NHK『あさが来た』第5回

今日は山瀬まみの46回めのお誕生日なので、彼女のこと以外は極力考えたくない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第5回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

大坂の嫁ぎ先に挨拶に行き落胆して帰ってきたあさ(鈴木梨央)とはつ(守殿愛生)。その夜、ふたりは自分たちの不自由な身の上を悲観し、抱き合って号泣した。

しかし翌朝、あさが目を覚ますと隣にはつの姿はなかった。
はつは何事もなかったかのように朗らかに、朝早くから家事の手伝いをしているのだ。それがはつ本来の人柄とはいえ、昨夜の本音とは全くの別人であることを不思議に思った。

あさは、母・梨江(寺島しのぶ)とふたりっきりの機会を捉え、あらたまって自分たち姉妹のことを相談した。
家をもり立てるため親の決めた相手と結婚することの重要性は理解しているし、活気ある大坂の町もたいそう気に入ったと断った上で、それでも嫁に行きたくないと訴えた。自分の道は自分で決めたいという希望を伝えた。姉・はつも同じ気持ちでいることを確認したと主張した。

しかし、母・梨江は取り合わなかった。
梨江がはつと話したところ、はつは自分が泣いたのはなんでもないと言っていたというのだ。

不利だと悟ったあさは、許嫁・新次郎(玉木宏)のことを取り沙汰した。彼は挨拶もそこそこに中座した。それは、彼が自分のようなじゃじゃ馬を気に入っていない証拠に違いない。自分も結婚したくないし、相手も望んでいないのだから、誰も得をしない愚策であると主張した。

加えて、自分は嫁に行くのではなく、学問をやりたいという希望を伝えた。
母・梨江は、口調は優しかったが、考え方は父・忠興(升毅)と同じだった。女に学問は必要がなく、ただ嫁に行くことが努めだと諭した。梨江自身も嫁に来て、子どもたちが生まれたことを幸せだと思っている。そして、それは女にしかできない大事を成し遂げたことであると話した。
女が浅知恵で商売をやっても失敗するだけである。女には女の生き方があるのだと言い含めた。
あさは納得できなかった。

ある日、家からあさの姿が消えた。
探してみると、寺小屋で男の子に混じって読書を学んでいた。
家に帰るなり、あさは父・忠興に激しく叱られた。大きな商家の娘が寺子屋で学ぶなど家の恥だと嘆いた。

あさは口答えをした。
男子には許されている学問を、なぜ女子はしてはいけないのか。女だって学問を身に付けることで、何か良いことがあるはず。加えて、なぜ女は親の決めた相手と結婚しなければならないのか。女だって自分で考えて、進むべき道や生き方を決めたい、などと訴えた。
もちろん、あさの訴えは聞き入れられることはなかった。

腹を立てたあさは、押し入れに籠城した。

それと前後して、許嫁の新次郎が訪ねてきた。
先日の顔合わせを中座した非礼を詫びに来たのだ。

新次郎の来訪に気づかないあさは、嫁になど行きたくないと叫び声をあげていた。
自分と結婚したくないという訴えを漏れ聞いた新次郎は思わず苦笑いをした。

はつは一人で押し入れに入り、あさに優しく話した。
父・忠興は厳しいだけではなく、自分たち姉妹のことも優しく考えてくれているというのだ。その証拠に、大坂から帰ってきた日に、忠興はふたりの許嫁の欠点を嘆いていたのだという。あさの許嫁の新次郎は三味線にうつつを抜かすような遊び人である。はつの許嫁の惣兵衛(柄本佑)は貧乏ゆすりばかりしていて、大きな家の主の器ではない。
はつは、ちゃんと物事を見ている父を信用し、父の決めてくれた道を進むのだと話した。

その話を聞くと、あさも少し落ち着いてきた。はつに手を引かれて押入れから出てきた。
すると、そこに新次郎を見つけた。自分が新次郎と結婚したくないと喚いたことを全て聞かれたと悟った。恥ずかしくなって、再度押し入れに隠れた。

