週明けに期末試験

いや、僕は受験する方じゃなくて、出題&採点・評価する立場だけれど。

前の試験の時、学部事務室で
「採点した答案用紙にコメントを付けて学生に返却したいのですが」
と相談した。こう見えて、少しだけ教育に熱意を持っている当方なのだ。
答案を見直して、学生が復習をしてくれればよいと思ったのだ。


すると、事務員は難色を示した。
そういうシステムが確立していないそうだ。確かに、200人以上の受講生が、列をなして受け取りにやってきたら、名前の確認=>該当答案の検索=>返却と、かなりの手間であることは想像できる。他の通常業務だってあろう。
しかし、学生サービスのために何らかの方法をとってくれてもよさそうなものなのに。
ご丁寧に事務謹製「期末試験過去問集」なんてものを製本して配るよりも、よっぽどマシな教育的配慮だと思うがなぁ。

その時、偶然他の先生がそばにいた。僕とは初対面だ。
彼も答案の返却には反対だった。その理由は
「答案を返すと、学生からクレームが殺到して、アナタの手間が増えますよ。トラブルのタネにもなりますよ」
とのこと。
大学教員も人の子で、小市民で、ツブしのあまり効かない職業なので、無用なトラブルは避けて安穏と生きていきたいという気持ちはわかる。同情も共感もする。
しかし、教育よりも保身を優先する教員に習う学生にはもっと同情した。こっちまで悲しくなって、泣きそうになった。
最悪な奴だと思った。

しかし、それよりももっとダメな人間は
「うわぁ、それはヤダなぁ。俺も答案を返却するのはやめよう」
と、答案返却プランを反故にしてしまった俺自身だ。
半年たったのに、いまだに思い出しては歯ぎしりしながら反省することがある。

週明けの試験では、答案返却に向けてはたらきかけようと思う。非常勤講師の分際だけど。

コメント (15)

  1. 大彦

    答案用紙を返却するのはとてもよいアイディアです。学生は常にフィードバックを欲しがっています。レポートを書かせっぱなしにする教員もいるけど、そういうのは最悪。フィードバックなしに学習は成立しないから。教員側も「適当な採点はできない」というプレッシャーになって一石二鳥。

  2. 木公

    大彦くんは実際に返却してる?
    返却してるとするなら、どういうふうにやってるか参考までに教えてください。

    今さら「僕はやってない」とか言いにくいだろ、ザマアミロ。
    返事を無視すると、他の人から「あ、この人口だけで本当は返却してないんだ」と思われるという、対人地雷。;-p

    ・・・いや、君のことを疑ってるわけじゃないけどね。:)
    この記事を書いたときの、想定コメンターの一人だったから。

  3. m2nr

    メールで返してる。電子的に受け取っているので。
    授業中のやつは次回の授業で返してる。
    人数少なきゃSCANSNAPすればいいんじゃね?
    200人だとつらいか。

  4. 木公

    事例報告ありがとうございます。

    電子メールで返却というのは、一つの手ではありますね。学籍番号がアドレスになっているから、機械的に処理できそうです。
    ただ、おっしゃる通り人数がなぁ・・・。

  5. 大彦

    試験にしているやつはほぼ完全な客観テストなので (半分が選択問題)、返却していません。試験に使った問題は全て「学習支援センター」というところで手に入るようにしていて、学生はそれを入手して、教科書とかノートで正解を確認することができます (多分ほとんどの学生はしないけど)。

    自分の考えを書くような課題は全てレポートにしています。レポート課題はMoodleで電子的に提出させていて、このシステムを使ってフィードバックを返しています。丁寧な添削が必要なものはWordファイルに直接コメントをつけてMoodleから返却します。小さなレポート類、発表に対するフィードバックはMoodleの評価をするところのコメント欄に僕からのコメントをつけて点数と一緒に閲覧可能な状態にしています。

