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2010夏 alm-ore 読書感想文大会 結果発表

 7月末に開催を宣言した「夏の読書感想文大会: 商品総額5千円」の審査結果を発表します。

 9月4日18時の締切りまでに37編の読書感想文が投稿されました。応募人数は8人でした。
 一覧は開催案内記事のtrackbackで見ることができます。
(本来は8月31日を締切りとしていましたが、数日締切りを延長しました。締切り直後に審査と結果発表をしようと思っていたのですが、ちょいと仕事が忙しくてそれどころではなく、どーせ審査しないのだからその間も受付け用ようと思い延長した次第。)

 大会ルールでは、3つの部門からそれぞれ1名ずつの優秀者を選出することになっていました。各部門は以下のとおりです。

  1. 自由図書部門: どんな本を選んでも結構です。あなたが読みたい本を読んで感想文を書いてください。評価基準は「うぉ、面白そう!読みたい」と僕が思えるかどうかです。
  2. 意見交換部門: この部門は、1年以内に僕が読んで印象深かった本が12冊がピックアップされています。他の人が同じ本を読んで、どんな感想を抱くのか知りたいと思っている本です。評価基準は「そうか、そういう受け止め方もあるのか」と僕が考えを深めることができるかどうかです。課題図書リストは後述します。
  3. 購入判断部門: この部門には、僕が買おうかどうしようか迷っている本が12冊集められています。応募された読書感想文を読んで判断を下そうと思っているものです。評価基準は「よし、買おう!」もしくは「買うのをやめよう。お金が節約できた」と思えるかどうかです。

 それでは、各部門の講評と優秀者を発表します。


【自由図書部門】
優秀賞: @myuuko 『大奥』

 この部門には、5人から27編の読書感想文が投稿されました。応募された7割強がこの部門へのエントリーでした。

 確かに他の部門の課題図書は、高くて分厚くて小難しいものが多かったので、企画をスタートした直後から僕はちょっと後悔していました。もっと読みやすい課題図書にすれば良かったと。
 しかし、ここまで極端に偏ることは想定外でした。とはいえ、2人の執筆者によって26編が投稿されたということも大きな影響がありますが。

 審査の結果、優秀賞は『大奥』(よしながふみ)の感想文を投稿してくれた @myuuko さんに決定しました。

* * *
選評:

よしながふみの『大奥』が売れている漫画だということは知っていました。本屋でもバンバン平積みにされているし。

 しかし、”読まず嫌い”で完全スルーしていました。著者のよしながふみはボーイズ・ラブ界で名を馳せているらしいというのも、なんだか僕の趣味には合わないような気がして。
 それでも、「きのう何食べた」は、モーニングでたまに目を通すこともありますが。

 『大奥』に関しても、きれいな顔した男がたくさん出てきて、腐女子垂涎だけを狙った、くだらない歴史フィクションものだと思っていました、今まで。
 ところが@myuukoさんの読書感想文によれば、男女比が極端に偏って女性ばかりが増える理由が物語の中で整合性をもって説明されているとか。

 男女の生物学的な機能から言えば、一夫多妻はより多くの子供を残すのに合理的だと言われている。女性は1年に1人くらいしか子供生むことができないのに(一度妊娠すると、その子を出産するまで次は作れない)対して、男性は精子さえばらまけば1年に何人でも子供を産ませることができる。
 逆に、多夫一妻にしてしまうと、1人の女性が妊娠している間、男たちは子供を増やすことができない。1人の夫が妊娠させる事ができるのは数年ごしの順番待ちになるのだ。

 一夫多妻制において、男にとって困ることは「セックスできない男がたくさん発生する」ということだ。女性が独占されてしまうので、一生子供を残せずに死んでしまう男が多数発生する。
 それと同じように、多夫一妻の場合は、「セックスできない女がたくさん発生する」という逆の状況が起きる。世の中に「空っぽの子宮」がいっぱいあるのに、それらが活用されずに終わってしまうのだ。これは、人口を増やすという目的の下では効率のいいことではない。

 さて、よしながふみの『大奥』の世界では、男が減ってしまったため(理由は男だけが感染する伝染病)に男の取り合いになるらしい。それで、権力者である将軍様は大奥を作るとかなんとか。
 しかし、権力者であっても、子宮は1つしかないのだから、夫は1人でいいはずだ。なんで男を独占する必要があるのだろう。
 その答えは、作品に書いてあるそうだ。ものすごく気になる、ものすごく読みたい。

 たとえば、政略の道具に使ったりするのだろうか。男が足りないので、みんな男が欲しい。金をたくさん積んででも買いたい。しかし、いい男は大奥に独占されている。権力者は、男を餌に相手を従わせたりするのだろうか。そういうドロドロした話だと勝手に想像して、その想像が合っているのかどうか確認するために、読みたい。

* * *

 おめでとうございます。
 優勝商品として、Amazon ギフト券 1,000円分を進呈いたします。

【意見交換部門】
優秀賞: 該当なし

 この部門には5人から7編の読書感想文が投稿されました。
 なお、自由図書部門に投稿されたもののうち、僕が既に読んだことのある図書(『『Banana fish』、『フリーライダー』、化物語』)は「購入判断部門」扱いとしました。