新次郎は押し入れの外から優しく語りかけた。
子供の頃から自分の結婚相手を決められないという気持ちはよく分かる。やめたかったら、やめてよい。全てはあさの好きにすればよいと話した。自分で考えて選んだ道を信じて進むのが最も良いと後押しした。

新次郎は、ふすまを少しだけ開けて、土産の算盤を差し出した。算盤は、ふたりが初めて会った時に、あさが楽器代わりにして遊んでいたものだ。
新次郎は、振ってみろと言った。その算盤はとてもいい音を鳴らした。

新次郎は、あさがよく考えた結果、自分と結婚することに決めたなら、その時は仲良くしようと言い残して帰って行った。
その時、あさの心のなかで何かが変わった。

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NHK『あさが来た』第4回

昨日は、とある女子から関西学院大学とスター・ウォーズのコラボグッズを送ってもらったり、某カープ女子から彼女が寄稿したカープ愛溢れるアホ記事を送ってもらったり、同僚女子ふたりに「ねぇねぇ、俺の髪薄くなってない?ねぇねぇ、本当のことを言ってよ!」としつこく迫って無難な返事を強要したり、某JKにブルセラという古物販売形態を教えるという社会人として後ろ指さされかねない行為に及んだり、会社帰りのコンビニでミニスカートにハイヒールのめちゃめちゃ足のかわいい女の子を見てすっかり目の保養ができたり、ためしてガッテン山瀬の足を見て寿命が3年延びたりと、とにかくゲスな一日だった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第4回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

大坂のあさ(鈴木梨央)の嫁ぎ先に引き続き、一同ははつ(守殿愛生)の嫁ぎ先へと挨拶に向かった。

はつの嫁ぎ先の眉山家も大きな両替商で、あさの嫁ぎ先である白岡家とはライバル関係にある。家勢は白岡家を凌ぐほどと思われた。

はつは挨拶口上を立派に述べた。幼いのに堂々とした態度で、器量も良いはつを見て、眉山家の面々は満足した。特に、ここでも行儀の良くないあさが引き立て役となって、はつの魅力は一層際立った。

ところが、はつの夫となる惣兵衛(柄本佑)は一風変わった男だった。
肌は青白く、目が細い。少しも口を開かず無表情なのに、ひっきりなしに全身が小刻みに揺れている。
あさが粗相をして、座敷の上で転んだ。その勢いで惣兵衛に衝突してしまったのだが、彼は手助けしようともせず、汚らしいものを避けるかのように体を逃がすだけだった。
はつは、まるで能面のような冷たい男だと思った。

その時、店の方が騒がしくなった。
対応に出た惣兵衛の後について、あさも様子を覗きに行った。するとそこにいたのは、町中で自分とぶつかって一悶着あった武士(ディーン・フジオカ)だった。その武士は薩摩藩士の五代だと名乗り、上海で購入した軍艦の代金を工面して欲しいと居丈高に依頼した。

その依頼に対して、惣兵衛は愛想よく対応したが、今は蔵に金がないため出直して欲しいと下手に出て答えつつも、取り付く島もなく追い返した。五代は町人ごときになめられたと腹を立てたが、どうすることもできず引き下がるしかなかった。
五代が去った後に惣兵衛がボヤいたところによると、本当は金はあったのだ。武士に金を貸すと返ってくるあてが無いので、方便を使って追い返したのだ。

そのやり取りを見ていて、あさは五代の正体を初めて知った。
一方の五代も、陰からあさが覗いていたことに気づいていた。そして、あさのことを裕福な商人の娘だと思い込むのだった。
その夜、五代は同じく薩摩藩士の大久保一蔵(後の大久保利通; 柏原収史)と居酒屋で飲みながら愚痴った。商人風情にコケにされたことに腹を立てているのだ。五代は大坂商人を憎く思った。彼はイギリスとの貿易を実現させようと暗躍しており、それが成れば大坂は凋落するはずである。一刻も早く実現させ、大坂に一泡吹かせてやろうと決意するのだった。

