僕の予算は「1キロ 100円」だ。
「1キロ 100円」と聞いて、みなさんは何を想像するだろうか。
日々、スーパーでお買い得品を抜け目なく探している人なら、豚肉、鶏肉などのグラム単価を思いつくかもしれない。しかし、あれは「グラム xx円」と言いながら、実際には「100グラム」あたりの価格である。いずれにせよ、当方が問題にしているのは「キロ」である。一桁違う。
つーか、1kg 100円の肉って、いったいどんな品質の肉なのか。
僕はスーパーでミネラルウォーターを買う。ブランドによって値段はマチマチだが、機嫌の悪い時は98円の2リットル入りボトルを買う。機嫌の良い時は、2リットルで198円のものを買う。水の重さは1リットルあたりおよそ1キログラムなので、「1キロ 100円」といえば、機嫌が良い時の当方が買うミネラルウォーターにほぼ相当するわけである。
しかし、別にそんなことを言いたいわけじゃない。
ていうか、読者の目を重さの単位に向けさせたのは、当方の作為だ。
僕が本当に言いたかったのは、「1km あたり 100円」という話である。距離の単位についてだ。
距離に比例した料金と言えば、タクシー料金が思い浮かぶ。
そこで、「タクシー料金を調べる」というサイトで、タクシーの料金を調べてみた。地域によって違いがあるので、東京23区内を参考としよう。そこでは、初乗り運賃が2kmまでで640円(小型車)とある。初乗り料金なので、1kmで降りたとしても640円取られる。つまり、「1キロ 640円」という事になる。初乗り以後は、290m ごとに80円とのこと。1km乗ると約275円かかる計算になる。
タクシーに関して言えば、「1キロ 100円」という当方の予算はオーバーしてしまう。
ところで諸君。
僕はおとなしそうな顔をして、お天道様に顔向けできないような恥ずかしいことをいろいろとしてきた。禁固刑に相当するような犯罪だけはしていないと誓って言えるが、倫理的にどうなんだろうなーとか、人としてはずかしくないの?それ? みたいなことは、たぶん両手の指では不足する。
その恥ずかしいことを胸に秘め、後悔しながら一生を送ることは、自分の十字架として仕方ないと思う。
仕方ないと思う一方で、世の中に対して、少しでも罪滅しをしなくてはいけないとも思う。
罪滅しのやり方はいろいろとあるだろうが、根が無精者で、資本家の手先であるところの当方は、金で解決しようと試みる。
ささやかではあるが、毎年夏と冬のボーナス時期に、いくばくかの金額を募金するよう心がけている。
ありがたい事に、昨今の不況下にあっても、なんとか夏のボーナスはもらえるような見込みになってきた。だから、この夏も募金をして、自分の恥ずかしい過去を少しだけ精算しようと思う。
さて、募金をする決意はあるのだが、募金額は決めかねている。こういうのは気持ちの問題だから100円でも良いような気がするし、喜捨の精神的にはボーナス全額をつぎ込まないと心が浄化されないような気もする。
とは言え、学生時代に借りた奨学金の返済も残っているし、うちの猫のゴハンも買ってあげないといけないし、当blogサーバーを稼働させ続けるための電気代や回線代も必要だ。あ、あと、今週発売になるヱヴァンゲリヲンのBlu-rayもちょっとだけ欲しいと思っている。
だから、どう考えても僕がこの夏に募金できるのは、せいぜい1万円が限度だ。ゆえに、まずは上限を1万円と決めた。
そう決めたならぽーんと募金すればいいものを、どこか小心者の当方なので、なんだかちょっと1万円というのも惜しい気がする。こういうのは気持ちの問題だから100円でも良いような気がするし、喜捨の精神的には1万円をつぎ込まないと心が浄化されないような気もする。
とは言え、万が一自動車事故で人にケガをさせた時の備えのための保険料もあるし、うちの猫のトイレ砂も買ってあげないといけないし、「ゲゲゲの女房」のまとめ記事を書くためのNHK受信料やテレビの電気代も必要だ。あ、あと、去年出た the Beatles のリマスター盤CDも欲しいと思っている。
そんなわけで、自分ひとりでは、いくら募金すれば良いかの決定ができなくなってしまった。
そこで、他人の力を借りて募金額を決めることにした。
2010年6月27日に、第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンというのが開催されるそうだ。100m走っただけで息切れのする当方にとっては、100kmも走って何が楽しいのかよく分からない。100kmを自動車で走破しろと言われてもちょっと躊躇するのに、自分の足でその道程を行くというのは、すでに当方の想像を絶している。
