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キャッシュレス生活: 保有現金3,550円

銀行のクレジットカード一体型キャッシュカードを紛失した。

昨日の朝、ATMを操作した時に取り忘れ、そのままマシンに回収されてしまったようだ。銀行のサポートセンターに連絡したのだけれど、銀行口座のある支店を経由しなければ返却できないらしい。僕の銀行口座は web 通帳型なので冊子の通帳はない。だから、口座から現金を引き出す方法は無い。


このようなことが起きるとは想定していなかったので、お金を複数の銀行口座に分散させるということもしていない。「1,000万円以上の預金は保証されないから、分散させるのは常識だ」とおっしゃる方もいるだろうが、残念なことに、そんな配慮をしなくても余裕で元本保証される資産しか持っていないので分散などしていない。一応、他の銀行口座も持っている。複数の人が「ネットバンキングで他の銀行口座に移して、そちらのキャッシュカードで引き出せばいい」とアドバイスしてくれた。確かにそれはいいアイディアだと思う。しかし、僕が持っているのは学生時代に使っていた北洋銀行と北海道銀行のキャッシュカードで、暗証番号もうろ覚えである。そんな口座に預金を移して、暗証番号を間違えてキャッシュカードがロックされたらとても悲惨なことである。ロック解除のためにはおそらく支店に出向かなければならないが、先に挙げた銀行はいずれも北海道の銀行だ。僕は京都に住み始めてから、これらの銀行の支店を見たことが無い。ロックを解除するために、飛行機に乗って北海道まで行けというのか?幸いなことに、キャッシュカードやクレジットカードがなくてもケータイのチケットレスサービスで航空券の発券・搭乗はできるが、なんてバカバカしい出費だろうか。

「いやいや、振込する前にキャッシュカードの暗証番号を打ち込んでみて、うまくいった口座に振り込めばいいのだ」とおっしゃる方もいよう。確かにそれでうまく行く。しかし、実は振込手数料が惜しいということもある。この不景気やらデフレやらの時代に、何が楽しくて105円だか315円だか525円だかの振込手数料を支払なければならないのだ。コンビニATMの利用手数料が惜しくて、最寄のサークルKサンクスではなく、わざわざちょっと遠いセブンイレブンまで出かけて引き出しているこの僕が。

それに、この際だから、なるべく現金を使わないで節約生活をするのもいいのではないか。だから、現金なしで行けるところまで行ってみる。そもそも僕は、普段から現金を使うことが少ない。普段からケータイ電話の電子マネーを使って生活しているので、現金がなくても日常生活にはあまり不自由しない。むしろ、電子マネーを使うと各種ポイントが貯まったりしてオイシイ。財布にだって、いつも数千円しか入っていない。中身が1000円代になったら、こまめに1万円だけ引き出すという生活パターンだ。

だから、キャッシュカードをなくした現在、財布の中に3,550円(および7ドル)しか所持していなくても、あまり気にしていない。
そして、こんな状況を少し楽しんでいる自分がいる。

【どうしてキャッシュカードを紛失したか】

カードを紛失するまでの過程を記憶に基づいて再構成してみる。

2010年4月7日朝。昨日は、夕方に会社の飲み会が予定されていた。

僕の財布の中には700円ほどしか入っていなかった。これではどう考えても飲み代に足りるはずが無い。出勤前に近所のコンビニATMで現金を引き出した。もちろん1万円だ。万札が1枚吐き出されてきた。

その時、ふと夜の飲み会のことが頭をよぎった。現地で会費を割り勘するのが職場の流儀だが、みんなが1万円札を出すものだから、釣りが足りなくなっていつも困る。事態緩和に協力するために、僕は千円札をいっぱい持っていこうと思った。目の前には、千円札を腹にいっぱい蓄えたATMもある。もちろん、ATM破りをして千円札をかっぱらうわけではないが。

ところが、このATMには両替機能がついていなかった。そこで思いついたのは、先程引き出した1万円札を入れて、1,000円だけ預け入れることだ。釣りとして千円札が9枚吐き出されるだろうと思ったのだ。例えば、先週学会費を郵便局のATMから振込んだ時は、機械に入れた現金とは別に「いくら振込むか?」と聞かれ、入力額との差額を返してくれた。

