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『バガージマヌパナス』 池上永一

バガージマヌパナス人生、初沖縄。
道産子である当方にとっては、国内で一番遠い地方であったわけで、これまでものすごく縁遠く思っていたわけだが。

実際来てみて、やっぱり自分のアイデンティティや文化的背景とはまったく異質だと思った。
地名の看板やコンビニ店員のネームプレートの漢字が全然読めないし、彼らの言葉が理解できないことがまれではないし、民家や公共施設の区別なくシーサーが飾られているのにビックリするし、ギターケースを抱えている人は一人も見かけないのに三線をスーパーのビニール袋に無造作に入れて歩いてくるおじさんとすれ違うし、ラーメン屋はほとんどないのに沖縄そばはあちこちで売ってるし。

とはいえ、ネガティブな印象を抱いているわけではないが。
ここまで、自分のバックボーンと異なる文化に浸かってみると、それはそれで小気味良い。


某懇親会で、地元の大学に勤める先生に沖縄文化についてしつこいくらいに質問を繰り返したり。

最近の当方は仏ブームにあるということで、彼に沖縄の宗教についても質問してみた。
彼自身、あまり宗教に興味がないとのことなので、詳しい話までは聞けなかったけれど、基本的には古来のシャーマニズム信仰が強いとの話だった。
エピソードもいくつか聞かせてもらったのだが、一番驚いたのは「知人がある日神託を受けて、シャーマンになっちゃった」とかなんとかいう話。
そういうのって、神道と仏教が微妙に交じり合った文化圏で生活していた当方にとってはビックリなお話なわけで。京都の由緒ある神社ですら巫女さんがバイトだったりすることもあるのに、沖縄では神託をうけちゃんだ、と。

前置きが長くなったが、その先生から話を聞く前に、ちょっと仲良くなった地元の可愛い女の子が文庫本を読んでいたので、ちょっと下心を出しつつ、「なに読んでるの?」と聞いてみた。
すると、彼女がかわいらしく手に持って見せてくれた(冒頭の写真; 微妙に彼女の指付き)のが、池上永一『バガージマヌパナス』。その時は内容を詳しく聞きもせず、「へぇ~」なんて言って適当に話は切り上げたのだが、なんとなく気になって同書の内容を調べてみると、沖縄出身の作者による小説で、ある日神託を受けてシャーマンになる少女の物語らしい。

その女の子の読んでいた本と、飲み屋で地元の先生に聞いた話との間に妙な接点が生まれ、かつその可愛いかった女の子といつか再会したときに話題のきっかけとなるよう、同書を読もうと決心。
しかし、沖縄の本屋(県庁前駅直結のデーパートの本屋)に行ったら在庫がなかった。にゃんたること!

しかたないので、通販で買った。
ゆえにまだ読んでないし、沖縄を去った後に読むのかと思うと、ちょっと残念ではある。

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