NHK『あまちゃん』第152回

本作の制作を初めて知った時、「大丈夫かな、これ・・・。」などと言ってしまった自分の不明を恥じている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第152回めの放送を見ましたよ。


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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

6月30日の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)チャリティーリサイタル、および荒巻(古田新太)との結婚披露宴へ向けて海女カフェの内装の仕上げが終わった。また、7月1日の北鉄運転再開(北三陸-畑野間)の準備も順調で、試運転の準備が整った。

そんな中、副駅長・吉田(荒川良々)の妻・しおり(安藤玉恵)がおかしな事を言い出した。鈴鹿が音痴なのではないかと言うのだ。しおりが子どもを連れて歩いていると、鈴鹿に出会った。鈴鹿は子どもをあやすために『だんご3兄弟』を歌ってくれたという。しかし、その歌声があまりに不快で、死霊のうめき声のようだったのだ。子どもは激しく泣きだし、しおりも恐ろしさのあまり足早に立ち去ってしまうほどだった。

しおりがそう訴えても、吉田をはじめ、町の人々は聞く耳を持たなかった。人々は「鈴鹿ひろ美は歌が上手い、しおりは若いから彼女のヒット曲を聞いたことがなく、変なことを言うのだ」と言うばかりだった。春子(小泉今日子)が鈴鹿ひろ美の影武者で歌っていたことは秘密であり、その場にいた水口(松田龍平)は秘密がばれるのではないかと肝を冷やした。

鈴鹿は悩んでいた。リサイタルで披露する『潮騒のメモリー』には、「寄せては返す波のように激しく」や「三途の川のマーメイド」など、津波を連想される歌詞がある。それが津波被災者の心を傷つけるのではないかと心配していたのだ。その気持を夏(宮本信子)に打ち明けた。

しかし夏は、それは鈴鹿の杞憂だといって笑い飛ばした。鈴鹿が歌おうが歌うまいが、被災者は常に津波のことを思い出して苦しんでいる。今さら鈴鹿が1度歌ったくらいでは傷つかないと明るく言うのだった。被災者は落ち込むどころか、鈴鹿が目の前で歌ってくれるということで大喜びするというのが夏の意見だった。夏は、むしろ鈴鹿のチャリティ活動に感謝し、深く頭を下げるのだった。

夏は、春子のことを引き合いに出して話をした。春子もアイドルを目指していたが、鈴鹿のようにはなれなかった。夏と春子は長らく疎遠になり、春子の夢も破れてしまった。しかし、春子はかわいい孫・アキ(能年玲奈)を連れて帰ってきた。夏はそれで自分の人生が報われたと思い、大逆転したと話すのだった。

春子のことは鈴鹿の胸に今でも引っかかっていた。鈴鹿は、自分と春子の秘密を夏に打ち明けようとした。しかし、その瞬間に、アキが大吉(杉本哲太)らを連れて帰宅した。それで言うタイミングを逸した。

夏の家にやってきた大吉は、安部(片桐はいり)との再婚を決意し、翌日の試運転終了後に喫茶リアスで彼女にプロポーズするつもりだと話した。ふたりは22年前に一度結婚し、半年で離婚した。それ以後は、元夫婦としての友情関係で結ばれていたが、正式に再婚したいのだという。大吉は、自分が安部のどこが好きなのかわからないと話した。それでも安部と再婚したいのだという。安部の得意料理「まめぶ」は甘いのか塩っぱいのかわからないのに、いつの間にか好きになってしまう。それと同じように、理由もないが、いつの間にか安部のことが好きになっていたのだと言う。

アキをはじめ、人々は大吉のことを祝福した。そして、大吉にいたずらを仕掛けた。試運転の車両に「安部ちゃん おらど結婚してけろ!大吉」と大きく書いたのだ。試運転当日、出発前に車両の隅々を点検しようとする大吉であったが、吉田が妨害して大吉を真っ直ぐ運転席へ誘導した。大吉は何も知らないまま、試運転列車が出発した。

沿線の人々は、プロポーズの言葉の書かれた車両を見て大笑いしながら手を振った。いたずら書きされていることを知らない大吉は、北鉄再開が町の人々を喜ばせているのだと思って感激した。大吉の勘違いはあったが、試運転は大成功に終わった。北三陸のホームに戻ってくると、大吉は一目散に喫茶リアスに向かった。そこに安部を待たせてあるのだ。

喫茶リアスではアキが店番をしていた。客は安部以外になかった。試運転列車が戻ってくると、アキはホームに面した窓へ安部を誘導した。そこで安部は、車両に書かれた大吉のプロポーズの言葉を読んだ。安部は、本人の言葉より先に、大吉の気持ちを知った。

