先日,理系高学歴未婚地味女性と,公園の東屋でボーっと花畑を眺めながら取り留めのない話をする機会があった.
休日はなにをして過ごすか,という質問をしたところ,どうも要領を得ない返事しか返ってこなかった.つーか,まるで「山口さんちのツトム君」みたいだし.
♪映画を見るかと聞いても 買い物するかと聞いても
いつも返事はおなじ~
う~ん,別にぃ
しつこく聞いたところ,やっと「一日中,本を読んでいることが多い」と聞きだすことができた.
じゃあ,どんな本を読むのか?と聞くと「うーん,いろいろ」とはっきりしない.
最近一番面白かった本とか,好きな作家とかいるの?と聞いても「恥ずかしくて言えない」と頑なだし.
「僕,銀色夏生とか読んでるよ.別に恥ずかしいことないし」
と先にちょっぴりボールを投げてみたところ,やっと
「山本文緒かな.でも,すごくドロドロした話ばっかりだから,木公クンが読んでも面白くないと思うよ」
と打ち明けてくれた.
んなもん,僕が面白いと思うかどうかなんて,僕が読んでみないことにはわからないじゃん
これを手に取ったのは特に深い理由はなく,GEOの書棚ではこの1冊しか発見できなかったから.
しかし,これが,モロHIT!
おもしれぇじゃん.
12編収録されているけれど,僕的にひとつもハズレなし.
嫌がる女の子から,無理に聞き出した甲斐があるってもんよ.
ある意味,何人か敵を作ることはわかっているけれど,以下の部分に「おお!激しく同意!」とひざをポンとたたいた.
本当に好きな人とは,セックスなんかできない.
・・・(中略)・・・
愛している人と,こんなことができるものか.どんな真面目な話も,その時の馬鹿面をお互いが思い出してしまったら実も蓋もなくなる.
(山本文緒「まくらともだち」)
このお話は,不倫のお話で,保守的な人間である僕的にはがっかりなお話なんだけれど,引用部だけは,妙にツボにはまったなぁ.