NHK『あまちゃん』第24回

この連休はドラマの舞台となっている岩手県久慈市に行こうかと思ったのだけれど、電車で6時間以上かかるとわかって怖気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第24回めの放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

9月30日、本気獲り当日。この日だけは漁獲制限なく、どれだけウニを獲ってもよく、収入は全て本人のものとなる。ただし、一家から1人しか参加できない。

まだ一つもウニを獲ったことのないアキ(能年玲奈)であったが、天野家の代表として参加することを志願した。夏(宮本信子)はそれを許可した。春子(小泉今日子)からのアドバイスは、脳は大量の酸素を消費するので、息を長続きさせるには何も考えないことが一番だということだった。

しかし、本気獲りの日、アキは一睡もできなかった。前日にヒロシ(小池徹平)から告白されたからだ。生まれて初めて異性から告白をされたアキはすっかり動揺してしまったからだ。天野家代表というプレッシャーもあり、アキのコンディションは最悪だった。

本気獲りは船で沖に出て行われる。初めて沖に出たアキは、潮の速さと水温の低さに怖気づいた。他の海女たちは、ここぞとばかりに無我夢中でウニを獲っている。アキが溺れても、誰にも気付いてもらえないかもしれない。操船する漁協長・長内(でんでん)もアキを引き止めるほどだった。

しかし、アキは後に引くわけにはいかず、勇気を出して海に入った。けれども、やはり上手くウニが穫れない。春子のアドバイスに従って何も考えないようにしようとしたが、考えないということが予想外に難しかった。

様々な思いが交錯する中、アキは海開きの日に初めて海に入った時のことを思い出した。夏に背中を押されて海に落とされたのだが、その時の夏の言葉が蘇ってきた。夏が言ったことは、飛び込む前にいろいろ考えても思い通りにはならないのだから、何も考えずに海に飛び込めということだ(第4回)。夏は初めから「考えないこと」が重要だと助言してくれていたことを思い出した。

するとアキは深く潜ることができた。海底のウニを目掛けて一目散に沈んでいった。海の中で唯一アキに気を配っていた安部(片桐はいり)が危険を感じて引き止めた。しかし、アキはその手を振りほどいてさらに潜っていった。

そしてついにアキはウニを手中に収めた。浮上してそれを高く掲げると、みんなが祝福してくれた。アキは最高の気分だった。

ただし、結局その日のアキの収穫は1個だけだった。一家で500円の収穫にしかならなかった。夏が潜っていれば何万円もの収入になっていたはずだ。アキは自分の不甲斐なさに落ち込んでしまった。しかし、夏は金の問題ではないと言ってアキを責めなかった。むしろ、アキが初めて獲ったウニであり、天野家にとっては一生物だといって喜ぶのだった。

本気獲りが終わると、海の神に感謝を述べて漁期が終わる。漁協長・長内の計らいで、アキの獲ったウニが神に奉納された。

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NHK『あまちゃん』第23回

まさかの海女失格! ますます面白い『あまちゃん』三週目の『ヒロシです』」(エキサイト)を読んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第23回めの放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

アキ(能年玲奈)は春子(小泉今日子)の過去を探ろうと、彼女の少女時代の部屋に忍び込んだ。しかし、それを察した春子に見つかってしまった。

アキは怒られると思い身を縮こませた。しかし、以外にも春子は上機嫌だった。部屋を見渡した春子は、大笑いしながら懐かしがるのだった。そこにいると春子は昔の自分に戻ったような気分になった。アキに「ママ」と呼ばれるのに違和感を感じるほどだと言う。

春子はアキを夜の散歩に釣れ出した。行き先は漁港の灯台だ。そこは少女時代の春子(有村架純)が、嫌なことがあると逃げ込んでいた場所だ。「海死ね、ウニ死ね」、「東京」などの落書きが今でも残っており、故郷を忌み嫌い、東京に憧れていた昔の春子の様子がよくわかった。

春子とアキは、今のアキと正反対だと言って笑いあった。アキは北三陸が大好きで、東京には二度と戻りたくないと思っているからだ。春子はアキが東京に帰りたくないということを再確認し、思わず「よかった」とつぶやいてしまった。アキが聞き返すと、春子は何も言ってないと言ってごまかすのだった。

ふたりは和気あいあいで家に帰った。布団に入ると、春子はアキに長く深く潜るコツを教えた。人体の器官の中で、脳が最も多くの酸素を必要とする。考えれば考えるほど大量の酸素を必要とするのだ。翻って、素潜り中に考えるのをやめれば酸素の消費が抑えられるというのだ。普段からものを考えないアキは、それなら自分は得意だと言って大笑いするのだった。

