本日、当方がNHK大阪 春のふれあい広場 BKワンダーランド(5月5日まで)に出かけた最大の理由は、連ドラ『ちりとてちん』で徒然亭小草若を演じた茂山宗彦の落語を見るため。
彼は京都の狂言師一家であり伝統芸能には長じているが、落語のプロと言うわけではない。しかし、『ちりとてちん』での落語家役がハマり役であったことや、NHKの関西ローカルバラエティ『ぐるっと関西おひるまえ』でパーソナリティを務めていて人気があることなどから、今回のイベントとなったようだ。
列には、徒然亭の紋(ヒグラシ)入りのTシャツを着た人がちらほら。紋の白い部分に(誰のものかはわからないが)出演者のものらしきサインを入れてもらっている人が少なからずいた。そのほか、ケータイに「ちりとてちん」の千社札を貼っている人とか、かなりのマニアが集まっていた様子。
本番で「どこから来ましたか」という質問に対して、新潟とか北海道とか、尋常なない返事が返ってきたり。
まぁ、かく言う当方も、普段出勤する時間よりも早くに家を出発して会場に向かったんだから、かなり尋常じゃないけれど。
イベントの方は、マクラ&落語で15分弱、後半25分はトークショー&質疑応答って感じで40分ほどで終了。
落語のマクラは、徒然亭の他の弟子たちの噂話(草々こと青木崇高が『おっぱいバレー』に出てるとか、草原こと桂吉弥がドラマのブームに便乗して自分のDVDを売りまくったとか、四草こと加藤虎ノ介はエアコンのCMで笑えるとか)に始まり、撮影が延びてしまい、食事に誘ってくれた師匠役の渡瀬恒彦を待たせて申し訳ないことをしたなんていう撮影秘話など。
で、その渡瀬恒彦を待たせた日の撮影ってのが、『ちりとてちん』7週 第42回だったそうだ。この話は僕も大好きな回。
それまで廃業同然だった弟子たち4人が集まり、3年ぶりに落語会を開催することになった。師匠は過去の遺恨があって、落語をやらないことを誓っている。また、師匠の実の息子でありながら、もっともデキの悪い小草若(今回、イベントに来ている茂山宗彦)は、父である師匠がが、母と落語を見捨てたことを恨んでいるというという設定。
ところが、落語会直前になって、小若草の父に対する恨みは誤解であることが判明する。本番では、父の十八番の「愛宕山」という難しい噺(もちろん、デキの悪い小草若には荷が重い)をするはずだったのだが、父である師匠から名前をもらったことを思い出し、”子供に名前をつける繋がり” ということで、「寿限無」を勝手にしゃべり始める。
しかも、これはその日の前座がすでに披露した話であるし、デキの悪い彼は「寿限無」しかできないと普段からバカにされている話である上に、ついには父のことを思って感極まり高座で泣き出してしまう。
ドラマの中では場がしらけてどーしようもなくなるのだが、視聴者にとっては、父子の和解を象徴するシーンであることが分かる。僕なんて、今思い出しても、ちょっとウルっと来てしまうくらい、いい話。
で、話がもどって、今日の落語イベント。
茂山宗彦の披露した演目が「ドラマの中の『寿限無』を完全再現」という、アクロバチックな技。
ドラマの中のマクラに始まり、最後には泣き出してしまうという芝居まで、見事に再現。また、「寿限無・・・」という例の長い名前を淀みなく言いきると小草若は得意顔になるというドラマの設定があるのだが、それもニンマリと決めてくれた。
正当な落語ではなかった(「寿限無」の話自体も省略されている)わけだけれど、ちりとてファンにとっては名場面の再現という一つの芸技を見せてもらえて、大変満足。素直に感心しました。
ちなみに、茂山宗彦が本番前の衣装の写真をアップしているわけだが、家に帰ってきてDVDと見比べたところ、ドラマの中のものと衣装もそろえてあった見たい。偉いね。
オマケとして面白かったのは、ドラマで「正当な古典落語を演じることに価値を置く先輩噺家」という役どころで、現在は茂山宗彦とともにバラエティーショーのパーソナリティをやっている落語家の桂よね吉が会場後方にいたこと。彼が、ドラマの役の口調で「古典落語をやりなさい」と即興で突っ込みを入れたのが、これまたファンの心をくすぐってよい感じだった。
これから、ちょっとちりとてDVDを復習することにする。
ちなみに、当方は総集編は見たことないけれど、件のシーンは絶対に総集編にも入ってると思うよ。
あと、今日のイベントの模様は、明日(5/5)の『ぐるっと関西おひるまえ』(NHK総合・関西圏 11:05-11:54)で取り上げられるそうです。
会場にいる当方がチラリとでも映ったら、爆笑してください。