大吉がリアスに飛び込んできた。息を整え、プロポーズの言葉を述べようとする大吉だが、安部は窓の外ばかり気にしていた。つられて外を見た大吉は、そこで初めて真相を知り驚いた。何も言えなくなってしまった大吉に向かって、安部は自分から先に「よろしくお願いします」と承諾の返事をした。

それを合図に、リアスの常連たちが姿を現した。クラッカーや紙吹雪、くす玉が割られ、みんなでふたりを祝福した。大吉はもみくちゃにされ、結局、自分の口からはプロポーズの言葉を発することができなかった。しかし、幸せだった。

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NHK『あまちゃん』第151回

泣いても笑ってもあと6回だなあと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第151回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

北三陸でのチャリティリサイタルに向けて、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が関係者に無断で先に現地入りした。それを追いかけて、彼女のプロデューサーであり夫である荒巻(古田新太)が追いかけてきた。ごく一部の関係者しか知らないことだが、鈴鹿は無類の音痴だ。荒巻はそのことが心配でならないのだ。一方で荒巻は、観客の前で鈴鹿の音痴が露呈し、プライドが傷つけられることで彼女が一歩成長するのではないかと期待も寄せていた。

荒巻はスナック梨明日でユイ(橋本愛)と初めて会った。以前からユイに注目していた荒巻は、やっと対面が叶ったことを喜んだ。しかしユイは、憧れだった大物プロデューサーの前で極度に緊張してしまい、我を失った。荒巻が鈴鹿との話に気を取られている隙に、店を抜けだし、駅舎のトイレに篭ってしまった。

そんなユイを、アキ(能年玲奈)と水口(松田龍平)、そして荒巻が追いかけた。荒巻は、ユイに東京でアイドルになることを勧めた。既にユイは二十歳になっており、アイドルとしてデビューするには今がラストチャンスだと説得したのだ。しかしユイはそれを断った。トイレから姿を現し、自分は北三陸を出るつもりはないと言い切った。東京も北三陸も同じ日本であり、自分は地元アイドルとして一生を北三陸に捧げるというのだ。荒巻はそれ以上食い下がることなく、ユイの希望を受け入れてやることにした。

荒巻と水口は、しばしふたりきりで話をした。水口によれば、鈴鹿はアキに出会って変わったという。当初は、アキを鈴鹿の付き人にすることで、アキが変化することを期待していた。しかし、結果は逆になり、アキは全く変わらなかったのに鈴鹿がすっかり変わってしまったと話すのだった。

その話を受け、荒巻は水口も変わったと指摘するのだった。東京でアイドルを育てることを夢見ていたはずの水口が、今ではアイドル育成よりも、北三陸で琥珀を掘ることに熱中しているようにみえるというのだ。水口は、自分が見つけた琥珀を荒巻に見せた。それは、8500万年前のアリが琥珀の中に閉じ込められた、珍しいものだ。水口は、それをユイになぞらえた。中心にあるアリがユイであり、周囲の琥珀がユイの「田舎意識」なのだという。ユイは派手に注目を浴びることはなかったが、「田舎意識」に守られ、永遠に色褪せないだろうと豪語するのだった。
ただし、水口の比喩は荒巻に通じなかった。水口も、興奮したせいで、思ってもいない滅茶苦茶な話を展開したことを認めるのだった。

水口は、荒巻と鈴鹿を海女カフェに案内した。荒巻は、手作り感溢れる内装を皮肉交じりに褒めた。雑で野暮ったい作りだが、地元の人々の愛情が込められていて、プロには真似できない絶妙な仕上がりだというのだ。当初、海女カフェの設備に期待していなかった荒巻は、多額の寄付をするつもりで北三陸へ来た。しかし、現場を見てそれを取りやめた。海女カフェの温かい雰囲気をそのまま残した方がいいと思うからだ。

現地視察を終えた荒巻は、そのまま東京へ帰っていった。

東京へ帰った荒巻は、海女カフェの内装には口出ししなかったが、最新の音響設備を導入してくれた。
そしてなんと、事前の相談なく、6月30日に海女カフェで自分と鈴鹿の結婚披露宴をすると決めてしまった。急にFAXで通知され、春子(小泉今日子)はひどく驚くのだった。

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NHK『あまちゃん』第150回

昨夜の三次会は某巨乳ちゃんの隣の席だったので、これ幸いにと胸の谷間ばかりガン見していた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第150回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

2012年6月18日。鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が誰にも告げずに北三陸へやって来た。チャリティーライブは30日の予定だが、鈴鹿は気持ちを高めるために早くに北三陸入りしたのだという。何も知らされていなかった北三陸の人々は、大女優の突然の出現に激しく驚き、取り乱した。しかし、町の人々の人柄と鈴鹿のマイペースさで、すぐに打ち解けるのだった。

