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祝婚歌

ほぼ日刊イトイ新聞の2005年11月29日付の「今日のダーリン」で吉野弘の「祝婚歌」という詩が紹介されていた。

さらに、この詩に関しては、吉野弘さんご自身が、「民謡のようなものだから」ということで、版権や使用料をフリーとしているという。

どんな詩なんだろうと思って、ぐぐって見ると、出てくるわ、出てくるわ。
さすが、フリー詩。

「祝婚歌」 吉野弘

ふたりが睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気づいてるほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだとうそぶいているほうがいい
ふたりのうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと気づいているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず

ゆったり
ゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい

そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
ふたりにはわかるものであってほしい

誰しも、何かしらジーンとくる一節が必ずあるのではないかと思いますが。
僕は冒頭の「ふたりが睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい」の一節にガツンとやられました。

その昔、ある人に
「僕が死んだら、『世界一の愚か者』と墓石に刻んでください」
というようなことを言ったことがあるような、ないような。

幸いにして僕はまだ生きてますが。

下から2番目のパラグラフにありますが、「健康で風に吹かれながら 生きている」って状態もいいですな。

そんなことを思いながら読みました。

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