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京阪奈そばツアー(3) 大和西大寺駅 二条庵

数週間前、奈良近郊情報を調べていて、「近鉄・大和西大寺駅の立ち食いそばは関西一美味い」と言いきっているblog記事を見つけた。

立ち食いうどん・そば 二条庵(大阪のグルメブログ)

あらゆるところの立ち食いのうどんやそばを食べてみましたが、ここ二条庵は別格ですね。
(中略)
ずばり、立ち食いのうどんそばについて、私は関西ではこの近鉄大和西大寺駅の二条庵が一番美味しいと思います。推薦します。
これはもう明らかにだしの味が他のそれとは違いますね。

大和西大寺駅は乗換その他で頻繁に足を運ぶが、立ち食いそばの西軍大将がまさかこんなところに雌伏しているとは知らなかった。あんまり繁盛しているようにも見えなかったし。
そんなわけで、実際に食べてみようということになった。


店構えは小ぎれいで、清潔感がある。
店の前に掲示されているポスター、看板も小ざっぱりしており、一生懸命営業している様子がわかる。
むしろ、その営業姿勢がものすごく客に媚びているような気がする。「本当にこんなところで美味しいそばを出してるの?美味しいんだったらこんな姑息なことしなくても、客は集まるんじゃないの?」などと思ってしまう。

食券販売機で天ぷらそば(300円)を購入し、店内へ。
本当はえび天ぷらを食べたかったのだが、ラインナップにはなかった。天ぷらの内容は食券機からは判断できなかった。しかし、他の店で食べたえび天はいずれも400円以上したので、価格から考えると、えびではなさそうだ。

天ぷらは、小エビが少々入っているのみであとは衣の塊。天かすそば(関東風にいえば、たぬき)で、天かすがバラけてない状態だと思えば、まぁこんなものかも。
汁を一口すすって、繊細で優しい味のする汁だと思った。

正直、僕の舌はそれほど肥えていないので、この店が関西立ち食いそば界の総大将に値するかどうか僕には判断できなかった。しかし、これが社食だったら週に3回以上食べても平気な味だと思った。

細かい店のサービスとしては、水(当然セルフサービス)のほかに、ポットに入った温かい番茶もあった(もちろんセルフサービス)こと。晩酌セットでお酒も飲めるみたいだから、今度ゆっくりと再訪してもいいと思った。

あと、鉄オタのステレオタイプみたいな青年が僕の後から入ってきた。彼は立ち食いそば客のお手本のような人だった。

食券を買ってから入店するのは当然として、食券を出すときに「こんばんわ!」と気さくにあいさつをした。それから自主的に注文内容を大声で口に出した。食券を見りゃわかることなのに。
厨房には複数の店員がいる。通常なら、食券を見る係の人が確認し、厨房全体にオーダーを伝える。それによって、厨房が一糸乱れぬ調理を始めるのだ。それを彼は、自ら宣言することで、ある意味厨房の情報伝達の手間を一つ省き、それどころか、彼が厨房を掌握したと言っても過言ではなかった。スゲぇやつもいるもんだ。

注文を待つ間も時間を無駄にしないよう、水を汲みに行き、自分の座席の前に薬味類が全てそろっているかチェック。醤油がなかったらしく、彼はよそのテーブルから醤油をとってきて自分の前に並べた。彼の注文を意識して聞いていなかったので、彼の注文品には本当に醤油が必要だったのかどうか僕にはわからないが、小さなミスも許すまいとする彼の完璧主義は見ならうべきだと思った。

身につける衣類も、垢ぬけないジャンバーで、髪型も平凡。まさしく、東海林さだおが描くイラスト人物のようだ。
注文品が届いた。そばかうどんのようだ(きっと、醤油は使わない・・・)。彼は、どんぶりを手に持つことを潔しとせず、カウンターに置いたまま、自分の背を丸めて麺をすすっている。

まさしく「偉いぞ!立ち食いそば」(東海林さだお)の表紙のイラストそのままのポーズでそばを食っている。僕には、彼に後光がさして見えた。
当方も精進したい。

営業時間 7:00 – 22:00(平日)、7:00 – 21:00(土日祝)。休業日不詳。

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