そんな中、忠兵衛(蟹江敬三)だけは鈴鹿を敵視した。自分も2年ぶりの帰郷なのに、鈴鹿と同じ日に帰ってきたことで、誰も相手にしてくれないからだ。さらに、その日最後のウニ丼を鈴鹿に奪われたり、鈴鹿が夏(宮本信子)と橋幸夫を引きあわせたなどと聞いて、ますます面白くなかった。

鈴鹿は、天野家に宿泊することになった。アキ(能年玲奈)の寝室を覗くと、そこは1984年のまま時が止まっており、壁中に当時のアイドルの写真が飾られていた。アキから、高校生だった春子(有村架純)が使っていた部屋であり、彼女がアイドルに憧れ夢を育んだ部屋だと説明された。それを聞いた鈴鹿は深く感じ入り、その部屋に寝泊まりすることになった。

天野家では、大震災があったのに忠兵衛が帰ってこなかったことが責められた。それに対する忠兵衛の返答は、陸が大変な時だからこそ、海でできる限り稼いでいたのだというものだった。そうすることで陸の人々を助けるのが自分の努めだと豪語した。その男らしさに、鈴鹿は感動した。また、鈴鹿が忠兵衛に羨望の眼差しを向けたことで、忠兵衛も気を良くした。それでふたりは和解した。

ユイ(橋本愛)も鈴鹿に面会した。初めは緊張して怖気づいていたユイだが、気づくとすっかり鈴鹿と打ち解けていた。それどころか、持ち前の毒舌が発揮され、鈴鹿のドラマの共演者にダメ出しするなど遠慮がなかった。そんなユイであったが、鈴鹿は彼女を受け入れてにこやかに会話した。

翌日、アキと鈴鹿は海女カフェの下見に出かけた。そこでは水口(松田龍平)らがカフェ再建の追い込みに汗を流していた。鈴鹿のマネージャーを放り出して北三陸にやって来た水口は、鈴鹿との再会に恐縮した。円満に東京を去ったのかと思われていたが、実は鈴鹿に顔を合わせにくく、メールで辞任を報告しただけだったのだという。鈴鹿は苦笑しながらも水口のことを許してやるのだった。

それから鈴鹿は、喫茶リアスに向かった。アキが目を話した隙に、人々からおだてられた鈴鹿は、店のカラオケで「潮騒のメモリー」を歌おうとした。前奏が流れる中、マイクの前に立つ鈴鹿。

しかし、そこへアキが走りこんできた。そして、マイクを奪いつつ、演奏を止めた。鈴鹿が音痴であることは厳重な秘密であり、不用意に歌うとそのことがバレてしまうからだ。人々はアキの剣幕に驚くが、その場は誤魔化すことができた。

その時、荒巻(古田新太)も北三陸に来ていた。正宗(尾美としのり)からは、「リアス」という店に行けと指示されていた。土地勘のない荒巻は、タブレットで検索しながら歩いていた。しかし、検索結果には「喫茶リアス」と「スナック梨明日」の2つが表示され、それが同一の店だと思い至らない荒巻は迷ってしまった。

駅舎に入った荒巻は、せっかく喫茶リアスの前にたどり着いたのに、そのまま素通りしてしまった。その時、一瞬だけドアから顔を出したユイとすれ違った。荒巻はユイの美しさに思わず見とれてしまったが、再度「リアス」を探すために歩き去った。

ユイは荒巻の顔を知っていたはずだが、予期せぬ事だったのでそれに気づかなかった。しかし、店に引っ込んだ瞬間、今の男に見覚えのあることを思い出した。ドアを開け、彼のことを探したが、荒巻は既に立ち去った後だった。

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NHK『あまちゃん』第149回

洋食&ワイン しんで20年近く憧れ続けているママさんにお会いし、うおや一丁でラーメンサラダを食べたので、今回の札幌出張の目的は80%ほど達成され、残りの20%は今日の午前中で終わる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第149回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

2012年4月。
北鉄は、7月1日の北三陸-畑野間の運転再開に向け、順調に点検作業が進んでいた。

一方、6月30日オープン予定の海女カフェの再建作業は停滞していた。再建費用は1000万円と見積もられ、企業や一般からの寄付を募ったが足りないのだ。海女カフェの内装の目玉は、潮騒のメモリーズZや鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)のライブが行われるステージと、珍しい魚を集めた店内水槽だ。ステージは必須なので、水槽を諦めて再建するしかなかった。関係者は一様に落ち込むのだった。

その時、大吉(杉本哲太)が北三陸駅舎をうろつく不審者を捕まえた。大吉が問い詰めても、ほとんど何もしゃべらず、唯一アキ(能年玲奈)の知人であるとだけ話しているという。連絡を受けたアキは駅へ急行した。

