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禁煙3年

 2007年10月29日22時半頃、僕はタバコをやめた。ちょうど3年が経過した。

 その間、一部の例外を除いて完全に禁煙している。
 一部の例外というのは、他人のタバコの副流煙と、情熱ホルモンで暖められたホルモンからしたたる脂が七輪の炭に落ちて煙が上がるのを吸い込んでむせることと、趣味で始めた見仏の折に堂内で焚かれた線香の煙を吸引することである。それらは不可抗力であり、仕方がない。
 とにもかくにも、本人の意思によってタバコをやめている。

 今月(2010年10月)よりタバコが値上がりした。3年前、僕が愛用していたキャスター・マイルドはたしか270円だったと思う。それが、今では410円で売られている
 当時に比べて1.5倍の価格だ。デフレだなんだと言われているのに、タバコの世界だけは別のようだ。もっとも、値上がりの理由は税の値上がりであり、「税金を高くすることで需要を減らし、個人の消費量を減らし、ひいては肺がん等のタバコによる健康障害を事前に防ごう」というありがたいパターナリズムらしいのだが。

 僕の周囲でも、今月初頭に禁煙を始めたとか、消費量を減らしたという話がチラホラと聞こえた。値上がりから1ヶ月、彼らは禁煙・節煙を継続できているのだろうか。
 僕は、他人に禁煙を強く勧めるつもりはこれっぽっちもない。吸おうが吸わまいが本人の自由だと思うから、クドクドと偉そうに「やめるべきだ」と説得するつもりはまったくない。

 ただし、たまに人から「どうやってタバコやめたの?」と聞かれることはある。その時、決まって以下の2つを話す。


 ひとつは、アレン・カーの『禁煙セラピー』を読んだということである。
 はじめは、「俺は賢いから、こんな本に騙されるわけがない。こんな本などではタバコが辞められるはずがない」とバカにしながら読んだ。ところが、ミイラ取りがミイラになって、読み終える頃にはタバコを吸う気が完全になくなっていた。
 心理学用語で言えば「認知療法」に類する手法で書かれた本であり、なかなかよく書かれている。タバコをやめたいと思っている人は一度読んでみるとよい。

 もうひとつは、禁煙を趣味にして楽しんだことだ。
 自分の禁煙する様子を、客観的に眺めて趣味のように楽しんだ。よく、「趣味は人間観察です」なんてことをいう人がいるが、その人間観察の対象を自分自身に向けた。ちょっとナルシストな当方は、それが楽しかった。その様子はblogにまとめたりした。Blog ネタとしても助かったわけである。
 禁煙する前は、「禁断症状で苦しむかもしれない」、「禁煙すると太るらしい」という2点が恐怖だった。そして同時に、そんなことが本当に起きるのかどうか自分の体で確かめてみたいという好奇心が湧いた。毎日、どんな禁断症状が出るのか、自分の体重がどう変化するのか、それを観察するのが楽しかった。

 ちなみに、禁煙1週間くらいは微熱が出たり、集中力が著しく低下したりした。その様子が自分自身でおかしかった。そして、それは思ったよりもひどいものではなかった。
 体重も確かにちょっと増えたように思う。しかし、かえって貫禄がついて感じで、体系については自他共に評価が高い。

 禁煙3年目にして、今やってみたいこと。
 それは、あの禁煙開始1週間をもう一回体験したいということ。楽しい1週間だった。

 しかし、禁煙を開始するためには、もう一回喫煙しなくてはならないので、現在の禁煙記録が途絶えることになる。
 激しいジレンマである。

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