『日本の憑きもの: 社会人類学的考察』(吉田禎吾)

 夏休みシーズンに当方が行った「夏の読書感想文大会」の自由図書部門(当方に「読みたい!」と思わせるような感想文を投稿する部門)に、steraiさんが『日本の憑きもの』という本でエントリーしてくれた。
 正直に言う。彼の読書感想文はとても興味深かった。@myuukoさん の『大奥』がなければ、この読書感想文が優秀賞でもおかしくなかった。そういう意味では、sterai さんはツイてなかった。

 もう一つ、正直に言う。彼の読書感想文はとても興味深かったが、対象となっている『日本の憑きもの』という本そのものにはあまり興味がひかれなかった。キツネ憑きだのイヌ憑きだの、なんだのかんだのというものは、僕は実際に目にしたことがない。非科学的な現象であろうし、真面目に相手にするようなものでもないと思ったからだ。
 しかし、「読まず嫌い」もどうかと思い、一度目を通してみようと思った。そして、一通り読み終えた。

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『大奥』(よしながふみ)を6巻まで読みました

 当blogで開催した夏の読書感想文大会において自由図書部門の最優秀賞を受賞したのは、 @myuuko さんが『大奥』(よしながふみ)について書いたものでした。

いくら男を集めたってたくさん子どもができるわけでないし、無駄じゃん。そんな読者の不満は、物語中で徐々に解消されていきます。うーん、これなら将軍職に女がいても仕方ないのかもしれない・・・、あっそうか、この場合には男を集めた大奥は確かに必要だな――

 この一節が、僕に最優秀賞の授与を決めさせました。
 男女が逆転した大奥の存在がどのように正当化されるのか。そのカラクリを知りたい一心で『大奥』を手に取りました。

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『微視的(ちまちま)お宝鑑定団』を読んだ

 僕の大マイブームは東海林さだおだ。

 僕はメディアマーカーというサイトで読書記録を付けている。
 そのサイトで、自分がどれだけ東海林さだおを読んでいるか調べてみたところ、今日までに24冊だった(2010年9月11日現在)。
 本格的に読み始めたのが昨年の10月なので、平均すれば月に2冊ずつのペースだ(記録を見ると2008年になぜか1冊読んでいるが、これは無視する)。
 これだけ読んでいるのにまだ飽きることはないし、まだ読んでない本もある。基本的に彼のエッセイしか読んでいない。しかし、漫画(たとえば、毎日新聞の『アサッテ君』など)まで含めて全部読もうと思ったら、その営みがいつ終わるのかよくわからない。

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『僕はどうやってバカになったか』を読んだ

 心太さんが『アルジャーノンに花束を』とあわせて紹介してくれた『僕はどうやってバカになったか』を読んでみました。

 主人公アントワーヌ・アラカンは25歳。生物学の学士号、アラム語の修士号、サム・ペキンパー映画論などをはじめとする多くの学位を持つ秀才である。彼の主治医に言わせれば「優秀で、知的で、教養があって、好奇心が旺盛で、ちょっと変わった存在、人なつっこくて、愉快で、少し散漫なところがあって、優柔不断、そしてやや心配症」な人物である。
 現在は、パリ第5大学で非常勤講師を行いながら慎ましく暮らしている。そして、知的労働者によくあるように、少々厭世的で鬱傾向がある。

 さて、博学な彼は、世界は必ず2つに分類することができるという、文化人類学的知見も披露してくれる。曰く、紅茶に砂糖を入れる人と入れない人、シャツをズボンから出して着る人と中に突っ込んで着る人、ザ・シンプソンズがいいと思う人とサウスパークの方が好きだという人、などなど。

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『アルジャーノンに花束を』を読みました

 @kaihiraishi さんわ『アルジャーノンに花束を』をYOまないと人せいをそんするといった。ぼくわそんをするのわいやだなーとおもたから一しょうけんめいYOんでみることにしました。

 しん太さんは、しゅ人公の名まえがわからないと言っていたので、僕がおしえてあげたいと思う。主人公の名前はチャーリイ・ゴードンです。ちえ遅れのチャーリイは頭がよくなりたいと思って、頭のよくなる手じゅつをうけました。世界初の手じゅつなので、成功するかどうかだれにもわかりませんでした。けれども、手じゅつは成功しました。

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2010夏 alm-ore 読書感想文大会 結果発表

 7月末に開催を宣言した「夏の読書感想文大会: 商品総額5千円」の審査結果を発表します。

 9月4日18時の締切りまでに37編の読書感想文が投稿されました。応募人数は8人でした。
 一覧は開催案内記事のtrackbackで見ることができます。
(本来は8月31日を締切りとしていましたが、数日締切りを延長しました。締切り直後に審査と結果発表をしようと思っていたのですが、ちょいと仕事が忙しくてそれどころではなく、どーせ審査しないのだからその間も受付け用ようと思い延長した次第。)

 大会ルールでは、3つの部門からそれぞれ1名ずつの優秀者を選出することになっていました。各部門は以下のとおりです。

  1. 自由図書部門: どんな本を選んでも結構です。あなたが読みたい本を読んで感想文を書いてください。評価基準は「うぉ、面白そう!読みたい」と僕が思えるかどうかです。
  2. 意見交換部門: この部門は、1年以内に僕が読んで印象深かった本が12冊がピックアップされています。他の人が同じ本を読んで、どんな感想を抱くのか知りたいと思っている本です。評価基準は「そうか、そういう受け止め方もあるのか」と僕が考えを深めることができるかどうかです。課題図書リストは後述します。
  3. 購入判断部門: この部門には、僕が買おうかどうしようか迷っている本が12冊集められています。応募された読書感想文を読んで判断を下そうと思っているものです。評価基準は「よし、買おう!」もしくは「買うのをやめよう。お金が節約できた」と思えるかどうかです。

 それでは、各部門の講評と優秀者を発表します。

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