キャッシュカードを挿入し、タッチパネルで「お預け入れ」を押した。すぐに口があいたので1万円札を投入した。またすぐに蓋が閉まって、現金の計測が行われた。画面には「お預入金額 1万円 よろしいですか?」と書かれている。僕の予定では、ここで任意の金額に変更できるはずだった。しかし、どうやら入れた現金ちょうどしか預金できないようだ。釣りはもらえない。どうしても幹事を助けようと思ったら、ここで1万円を預金し、その後で再び9,000円だけを引き出すという方法もあった。しかし、なんだかそこまでやるのもバカらしい気がして、「お預入金額 1万円 よろしいですか?」の確認に対して、取消ボタンを押した。

すぐに機械の口の蓋が開いた。僕は大事な1万円を取り忘れないようにしっかりと財布にしまった。夜の飲み会では、やっぱり僕も含めて多くの人間が万札を出した。当然、千円札が不足した。幹事は店員に両替をお願いしていた。新大宮駅徒歩5分の居酒屋は、刺身盛り合わせが美味かった。

ちなみに、先のプロセスにおいて、預け入れキャンセルで1万円を回収した後、ちゃんとキャッシュカードを受け取ったかどうかは全く覚えていない。しかし、何かがあったとすれば、そこ以外に無い。

【銀行への連絡】

2010年4月8日 14時ころ。

社内事務の関係で、給与振込先の口座番号を知らせろと言われた。僕は web通帳型口座であるし、当然暗記などしていないから、キャッシュカードの印刷を見る他に確認方法が無い。「はいは~い♪」と機嫌良く財布を取り出し、キャッシュカードをホルダーから取り出そうとして手が止まった。いつもあるはずのキャッシュカードが無かった。

一瞬冷や汗をかいたが、冷静に記憶の糸をたぐり寄せ始めた。

昨夜の居酒屋。店員が僕のジャンバーを預かった。「貴重品はありませんか?」と聞かれた。そうだ、僕はジャンバーに財布とケータイを入れていた。あの店員が怪しい、抜き取ったに・・・などということはない。「はいはい、貴重品は自分で持ちますよ」と、財布とケータイは自分で管理していたのだ。

昨日の飲み会の前。ちょっと早く着きそうだったので、大和西大寺駅構内のショップを冷やかしていた。飲み会前だというのに、たい焼き(120円)とみたらし団子(105円)を買い食いした。それらを買う時に財布からカードが滑り落ちた・・・などということはない。僕はうっかり滑り落ちないように、毎回きちんとカードホルダーに挟み込んでいるし、今までにそれで失敗したことも無いからだ。

もしや、社内の人間が僕の財布からこっそり失敬した・・・などということはないだろう。キャッシュカードの他に、楽天クレジットカードだの、現金(3,000円)だの、天理スタミナラーメンの割引券(100円)だのが入っているのに、そちらは手付かずだったからだ。盗んでも足がつきにくいラーメン割引券などには一切手をつけず、暗証番号の必要なキャッシュカードだけを盗みとったというのは、まったく合理的ではないではないか。いくら専門知識ばかりで一般常識に乏しいと言われる研究所職員だからといって、そんなバカな盗み方はしないだろう。

それ以外で財布を触ったのは前日朝のATMだ。そうだ、あそこで取り忘れたに違いない。

* * *

まずは、昨日立ち寄ったATMのあるコンビニに電話をかけて、カードが落ちていなかったか聞いてみた。電話口の男性店員は、そのような落とし物は無かったと言う。他人のキャッシュカードを不正に取得する、よーわからんけれど何らかの罪に問われるだろうから、彼が嘘を言っているようにも思えない。自称・高信頼者の当方は、相手が信頼に値する人間かどうか見極めるのが上手いので(山岸,1998)、この見立てに一切の揺らぎがない。

そういえば、ATMで現金やカードを取り忘れると、マシンの中に取り込まれてしまうという話を聞いたことがある。その店員さんに、ATMでエラーのようなことは起きていなかったかと聞いてみた。しかし、彼が言うには、コンビニ・スタッフはATMにはノータッチであり、何も分からないと言う。いくらそのコンビニと同じ名称の銀行でも、販売員と銀行員は完全に独立のようだ。金融不正に関しては確かに安心だが、こういう時に融通が効かないのはちょっと腹立たしかった。彼にはなんの罪もないのだけれど。