京に戻ったあさとはつは、布団を並べて寝ていた。
ふたりは今日一日の出来事を振り返った。

はつは、惣兵衛に対する正直な感想を話した。
惣兵衛は一度も笑わない陰気な男だし、あさが転んでも助けない冷たい人だと評した。自分がそのような男の妻になるのかと思うと、はつは悲しくてしょうがないのだった。

あさは、自分の許嫁の新次郎(玉木宏)もたいがいな男だと言って慰めようとした。新次郎は両家の顔合わせに遅刻してきたばかりか、一言だけ話すと三味線の稽古のために再び出かけてしまった。わざわざ京から大坂に出向いた自分たちへの態度としては、これ以上ない失礼なものだと言って、はつだけが恵まれていないわけではないと元気づけようとした。

その言葉が、ますますはつを悲しくさせた。ついにはつは泣き出してしまった。

はつは今の自分の気持ちを話した。
商家の娘が親の言いつけ通りに嫁に行くのは当然のことであり、そんなことは自分にとっては平気なことだと思っていた。しかし、今日の出来事を思い出すととても悲しいというのだ。絶対に大坂に嫁になど行きたくないと思う。しかし、自分にはそれに抗う力はないのだと言って、ますます深く泣くのだった。

あさは、はつの気持ちがよくわかった。そもそも自分がまったく同じ思いを抱いていたからだ。

あさは、はつの涙を見るのは初めてだった。よほどのことに、あさもつられて泣き出した。ふたりは抱き合っていつまでも泣いた。

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NHK『あさが来た』第3回

ディーン・フジオカのオフィシャルサイトを開くと派手に音が鳴るので気をつけろと注意を促す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

あさ(鈴木梨央)と姉・はつ(守殿愛生)は、父・忠興(升毅)に連れられて大坂へ向かった。ふたりには生まれた時から大坂の両替商へ嫁ぐことが決まっており、それぞれの嫁ぎ先へ挨拶をするためだ。ふたりにとっては初めての大坂への旅だった。

大坂の中之島に到着すると、働く町人たちで大賑わいであった。
上品でおしとやかな姉・はつは、その混雑に圧倒され目を回した。

一方のあさは、むしろその活気に心が湧きたった。見るもの全てが物珍しく、静止を振り切って勝手に走りだし、町の見物を始めた。

往来で、あさは見知らぬ武士(ディーン・フジオカ)と衝突し、その勢いで双方ともに転んでしまった。武士は何かに追われているような素振りで、謝りもせずに走り去ってしまった。あさは失礼なことだと思いつつも、再度町の賑わいに目を奪われ、すぐに気にならなくなった。

しばらくすると、武士が戻ってきた。「その娘を捕まえろ」と叫びながら、あさを追いかけてくる。あさはわけがわからなかったが、本能的に逃げ出した。おてんば娘のあさは逃げ足も早かった。混雑する町中を軽快に走り抜け、必死に追いかける武士を翻弄した。

しかし、不慣れな土地で道に迷ってしまい、とうとう行き止まりで逃げ道を失った。
武士は、あさの袖に手を入れ、そこに収まっていたピストルを取り上げた。さっきぶつかった時にあさの袖に紛れ込んでしまっていたのだ。

ピストルを初めて見るあさは、それが何かわからなかった。持ち前の好奇心で武士に質問した。
しかし、武士は「おなごと話している暇は無い」と答えるのみで、そそくさと立ち去ろうとした。

その無礼な態度にあさは腹を立てた。
人にぶつかって謝りもせず、その後に追いかけてきて、体をまさぐった挙句に、物を奪って無言で立ち去る。そんなことは日本男子のすることではないと叱りつけた。
あさの物怖じしない態度に、武士も感心した。自身の非礼を謝し、急いでいることをかいつまんで説明し、「グッバイ」と告げて立ち去った。

あさはそれ以上関わろうとはしなかったが、その武士の言葉が奇妙だったことを思い出していた。京では聞いたことのない方言を物珍しく思った。

そんな騒動がありながら、あさの嫁ぎ先の白岡家に到着した。
白岡家の人々は、あさとはつを見比べて、どちらが嫁いでくるのかと緊張した。どう見ても、おてんばのあさよりも、おしとやかなはつの方が望ましいからだ。

