかけられ、大きなチャンスが目の前にあるのだと話した。海女はいつでもなることができるが、アイドルになるには若い今しかチャンスが無いのだと訴えた。また、祖父・忠兵衛(蟹江敬三)の言葉を引用した。いろいろな土地を見ても、北三陸が一番いい場所だとわかる。そのことを確認し、地元の人々に伝えるために故郷を出て行くのだ(第32回)。自分もそれに倣って、東京に行きたいと訴えた。

その訴えに、海女の面々は態度を軟化させた。夏もアキの考えを認め、東京行きを後押しすることに決めた。その決定を伝えるため、アキと海女たちは観光協会へ向かった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第67回

昨日午後から今朝にかけて、『サヨナライツカ』→『八重の桜』→『純情きらり』と連続して西島秀俊を見てしまい、お腹いっぱい気味の当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第67回めの放送を見ましたよ。

* * *

第12週「おら、東京さ行くだ!」

敏腕プロデューサー荒巻(古田新太)から誘われたこと、そして春子(小泉今日子)への反発から、アキ(能年玲奈)は家出してユイ(橋本愛)と一緒に東京へ行くことにした。北三陸駅前を21時に出発する深夜バスに乗ることにした。

しかし、大人たちはふたりの家出を警戒していた。特に、ヒロシ(小池徹平)は観光協会の事務所の窓から、オペラグラスで駅前広場をずっと見張っていた。その姿に気づいたふたりは、駅舎の物陰に潜んでバスの時刻を待った。

待っている間、アキとユイは東京について話をした。実は、アキが転校してくる前、高校の修学旅行は東京だったという。しかし、ユイは風呂で骨折したせいで行くことができなかった。けれども、ユイはかえってそれでよかったのだという。東京はユイにとって特別な場所であり、田舎者集団の一員となって行くべきところではないからだと説明した。

一方、アキは東京に行けば自分は別人になってしまうと話した。方言も使わないどころか口数も少なくなり、食が細くなる。ネガティブな詩を書いたり、木や草花に話しかける変な子になると説明した。

そんな話をしていると、スナック梨明日からトイレに向かう途中の勉(塩見三省)に見つかってしまった。ユイは慌てず、みんなには黙っているようにジェスチャーで伝えた。すると勉は動転しつつも、黙って店に戻った。

アキとユイは、駅舎に隠れているのも潮時だと思った。しかも、20時55分となり、バス出発の5分前だ。ふたりはバス停に向かうことにした。しかし、観光協会の窓からは相変わらずヒロシが見張っている。彼がいる限り、ふたりはバスにのることができない。

アキは機転を利かせて、ヒロシに電話をかけた。自分は家にいると嘘をついた上、東京などには行かず、ずっと北三陸市に居続けたいと感情的に訴えた。アキが激しく悩んでいると思い込んだヒロシは、アキの家に急行しようと窓から離れた。それで監視が解けたのだ。

梨明日にいた大吉(杉本哲太)は、どうも勉の様子がおかしいことに気づき、駅舎の中を点検した。ほぼ同時に、夏(宮本信子)から電話があり、アキの姿が見えないという。ふたりが家出を決行したらしいことが知れ渡り、騒ぎになった。

アキとユイは間一髪、駅舎を脱出することに成功していた。そして、出発間際のバスにうまく乗り込むことができた。自分たちの首尾に大喜びするふたりであった。

しかし、慌てていたアキとユイはバスを乗り間違えてしまった。ふたりが乗り込んだのは、袖が浜行きのローカルバスだった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第66回

昨夜は横浜駅西口で飲んでいて、帰宅したのが1:30過ぎだったため、めちゃめちゃ眠いし、全身が怠くてクラクラしているのだけれど、「鳥良の名物・手羽先唐揚は甘口/中辛/大辛が選べるけれど、中辛ですでにかなりしょっぱいので気をつけろ」と忠告する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第66回めの放送を見ましたよ。

* * *

第11週「おら、アイドルになりてぇ!」

約束を破ってアイドル活動をしたことを春子(小泉今日子)に頭ごなしに叱られた。アキ(能年玲奈)は生まれて初めて春子に反発し、激しい口論の末、家を飛び出した。

アキがユイ(橋本愛)と一緒にいるところへ、有名プロデューサーの荒巻(古田新太)から電話がかかってきた。ふたりの映像を見た荒巻は、アキとユイに東京へ来るよう誘ったのだ。

アキは迷った。大親友であるユイの夢を実現するためには、アキも一緒にアイドルとなって協力することが近道である。そして、アキ自身もアイドル活動から得られる高揚感に魅せられていた。しかし、大嫌いな東京に行くことは避けたかった。東京に行くと、ダサくて暗かった昔の自分を思い出してしまうからだ。一方で、いつまでも過去から目を背け続けるわけにもいかず、克服する必要もあると思うのだった。それは、一度は故郷や過去を捨てた春子が、北三陸市に帰ってきて過去を克服したのと同じことである。

アキは返事を保留し、家へ帰った。翌日も春子との対立は続き、一緒に朝食を摂りながらも互いに罵り合う程だった。東京行きやアイドルになることについて、アキは春子やユイに相談することを避けた。より中立的な立場にあるヒロシ(小池徹平)に相談を持ちかけた。ヒロシも大学卒業後に2ヶ月だけ東京で働き、挫折して帰ってきた過去がある。東京に対するコンプレックスを共有しているため、話やすかったのだ。アキは東京で過去の自分と決別したいと話したが、そこでは結論は出なかった。

