Tifferet et al. (2012) によれば、ギターを持っている男性は若い女性にモテるらしい。
彼女らは、Facebookに2つのアカウントを作り、写真以外のプロフィールは全て同じにした。2つのプロフィール写真はほぼ同じなのだが、一方にだけギターを持たせた。それぞれのアカウントから「やぁ。君の写真、いいね」というコメントとともに、見ず知らずの女性50人ずつ(平均年齢24歳のイスラエル人で、恋人が居ないと設定している者)に友だち申請を送りつけた。そして、女性からポジティブな返事が得られた数を比較した。
その結果、ギターを持ってない方は10%の女性から良い返事がもらえただけだったのに、ギターを持っている方は28%の女性から良い返事がもらえたそうだ。
素晴らしい。ギターを持っているだけで、通常の2.8倍近くもモテるとは。彼女らの実験で使われたギターは黒だったが、赤いギターにすれば通常の3倍モテるのも夢ではない。
Maestro Les Paul Standard という15,000円くらいの入門モデルだけど。もちろん、本当はGibsonの本物の Les Paul が欲しかったんだけれど、そっちは価格が1桁違うので諦めた。一応、Maestro は Gibson の傘下であり、お墨付きだしということで妥協した。
#以前は Epiphone Casino の安いモデル(それでも今回のギターの4本分くらい)を持っていたんだけれど、惜しいことに3年前の引っ越しの時に捨ててしまった・・・。
さぁ、これで俺もモテモテだ。
いわゆる「音ゲー」と似た作りで、画面に流れてくるマークに合わせて音を鳴らすようになっている。通常の「音ゲー」はゲームのコントローラーや楽器を模した専用コントローラーのボタンを押す仕組みになっているけれど、Rocksmith2014では本物のギターを接続して音を鳴らすわけである。
そもそもエレキギターの仕組みは弦を弾いた音を電気信号に変換してアンプとスピーカーから音を出すというものだが、その電気信号をゲーム機に入力することで正しい音を鳴らしているかどうか判定される。Rocksmith2014を使用するときには、内臓のチューナーで音を合わせせないと正しく判定されない。単音だけではなく、和音もそれなりに認識されている。
そんなわけで、ちょっと小洒落た「音ゲー」なわけだけれども、これが単なるゲームではないのはギターの練習に特化した機能があることだ。
基本的には既存の有名曲(Rolling Stones の “Paint it black”だとか、布袋寅泰の『バンビーナ』だとか。収録曲はここに掲載されている)のギター用カラオケが用意されていてそれに合わせて弾くのだけれど、はじめは少ない音(コードのベース音だけとか)を鳴らすだけで良いようになっている。ひたすら「ボーン、ボーン、ボーン」とかやらされる。
それを上手くできるようになると、音が増えていって原曲に近いアレンジになってくる。「ピロピロピロピロ ギュイーン ギュイーン」てな感じになるわけです。
そして、うまく弾けない箇所があると、再生スピードを落として同じフレーズを何度も練習させられる。うまく出来てくると、スピードが自動的に早くなったり、音が増えたりするわけです。
さらに、初心者向けのチュートリアルも充実している。
インストラクターの実演する映像が流れ、それと同じように演奏するという専用のモードがある。ここでも上手にやれればより難しいフレーズに進むし、失敗するとゆっくりと反復練習させられる。
以前、教則本で勉強したので、ベント(ネック上の弦を指で曲げて音を変化させるやつ)とかパワーコード(2本の弦だけで弾ける簡単な和音、でありながら、ちょ~ロックっぽい雰囲気が出るやつ)とかの知識自体は僕も有していた。しかし、教則本では音がでないので自分のやり方が正しいのかどうかずーっと分からず終いだった。
ところが、このソフトではちゃんと音を認識しているので、正しくできているかどうか判定してくれる。
おかげで、僕はベントが全く出来ていないことがわかった。指で弦を曲げるなど誰でも出来ると思っていたのだけれど、持ち上げる具合で音程が変わるわけであり、僕は正しい音の出し方がわかっていなかった。これは教則本では絶対に理解できないことだった。
もう一つおまけに、まじめにベントをやるとどれだけ指が痛くなるかということも今回初めてわかった。教則本での独学時代は、指が痛くならない程度にほんのちょっと移動させていただけだったのだが、それでは全然足りなかったのだ。本気で弦を曲げると本気で痛い。ギタリストが苦悶の表情でベントしている理由のわかったことが今回の大きな収穫だった。
その他、Rocksmith2014にはアンプやエフェクターの擬似機能が付いており、原曲に近い音色を自動的に鳴らしてくれる。そのおかげで、自分がすごくギターが巧くなったような気がして気持ちいい。これは病み付きになる。
ところで、今回ギターに取り組んでいて痛切に感じたことは
「薬指がもっと長ければ、ずいぶんギターも弾きやすいだろうに」
ということ。
そう、懸命な読者ならピンと来ただろう。テストステロン(男性ホルモン)の影響が大きい人は、薬指が長くなる傾向にあるのだ。特に、人差し指と薬指の長さの比に関する研究は多数行われており、たとえば薬指が相対的に長い男性は精子の数も多いなんて話もある(Manning et al., 1998)。
男らしい奴はきっとギターも得意なんだろうなぁなんて思いながら、ヘタレな当方は悔しく思っている次第でございます。
ギターキッズなら誰でも簡単に弾ける “Smoke on the water”(Deep Purple) すらまだたどたどしい当方です。
精進します。モテたいです。
【引用文献】
Sigal Tifferet, Ofir Gaziel, and Yoav Baram. (2012) Guitar increases male facebook attractiveness: Preliminary support for the sexual selection theory of music. Letters on Evolutionary Behavioral Science, 3(1).
J. T. Manning, D. Scutt, J. Wilson, and D I Lewis-Jones. (1998) The ratio of 2nd to 4th digit length: a predictor of sperm numbers and concentrations of testosterone, luteinizing hormone and oestrogen. Human Reproduction, 13(11), 3000-3004.