そこにいたのは、さかなクンだった。アキと一緒に幼児向け番組『じぇじぇじぇのぎょぎょぎょ』(旧『つくってこわそう』)に出演した仲だ。さかなクンは北三陸に帰ったアキのことが気になって、ネットで検索したという。すると、観光協会のサイトに掲載されている潮騒のメモリーズZの動画を見つけたという。アキとユイ(橋本愛)が海女カフェの再建や北三陸への観光客誘致を訴える映像だ。それを見て、居ても立っても居られなくなった彼は、自分で集めた珍しい魚や水槽を海女カフェへ寄贈することを決め、それを伝えるためにやって来たのだ。

2012年6月。
さかなクンの水槽が海女カフェに搬入され、再建が順調に進んだ。それでもまだ予算が足りなかったので、町の人々や子どもたちが総出で内装を行った。さかなクンと共に壁に絵を描き、むしろ手作り感のあふれる温かい店になった。アキは、あちこちで様々な苦労をした人たちが、再び海女カフェに集い、一緒に作業していることをとても嬉しく思うのだった。

さらに海女クラブの面々は、観光海女漁の再開に向けて、海中のウニの調査を行った。大津波でウニはほとんど流されてしまい、繁殖のためにウニの放流を行った。しかし、一般にはウニを放流しても資源が復活するまで3-4年かかると言われており、今年のウニ漁が危ぶまれていたのだ。

ところが、海に潜ってみると、大量のウニが生息していた。アキはそれを取りあげて水面に顔を出すと、大喜びで首尾を報告するのだった。7月1日の海開きの成功は約束され、みんなは歓声を上げた。

町の人々は海女カフェの再建作業やウニの調査にでかけ、喫茶リアスは吉田(荒川良々)が一人で店番をしていた。客もおらず、店内は閑散としていた。

そこへ、忠兵衛(蟹江敬三)が帰郷した。忠兵衛は真っ先に夏(宮本信子)に会えなかったことを残念がったが、久しぶりにウニ丼を食べようと注文した。それと前後して、全身黒尽くめでサングラスをかけた一人旅の女が入店した。彼女もウニ丼を注文するのだった。

しかし、あいにくウニ丼の在庫は1つしかなかった。吉田はふたりにじゃんけんで決めるよう促した。その結果、忠兵衛が勝ち、ウニ丼は彼の手にわたった。

その瞬間、女はサングラスをはずし、ひどく悔しがった。そこで吉田は、その女が鈴鹿ひろ美であることに気付いた。鈴鹿の大ファンである吉田は、忠兵衛からウニ丼を取りあげ、鈴鹿に食べさせるのだった。

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NHK『あまちゃん』第148回

音痴のことを「うつろいやすい音程」、ハゲのことを「髪の毛の不自由な人」と呼ぶと書いたところ、ダンスの下手な人のことを「体が自主的に動く」と言うのだというコメントをいただいたわけだが、それは俺のダンス動画に対する挑戦だと受け取った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第148回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は、東北支援のためのチャリティーライブを開催することを強引に決めた。はじめは呆れる春子(小泉今日子)だったが、鈴鹿が自分の音痴にけじめをつけようとする姿勢に胸を打たれ、協力することにした。春子が鈴鹿に歌の猛特訓を行い、会場の選定も春子が手伝うことになった。

チャリティーライブは岩手、宮城、福島で開催される予定となった。しかし、鈴鹿はその前に北三陸の海女カフェで歌うことを強く熱望した。そこで春子は、大吉(杉本哲太)らに連絡をとり、その旨を伝えるとともに海女カフェの現状を訪ねた。

北三陸の人々は、鈴鹿ひろ美がやって来ると聞き、大いに喜んだ。一方で、津波の被害によって海女カフェは壊滅しており、ライブ開催は不可能に思えた。再建には少なくとも2000万円ほどかかると試算されたが、それを捻出するあてがない。しかも、北鉄の全線運行再開や仮設住宅に住む人々への支援など、より優先すべき課題が山積みなのだ。町の人々は海女カフェ再建賛成派と反対派に別れ、口論が絶えなくなった。

アキ(能年玲奈)は海女カフェの再建を自分の目標だと考えていたが、人々の殺伐とした雰囲気に心を痛め、途方に暮れてしまった。何もできないまま、瓦礫が散乱したままの海女カフェで感傷に浸るばかりだった。

アキが海女カフェで呆然としていると、ヒロシ(小池徹平)、勉(塩見三省)、水口(松田龍平)、種市(福士蒼汰)がやって来た。瓦礫の撤去を業者に頼むと金がかかりすぎて無理だが、せめて自分たちの力でできる限りのことはしようと言うのだ。全て人力で海女カフェの掃除を始めた。そして、まだ完璧には程遠かったが、ライブができそうな目処が立った。