 しかし、投稿規定に記されていた「評価基準は『そうか、そういう受け止め方もあるのか』と僕が考えを深めることができるかどうかです。」を満たす読書感想文がなかったため、優秀作なしとします。

【購入判断部門】
優秀賞: 心太 『アルジャーノンに花束を』

 この部門には、2人から3編の読書感想文しか投稿されませんでした。一番楽しみにしていた部門だっただけに、ちょっと残念。
 しかし、たった3編ですが一番審査に悩んだのがこの部門でした。

 審査の結果、優秀賞は『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)の感想文を投稿してくれた 心太 さんに決定しました。

* * *
選評:

 酔っ払って書かれたという、いわくつきの読書感想文。

 そのくせ、『アルジャーノンに花束を』と対称をなす物語『僕はどうやってバカになったか』を引き合いに出すという構成が見事。両方読みたくなる、とても良い文章。

 ところで、酔っ払いの件。
 ある朝、当方がメールソフトを起ち上げると、「アルジャーノンはどうやってバカになったか」というタイトルの付けられたメールが届いていた。差出人の名前にも見覚えがなかった。心太さんとはマイミク同士なのだが、それまで本名を知らなかった。差出人には本名がアルファベットで記されていたのだ。
 メールの本文には、1行目からベタッと感想文が書かれているだけだった。挨拶や投稿の旨などは、冒頭にも末尾にも一切書かれていなかった。
 さらに追い打ちをかけるように、数カ所に渡って文章が文字化けしており、意味不明な部分があった。ていうか、全体を通して支離滅裂に見えた。以下にその画面写真を載せる。

 正直に言うと、僕はアタマのネジのはずれた人に絡まれたのだと思った。僕のblogをつぶさに読めば住んでるところや出没先もある程度把握できるし、このおかしな人に刺されるんじゃないかと恐怖まで感じた。
 ジョン・レノンの射殺犯は現場で『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいた。このメールの主は、僕を刺し殺した場所で『アルジャーノンに花束を』を読んでいるに違いない・・・そんなことを想像したりした。

 初めは無視しようと思った。ヤバい人に関わってもロクなことがないと思ったからだ。
 しかし一方で、無視すると相手は逆上するかもしれないとも思った。

 そこで、下手に出た文章で、やんわりと文字化けを指摘する返事を送った。とてもドキドキしながら。

 はたして返事が届き、それは前夜に酔った勢いで心太さんが書いた感想文だと判明した。素面の彼女は、ごくまともなメールを寄越し、きちんと文字化けを修正した原稿も送ってくれた。僕はほっと胸をなでおろした。

 さて、そんなエピソードがあったから優秀賞を獲得したわけではない。冒頭に書いたとおり、見事な構成。

* * *

 おめでとうございます。
 優勝商品として、Amazon ギフト券 1,000円分を進呈いたします。

【特別優秀賞】
 当初は予定していなかったのだけれど、「これはマジやられた」という読書感想文があったので、特別優秀賞として表彰することにしました。

特別優秀賞: @kaihiraishi 『アルジャーノンに花束を』

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選評:

 ごく短いシンプルな文章で、主催者である僕を挑発しています。その戦略的な感想文にガツンとやられました。

 この感想文は、早い時期に寄せられました。その直後から、一刻も早く同書を読みたくてムズムズしていました。
 しかし、僕が『アルジャーノンに花束を』を手にしているところを誰かに目撃されると、それだけで読書感想文大会の結果が事前に分かってしまうおそれがあり、ぐっと我慢していました。購入の瞬間が目撃されるおそれもあったので、感想文大会の締切りが過ぎるまで買いに行くのを控えるほどでした(そして、今日買ってきた)。

 一方で、この感想文の破壊力を超えるものが出てこないかと期待もしていました。エントリー作は原則として全て順番に公開されているので、応募予定者はライバルの出方を見ることができたわけですし。
 ところが、この文章をまるっきりパクッた感想文が1つあった他は、これを超えるパンチ力のある感想文はありませんでした。

 Simple is the best. 堂々の最優秀賞

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 おめでとうございます。
 最優秀賞として、@kaihiraishi さんにはAmazon ギフト券 2,000円分を進呈いたします。

【参加賞】
 今回、商品総額を Amazon ギフト券5,000円と決めていました。3つの各部門に1,000円ずつ、残りの2,000円は僕が自由に分配することに決めていました。

 最優秀賞の@kaihiraishiさんに2,000円、自由図書部門の @myuuko さんに1,000円、購入判断部門の心太さんに1,000円をそれぞれプレゼントいたします。

 しかし、ここで該当作なしの意見交換部門の商品1,000円分が浮いてしまいました。一度プレゼントすると決めた予算なので、引っ込めるのもカッコがつきません。

 そこで、参加賞として、上記3人を除いた5名の方にそれぞれ200円分のAmazon ギフト券をお送りします。
 とてもセコイ額ですが、どうぞお納めください。Amazon ギフト券は合算したり、現金/クレジットカードなどとの併用もできます。有効期限はたしか1年のはずなので、当blogの次回イベント(1年以内に何かやろうと思います)でより大きな額を当てて合算していただくのもいいと思います。

 以上、alm-ore 夏の読書感想文大会はめでたく終了です。みなさま、どうもありがとうございました。

 なお、Amazon のご利用はこちらから

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