  6. 木公

    なるほど。大彦くん & m2nr氏の事例を聞く限り、電子的なやり方に以降するのが一つの解決策なんですね。
    学部事務の処理をスキップすることができるので、彼らが難色を示すという、僕が遭遇した状況も回避できるわけだ。

    来期、何かうまくできないか考えてみよう。

  7. bmb

    Moodleが使えないので原始的なやり方として、Excelにコメント一覧を書いて公開する。学籍番号でないunique IDを与えて、「それを見て自分宛のコメントを探せ」と。どのコメントが誰に当てられたものか分からないようにしておく。

    あと講義も含め、論文指導も、文書は全部、オンラインストレージを使ってやりとり。論文指導は個人指導が前提なので、学生がオフィスに来たら、目の前でファイルを開き、一緒に話しながら添削したり、実験材料を作ったり。

    >自分の考えを書くような課題は全てレポートにしています。

    じゃ、代英彦山は、ブログに載せているリアクションペーパーも、Moodleを使って提出させてます?

  8. 木公

    各個人にIDを配布するのをどうやるかという問題があるなぁ。少なくとも、週明けの僕の試験までには準備が整いそうにないし。

    ・・・ていうか、期末試験の受験には学生証持参が義務付けられているのに、それを忘れてくる者が10%ほどはいるような状況で、unique ID を所持し続ける学生がどれくらいいようか。

    そして、bmbさんも出来うる限り電子化して指導を行っていること、参考になります。

  9. bmb

    正確に言えば、私の手書き文字なんて本人ですら読めないのだから、電子化せざるを得ないのです。

  10. 大彦

    > じゃ、代英彦山は、ブログに載せているリアクションペーパーも、Moodleを使って提出させてます?

    あ、これは大教室の授業でやっているものなので (それに、Moodleは現時点では心理学専攻の学生しか登録されていないので)、出席カードに書かせたものを僕がブログに載せるというやり方です。本当はこれも電子化したいですね。

    学生全員にiPadを持たせるようにすれば授業中にMoodleにアクセスさせることも簡単ですね。

  11. bmb

    >授業中にMoodleにアクセスさせる

    リアクションや授業の感想をオンラインで収集する方法は、いくらでも思いつくんですけど、授業に来ているかどうか確実にチェックする方法が(思い浮かば)ないんですよね。出席なんてしなくても、毎回立派なリアクションペーパーを書く学生を高く評価しても良いなら話は別だけど。

  12. 木公

    そういう学生さんを高く評価してはいけない理由って何なんですか?

  13. 大彦

    > 出席なんてしなくても、毎回立派なリアクションペーパーを書く学生を高く評価しても良いなら話は別だけど。

    それは全然問題ないですよね? 僕はリアクションペイパーの提出を出席としていて、内容では評価していないです (3行未満は欠席扱いにするけど)。200人くらいの授業で、毎回全部点数を付けるのはさすがにたいへんですね。ブログにフィードバックを与えるだけで精一杯です。

    電子式に提出させると提出数が減るので、点数はつけやすくなるでしょうけれど、僕が提出させている目的は、全ての学生の反応 (理解度とか、授業の進め方に関する感想とか) を集めたいというものなので、回収率が高くないとだめなんです。

  14. bmb

    今は、出席を「とるな」と上からお達しが来ているし、「うちの学生は毎回リアクションペーパーとると機嫌悪くなるからやめた方が良いよ」というアドバイスがあるので、楽なんですが。

    >そういう学生さんを高く評価してはいけない理由って何なんですか?

    え。今の学生は、そうするとずるいと言って怒り出すって聞いたけど違うんですか?

  15. 木公

    そういう話は聞いたことはありませんが、あり得そうな気もするなぁ。

    「試験が全然できませんでした。けれども、授業は毎回出席して、話もちゃんと聞いていたので単位を下さい」
    と頼みに来た学生に対して、森毅(元京大の数学の教授)が
    「話をちゃんと聞いていたのにあの問題が解けなかったとすると、ますます見込みがない。だから単位は与えない」
    と言ったとか、言わなかったとか。

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