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リアリズム

高校生のころ,同級生がよく野球のバッターのまねをしていた.
バットを振るたびに「カキーン」との擬音つきで.
10回バットを振れば,10回の「カキーン」.

俺「ねぇねぇ.プロ野球で打率王を取る選手だって,打率はせいぜい3割だよね?」
友人「そうだな」
俺「ということは,君がバッターごっこするときも,『カキーン』とヒット性のあたりになるのは,3割程度なのでは?あとは,空振りとか,見送りとかじゃないのか?」
友人「確かにその通りだ.」

以後,彼は,バッターごっこのときに「バスッ」(見送りで,ボールがキャッチャーミットに収まった音)とか,「ぶんっ」(空振りの音)とかを取り混ぜるようになった.

僕と友人は「これこそ,リアリズムだ」と悦に入った.

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