翌日は、「本気獲り」の前日だった。本気獲りとは、海女漁の最終日に行われる、沖に船を出して精一杯ウニを獲るイベントだ。7月から9月末まで、海女はサービス業として観光客相手の漁をしなければならない。しかし、本気獲りの日だけは、自分や家族のためだけにウニを獲ってよいとされていた。別名「海女の口開け」と呼ばれる。ただし、乱獲を防ぐため、一家族からひとりしか参加できない。

アキは浅瀬ですらウニを獲ったことがなかった。しかし、どうしても本気獲りに参加したいと思った。そこでウニを獲って、自分が一人前であることを証明したいのだ。特に、安部(片桐はいり)への餞別の意味もあった。これまで、安部がウニを獲り、それを海中でアキに渡していた。そんな安部は今シーズンで引退する。彼女の海女最終日に、自力でウニを獲って見せたいのだ。

アキは一家族から1名という本気獲りのルールを知らなかった。だから無邪気に願い出たのだ。話を聞かされた夏(宮本信子)は、アキの願いを聞き入れた。許可しなくても、どうせ勝手に付いてくるだろうと思ったからだ。アキが参加すると聞いて、漁協長・長内(でんでん)らは驚いた。しかし、夏が許可したと聞くと、アキの傘下を認めざるを得なかった。

その日の放課後、ヒロシ(小池徹平)は話があると言ってアキを呼び止めた。ヒロシは深刻な様子だ。自分がアキのビデオを観光協会のウェブサイトに掲載したことで大騒ぎになったことを謝った。しかし、アキは客が増えて嬉しいと意に介してなかった。ヒロシは明日の本気獲りにも同行し、アキの様子を撮影するという。けれどもアキは、プレッシャーがかかるのでやめてほしいと断った。

ついにヒロシは、意を決して告白した。アキのことが好きだと真剣に告げた。

アキは大いに動揺した。異性から告白されるのは生まれて初めてのことであり、しかも相手は親友・ユイ(橋本愛)の兄である。いろいろな思いが去来し混乱した。様々な考えが頭をめぐる。脳で余計な酸素を使ってしまう。

アキは本気獲りの前の日になんてことを言ってくれたんだと怒り、ヒロシを突き飛ばして列車に飛び乗って家に帰った。その夜、アキは一睡もできなくなってしまった。

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NHK『あまちゃん』第22回

今朝目覚めてベッドの中でスマホを開いてみると、宮尾すすむと日本の社長の「二枚でどうだ!」をYouTubeで見たままの画面で止まっており、昨夜の自分がいったい何を思いながら眠りに落ちたんだろうかと考えるとションボリした気分になる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第22回めの放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

アキ(能年玲奈)の人気はむさ苦しい男たちばかりでなく、家族連れにまで広がった。横浜から来たという8歳の少女は、アキに憧れて将来は自分も海女になりたいのだという。

その純粋な少女を見ていると、アキは客を騙していることに耐え切れなくなった。安部(片桐はいり)が獲ったウニを海中で手渡してもらい、自分が収穫したように装っていることを観光客らの前でばらしてしまった。称えられるべきは自分ではなく、安部であるという思いもあった。

控えめな性格の安部は何も言わなかったが、弥生(渡辺えり)や美寿々(美保純)はアキを注意した。加担している安部が悪者だと取られかねず、彼女の立場がなくなってしまうからだ。

アキは、客に正直に言うべきか黙っているべきか悩み、ユイ(橋本愛)に相談した。ユイの意見は、自分に与えられた役割を理解し、黙っているべきだというものだった。客は若くてかわいいアキにウニを獲ってもらうことを楽しみにしている。その期待に応えることが大事だというのだ。ユイもミス北鉄として、客に愛想を振りまいている。笑顔を振りまいて写真撮影や握手に応じることは決して楽しいことではない。しかし、それが自分に望まれている役割だと思えば、それを演じるのが当然だと言うのだ。

一方でアキは、自分にはそこまでする資質や覚悟がないと自覚した。けれども、プロ意識に裏打ちされたユイのことを立派だと思い、ますます彼女に憧れるのだった。

アキは、人々に愛されるアイドルとはどういうものかわからなくなった。そこで、喫茶リアスで店番をする春子(小泉今日子)の所へ行き、春子の思うアイドル像について訪ねてみた。若い春子が憧れていたアイドルや、春子自信がアイドルになりたいと思ったことがあるかなどと、矢継早に質問をした。
突然の質問に春子は戸惑った。そして、アキと話しているうちに機嫌が悪くなってきた。アキに、聖子ちゃんカットをしていた昔の春子の写真を見せて欲しいとせがまれると、ついに春子は感情を爆発させた。海女に行き詰まったらアイドルに興味をもつとは情けない、アキのような「ブス」がアイドルになれるはずがないと言って、癇癪を起こしてオシボリを投げつけた。
アキは母親にブスと言われたことがショックだった。半べそをかいてリアスを飛び出した。一方で、気持ちが落ち着いてくると、春子が突然動揺し、機嫌を損ねた理由を考え始めた。確かに、以前から家電製品のちょっとした不具合などで理不尽に癇癪を起こすことがしばしばあった。しかし、今日の様子はこれまでに見たこともないようなものだった。春子の過去に何か秘密がありそうだと直感した。

