陣内孝則監督、森山未來主演の映画「スマイル -聖夜の奇跡-」(2007)を見た。
当方の好物であるマジックスパイスのシーンがあって、同店のオーナー夫妻らが映っていると聞いたからだ。
確かに、映画開始7分目くらいにマジスパが登場。画面真ん中で帽子を被った黒づくめの男がマスター・下村泰山で、同じテーブルにいるのが奥さんだ。この直前には札幌店の外観が映され、駐車場に黄色いフェラーリが停まっているのも確認できた。
ていうか、事前にほとんど予習せずにDVDを見始めた当方。
アイスホッケー・ネタであることに軽く驚いたのだが、それよりもなによりも、当方の故郷であるところの北海道苫小牧市がロケ地になっていることが画面から目瞭然であって、そこに度肝を抜かれた。
開始2:20 でいきなり、これだもん。紅白ストライプに塗り分けられた王子製紙の工場の煙突は、苫小牧のシンボル(画面左上)。
ただ、ここ10年で苫小牧に滞在したのは延べ30日にも満たない当方なので、このスケート場の建物が何なのかはよー知らんけど。
一番懐かしかったのは、同じく王子製紙苫小牧工場とJR室蘭本線に挟まれた道路。
この道は信号がないので、チャリンコで駅前の繁華街に出かけるのに最適なルートだったんだよね(信号がないから、自動車もビュンビュン走っていて怖いけど)。今でもあるのかどうか知らんけど、この位置から線路の反対側を見ると王子製紙の社宅があって、ネピアのディッシュペーパーの箱と同じ色に塗ってあったんだよね(ネピアは王子製紙のブランド)。
さらに、苫小牧市営バスまで登場して感激もひとしお(映画では、架空の都市名がバスの横に書かれているけど)。赤とクリーム色の車体がチョー懐かしい。
映画の中では登場人物がバスの後方に座るんだけれど、そこらへんは苫小牧工業高校とか駒大苫小牧高校(こっちは、甲子園で優勝したことで有名)とかの生徒の指定席なんだよね。僕らのような、弱っちい高校の生徒が座っていると、ヤキが入れられるという噂があって、僕らはいつもコソコソと前の方に固まって乗車していた。そんなわけで、登場人物が後ろの方に座るのを見ると、ちょっとドキドキしてきたり。
ちなみに、苫小牧市営バスの運行案内システムを昭和後期に最初に作ったのが、札幌のソフトウェア会社BUGであったということは、過去にはよく知られた話。同社が設立されて、最初に請け負った大きな仕事が苫小牧市営交通のシステムだったそうだ。その後、社長が未成年の少女とのいかがわしい交際でスキャンダルになってからはそっちの方が有名になっちゃって、苫小牧との関係は忘れ去られちゃったけど。ていうか、21世紀に入ってからは、BUGの話はあまり聞こえてこないけど。
主人公(森山未來)は、タップダンサーを目指すも故障により挫折した青年。北海道に帰ってきて、長い付き合いの女性(加藤ローサ)と結婚し、人生をやり直そうとする。しかし、彼女の父親に反対され、父親が所有する弱小・小学生アイスホッケーチームの監督となって、チームを全道大会で優勝させることができれば結婚を許してもらえることになった。主人公はアイスホッケー経験はゼロだが、見よう見まねでチームを率いていく。
チームのメンバーも訳ありの子供たちばかりで、特にチームのみんなが憧れている女の子は不治の病で余命が短い。結婚が目的であった主人公だが、薄幸の少女に勝利をプレゼントしたいという子供たちの願いと思いが一致し、団結して強敵に立ち向かっていく。
なんだか、ハリウッドで若かりし頃のトム・ハンクスとかが主演してそうなストーリーだよなぁ、なんて思ったり。
そんなわけで、当方のノスタルジーはふんだんに刺激されたけれど、映画としてはあまり見所もなく、できすぎた話でちょっとしらけた。
テレビで放送されたら、ビール飲みながら見る分にはOK。