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随心院: 美女・小野小町にあやかったり、憧れたり

日本における絶世の美女の一人と言えば、小野小町。
その小野小町の邸宅の跡地だと伝えられているのが、京都市の随心院だ。

境内には、小野小町の代表作(古今集、小倉百人一首に収録)の歌碑も建てられている。

花の色は 移りにけりな いたづらに
我が身世にふる ながめせしまに

解釈は
「桜の花の色は、はかなくあせてしまったことだなあ。長雨が降り続く間に。同じように、私の容姿も空しく衰えてしまった。もの思いにふけっている間に。」
だそうだ。自分の容姿の衰えを、散りゆく花(桜か梅かは、意見が分かれるらしい。ちなみに、随心院には小町にちなんだ梅園がある)にたとえて嘆いている歌だ。技巧的には、長雨と眺め(「ながめ」)、降ると経る(「ふる」)という2対の掛詞を使っている点が感傷ポイントらしい。
#以上、吉海直人・監修『一冊でわかる百人一首』(p.36)より。


自分が衰えていくことを嘆くなんて、どんだけ美人だったのよ?と突っ込みたくなるところだが、彼女を口説くために99夜通い詰めて、ついには雪の中で死んでしまった深草少将の逸話もあることなので、そりゃもう美人だったのだろう。

そんなわけで、女子度を上げるべく日々精進を怠らない女性読者にとっては、小野小町にあやかれるものならあやかりたいというのが、本音だろう。
そんな、女性読者の声なき声が当方に届いたので、小野小町が使っていたと伝えられる「小町化粧井戸」っつーのがあったので、写真に収めてきた。
女子度を上げたい女性読者の皆様は、この写真を朝晩の洗顔後に拝むといいかもしれない(責任はとれんけど)。

深さ2m弱の縦穴が残っているだけだが、今でもそこには水が溜まっていて、意外なことに澄んでいた。雨水が溜まったという感じではないので、どこからか流れてきているものと考えられる。
実際に飲んだり、手や顔を洗っても大丈夫かどうかは、案内板もなかったし、試しもしなかったのでよくわからない。
枯葉がプカプカ浮いていたのでちょっとアレだが、美容のために何とか湖の泥を塗ったり、植物のペーストを何らかの薬品と混ぜたものを塗ったりする人がいるようだから、それに比べれば天然素材な感じで、アレルギーとかがなさそうな気が・・・ちょっとだけした。
#まぁ、これ以上は語るまい。

さて、そんな感じで、女性読者ばかり優遇しては、野郎連中がヘソを曲げるかもしれないから、お前らモテない男どものためにも、ちょっとばかしネタを集めてきた。

そのためには、まず「深草少将の百夜通い」の話から始めなければならない。
熱心に言いよってくる深草少将に対して、小町は「私のもとに百夜通い続けたら、百夜目にお会いしましょう」と告げたそうだ。その日から少将は熱心に小町の邸宅を訪れたのだが、99夜目にあと一歩のところで少将は、雪と病のために斃れてしまったそうだ。
意地悪な小町にちょっとムカつくところだが、深草少将の一途でひたむきな姿に、ロマンチストな男性諸君は涙ぐんでしまうところだろう。しかも、あと一夜というところまで来て死んでしまうなんて!

男性読者よ、深草少将を見習って、恋のためなら自らの命すらかける意気込みを持とうではないか。

ところで、小町は、百夜通いの間、榧(カヤ)の実を糸に通して日数を数えていたそうだ。
少将の死後、彼を不憫に思った小町は榧の実99個を庭に植えたという言い伝えがある。現在では全てなくなってしまったが、以前には99本の榧の木が境内にあったと伝えられている。ちょっとムカつく小町だけれど、意外といいところもあったようだ。

さらに、随心院の中には、当時の榧の実と伝えられるものが残されている。糸に通してカウントした形跡として、穴の空けられた実がそのまま残っている(下の写真の3番が見やすい)。

あれ?実は庭に埋めたんじゃないの?なんで、それが残ってるの?
なんてつっこむヤツは、ロマンチスト失格だ。童貞からやり直すべきだ!

そんなわけで、寺に収蔵されている小町の榧の実を写真に撮ってきた。
そして、99個あるかどうか検証してみた。

10個足りない・・・。
まぁ、なんつーか、平安時代はおよそ1000年前のことだし、100年に1個しかなくならなかったと考えれば、そのぉ、保存状態はいいほうじゃね?
源氏物語だって、たくさん写本されたはずなのに、全巻揃っているセットはまれらしいし、それに比べりゃ、良いってことで。

男性読者諸君、10個くらいでガタガタ言うような小さい人間は、小野小町はもちろん、源氏物語に出てくる絶世のブス・末摘花のような女性にすら相手にされない可能性があるぞ。もっと心を大きく持とう。そして、モテ道を邁進するのだ!

そんな感じで、自分を盛り上げながら、随心院裏手にある「小町の文塚」ってところを見に行った。
事前知識ナシだったので、「小町は六歌仙の一人だから、それにあやって文章が上手くなったりするのかな。るんるん」なんて暢気な気分で向かったのだが。

現場の説明を見ると、小町が受け取った(そして振った)ラブレターを集めて埋めた塚らしい。
埋めるなよ、燃やして焼き芋でも作れよ。
げっそり。

随心院
住所: 京都市山科区小野御霊町35
TEL:075-571-0025 / FAX:075-572-3690
E-Mail:info@zuishinin.or.jp
拝観料: 400円
駐車場: 未調査(今回、醍醐寺に停めて、15分ほど歩いて向かった)


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