そこでアキは、春子の同級生であった安部に、中学校の卒業アルバムを見せてもらうことにした。自分の娘をブスだといい、過去を隠したがる春子なのだから、アキは少女時代の春子もよほど人には見られたくない容姿だったに違いないと思った。しかし、卒業アルバムの春子(有村架純)はユイにも引けをとらないほどの美少女だった。アキはわけがわからなくなった。

アキは、春子に昔の写真を見たいと言ったら「ブス」と罵られたことを安部に話した。その瞬間、安部は大慌てで卒業アルバムを閉じてしまった。その様子を見て、街の人々は春子の過去に何かがあると直感した。春子が隠しておきたい秘密だ。しかし、それ以上安部から聞き出すことはできなかった。

隠されれば隠されるほど知りたくなるものだ。アキは夜中に昔の春子の部屋に侵入した。するとそれを察知して追ってきた春子に声をかけられた。

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NHK『あまちゃん』第21回

39回めの誕生日の朝は、三角コーナーの目に詰まったゴミを使い古しの歯ブラシで除去するという、とても地味で小市民的な行為から始まった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第21回めの放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

北三陸市観光協会ホームページにアキ(能年玲奈)の動画が掲載されたことで、彼女を目当てにした観光客がやって来た。洗練された美少女だが近寄りがたい雰囲気のあるユイ(橋本愛)とは対照的に、アキの訛りや幼さという親しみやすいキャラクターがウケたのだ。袖が浜はいつもの3割増しの人出と売上だった。

アキは客たちの応援を受けて海に潜った。けれども、やはりウニを獲ることができずに終わった。客の期待に応えられなかったことに落ち込んだ。また、ウニ漁は9月いっぱいで終了となる。アキは夏(宮本信子)との約束で、禁漁までに1個でもウニを獲らないと海女を辞めさせられてしまう。あと1週間しか時間が残されておらず、アキは焦った。

その様子を見た春子(小泉今日子)は、さり気なくアキを励ました。昔のアキならこのような状況に追い込まれたら、諦めて投げ出していたはずだ。しかし、アキは変わったのだろうと言った。春子自身も、以前ならアキに諦めるように仕向けただろうが、今はそれをしないのだと言う。春子はみなまでは言わなかったが、アキは母の言わんとすることがわかった。翌日も前向きに浜へ向かった。

アキは懸命に頑張ったが、どうしてもあと一息のところでウニが穫れない。ところが不思議なことに、海からあがると腰に下げた網の中にウニが1つ入っていた。アキの初収穫を目撃した客は大いに盛り上がった。その雰囲気に飲まれ、アキも細かい経緯は忘れ、大喜びした。

アキは持ち場を離れ、すぐさま家に戻って春子と夏に報告した。本当に自分で獲ったのかと春子に念を押され、アキは自信がなくなった。夢中で潜っていたのではっきりとは覚えていないが、網に入っていたのが何よりの証拠だという。もしかしたら、ウニが自分から網に飛び込んできたのかもしれないが、自分の獲物に間違いは無いと主張した。

訝しむ春子を尻目に、夏はアキの成果を認めた。約束通りウニを収穫したので、アキが今後も海女を続けることを認めた。

アキは再度浜に戻り、漁を続けた。しかし、そこで真相を知ってしまった。実は、安部(片桐はいり)がウニを獲り、それを海中でアキの網に入れていたのだ。安部はそのうち一つをアキの手に持たせ、それを掲げて浮上するように促したりもした。この行為は、先輩海女たちが示し合わせたことだった。

客の手前、アキは自分で獲ったことを装い続けたが、持ち前の笑顔が消え、気分が沈み込んでしまった。仕事を終え、海女クラブに戻ると、みんなの前でインチキはしたくないと訴えた。安部の獲物を自分が横取りする形になるのも不公平に思うと話した。しかし、先輩海女たちは、誰もが一度は通る道だと言ってアキを説得しようとした。安部や美須々(美保純)も、若いころは夏に同じ事をしてもらったと言う。

それでも納得の行かないアキに、夏が口を挟んだ。自分たち観光海女はサービス業だということを忘れるな、と言うのだ。男は単純なもので、同じ値段の同じウニを買うにしても、若い女の子に獲ってきてもらった方が断然喜ぶ。客が喜ぶことを優先するのがサービス業の鉄則で、客が喜べばまた来て金を落としてくれる。誰の手柄かということは二の次であると言い聞かせた。

