2006年4月23日23:32に、誰かが僕のケータイに電話をかけたらしい。
あいにく、僕の自宅はFOMAの電波がうまく届かないので、電話を受けることができなかった。
Docomoの留守電サービスに転送され、1秒だけ録音されていた。
「ふぅ・・・」
と、消え入りそうなため息が、しかも、女の子の声で吹き込まれていた。
こんな深夜に、女の子の、色っぽく、そして意味深なため息。
気にならないわけがない。
FOMAでは、留守電にメッセージが残ると、発信者の番号がメールで通知されるので確認し、かけなおした。
かけなおしたのが、ちょうど23:58ころ。
「あぁ、あと2分だな」
とか、思ったり。
相手が電話に出る。
さっきの留守電のため息とは違い、声は落ち着いていて、どことなく明るさを含んでいるようだった。
で、開口一番
「電話かけなおしてくれて、良かった。木公さんの声がどうしても聞きたかったんです」
ときたもんだ。
俺も、隅に置けないじゃん。
彼女から、彼女自身がつらい立場に立たされたことを聞いた。
僕から、寅年の男にロクな人間がいない(例外: 松井秀喜)ことを説明する。
2人で、最近結婚したらしい、共通の知人女性の話をする。
そんなこんなで、30分ほどで話が収束に向かう。
イタチの最後っ屁よろしく、
「ところで、僕にもおめでたいことがあるんだよ。日付が変わったから、今日が誕生日なんだ。『おめでとう』と言え」
と、強要した。
言ってもらった。
電話を切ると、別な人(♀)から、誕生日をお祝いするメールが届いてた。
悲しい話と嬉しいことのあった夜。
つくづく、「禍福は糾える縄の如し」だ。