それと前後して、北三陸市長・足立功(平泉成)の尽力で、北鉄の復興予算を獲得することができた。全線復旧には足りなかったが、7月1日の海開きの日に、北三陸-畑野間の運行を再開することとなった。それは北鉄の営業開始記念日(1984年7月1日)でもあり、町の人々の喜びもいっそう大きかった。

それに合わせて、7月1日にはアキとユイ(橋本愛)の潮騒のメモリーズによるお座敷列車イベントも開催されることとなった。

アキは鈴鹿に北三陸の様子を報告した。そして、北鉄運行再開の前夜祭として、6月30日に鈴鹿のライブを行うことが決まった。

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NHK『あまちゃん』第147回

端末の前で「遅刻するわけねーだろ、くそがっ」とつぶやいた(下図参照)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第147回めの放送を見ましたよ。

失敬な!

失敬なメール!


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第25週「おらたち、いつでも夢を」

2012年2月。北三陸市の市長選挙が行われた。立候補した功(平泉成)は、北鉄全線運行や海女漁などの観光資源の復旧を優先するという公約を掲げた。アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)が再結成させた潮騒のメモリーズも功の選挙戦を応援した。そして、無事に功が当選した。

功の当選祝賀会がスナック梨明日で行われた。ヒロシ(小池徹平)は宴席を抜け出し、駅舎の待合室で一人でビールを飲んでいた。それを見つけたアキが近寄り、ふたりで少し話しをした。

二十歳になったアキは、みんなに付き合ってビールを飲んでいた。ヒロシはそんなアキの姿を見て、少々驚いた。しかし、16歳で初めて北三陸に来た時から、アキは少しも変わっていないと話した。アキは北三陸にやって来て海女になった。その後、東京に戻り、アイドルとなって主演映画も公開された。そして、再び北三陸に帰ってきた。それだけ波瀾万丈な青春時代を過ごせば、普通の人なら気がいい気になったり派手になったりするものだ。ヒロシは、それなのに少しも変わらないアキのことを評価するのだった。

その話に対して、アキは自分でも変わりたくないと思っていると答えた。東京や芸能界では、成長しないと怠けているように言われてしまう風潮に反対なのだ。人は、身長や体重、おっぱいの大きさなど、意図せずに変わってしまう部分もある。一方で、変わらない部分もある。アキはその部分を大事にしたいと言うのだった。

東京のスリーJプロダクションに、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)と荒巻(古田新太)がやって来た。なんと、鈴鹿が勝手にチャリティーリサイタルを開催することを決めてしまったのだ。これまで鈴鹿は、女優として役を演じることで東北の人々を応援してきた。しかし、もっと直接的に、自分の声で人々を励ましたいと思ったというのだ。まだ会場や日時は本決まりではないが、告知ポスターも既に刷り上がっていた。

所属タレントが勝手に仕事をすることに春子(小泉今日子)は怒りだした。春子は鈴鹿が音痴であることを果てしなく婉曲的に表現したが、鈴鹿はそれが問題であることを認識していた。鈴鹿は前年の夏から秘密裏にボイストレーニングを受け、実力をつけたと主張した。それに、春子は自分が鈴鹿の影武者だったことを告白してスッキリしたかもしれないが、鈴鹿は未だその渦中にいると言うのだ。自分の実力を証明し、暗い過去と決別したいというのだ。

鈴鹿は、自分の特訓の成果を披露した。事務所には春子、荒巻、そして正宗(尾美としのり)がいた。奇しくも、春子の影武者就任が決まったタクシーの中にいたのと同じ3人だった。

鈴鹿は自信満々に「潮騒のメモリー」を歌い上げたが、3人は絶句するほどひどいものだった。リサイタルの開催は不可能に思われた。しかし、春子だけはリサイタルの開催を認めた。鈴鹿のボイストレーナーを首にし、春子自らが歌唱指導をするというのだ。

そして、チャリティーリサイタルの会場探しが始まった。春子は北鉄の大吉(杉本哲太)にポスターを送りつけ、電話で開催の相談をした。鈴鹿は、北三陸の海女カフェで開催したいと言っているというのだ。

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NHK『あまちゃん』第146回

昨日の台風はまったく何ともなかったのだが、今日はめっきり気温が下がり、寝冷えしたのかお腹が痛くて難儀している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第146回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

荒巻(古田新太)が自らスリーJプロダクションを訪れ、春子(小泉今日子)に面会していた。荒巻によれば、有名人80人がチャリティで歌うという企画が持ち上がっているという。その有名人の中に鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)もリストアップされているのだ。鈴鹿ひろ美が音痴であるというのは世間に隠されていることである。荒巻は企画が本人の耳に入る前に、所属事務所の社長であり、鈴鹿の音痴を知っている春子に相談に来たのだ。