アキは、一人前と半人前の間で揺れた。これまで自分が海女をやっていたのは、海が好きであり、素潜りが楽しいからであった。しかし、それでは一人前の海女とは言えないのだという。自分の楽しみを犠牲にしてまで打ち込む価値があるのかわからない。

アキはユイのことを思った。彼女は役割をよく自覚しており、自分に会いに来る客に対してプロ意識を持ってサービスに徹しているからだ。

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NHK『あまちゃん』第20回

うちのテレビは午前中に陽の光がモロにあたる場所に設置してあり、画面が見にくいのでいつも雨戸シャッターを閉めているのだが、そのせいか4月も末になろうというのに部屋が暖まらなくて震えたり、コタツをつけたりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第20回目の放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

海女修行中のアキ(能年玲奈)はまだ1個もウニを穫れない。深く潜ると、潮に流されて溺れかけた時(第14回)の記憶が蘇り、恐ろしくなってしまうのだ。暗く沈み込んでおり、海女くらぶでのおしゃべりにも参加せず、そそくさと家に帰るようになった。

落ち込んで眠れない夜は、少女時代の春子の部屋に忍び込んで気を紛らわせた。その部屋は2階の隠し部屋で、高校3年生の春子(有村架純)が家出をした時のまま残されていた(第17回)。今夜は、ヘッドホンをつけてラジカセのテープを再生してみた。1983年12月5日に放送されたテレビの歌番組を録音したものだ。当時はビデオデッキが普及しておらず、少年少女たちはテレビの前にラジカセをおいて、音声を録音していたのだ。夏(宮本信子)がのんきに話しかける声なども一緒に録音されていた。アキはYMOの『君に、胸キュン。』(YouTubeで見る)を楽しんで聞いた。

異変に気づいた春子(小泉今日子)が隠し部屋の扉を開いた。ヘッドホンをしているアキはそれに気づかない。春子はそっと扉を閉め、気づかなかったことにして、アキを放っておいた。
観光協会のウェブ担当として、ヒロシ(小池徹平)は地元の人々のインタビューを集めることになった。はじめにアキを取材した。もちろん、ヒロシが彼女に密かに思いを寄せているからだ。

しかし、ウニを穫れない半人前の海女であることを気に病んでいるアキは、それに応じようとしなかった。逆に、ヒロシに対して仕事をすることの魅力について尋ねた。ヒロシは特に仕事が楽しいわけではないと答えた。父・功(平泉成)に世間体が悪いと怒鳴られたので仕事をしているだけだと言うのだ。その見解に、アキは反論した。功がヒロシに厳しいのは、本気でヒロシを心配しているからに違いないと思うからだ。子供のことをかわいく思わない親などいない、というのがアキの意見だった。

ヒロシのことを話しているはずなのに、アキはなぜだか自分の気が晴れた。インタビューに応じる気分になった。北三陸の魅力を自らアピールしたいと言うのだ。アキはカメラに向かって、ここには北限の海女がいること、自分は高校生海女であるがまだ1個もウニが穫れないことなどを話した。

その日の夜、ヒロシは早速ビデオの編集作業を開始した。アキの姿を見ているうちに感極まってしまった。春子が店番をするスナック喫茶・リアスに飛び込んだ。大向(東出昌大)や弥生(渡辺えり)、小田(塩見三省)など他人がいるにもかかわらず、ヒロシは春子に向かってアキが好きだと告げた。本人に告白する前に、春子に探り入れ、許可を得ようとしたのだ。

しかし、春子はヒロシがアキと交際することを茶化しながらもきっぱり断った。ヒロシは何やっても長続きせず、地に足がついていない。それではアキを幸せにできないからだという。居合わせた人々もその理由に同意し、ヒロシは孤立無援だった。アキに告白するのは控えるが、彼女のことを最初に好きになったのは自分だと宣言し、叫びながら店を出て行った。

次の週末、またしても大勢のオタクたちが北三陸市にやってきた。ただし、先週とちょっと違う点があった。北三陸市駅の手前の袖ヶ浜駅でも大量の男たちが下車したのだ。彼らは一目散に浜へ向かった。

それというのも、北三陸市観光協会のホームページにアキのインタビュービデオが掲載されたことが話題を呼んだのだ。

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NHK『あまちゃん』第19回

宮﨑あおいの右手の薬指の付け根辺りにはホクロがあることがわかったので、『純情きらり』のピアノ演奏シーンではそこに注目して吹き替えかどうか見るくせの付いてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第19回目の放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

北三陸市観光協会ホームページに掲載されたユイ(橋本愛)の動画が話題を読んだ。2008年9月20日(土)、それを見たオタクたちが全国から大挙してやって来た。集計したところ、その日だけでいつもの約30倍にもあたる2300人がやって来たのだ。