彼の結論は「現場のATMのインターフォンから銀行に聞いてみて下さい」とのことだった。

* * *

僕の職場は、勤務時間がフレキシブルであり、確認に行こうと思えば簡単に行ける。けれども、職場を離れずに解決できるものなら、そうしたい。そこで、銀行のサポートセンターに電話することにした。

ここでややこしいのは、どの銀行に電話するか、だ。僕が置き忘れたと思われるATMはコンビニ系列の銀行だ。一方、僕のカードは旧財閥系の都市銀行だ。つまり、事態は複数の銀行にまたがっているのだ。どちらに電話するか迷ったが、結局自分のキャッシュカードを発行している旧財閥系都市銀行に連絡をした。

理由はいろいろだ。新興の銀行よりも、古い銀行の方がしっかりしているのではないかと思ったからだ。それに、コンビニ系銀行は普段ATMを使うだけで口座を持っていないが、旧財閥系にとって僕は立派な顧客だ。より親切に対応してくれるんじゃないかと期待した。それとは別に、万が一ATM以外に落としてしまったとするなら、カードの発行元に届けられているかもしれないと思った。場合によっては、カードの機能を止めてもらうなどの処理が必要になるかもしれないと思ったからだ。あと、ちょっぴり付け加えれば、新興のコンビニ系銀行はコスト削減のために人件費もケチッていて、ロクでもない行員しかいないかもしれないと思ったりもした。

* * *

さて、Webで取引銀行のサイトからキャッシュカード紛失用のフリーコールを見つけ、電話をかけた。大阪のコールセンターに接続され、対応オペレータは初老風の関西訛りの男性だった。古い銀行だから対応はしっかりしていると期待したのだけれど、この人はちょっとのんびりした感じで、僕の期待は裏切られた。ただ単に「紛失した」ということであれば簡単に話が付くようであったが、「他行のATMに飲み込まれたと思うのですが、どういう対応策があるかプランを教えてください」とお願いしたところ、しどろもどろになった。軽い押し問答の挙句、「お客様の口座がある支店にお繋ぎします」と電話を転送された。

切り替わった先は、若い声のハキハキした女性だった。先程の男性行員よりも格段に感じが良かった。僕の方も、キャッシュカードが無くなって多少慌てていたのだけれど、彼女の落ち着いた口調につられて、僕も平常心に戻ってきた。とても良かった。ただし、第一声が「口座番号をお願いします」と来たもんだ。だから、口座番号の印刷されているカードをなくしたんだってば!

彼女が言うには、他行のATMに飲み込まれたとしたら先方から連絡があるまで何もできないし、今のところ連絡も来ていないとの事だった。同様に、遺失物としての届出もない。銀行に転送されずに、警察に行くこともあるかもしれない。などと言うことであった。

さらに彼女は「何らかのトラブルで悪用されかねないので、キャッシュカードの機能を止めますか?」と聞いてくる。ていうか、彼女は基本的にその方向に誘導したいようだった。しかし、聞けば、今機能を止めてしまうと、仮に1分後にカードが見つかったとしても解除に郵送なら1週間、もしくは支店に出向く必要があるという。さらに大変なことに、僕の場合はクレジットカード機能がついているので、これを一度止めてしまうとカードの再発行という事態になり、2週間くらい使えなくなってしまうそうだ。

まずは現場のATMでカードが取り返せるかもしれないと思い、その場は何もしないでもらうことにした。担当の行員に現地に行ってみる旨を話し、一度電話を切った。ちなみに、通話記録を見ると15分位かかっていた。

* * *

職場の勤務時間が自由采配なのをいい事に、大急ぎで現場のコンビニATMへ向かった。一目散にマシンのインターフォンを取り上げ、耳に当てた。「ぷーーーーーー」と鳴り続ける、聞き慣れない発信音が15秒くらい続いたところでオペレーターに繋がった。こちらも女性で、これまでに話した3人(コンビニ店員、旧財閥行員♂、旧財閥行員♀)の中で一番シックな口調だった。彼女になら任せられると、ちょっと大きな気持になった。

ATMにキャッシュカードを飲まれたかもしれないと告げると、どんな操作をしたか述べるよう言われた。
僕「機能の朝9時半頃、ここでお金を降ろしました」
オ「いくら降ろしましたか?」
僕「1万円です。明細書も持っています」
オ「お調べしますので、お待ちください」
普段見栄を張って行きている僕が、コンビニのレジの横で「1万円おろした」と言うのはちょっと恥ずかしかった。見栄を張って10万円!とか言おうかと思ったけれど、問題解決をややこしくするだろうと思って正直に答えた。口座残高を聞かれなかったのは幸いだ。それこそ、見栄を張って行きている僕に取っては死活問題な額しか入っていない。