両家の顔合わせが始まった。
あさは決められた挨拶口上も満足に言えなかった。それで白岡家の人々はすっかり白けてしまった。

一方、白岡家にも問題があった。
あさの夫となるはずの新次郎(玉木宏)がその場にいないのである。
実は新次郎は次男であり、結婚後は分家として独立することになっている。それで家族も多少甘いところがあるし、本人も気楽に振舞っているのだ。

しばらく話をしていると、やっと新次郎が帰ってきた。
遅刻したことを悪びれるわけでもなく、裏で拾ったという猫を抱いてきて、真っ先に餌の算段を指示している。

あさたちが来ていることにやっと気づくと、ズカズカとあさの目の前にやって来た。笑顔でいきなり手を握り、馴れ馴れしく「あさちゃん」などと声をかけた。
あさはその無礼な振る舞いに虫唾が走った。

それだけをすると、新次郎は用事があると言って、また出て行ってしまった。

散々な顔合わせであった。

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NHK『あさが来た』第2回

昨日の午前中にツイッターでリツイートされてきた中で一番面白かったのは「どれだけ前世で徳を積んだら生まれながらの許婚が玉木宏になるんだ、いくら払えばいいんだ」というものだったけれど、午後になって福山雅治が結婚したという大ニュースが流れてきて、先の投稿者はミーハーっぽいし、さぞや悲嘆にくれているのではないかと心配している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第2回めの放送を見ましたよ。


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第1週『小さな許嫁』

あさ(鈴木梨央)は許嫁の白岡新次郎(玉木宏)と初めて会った。
しかし、忠興(升毅)から折檻されているところを見られてしまい、そのことを話題にされたせいで恥ずかしくなった。そして、デリカシーのない新次郎のことを嫌いになるのだった。

大阪への帰り道、新次郎の父・正吉(近藤正臣)はあさが嫁に来ることを心配した。あのようなじゃじゃ馬が嫁に来くると家の中がめちゃめちゃになるのではないかと思うからだ。夫となる新次郎がしっかり手綱を締めるよう注意した。
しかし、当の新次郎はどこ吹く風だった。あまり深刻にならず、自分にも扱いきれないだろうと笑いながらはぐらかすだけだった。

あさは、今日の粗相について父・忠興から再度叱られていた。商家の大切な道具である算盤を楽器のように振り回していたり、許嫁との対面中に勝手に部屋を飛び出したりしたからだ。大きな両替商である先方への嫁入りが破談になると、今井家の家運も大きく傾くのだ。

あさは口答えした。
自分も算盤を使って計算をしてみたいし、本も読んでみたい。男の子のようにまわしを締めて相撲を取ってみたい。なぜ女だからといって禁じられなくてはならないのかと訴えた。
しかし、父・忠興はつれなかった。女が優先して身に付けるべきは、夫や家族をもり立てる礼儀作法や芸事だと言うのだ。それすら満足にできないくせに、男のすることをやりたがるのは筋違いだと言って取り合わなかった。

そこへ、祖父の忠政(林与一)がやって来た。
彼はすでに隠居し、別なところで悠々自適な生活を送っている。たまに訪ねてきては、あさの良き遊び相手となっていた。忠政のあさに対する態度は特別で、過去には「あさが実は男だったということにして縁談を反故にし、むしろ嫁をとって今井家の家督を継がせよう」などと破茶目茶なことを言って家族を唖然とさせたこともある。

祖父・忠政は、忠興の前からあさを救い出し、一緒に木登りをした。木登りは禁じられていたが、忠政には誰も口出しはできないのだ。

ふたりきりになって、あさは自分の気持ちを話した。
新次郎と結婚するのは嫌だ。そもそも女がお中元やお歳暮のように、家から家へと贈り物のようにやり取りされること自体がおかしい。お家のためと言われても納得できないと訴えた。

聞き終わると、忠政はあさのことを褒めた。
普通の人は長いものに巻かれようとし、古いしきたりに盲目的に従ったりする。そういう生き方が一番楽だから。しかし、あさは違う。おかしいと思うことがあったら、立ち止まって考えている。そういう人間が世の中を変えていくのだと話した。そして、あさは誰かに叱られたり、後ろ指をさされたりしても、自分が良いと思ったことは自身を持ってやれと励ました。
あさは嬉しくなった。