町の人々は対応に追われた。喫茶リアスは人で溢れかえった。副駅長の吉田(荒川良々)がウニ丼の注文を断らずに全て受けてしまった。春子(小泉今日子)は夏(宮本信子)にウニ丼の追加を頼んだが、到底捌ききれなかった。

街にも人があふれた。しかし、これだけの大人数に慣れていない地元商店街は混乱した。恐れをなして営業を中止する店が続出した。本来はこのチャンスを率先して活かすべき、商工会議所長の今野(菅原大吉)ですら怖気づくほどだ。

家でゆっくり寝ていたユイは、兄・ヒロシ(小池徹平)からの電話で叩き起こされた。すぐに北三陸鉄道に乗るよう要請された。彼女は北三陸駅に到着すると、すぐに1日車掌の衣装に着替え、オタクたちに対応した。写真撮影や列車の見送りなど、愛想よく振舞った。

日が暮れて、やっとオタクたちは帰っていった。喫茶リアスに関係者たちが集まって反省会が開かれた。観光協会の試算によれば、その日の経済効果は1000万円に登り、効果は絶大だった。しかし、ほとんどの者は疲れきってしまい、もうやりたくないと言い出す始末だった。そんな中、駅長の大向(杉本哲太)だけは燃えていた。翌日曜日にも大勢の人が来ることが予想されるので、今日以上に準備をしておくようにと各方面に発破をかけた。

そんな中、肝心のユイは用事があって参加できないという。盛岡に行ってダンスのレッスン予約が入っており、の新曲を買ったり、雑貨屋めぐりもするつもりだったと言うのだ。それを聞いた大向は恥を捨てて土下座した。夏はいい大人が女子高生に見せる態度ではないなどと冷ややかに言うが、大向はなりふり構わなかった。その態度にユイは断りきれなくなり、翌日も北三陸のイベントに参加した。

アキ(能年玲奈)はユイの活躍に感心した。けれども、ユイは内心では白けており、その気持をアキに打ち明けた。自分がしていることは単に列車に乗っている姿を撮影され、握手しているだけだ。田舎の女子高生がちやほやされているに過ぎず、こんな姿は本当のアイドルではないと冷ややかに考えているのだ。

けれども、ユイは手を抜いたりはしない。嫌な顔一つせず、客をもてなした。彼らは皆、ユイに会えたことを喜び、満面の笑顔で帰っていった。

自分の役割を完璧にこなすユイの姿はアキに感銘を与えた。舞い上がる大人たちの中で冷静に自分を見失わないユイを手本に、自分も頑張ろうと勇気が湧いてきた。翌日、アキは張り切って海に向かった。潮に流されて溺れかけ、謹慎処分を受けて以来初めての素潜りだ。張り切って海へ向かった。

ただし、あれだけの騒ぎの中、袖が浜の海女漁は結局いつもと変わらずに閑散としていた。

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NHK『あまちゃん』第18回

アニメ『勇者ライディーン』の主人公・ひびき洸の父の名が「ひびき一郎」であることを知った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第18回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

9月14日、北三陸秋祭りが開催された。同時に行われたミス北鉄コンテストでは、ユイ(橋本愛)があっけなく初代グランプリに選出された。

その様子を見ていた春子(小泉今日子)は、アキ(能年玲奈)を奮起させようとした。ユイのようにアキも頑張れと言うのだった。せっかく海女になるため東京を捨てて来たのに、潜れないままでは意味が無い。夏(宮本信子)と早く和解しろと助言した。春子と夏がそうだったように、ギクシャクした関係は時間が経てば経つほど修復が難しいというのだ。

もちろん、アキの心境も変化していた。ユイは同い年で大の親友ではあるが、自分とは持っているものがまるっきり違うと思った。しかし、アキにはそれが少しも厭味ではなかった。地元のアイドルになった輝かしいユイを見て、まるで自分の事のように嬉しかった。その様子を見て、アキは勇気がもらえた。

袖ヶ浜の海女漁は9月いっぱいで終了である。祭りが終わるとシーズンも終盤である。水温はぐっと探すし、観光客もほとんど来なくなる。そのせいで海女たちはふさぎ込み、弱音ばかり吐くようになってしまう。

仕事を終えた海女たちが漁協に戻ってくると、絣半纏を身につけたアキが待ち構えていた。もう一度海女をやらせて欲しいと夏に懇願した。しかし、夏は頑なに拒んだ。アキは海がどんなに危険な場所かわかっておらず、油断しているから潜らせる訳にはいかないというのだ。そして、アキのことは一人の海女である前に、自分の大事な孫だから死なせるわけにはいかないと言うのだった。

