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出ホスピタル記

♪パーンパーンパン パーン パッ パ パーン
トゥルルルル トゥルルルルーー
ジャ ジャーン!

「木公が増えすぎた白血球を減らすための治療を始めてすでに30時間。木公の右腕血管にはスルバシリンが6時間毎に投与され、その間、木公はおぼこい看護師ちゃんに恋をし、互いの身の上話をし、そして失恋した。」

(ドッカーン)

「2019年12月29日17時、おぼこい看護師ちゃんから顔の造作がもっとも遠い看護師は採血セットを携えて現れ、木公の左手から採血を行った。」

♪チャチャチャチャ チャッ チャーン

『脱出』


入院するきっかけは原因不明の高熱(39度)であった。
血液検査の結果、白血球数やCRP(炎症の目安?)が基準値を大幅に超えていることが問題視された(下写真; 右コラムは基準値)。何かしらの細菌/ウィルスが血液内にあって、免疫系が活発になりすぎて発熱しているのだろうと推測された。

原因菌の特定を並行して進めつつ、症状の緩和のために48時間で8回(6時間毎)の点滴(スルバシリン)を行うという治療方針が立てられた。この計画が立てられたのは金曜日の昼過ぎだったが、うまく行けば日曜日には退院できるだろうとのことだった。
はたして、本日、日曜日にちゃんと退院できた。熱は平熱になって、体はどこもだるくない。今朝の血液検査(もっともおぼこくない看護師さんが採血したやつ)の結果、CRPはまだ基準値を超えているが、白血球数はちゃんと基準範囲に収まった。

僕より干支が一回りくらい下の医師だったので、初対面のときは「コイツ、大丈夫かな?」なんて心の中で疑っていたのだけれど、予言どおりになった。すげぇ。
退院後10日間は薬の服用を行い、通院の必要はないとのこと。ありがたや。

16時頃よりダメ押しの点滴を行い、16時45分頃には点滴用の針も抜いてもらった。

実は、点滴用の針を抜かれるのが少し寂しかったんだ。
だってこれ、初日に恋したおぼこい看護師ちゃんが刺してくれたやつなんだよ。「利き手じゃ不便でしょうから、左手に刺しますね」なんてかわいく言ってくれて、「固定用のテープを張るので毛のあるところは取るときに痛いんです。毛が少なくて血管の出てるところ探しますね」なんて言って時間をかけてあちこち愛撫みたいにされて嬉しかったんだぜ。その挙げ句、左腕への挿入は失敗して腫れてしまったから、結局、利き手の右腕に刺されて2泊3日を過ごす羽目になった、あの点滴用の針なんだよ。この思い出だけで丼飯3杯は食べられるし、なんならアバンギャルドなピアスだと思って、一生付けたままでもいいかと思ったくらいだよ。

ただ、この看護師さんは入院初日の夕方に交代だと言って帰ってしまった。看護師さんのシフトは知らないので、入院中にまた出勤してくれて会えることを期待してたんだけれど、ついぞ再会は叶わなかった。最終日の午後には、「あの人は熱にうなされていた僕の妄想で、実は全て僕の妄想なのではないか」なんて思うほど幻のようになってしまった。

ただ、入院で何度も点滴するなんて初経験でビビった僕が「これは、退院までずっと刺したままなんですか?怖いです」と聞いたら、
「そうです。でも大丈夫です。テープでしっかり固定するので外れたり、ズレたりしませんから。あと、1週間程度で交換することになっているので、刺した日を書いておきます。木公さんはその前に退院だと思いますけど」
と言って、油性ペンで日付を書き込んでいたんだ。その記憶に間違いはないと思うんだけどなぁ。証拠もあるし。

こうして、この冬の僕の入院経験は終わりました。

追伸:
今、ブログを書きながら、ふと左腕の裾をまくってみたら、見事に内出血でどどめ色になってた。幻の看護師ちゃんは実在してるわ。写真はキモいのでリンク先に置いておきます(どどめ色の左腕成功したので赤いポッチのみがかろうじて見える程度の右腕)。
左腕が俺のトロフィー。

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