それから約1年後。今井家の台所事情は少々苦しくなり始めていた。
幕末の混乱期で、幕府には金がなかった。幕府や武士たちは町の商家に頻繁に金を借りに来るようになった。それらの借金は返ってくる可能性はほとんどなかった。かといって、町民にはそれを断る術も無いのだ。事実上、無償で金を差し出しているのだ。
父・忠興は不景気な顔で「こんな時代は長くは続かない」とぼやいた。あさはその言葉を聞くともなしに聞いていた。

ある日、父・忠興は大阪の両替商を何件か回ると言い出した。
そのついでに、あさと姉・はつ(守殿愛生)も連れて行くと言うのだ。娘達の許嫁はいずれも大阪の両替商なので、挨拶に出向くと言う。

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NHK『あさが来た』第1回

「半年ぶりにおはようございます」とご挨拶申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『小さな許嫁』

明治維新の約20年前、幕末の京都。
京でも随一の商家の次女として、今井あさ(鈴木梨央)は生まれた。

あさはおてんばな少女だった。
空を飛びたいと思い、背中に大きな凧を背負って木から飛び降りた。その試みは当然失敗し、落下して傷だらけになった。捕まえた蛇を振り回しながら街を闊歩する。相撲をとれば男の子にも負けない。彼女のやんちゃぶりに、同年代の男の子たちは、あさの姿を見るや逃げていってしまう。

父・忠興(升毅)は、あさがやんちゃをするたびに、尻を叩いて折檻する。それでもあさは懲りることがなく、父や母・梨江(寺島しのぶ)の目を盗んでは行儀の悪いことを繰り返している。

大きな商家である今井家では、男の子が生まれれば跡継ぎとし、女子は大阪の両替商に嫁がせると代々決まっている。そのため、一家の長男である弟・久太郎(二宮輝生)には、父・忠興から直接読み書きや算盤が教えこまれていた。
一方、あさと姉・はつ(守殿愛生)には、花嫁修業が施された。礼儀作法や茶道、裁縫や琴など、女性としてのたしなみを叩きこまれた。姉・はつは親の期待通り、おしとやかな少女として育っていた。

しかし、あさは親の期待に反してばかりだった。彼女は女性らしい生き方に、大きな疑問を抱いていたのである。ことあるごとに、周囲の人になぜ女性らしくあらなければならないのかと質問するのだが、納得のいく回答は得られなかった。

あさは、生まれた時から親に決められた許嫁のあることも気に入らなかった。
大阪の大きな両替商・白岡家へ嫁ぐことが決められていたが、住み慣れた京都を離れたくなかったし、会ったことも無い男と結婚するのも嫌だった。しかし、彼女にはどうすることもできないのだ。

ある日、あさは父の目を盗んで、本を読んだり、算盤で遊んだりしていた。花嫁修業よりも、男子向けの教養の方に大きな興味があったからだ。
しかし、あさが一番面白いと思ったのは、算盤の出す音だった。降ってみるとシャカシャカと音がなって、琴よりも断然面白いと思った。興が乗って、算盤を振りながら、歌い踊るのだった。

その姿を父・忠興に見咎められてしまった。下品な踊りをしていたことに加え、商家の大切な道具である算盤をおもちゃにしたことに父は怒った。すぐにあさを捕まえて、尻を折檻した。

あさが算盤で踊るところから、父に尻を叩かれるところまでの一部始終を盗み見ている男がいた。
その男こそ、あさの許嫁である白岡新次郎(玉木宏)であった。その日、顔合わせのために、偶然大阪から来ていたのだ。

改めて、座敷での対面となった。初めて会う許嫁に対して、あさはどうしていいのかわからなかった。
すると新次郎は、先ほど叩かれた尻は無事かと声をかけた。尻のことを話題に出され、あさは自分が辱められたと思い、座敷を飛び出した。

あさは、新次郎のことが大嫌いになった。

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