ところで、僕は山瀬まみが大好きだ。多くの人々にとっては、山瀬まみの何が良いのか想像することは難しいだろう。けれども、僕にとってはこの世の女神と言ってもいいくらい貴重な人物なのである。人々が山瀬まみの良さをわからなくても、僕には山瀬まみの良さがわかる。それと同じように、僕には100kmマラソンの良さは全くわからないのだけれど、参加する人には参加する人なりの良さがあるのだろう。
だから、参加者の気持ちは全くわからないけれど、彼らを馬鹿にしようとは思わない。過酷なレースだけれど、一人でも多くの人が完走してくれればいいとさえ思う。
今年の100kmマラソンには、当方の知人の sterai 氏がエントリーしている。彼はフルマラソン(42.195km)への出場経験があり、それほど悪くはない成績で完走しているようだ。とはいえ、これまで100kmを連続して走った経験はないようだし、彼がサロマ100kmウルトラマラソンを完走できるかどうか、僕にはよく分からない。
きっと本人でさえ、よくわからないことだろう。
彼のウルトラマラソンに対する意気込みは、日々彼のblogに綴られている。しかし、僕はなんとなく漫然と読んでいるだけで、どことなく自分とは遠い世界の出来事のような気がする。彼が完走しようがリタイヤしようが、どうでもいいような気がしないでもない。
しかし、せっかく自分の知人が、大それたチャレンジをしようとしているのである。そのイベントに対して、自分も身近なものとして考えられるような、間接的に参加できるような、何か面白い方法はないだろうかと考えた。
そこで、「1キロ 100円募金」の登場である。
sterai 氏が第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンに出場し、1キロ走破する毎に 100円の募金をしようと思う。彼が100kmを完走すれば 1万円の募金額となり、50kmでリタイアすれば5,000円の募金額とするのだ。42.195kmなら、4,220円(1円以下は四捨五入)を募金する。
募金はしたいのだけれど自分では金額を決められず、他人任せにしようとする当方の理にかなった方法だ。どこか遠い世界の出来事だと思っていた sterai 氏のウルトラマラソンへのチャレンジが、自分の身近なイベントとして感じられ、間接的ではあるが僕も参加することができる。一石二鳥だ。
募金先は、現在のところユニセフを予定している。sterai 氏にも意向を聞いてみたのだが、彼は具体的な募金先は思いつかないが、教育関連の基金に寄付して欲しいとのことだった。彼は今でこそ教職には就いていないが、人に何かを教えることを惜しまない人だ。だから、教育関連への募金は彼に似つかわしと、僕も思う。
なお、彼の走行距離に応じて募金額が決定されるのだが、sterai 氏本人に対してはビタ一文支払わないことにした。
走行距離に応じて彼自身に金銭を支払うことにすると、彼と当方との間に雇用関係が発生することになる。いわば当方が雇用主になって、彼が雇用者になるわけだ。そうすると、彼ひとりのために入社式をやってやらないとならないし、社員証なんかも必要になるだろう。めんどくさい。彼への給料の源泉徴収をしたり、雇用保険を分担して支払ったりすることも必要だ。ますます事務処理がめんどくさい。
9時-5時でマラソンは終わらないだろうから、当然残業ということになる。もちろん僕は残業代を支払うのを渋る。そうなると sterai氏はサービス残業に従事することになる。そういうのはすぐに労働局にバレて、当方は指導を受けちゃったりする。労働局を味方につけて調子にのった sterai氏は訴訟を起こすだろう。裁判では、当方が一方的に負けて、不払いの残業代に加えて、慰謝料やら制裁金まで支払うことを命じられる。とてもヒドイ状況だ。
だから、sterai氏との間に金銭の授受は一切行わないことにした。
あくまで sterai氏は僕に取ってのルーレットと同じだ。サロマ湖の周りをクルクルクルクルと走って、止まったところの数字に従って僕が募金をする。ただそれだけの関係だ。
ただそれだけの関係だけれど、ルーレットの数字は大きければ大きいほど景気がイイ。めでたい。
だから、sterai氏には 100km 完走して欲しいと思っている。僕にアサガオの種を送ってくれた人物が、100kmを走り抜けるという事実は、それはそれで感動に値するだろうとも思う。そういう場合には、僕も1万円を惜しいとは思わないので、是非とも完走してもらいたい。
100km マラソンのスタートは、6月27日(日) 午前5時。午後6時までに 100km 走破しなければ失格だそうだ(その他、ポイントごとに制限時間が決められている)。
なお、2008年の記録では、2,811人が出走して、2052人が完走しているとのこと(完走率 73.0%)。
なお、今回の企画に関して、sterai氏本人のコメントは以下のとおりです。
できれば、木公一人ではなく、この企画に便乗する人を募ってください。3人集まれば3万円だからね(既に完走する気満々)。