オ「引き出した現金は受け取りましたか?」
僕「はい。それは確かに財布に入れました。間違いありません」
オ「確認できました。しかし、そのATMはお引き出しの後には明細書が出ます。それを取って初めて、キャッシュカードが排出されます。それを受け取って、初めて現金が出ます。ですから、お客様がお金を受け取ったというならば、その前に必ずキャッシュカードを受け取っているはずです」
僕「(むぐぅ・・・)」
オ「操作はそれだけでしたね?」
僕「・・・!!!そういえば、預け入れの操作をしました。で、やっぱりやめて、お金を持って帰りました」(ここで初めて預け入れキャンセルを思い出した)
オ「確認できました。お客様の口座番号をお知らせいただけますか?」

なんども書くように、僕の口座番号はキャッシュカードに書かれているきりだ。そしてそのカードは手元にない。だから分からないと答えた。その代わり、支店名と口座名義をスラスラと答えた。

しかし、それを境に、彼女の態度がちょっと変わったように思えた。

オ「確認できました。お客様のキャッシュカードは郵送処理に入っておりますので、この場でお返しすることはできません。1週間以内にお取引支店へ郵送されますので、そちらでお受け取りください」
との宣告。

僕の思い込みでしかないのだが、ここで口座番号を言えたらすぐに返してくれたんじゃないかと、思ったり思わなかったり。実は後にして思えば、その場でケータイからモバイルバンキングにログインすれば口座番号は確認できたのだ。なんだか運命の選択を誤ってしまったような気がして、ガッカリしながらお礼を言って通話を終えた。たぶん、5分くらいのやりとりだったように思う。

* * *

コンビニ銀行とのやりとりを終え、再度旧財閥系の僕のメインバンクに電話をかけた。また、ぼんやりとした男性行員が出て、のれんに軽く腕押しのような押し問答の挙句、支店に転送してもらった。コンビニATMでのやりとりを説明し、キャッシュカードが転送されてきたらすぐに連絡をくれるようにお願いをした。重ねて、カードの全機能(キャッシュカード&クレジットカード)を止めるか聞かれたけれど、それは辞退した。クレジットカードの再発行に2週間かかるのは骨だし、何よりもクレジットカードが止まるとケータイの電子マネー(iD & Edy)が一切使えなくなる可能性がある。これらは僕のクレジットカードと結びつけられているのだ。これまで止まったら、完全に僕は一文無し同然になる。

どこかで誰かに不正取得&不正使用されるリスクはもちろんあるが、僕は「ほとんどの人は基本的に善良で親切である」という質問項目に7(強くそう思う)とつけるくらい、自称、一般的信頼(山岸, 1998)の高い人間なので、そんな目には遭わないだろうと信じることにした。

そして電話を切ったら、なんだかんだで10分くらい通話していた。電話口の女性も処理にあまり慣れていないようで、しきりに別の人と相談していた。保留にしないものだから、なんとなく電話の向こうのやりとりが聞こえてきた。場合によっては顧客に聞かれては困る内容もあるだろうに、少し迂闊ではないかと思った。結局、新興のコンビニ銀行のオペレータの対応が一番優れていたように思う。

そして全ての連絡を終えた現在、関係各行が迅速に処理をすすめ、早く僕の手元にキャッシュカードが戻ってくることを祈るばかりである。

【救援物資】

ところで、これが先週の木曜日に発生した事件でなかったことが不幸中の幸いだ。あの日だったら「今年のウソは冴えないね」と言われて、まったく相手にされないところだった。

幸い、1週間ずれたおかげで本当の話だと信じていただけたようで、早くも援助物資をいただいた。ありがたいことです。

ていうか、かき氷の幟とリスの人形が送り返されてきた。これは This is shit 3:50 の小道具っつーか、ホワイトデーの物質的贈り物として某人妻にプレゼントしたヤツじゃねーか。栗まんじゅうとブランデーという飲食物はしっかり消費して、こういうガラクタだけ送り返しやがって!

この野郎、コメとビールといかなごのくぎ煮(って初めてだ)をありがとう。

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