荒巻によれば、鈴鹿は自分が音痴であることをひどく気にしているという。近頃では、秘密裏にボイストレーニングを受けようともしているらしい。歌の汚名返上を目指しているらしく、今回の企画を鈴鹿が知れば騒動になるに違いなかった。春子と荒巻は途方に暮れるのだった。

GMTが東北チャリティ・ツアーの途中、アキ(能年玲奈)に会うために北三陸に立ち寄った。アキは再会を喜んだし、有名アイドルの突然の来訪に町は興奮のるつぼと化した。喫茶リアスではGMTの歌や踊りで大いに盛り上がった。

GMTメンバーたちは、水口(松田龍平)がユイ(橋本愛)をセンター候補にしていたことをよく知っていた。しかし、彼女と会うのは初めてである。GMTメンバーたちは、ユイの可愛さに舌を巻いた。

しかし、ユイ(橋本愛)は不機嫌な態度を隠そうともしなかった。GMTをバカにした目で見つめ、商売なのだから注文をしろなどと冷ややかな口調で接するのだった。

GMTは次のコンサート会場へ向かうために帰っていったが、ユイはまだ不機嫌でイライラしたままだった。GMTは歌が下手だし、アイドルとしてはB級だと切り捨て、みんなの前で悪口をまくし立てた。アキは自分の友達であるGMTがけなされるのを聞きながらも、どこか嬉しかった。ユイが嫉妬しているからだ。ユイが他人を妬むことができるほど元気になってきた証拠だからだ。

ユイは、GMTよりも自分たちの「潮騒のメモリーズ」の方がよほどマシだと言うのだった。その言葉から、ユイがアイドル活動をやりたがっていることは明白だった。アキたちは、ユイに再結成しようと持ちかけた。しかしユイは「やりたいけど、やらない」などと曖昧なことを言うのだった。

曖昧ではあるが、ユイが再結成を熱望していることは明らかだった。「やれ」「やらない」の押し問答がしばらく続いた後、ユイは勢いで「やるよ!」と言ってしまった。

ユイはカウンターのしたからノートを取り出した。そこには、潮騒のメモリーズの再結成からお座敷列車イベント実施までの計画が事細かに記してあった。ユイはそのつもりでしっかりと準備を進めていたのだ。それをみんなに見せ、水口にはテレビ局に連絡を取ること、ヒロシ(小池徹平)には観光協会のHPで告知をするよう指示した。

ユイは、全く吹っ切れていなかったのに、物分かりのいい振りをしていただけであることを白状した。GMTを見ていたら自分に対してイライラしてきたのだという。彼女らと同い年なのに燻っている自分に腹が立ったのだという。

アキは、昔のユイが戻ってきて嬉しかった。こうして、潮騒のメモリーズが再始動した。

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NHK『あまちゃん』第145回

20日(金)のNHK『あさイチ』のゲストは能年玲奈であるのだが、当日は札幌市内で朝一で外せない用事があるため生で見ることができず、自宅のHDDレコーダーに録画しておくにしても2日後くらいまで見ることができないので歯ぎしりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第145回めの放送を見ましたよ。

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第25週「おらたち、いつでも夢を」

ユイ(橋本愛)と水口(松田龍平)が顔を合わせた。ふたりが会うのは1年半ぶりのことであり、ユイがアイドルを諦めてからは初めての再会だった。

水口はアキ(能年玲奈)とユイの「潮騒のメモリーズ」の再結成を目指していることを単刀直入に話した。ところがユイは、不機嫌にそれを断り、手に持っていた販売用のミサンガを水口に投げつけ、去って行った。アイドルになることを目指していた時、ユイは水口に世話になっており、今さら彼に合わせる顔がなかったのだ。その上、一度は諦めた夢を蒸し返されることに我慢がならないのだ。

アキはユイを追いかけ、ふたりで話をした。向かった先は北鉄の車両倉庫だった。ふたりが初めて出会ったのは北鉄の車内であったし、一緒にお座敷列車で歌ったり、喧嘩もしたなど、ふたりにとって思い出がいっぱいだった。一方で、大地震発生時に乗車していたユイにとっては、恐ろしい記憶の象徴でもあった。

ユイは、アキと友達で良かったと話した。ユイの表情や口調は明るく装っているものの、アキにはそれが却って重苦しく感じられた。ユイは、大地震発生前まではアキに嫉妬していたことを白状した。アキの出演するテレビやCDをほとんど見聞きしなかったという。それが、今ではアキのCDを聞けるようになったという。ユイが悟ったことは、嫉妬にはエネルギーが必要だということだというのだ。震災前にアキに嫉妬していたのは自分に元気があったからだ。今は、嫉妬する元気もないというのだ。
アキは口に出さなかったが、ユイに不甲斐なさと怒りを感じ始めていた。

