いや、僕は受験する方じゃなくて、出題&採点・評価する立場だけれど。
前の試験の時、学部事務室で
「採点した答案用紙にコメントを付けて学生に返却したいのですが」
と相談した。こう見えて、少しだけ教育に熱意を持っている当方なのだ。
答案を見直して、学生が復習をしてくれればよいと思ったのだ。
すると、事務員は難色を示した。
そういうシステムが確立していないそうだ。確かに、200人以上の受講生が、列をなして受け取りにやってきたら、名前の確認=>該当答案の検索=>返却と、かなりの手間であることは想像できる。他の通常業務だってあろう。
しかし、学生サービスのために何らかの方法をとってくれてもよさそうなものなのに。
ご丁寧に事務謹製「期末試験過去問集」なんてものを製本して配るよりも、よっぽどマシな教育的配慮だと思うがなぁ。
その時、偶然他の先生がそばにいた。僕とは初対面だ。
彼も答案の返却には反対だった。その理由は
「答案を返すと、学生からクレームが殺到して、アナタの手間が増えますよ。トラブルのタネにもなりますよ」
とのこと。
大学教員も人の子で、小市民で、ツブしのあまり効かない職業なので、無用なトラブルは避けて安穏と生きていきたいという気持ちはわかる。同情も共感もする。
しかし、教育よりも保身を優先する教員に習う学生にはもっと同情した。こっちまで悲しくなって、泣きそうになった。
最悪な奴だと思った。
しかし、それよりももっとダメな人間は
「うわぁ、それはヤダなぁ。俺も答案を返却するのはやめよう」
と、答案返却プランを反故にしてしまった俺自身だ。
半年たったのに、いまだに思い出しては歯ぎしりしながら反省することがある。
週明けの試験では、答案返却に向けてはたらきかけようと思う。非常勤講師の分際だけど。