そのやり取りを聞いていたかつ枝(木野花)が口を挟んだ。かつ枝は、夏が自分に気を使っているのではないかと思ったのだ。というのも、かつ枝は海難事故で息子・克也(小林優斗)を16年前に亡くしていたのだ。地引き網漁師だった克也は、シケや嵐でも気にせず海に行くような男だった。そんな彼がなんでもないような日に海で死んだ。よその子が海に落としたビーチサンダルを拾うために海に入って命を落としたのだ。それでもかつ枝は、自分に遠慮はして欲しくないと言うのだ。

夏はアキを叱った。ウニ1個はたったの500円だ。アキはその500円のために溺れて、あやうく命を落とすところだった。海が簡単に人の命を奪うことを分かっていない。それに加えて、生き残された人々のつらい思いを理解していないと指摘した。

夏はアキにあらためて条件を課した。先輩の命令を聞くこと、絶対に入江の外に出ないこと、そして、今シーズンの終わりまでに1個でもウニを獲ること。それができれば海女として認めるというのだ。こうして、アキの復帰が認められた。本人だけでなく、海女たちも盛り上がった。シーズン終盤の暗い雰囲気が払拭された。

その頃、北三陸市観光協会にカメラ小僧のヒビキ一郎(村杉蝉之介)が怒鳴りこんできた。ホームページに掲載されているユイの写真が魅力的ではないとクレームを付けた。一郎が撮影した写真に差し替えろと要求した。埒が明かないと思った一郎は、菅原(吹越満)とヒロシ(小池徹平)を押しのけて、勝手に事務所のパソコンを操作してホームページを作り替えてしまった。

後日、一郎の掲載したビデオクリップを見た男たちが大勢列車に乗ってやって来た。

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NHK『あまちゃん』第17回

今日のまいにちにゃんこ(日めくりカレンダー)のモデルは愛猫あるにゃんだし(webサイト掲載)、来年のモデル募集広告にもあるにゃんが載っていたりして、いろいろゴキゲンな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第17回目の放送を見ましたよ。
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第3週「おら、友だちができた!」

ある日の放課後、アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)は袖が浜駅にいた。ユイの家はさらに先の畑野駅にあるのだが、アキの下車駅である袖が浜でユイも一度降りて、無人のホームでおしゃべりをしていた。

アキは、どうしてユイが東京に憧れているのかわからなかった。ネット通販が普及した現代では、全国どこにいても東京と同じ物が手に入る。むしろ北三陸市には、東京にはない大自然や美味しい食べ物がある。自分は東京が嫌いである。なぜ東京に行く必要があるのか。その疑問をユイにぶつけた。

ユイは、アキが田舎をバカにしているように思えた。不機嫌な感情を隠そうともしなかった。観光客が北三陸の風物をありがたがるのはよいが、地元民がそれを愛するのは卑屈な負け惜しみだと言うのだ。ユイは都会のビルや地下鉄、ネットカフェを一度も見たことがない。だから自分の目でそれを見てみたいし、それらが溢れている東京が好きなのだと話した。

そこまで言うと、ユイはスッキリして機嫌を直した。そして、自分には夢があるのだと話し始めた。アキに他言しないことを約束させ、自分の秘密を打ち明けた。ユイは東京に行ってアイドルになりたいのだという。すでにユイと同じような大勢の地方出身者が東京でチャンスを掴みかけている。中にはユイよりも若い者もおり、ユイは焦り始めているのだ。

アキは唖然として言葉が出なかった。あまりに現実離れした夢を聞かされ、ユイはバカなのだと内心思った。しかし、どうやらユイは本気のようだった。東京方面の線路に向かって、「アイドルになりたい!」と大声で叫んだ。すると、それまで見せたことのない晴れ晴れとした表情を浮かべた。

アキはユイの決意を知った。ユイは客観的に見てもかわいいし、本人もそのことを自覚している。そして、アイドルになるという将来に対して何の迷いも持っていない。その様子を見て、アキはユイをかっこいいと思った。

しばらくして、ミス北鉄コンテストの最終候補者5人が発表された。事前投票で、ユイと観光協会職員・栗原しおり(安藤玉恵)、他3名が残った。ヒロシ(小池徹平)はアキに投票したのだが、彼女は選から漏れた。

そのヒロシは、観光協会での職を新たに得た。ヒロシはパソコンが得意であるということを聞きつけた大向(杉本哲太)が、ウェブ担当の仕事を斡旋したのだ。おかげで、観光協会長・菅原(吹越満)が半年間放置していた街のホームページがあっという間に完成した。ミス北鉄コンテストの決選ウェブ投票システムもできあがった。

当初、ユイはミス北鉄コンテストを辞退するつもりだった。自分が東京でアイドルデビューした後、鉄道オタク向けの田舎のミスコンで優勝したなどという過去を暴かれては困ると思ったからだ。けれども、ヒロシが観光協会で働き始めた義理があるので、断りにくくなったのだという。ユイが辞退したことの責任をとってヒロシが仕事を辞めることになると、また家の中が荒れて、ユイは東京に行きづらくなってしまう。そのような事情から、ミスコンに出場するのだという。