ヒロシは親身にアキの話を聞いてやったが、裏では大吉(東出昌大)らに情報を漏らした。アキとユイが東京へ家出するかもしれないと伝え、大人たちは警戒することとした。ただし、ヒロシの見立てでは、まだ具体的な家出計画は固まっていないようだった。まさかその日の夜に家出することはないだろうと気を緩めた。

ところが、ユイはその日の夜に家出することを決めていた。今夜21時に、北三陸駅前から東京へ向かう深夜バスで旅立つというのだ。大人たちの目を欺くため、現金以外の荷物は一切持たず、かなりの軽装だった。北鉄の最終列車が出る19:30以降は駅前の人出も激減する。21時のバス時刻まで身を潜めて見つからなければ脱出成功だという。ユイはすでにチケットを2枚準備しており、そのうち1枚をアキに手渡した。

心の準備のできていなかったアキはひどく驚いた。しかし、それで踏ん切りが付き、ユイと一緒に東京へ行くことを決めた。ただし、アキは夏(宮本信子)にだけは一目会ってから旅立ちたいと思った。一度ユイと別れ、帰宅した。

アキが帰宅すると、夏は居間で居眠りをしていた。アキの物音で目を覚ました夏は、夕食の準備をしようとした。しかし、アキはそれを止め、あまりのウニ丼で済ませることにした。夏は再び横になり、アキが発案した海女カフェのおかげで客が殺到し、大繁盛だと嬉しそうに話した。

アキは北三陸に来てからの1年1ヶ月のことを思い出していた。そして今夜、いよいよこの地を去る。アキは夏に背を向け、半べそを書きながらウニ丼をかっこんだ。夏はいつの間にか再び眠っていた。アキは静かに家を出た。北三陸駅に向かう最終列車の中で、ウニ丼をもう一つ食べた。今度は涙を流し、嗚咽を漏らしながら食べるのだった。

* * *

続きを読む

NHK『あまちゃん』第65回

毎朝通っているコンビニのカワイコちゃん店員さんとは事務的な会話以外は交わしたことがないのだが、最近「いつもありがとうございます(にこっ)」と言われるようになり、自分の顔を覚えてくれて特別な挨拶をしてくれるようになったのだと喜んでいたのだけれど、先日同じチェーンの他店舗に行ったところ、初対面の店員さんにも「いつもありがとうございます(にこっ)」と言われてしまい、どうやらTポイントカードを提示した時のマニュアル対応らしいと判明し、軽い傷心状態にある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第65回めの放送を見ましたよ。


* * *

第11週「おら、アイドルになりてぇ!」

アキ(能年玲奈)はステージで歌うことを春子(小泉今日子)に秘密にしていた。しかし、予想外にも春子が海女カフェにやって来た。

アキとユイ(橋本愛)の歌が終わると、春子はステージに上がってきた。春子は、大勢の観客が見ているにも関わらず、アキの顔に張り手した。お座敷列車を最後にアイドル活動は辞めるという約束を破ったことを責めたのだ。さらに、客席に向かって啖呵を切った。自分の大事な娘が、男たちの好奇の目に晒されることに耐えられないと言うのだ。アキには普通の高校生活を送らせるつもりだから、ちやほやしないで欲しいと告げた。

公衆の面前で一方的に責められたことで、アキは生まれて初めて春子に反発した。アキと春子の言い争いはエスカレートしそうになったが、夏(宮本信子)が仲裁し、家に戻って話し合いをすることになった。

ところが、家に戻ってもアキと春子の対立は少しも収まらなかった。ユイは、自分を引きこもり生活から抜けださせるために、アキがステージを企画してくれたのだと弁護した。しかし、それは春子に一蹴された。その理由ならば、ユイだけがステージに上がればよく、アキは必要ないからだ。

ついにアキは本心を話し始めた。アキは、人を喜ばせることが気持ちいいと話した。お座敷列車で経験した、客の笑顔と声援が忘れられないという。考えてみれば、海女の仕事も同じだという。海に潜ってウニを獲り、それをその場で客に食べさせると喜んでもらえる。客が元気になって帰っていく姿を見ることが何よりの喜びなのだ。アキにとって、海女もアイドルもサービス業であるという点では同じだと言うのだ。だから、その2つを併せた、歌って潜れるアイドル海女になりたいと希望を述べた。

その話に春子はますます腹を立てた。アキの頬を再び殴り、汚い言葉で罵った。アキは泣きながらも、激しい言葉で口答えした。そして、家を飛び出してしまった。

春子や夏は、アキがアイドルになりたいと言っていたことに心当たりがあった。このところ、映画『潮騒のメモリー』ばかり見ており、印象的なシーンを何度も見返し、台詞の練習もしている姿を見ていたからだ。夏に向かって、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)のような女優になりたいとも言っていた(第63回)。

ユイは家を飛び出したアキを慰めていた。人を元気にしたいというアキの考えを受け、ユイは一緒にアイドルになることを誘った。一緒に東京でアイドルになろうと言うのだ。しかし、アキは東京にだけは行きたくないと答えた。東京にはいい思い出がないし、友だちもいない。「東京」という言葉を聞いただけも足が震えるほど、東京のことが嫌いだと話した。

その時、アキのケータイに水口(松田龍平)から電話がかかってきた。今日のステージの模様がすでに動画共有サイトにアップされており、プロデューサーの荒巻(古田新太)と一緒に見ているのだという。すぐに荒巻が電話口で話し始めた。今は夏休みだから東京に出てこないかという誘いだった。

アキが生まれて初めて春子に反発した夜、東京から誘いの電話がかかって来た。アキの心は乱れるのだった。

* * *

続きを読む