スナック梨明日では、大人たちが北三陸やユイの今後を憂い、過去の楽しかった思い出に浸ってばかりだった。
ユイと別れてスナックに顔を出したアキは、ユイと同様、元気の無い大人たちを見て腹が立った。みんなの前でユイの張りあいのなさをまくし立てた。続いて、過去の思い出にこだわってばかりの大人たちを叱りつけた。町の復興を真剣にやってもらわなくては困ると怒鳴るのだった。

感情に駆られて怒鳴りながらも、アキは密かに気付いたことがあった。アキは過去にユイから「思い出作りに終始せず、真剣にやってほしい」と怒鳴られたことがある。知らず知らずのうちに自分とユイの立場が入れ替わり、自分がユイと同じことを言ったことにハッとするのだった。

ある日、GMTの喜屋武(蔵下穂波)から連絡が入った。宮古市で復興チャリティコンサートを終えた後、アキのことを思い出して北三陸まで足を伸ばしたのだという。GMTメンバー全員が北三陸にやって来た。駅舎ではファンに囲まれて大騒ぎになった。

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NHK『あまちゃん』第144回

ほぼ日の「青木俊直さんといっしょに、あまちゃんへ。: 『あまちゃん』のスタジオに行ってきました~」を読んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第144回めの放送を見ましたよ。

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第24週「おら、やっぱりこの海が好きだ!」

北三陸に帰省し海の浄化作業を手伝う中で、種市(福士蒼汰)は地元の現状に心を痛めた。無頼鮨で寿司職人の修行中の身であるが、東京へは戻りたくなくなってきた。しかも、本来ならお盆休みに帰省するはずだったのだが、テレビで東北の様子を見ているうちに我慢がならなくなり、お盆より前に無断で東京を去っていたのだった。

そんな種市を追って、無頼鮨の大将・梅頭(ピエール瀧)が北三陸へやって来た。梅頭に会った種市は、激しく叱責されると思い震え上がった。しかし、梅頭は優しかった。本人が何も言わなくても、梅頭には種市の気持ちが全てわかっていた。東京に戻らず、北三陸で頑張れと激励するのだった。それだけ伝えると、再びバイクにまたがり10時間かけて東京へ帰って行った。

震災復興ドキュメントへの出演を一度は断ったアキ(能年玲奈)であったが、結局引き受けることとした。ディレクター・池田(野間口徹)からはユイ(橋本愛)と共に出演することを打診されたが、アキは自分一人だけが出ることで承諾したのだ。

カメラの前のアキは、地震と津波により海の環境が変わって海女漁を自粛中であることを説明した。しかし、決して諦めず、復興を実現すると力強く語るのだった。その時ユイは、漁協でミサンガ作りに従事していた。華やかさのない裏方の作業なのだが、ユイは明るく楽しそうに取り組んでいた。華やかな表舞台と地味な裏方に分かれてしまったふたりだが、両者ともに明るく精一杯やれることをやっているのだ。

その頃、東京では水口(松田龍平)が会社を辞めたいと言って騒動になっていた。水口は鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の現場マネージャーの仕事をしていたが、面白みを感じなくなったのだという。水口は、アイドルの原石を発掘し、それを磨き上げて一人前のアイドルに育て上げる仕事をしたいと考えている。鈴鹿は既に大女優としの地位を獲得しており、そんな彼女を担当することにやり甲斐を感じないのだ。

正宗(尾美としのり)は水口を引きとめようとした。人生は長く、多少の寄り道も結構なことだと言うのだ。面白くない仕事であっても、それに身を任せていれば、新たな目標が見つかるかもしれないと説得した。

ところが、そんな正宗の意見に春子(小泉今日子)が真っ向から反対した。正宗の話は詭弁だと切り捨てるのだった。しかも春子は水口の真意を見抜いていた。水口は北三陸でアキとユイのお座敷列車イベントを再びやりたいのだ。

看破された水口は本音を語り始めた。ふたりのお座敷列車が水口にとっての原点なのだという。拙いものの一生懸命歌うふたりと、それを見つめる人々の屈託のない笑顔のことを水口は忘れることができないのだ。あれこそが理想のアイドル像であり、水口はその時の興奮を追い続けているという。同じことをGMTで実現しようとしたが、道半ばで挫折してしまった。今こそ、北鉄の復旧とともに、お座敷列車イベントを再開し、ひいては全国の鉄道に広げていきたいのだという。