ユイは、出場するからにはグランプリを狙うと決意表明した。そんなユイの姿に、アキはますます惚れ込んだ。ユイは自分の夢を実現するため、目的意識を持って着実に準備を進めている。一方で、自分自身の劣等感も強まった。自分には華も存在感もなく、ユイと比較して明らかに容姿が劣っている。海女になるはずだったのに未だ1つもウニを獲ったことがない。それどころか、夏(宮本信子)の言いつけを守らなかったことで、素潜りを禁止されてしまった。無為に時間ばかりが過ぎていくのだ。

焦りのせいか、アキは最近よく眠れない。ある晩、夜中に家の中を探ってみた。夏の家の2階に上がったことがなかったので、見に行って見ることにした。古い漁師の家は独特の作りになっていて、構造のわかりにくい入り組んだ廊下になっている。普段使われていないので、物置代わりにされており、雑然としていた。

薄暗い中、壁を手探りで進んでいくと、隠し扉が突然開いた。入ってみると、そこはどうやら娘時代の春子が使っていた部屋らしく、全てが当時(1984年)のまま残されていた。当時のアイドルのポスターやよくわからない雑貨、ペシャンコに潰され「暴走天使 天野春子参上」などと書かれた通学カバンまであった。

アキは見てはいけないものを見てしまった気がした。その時、スナック営業を終えた春子(小泉今日子)の帰宅する物音が聞こえた。アキは慌てて部屋を飛び出して寝室に戻った。

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NHK『あまちゃん』第16回

Googleドライブのスプレッドシートで「あまちゃんヒストリー」という年表を作り始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第16回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

ミス北鉄コンテストの募集が始まった。主催の北三陸鉄道では、応募券付きの記念乗車券が発売された。それを使えば、自薦他薦を問わず、一人で何回でも応募できる仕組みだ。早速、大向(杉本哲太)は春子(小泉今日子)の名前を書いて応募した。応募資格は40歳以下に限定されており、春子は42歳であったが、もちろんそんなことは無視した。

駅でコンテストの告知と投票箱を見たユイ(橋本愛)は、「ださっ」と一言吐き捨てるだけだった。

そんなユイは、アキ(能年玲奈)を自宅に招いた。ユイの父・功(平泉成)がアキに会いたがっていると言うのだ。それというのも、功は元・北三陸高校の教師で、春子の担任だったからだ。

ユイの家は、北三陸駅から列車で1時間ほど南下した畑野駅にあった。その辺りはアキの住む袖が浜よりも田舎だった。周囲の長閑さとは対照的に、ユイの家は広大な敷地に建つ豪邸だった。功は高校教師を引退後、政治家になり地元の名士である。ユイの母・よしえ(八木亜希子)は仙台出身で、短大卒業後は岩手のテレビ局のアナウンサーになったという。仕事を通じて功に見初められ、結婚したという。

ユイは自分の家があまり好きそうではなかった。早く東京に行きたいとアキに話すのだった。兄・ヒロシ(小池徹平)が東京に就職したので、それを頼りに上京するはずだったのに、彼は2ヶ月あまりで帰ってきてしまったことを嘆いた。ヒロシは負け犬だと吐き捨てた。

アキは功と対面した。功に言わせれば、アキは春子に似ていないという。高校時代の春子はとてもかわいかったという。誰でも知っている評判の娘で、学校祭の時には他校の生徒が大挙して押し寄せ、整理券を配るほどだったという。一方で春子はツッパリだったので、功はずいぶんを手を焼いたと話した。ただし、彼の口調に嫌悪感はなく、昔の春子を愛おしく思い出す様子であった。功は春子の卒業写真を探したが見つからなかったという。それというのも、春子は高校を中退して東京へ家出したからだ。ユイは春子の生き方をかっこいいと言って憧れた。

ユイの母・よしえの料理は、まるで高級レストランで供されるもののように豪華で盛り付けも凝っていて、アキは驚くばかりだった。楽しく食事をしていると、ヒロシが帰ってきた。その瞬間、家の雰囲気がガラリと変わった。

ヒロシは誰とも口を聞かずに、食卓から離れた場所に座って一人で缶ビールを飲み始めた。功はアキの目の前だというのに、ヒロシのことを罵りだした。大学まで出してやったのに2カ月余りで東京の仕事を辞めて帰ってきてしまった、それからは仕事もせずにブラブラしている、世間体が悪いから家から出るな、などと言うのだ。

アキはヒロシの弁護を試みた。ヒロシが漁協の監視員をやっており、自分が溺れた時にサイレンを鳴らして助けてくれたこと(第5回)を話した。しかし、それが火に油を注ぐことになってしまった。ヒロシはその仕事すらすでに辞めてしまったことを白状した。功の方も、ヒロシが北三陸で仕事に就いたことすら初耳だった。ヒロシはそもそもまともな仕事のできるような人間ではないのだから、初めから東京などには行かず、地元で就職していればよかったなどと罵り、張り手を食らわした。

