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中宮寺: 弥勒菩薩はセーラームーン型の国宝2号

奈良県斑鳩町にある中宮寺を訪問してきた。
本堂の伽藍は1968年に作られたもので、古めかしい荘厳さはない。しかし、生垣と堀をめぐし、前後左右に均整の取れた柱や壁、大きくせり出した屋根は勇壮な感じを与える。普段、寺を見学しても建物にほとんど興味を示さない当方が、思わず見とれるくらいだから、その美しさに共感していただければと思う。

9月末だが、今日も20度台後半の気温があり、少々バテ気味になりながら、本堂にあがる。北壁以外の扉が全て開かれていて、本堂の中に涼しい風が吹き抜ける。真っ青な空の中に、アクセントのように配置される白い雲も清涼感を与えてくれる。

唯一扉のついていない北壁側には、本尊が奉られている。


正式な名称は「如意輪観世音菩薩半跏像」である。如意輪観世音菩薩とは、人々に財産をもたらしてくれる菩薩だそうだ。
一般に如意輪観世音菩薩は、財を司る宝珠などを持つのが特徴だと言われている。しかし、ここの菩薩像は何も装飾具を有していない。

むしろ、「弥勒菩薩」の像ではないかというのが一般的な見方だ。
実際、先日見仏してきた広隆寺の弥勒菩薩とほぼそっくりなのだ。

広隆寺(京都) 中宮寺(奈良)
国宝1号 国宝2号
椎名林檎(ナースキャップ) セーラームーン(シニヨン)

そして、僕は勝手に広隆寺を「ナースキャップ」、中宮寺を「シニヨン」と区別している。だって、頭の形状がそんな感じだし。

また、広隆寺の弥勒菩薩が国宝1号なら、中宮寺のものは国宝2号だそうだ。当時の国宝指定いいんの人たちは、よっぽど弥勒菩薩半跏思惟像が好きだったと想像できる。

実際、この2体は体躯のプロポーションも良いし、ポーズも美しいし、微笑している表情もいいし(スフィンクス、モナリザと並んで、「世界の3つの微笑像」に数えられるらしい)、見ていると心が清潔になるような気がするし、その選定に納得ではあるが。

ちなみに、僕は2大弥勒菩薩を1週間とあけずに両方見たわけだが、中宮寺のものの方がお気に入りだ。頭のシニヨンや光背の曲線が優美だし、黒光りするボディも体躯が締まって見えてカッコイイし、表情もより謎めいた微笑をたたえていると思うから。

中宮寺は、そもそもは法隆寺と対になる巨大寺院だったらしい。西の法隆寺が僧寺(♂)で、すぐ東となりに尼寺(♀)として建立されたそうだ。しかし、中宮寺の方は規模を縮小することとなり、ついには戦国時代に火災遭う。その時に、急場をしのぐために法隆寺の境内に避難したのだが、結局そのままとなってしまう。そのため、現在は法隆寺の境内にあり、「夢殿」と呼ばれる建物のすぐ隣にある。
今日も、夢殿への参拝客は少なくなかったが、中宮寺まで足を延ばす人はとても少なかった。みなさんも、法隆寺に出かける予定があったら、中宮寺も忘れずに見学しましょう。
#ちなみに、今日の僕は中宮寺だけに参拝し、法隆寺は一切スルーするという荒業を使った。

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