春子は水口の好きにさせることにした。夏(宮本信子)の言葉を引用し「去るものは追わず」だと腹立ちまぎれに言い捨て、水口の辞職を承認した。

そうして水口は北三陸へ向かった。早速、アキの家を訪れ、夏にも挨拶をした。夏は「来る者は拒まず」と言って水口を受け入れるのだった。

そこへ偶然ユイがやって来た。水口とは1年半ぶりの再会だった。

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NHK『あまちゃん』第143回

今夜22時からNHK総合で『秋の夜長のあまちゃんライブ: 大友良英と仲間たち大音楽祭』が放送されることをお忘れなきようアナウンスする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第143回めの放送を見ましたよ。

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第24週「おら、やっぱりこの海が好きだ!」

袖が浜では、磯野(皆川猿時)や種市(福士蒼汰)が中心となって海中の瓦礫やヘドロの撤去作業が急ピッチで行われた。それと並行して、ウニの放流も行われた。袖が浜の再生は急ピッチで進められていた。

ある夜、アキ(能年玲奈)はスナック梨明日の営業を手伝った。店の客は少なかったが、そこには種市もいた。アキと種市をふたりきりにしてやろうと画策したユイは、下戸の大吉(杉本哲太)に大量のアルコールを飲ませて酔い潰し、ヒロシ(小池徹平)を連れて家に帰ってしまった。店に残った客は、琥珀磨きに熱中する勉(塩見三省)だけとなった。

そうしてアキと種市は、ふたりだけで話をする機会を得た。

種市は、久しぶりに海に潜って、北三陸の海の素晴らしさを再認識したと話した。そして、地元の人々がどんなに落ち込んでいるかと心配していたが、みんなが明るく笑っていることに驚いたという。みんなが笑っていられる理由は、中心にアキがいるからだと断定した。東京時代もそうだったが、アキの周りにはいつも人が集まり、楽しそうに笑うのだという。
アキとユイの違いもそこにあるという。ユイは、彼女の笑顔を見たくてみんなが集まる。一方のアキは、見ている側を笑顔にするのだ。それはまるで、太陽と月のようだという(はじめは勉が言った言葉)。太陽であるアキが、月であるユイを照らし、それぞれに独特の輝きがある。そしてその2つは最強の組み合わせだと言うのだった。

翌朝、アキはユイから首尾を聞かれた。しかし、アキが話をしただけだと報告すると、アキの消極的な態度に、ユイは呆れるとともに怒りだした。ユイによれば、女ざかりは短いのだから、もっと積極的に種市と付き合わなくてはならないと言うのだ。しかも、ユイはアイドルは諦めたけれど、「女」は諦めていないという。アキがうかうかしていると、自分が種市を奪うかもしれないと脅すのだった。

ユイと種市は以前に付き合っていたことがある。しかも、種市がユイに惚れていたのだ。種市が北三陸に帰ってきて、ユイと接近すると、ふたりが元の鞘に収まってしまうかもしれない。アキは戦慄するのだった。種市は瓦礫撤去作業が終わるまで残ることを決めたという。アキは嬉しい半面、ユイのことが気になって、種市を隔離したいと思った。種市に早く東京に帰れなどとめちゃくちゃなことを言うのだった。

そんな時、岩手こっちゃこいTVのディレクター・池田(野間口徹)が北三陸市を訪れた。彼は以前からユイとアキに注目していた人物であり、ユイが情報番組に出演するきっかけを作ったり、潮騒のメモリーズのお座敷列車を番組で取りあげたりしてきた。今回、復興ドキュメントの制作を企画しており『震災が変えた少女達の運命』というタイトルの下、アキやユイの取材をしたいのだという。池田は、アキからユイの出演を説得して欲しいと言う。ふたりの姿が放送されれば、全国から応援の声が届き、励まされるだろうと言うのだ。
しかし、アキは即座に取材を断った。アキが北三陸に帰ってきたのは、地元の復興のための自己犠牲の精神や全国の同情を誘うためではないというのだ。自分は海に潜りたいだけであり、そのために海の浄化をするという利己的な目的なのだという。海女カフェを再建するのも親しい人々の集いの場を作りたいだけであり、北三陸鉄道の復旧も自分の大好きな可愛らしい車両の走る姿をもう一度見たいだけなのだという。だから、全国からの応援はいらないというのだ。

それに、ドキュメンタリの企画書を見ると、アキだけが頑張っていて、アイドルの夢の破れたユイがスナックのママとなってくすぶっているように見える。ユイは表舞台に出ることを諦めたのではなく、辛い体験を乗り越えようと奮闘している最中だというのがアキの見立てだ。難しい時期のユイを無理に表舞台を立たせるようなことはしたくないというのがアキの意見だ。それでドキュメンタリ取材を断った。

その時、駅にいるユイから連絡が入った。全身黒のライダースーツに身を包んだ怪しい男が駅にいるという。どうやらアキの知り合いらしいというのだ。

それは無頼鮨の大将・梅頭(ピエール瀧)だった。

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