アキは、場を収めるはずの自分の一言が逆効果だったことを後悔した。功の剣幕に恐れおののき、身をすくめることしかできなくなった。隣のユイを盗み見ると、彼女は平常心で食事を進めている。アキは混乱し、食欲を失った。

帰りの列車の中で、アキはその日のことを一人で振り返った。たとえ田舎であっても大らかではない人はいるものであり、ギスギスした家庭もあるのだと思い知った。

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NHK『あまちゃん』第15回

観光協会の職員・栗原しおり役の安藤玉恵という女優さんについては、ドラマ『深夜食堂』でストリッパーのマリリン役をやっていたのでかろうじて知っていたのだけれど、映画『探偵はBARにいる』において喫茶店の妙にエロいウェイトレスを演じていたことには気づいていなくて驚いたし(‘ j ’)/、20代後半くらいの年齢だと思っていたのに1976年生まれだと知って(もう10歳くらい若いと思っていた)さらに驚いた(‘ jj ’)/当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第15回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

アキ(能年玲奈)は言いつけを破って漁に出たことで溺れかけた。そのことが夏(宮本信子)の逆鱗に触れ、海女を辞めさせられてしまった。それからというもの、夏はアキに対してよそよそしくなった。仲裁に入った春子(小泉今日子)も夏と大げんかを繰り広げ、ふたりの関係も険悪になった。

毎月第1日曜日は観光協会に人々が集まり、まち興し会議が行われる。中心となっているのは北三陸駅長・大向(杉本哲太)だ。大向の報告によれば、北三陸市の人口、観光客数、観光収入はいずれも年毎に減少の一途をたどっている。その中で、鉄道利用者数だけはかろうじて横ばいを維持している。ただし、限定グッズの販売やイベント開催に投資しているにもかかわらず、それに見合うだけ利用者数が増えないので赤字が続いている。なんとか観光客を増やしたいというのが彼の意見だ。

9月に行われる北三陸秋祭りを宣伝するというアイディアが出た。しかし、肝心の観光協会長・菅原(吹越満)は反対した。彼は、秋祭りは地元の人々のためのものであり、部外者が参加することは望ましくないと言うのだ。その意見に夏は反対した。そのような閉鎖的な考え方が観光業に打撃を与えるというのだ。来る者は拒まず、サービス精神を発揮して観光客を誘致しようと主張した。

みんなも夏の意見に賛成した。そこで、北三陸の新たな名物を考えることにした。これまで、世界最北端の「海女」と、風光明媚な「北三陸鉄道」が観光の2大目玉だった。それに続く第3の名物を考案し、売り出す方針に決まった。

しかし、これといった名物が見つからなかった。流行りのご当地グルメを売りだそうとしたのだが、決め手にかけるのだ。黒砂糖とクルミを小麦粉で包み、野菜と一緒に醤油味の出汁で提供する「まめぶ汁」が候補に上がったが、地元民ですらめったに食べるものでもなく、売りとして弱い。夏が作るウニ丼は観光客ウケが良かったが、ウニの漁獲高をこれ以上増やすことができず、大々的に売り出すにはふさわしくなかった。

観光協会職員の栗原(安藤玉恵)が鉄道オタクに目をつけた。彼らは頻繁に大勢で北三陸市へやって来て、列車や風景の写真を撮りまくっている。独特な言動や風貌だったり、駅のベンチで野宿していたりして気味が悪い。とはいえ、彼らの心をくすぐるサービスを提供できれば、良いリピーターになると予想できた。

その頃、ヒロシ(小池徹平)が喫茶リアスに顔を出した。浜に行ってみたものの、アキの姿が見えなかったので街中を探しているのだ。春子は、ヒロシがアキに惚れているらしいことを見抜いた。春子は、アキが海女をクビになったこと、そのことで落ち込んでいること、気晴らしに遊びに連れていてやって欲しいことなどを話した。そして、ヒロシにアキのことが好きなのかとズケズケと聞いた。図星であったが、ヒロシは慌てて否定した。

アキが喫茶リアスに入ってきた。春子を除いて他に誰もおらず、ふたりの恋が芽生えるかと思われた。しかし、その直後に観光協会に集まっていた人々が大挙してやって来た。会議に結論が出ず、休憩しにきたのだ。

会議の参加者たちは、春子とヒロシに若者が集まるような企画が思いつかないと愚痴を言った。それを聞いたヒロシが、何気なく話に付き合うつもりでミス・コンテストでもやるのかと発言した。それは誰も思いつかなかったアイディアだった。その場で即座に「ミス北鉄コンテスト」の開催が決まってしまった。

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