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写メ売買

おはよう日本 2009年7月4日(土)さっき、NHKのニュース「おはよう日本」で取り上げられていたのだが、携帯電話で撮影した写真を売買するサイトがあるそうだ。
多くの場合、供給側は若い女性で、1枚数百円程度で売買されているそうだ。アルバイト感覚で自分の写真を提供する女性が少なくないという話だった。

報道のテーマは、写メ売買でトラブルが急増しているという内容だった。
購入した人が、被写体を脅迫するケースがあるという。写っている制服や場所などから、被写体を特定し、「学校にばらす」、「ネットで個人情報とともに公開する」などと脅し、過激で性的な写真の送付を強要するという。

番組での結論としては、「ネットは怖い、悪用されて当然だ」と被写体を暗に非難する一方で、脅迫する側にも「勝手に流布すると、少なくとも肖像権の侵害に当たる」と警告を発していた。
でも、全体の雰囲気としては、前者(自業自得、ざまぁ)に意見が偏っているように聞こえた、僕だけかもしれないが。


僕が初めて「インターネット」に出会ったのは、忘れもしない1994年で、学生が遊び半分で書いたヘンテコな絵(図は、当方の記憶に基づく再現)をデモで見せられた。
デモをしていた先生は「自分の表現したものを、手軽に世界に向けて発信できるのです」と説明していた(何気なくクリックしたところ、”腐ったみかん”がプロジェクタに大写しになってしまい、彼は気まずそうにしていたが。「・・・こんな絵でも、世界中の人に見えてしまうのです」)。

それまでの僕の人生では、自分で表現したものは、せいぜい身の回りの人に直接見せるのがせいぜいで、文章や絵画、音楽などを流通させるためには、プロ作家になって出版社にお願いしないといけないものなんだろうと思っていた。それでも、世界に向けて自分を表現できる人は、一流の中の一流(マイケル・ジャクソンとか)だけだと思っていた。
それが、くだらない絵を描いた学生の作品であっても、潜在的には世界中の人から見てもらえるというのは、すごく感動した。

当時は、ネット上での決済システムが整備されていなかったので、やり取りは基本的に無料だった。
その後、通販用にシステムが整備され、個人であってもネット・オークションなどで商品を売買できるようになった。駆け出しのアーチストは、自分の楽曲をネットで公開したりしはじめた。Youtube なんか見ていても、そういうのがいっぱいある。

でも、グラビア・モデルみたいな話は、やっぱり青少年向け雑誌が王道なんだろうな、と今まで思っていたのだが、写メ売買の話を聞いて、誰でもグラビア・モデルになれる時代になったんだと、妙に感動した。
被写体になる人が、自分をマネージメントとし、マーケティングする力を手に入れたんだなと思った。どういった衣装やポーズで写ればいいかを自分で決め、価格も決める権利を手に入れたんだ。今まではきっと、モデル事務所に所属して、会社が取ってきた仕事を淡々とこなすだけだったのに、自分で自分の仕事と価値を決めることができるんだ。
需要は無いだろうけれど、僕だって男性モデルとしてデビューできるんだ。
すげぇよ。

もちろん、番組で言われていたように、写真が悪用される恐れはあるけどさ。けれども、責められるのは、購入写真を流用する側じゃないか。提供側は恥じるところが無い。

でもまて、普通の有名人の写真だって悪用されてるぞ。タレント・オーディションに応募する女の子に「デビュー後は、写真が悪用されうるし、ゴシップが書き立てられるよ」と注意を促さないのはなぜだ?

芸能事務所なら法律専門家の協力が得られるけれど、個人事業だとそれが難しいという老婆心だろうか。
既得権益(個人事業に対する芸能事務所のシェア、ネットに対する旧メディアのシェア)保護のための恫喝だろうか。

John Lennon じゃないけれど、”Power to the people” と叫びたい朝。
写メ売買、大いに結構と思う。

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