僕も博士の端くれとして、ショッカーに脅迫されて世界征服に協力させられることになった。
いや、そういう夢を見ただけだけど。
妻も娘もいない僕が何でもって脅迫されたのか、夢のなかでは説明されていなかったので不明だ。それでも、一応、岩山を繰り抜いて作った秘密基地に連れていかれて、暗い部屋で脅されながら仕事をすることになった。
社会心理学が専門の僕に与えられたテーマは
「人々が恐怖する覆面の検討」
であった。しょぼい仕事だが、自分の命が惜しいので一生懸命従事した。
まず、「覆面恐怖尺度」を作ることになった。現行の覆面を被験者に提示して、「恐ろしいと思う」「逃げ出したくなる」「危険を感じる」「命令されたら従ってしまう」「素手で倒せると思う(逆転項目)」などの30項目を、5段階リッカート尺度(1:全くそう思わない、2:そう思わない、3:どちらともいえない、4:そう思う、5:強くそう思う)で測定。それらを因子分析して、3因子が抽出された。
どんな因子が抽出されたのか、一番重要なところについては、見た夢を忘れてしまった。申し訳ない。
作成された「覆面恐怖尺度」を利用し、実験を行った。いくつかの覆面デザイン案について、覆面恐怖尺度で評価してもらうというものだ。たしか、5種類くらいの覆面案があって、それらを被験者間要因として提示した。被験者は、ショッカーの職員30名。
まぁ、やりゃあ何らかの数値が出るのは当たり前なので、その結果をショッカーの幹部に報告した。
そしたら、
「ショッカー職員を対象にしたデータじゃん?一般の人がどう思うかは、この結果からは何も言えないよねぇ」
とダメ出しされた。
そこで目が覚めた。
いろいろ悲しかった。