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Charはんの客イジリ

今日はサウンドメッセ in Osaka 2023の見学に行きました。ギターやウクレレに関する楽器関連企業が数十社集まる展示会です。
このイベント全体のレポートは割愛します。ここを見にくる常連読者の多くにとっては、たぶんあまり興味がないことだろうから。

その代わり、日本を代表するギタリストである Char についてちょっとしたメモを残しておきたい。ギターに留まらない、彼の人間性に惚れたから。

サウンドメッセ in Osaka 2023には楽器関連企業だけでなく、ミュージシャンも参加していました。出店企業に呼ばれて展示ブースで模範演奏を見せたりするわけです。

そんな中、ギタリストのCharも参加していました。今回のゲストの中では一番の大物です。

彼の出演イベントは16時から、会場内の特設ホールで行われることになっていました。ホールは他の部分からは隔離されていて、200人強程度しか入れません。無料ですが、基本的に早い者勝ちです。
ただし、500円で予約券を買うと優先して入場できます。僕はCharの人気を知っていたので、予約券を買っておいて無事に入れたのだけれど。

なお、その予約券は、現地で朝9時から発売されることになっていました。僕は7時くらいに家を出て、9時ちょうどに予約券売り場に到着しました。すでに長蛇の列ができていて、売り切れを覚悟したのですが、なんとか無事に整理番号106番をゲットできました。会場内には椅子が150脚くらい用意されていて、予約券を持っている人は全員そこに座れました。それ以外は、早いもの順で椅子の後方で立ち見だったようです。無事に予約券ゲットできてよかった、僕はほぼ最後尾だったけど。
ところで、一番早い人は朝6時前から並んでいたとのことです。他のイベントで主催者の人がそんなことを言ってました。冷える朝だったので、見かねたスタッフが使い捨てカイロをあげたとか。
まあ、要するに、Charにはそれだけ熱狂的なファンがいるってことです。

本題はここからです。
Charはんのイベントは、演奏というよりも、トークショーという趣向でした。その中で、観客から質問を受け付け、その場で答えるというコーナーがありました。
16時からのイベントのために朝9時前から並ぶファンなのだから、どれだけ活発に質問がでたことだろう、と思うでしょ?ところが、ほとんど手を挙げる人はいなかった。

ほぼ唯一手を挙げたのは、まさに僕の左斜め前に座っている人でした。この人、入場前に並んでる時から、僕の視界に入っていて、すごく気になる人でした。
まず、女連れで来ていた。わりとキレイめな女性で、ギターとかにはあまり関心がなさそうなタイプに見えた。男に無理やり連れてこられたように思えて、気の毒だなぁと思ってたわけです。
それよりなにより、僕がこの人に注目していたのは、プロ野球選手の中田翔にそっくりだったからです。人を見た目で判断してはいけないけれど、ギターよりもバットが似合う雰囲気の人です。人を見た目で判断してはいけないけれど、場違いな人のように思ったのです。
そんな人が、Q&Aコーナーで唯一挙手したらギョッとするじゃん?

彼は、今日、会場でギターを購入したと話し始めました。そのギターは、販売員の人から「Char が Youtube の配信動画の中で実際に使用した白いムスタングだ」と説明されたそうです。で、彼は、Charの使用したギターを入手した喜びを述べるとともに、間違いなく本物であることを確認したいとのことでした。

ところが、Charの返事はつれないものでした。「似たようなギターはたくさんあるし、仮に実際に見たとしても確信は持てない。だから、絶対にそうだとは言い切れない」などと答えていました。あまりの返答に観客は少々ざわつきました。司会者もせっかくのいい気分を台無しにするな、とりあえず肯定しておけ、などと嗜める始末。
しかし、Charは自分は嘘をつくわけにはいかないと言い張りました。

みんなが、その彼に同情し始めた時、Charはこう言うのです。
「なら、そのギターをここに持ってこい。今弾いてやるよ。そうすれば、間違い無く、俺が使ったギターということになる」
一同、痺れました。

彼は、展示ブースに預けたままだと言って、ギターを取りに会場を出て行ってしまいました。
一同、展開がわからなくなり、困惑半分、期待半分という感じになります。

彼を待つ間、Charは阪神タイガースの話題を楽しそうに話していました。彼は東京出身ですが、熱狂的な阪神ファンで知られています。この日はDeNAとの首位同士の試合で、途中で阪神が逆転したので機嫌が良さそうでした。

そんなこんなで、件の彼は白いムスタング(というギター)を持って会場に戻ってきました。
Charはんはそれを受け取ると、ぽろろーんと数秒だけ鳴らして、「はいはい、使いましたよ」みたいな感じで彼に返してしまいました。
一同、その投げやりな態度はいかがなものか、と思ったことでしょう。

ところが、ここからがCharの最高なところでした。
「じゃ、セッションしようか。できるでしょ?」
と、彼をステージに登らせて、ふたりで弾き始めました。

中田翔にそっくりな彼にそんな芸当できるのか?とヒヤヒヤしたのですが、彼は立派にやり遂げました。
3コードのブルースという単純な部類ではありますが、Charと交互にソロを弾いたりして、なかなかの腕前でした。
演奏中のCharは、中田翔にそっくりな彼を終始優しい目で見守っていました。なんか、菩薩みたいな目つきで、すごくよかった。
その目を見てるだけでジーンときた。

で、中田翔にそっくりな彼が連れていたキレイめの女性ですが。
彼がステージに上がったのを、ずっとスマホで動画撮影していました。そもそも会場に「撮影禁止」の張り紙はなかったので、咎める筋合いはないし、こんな暖かい場面で目くじらを立てる人は誰一人としていませんでした。
しかも、この女性、ふたりのセッションが終わるや、急に立ち上がってステージの方に歩いて行くではないですか。何をするのかと見ていると、ペンを手渡してCharがギターにサインするよう促したり、握手する二人を間近で撮影したり。
聞けば、恋人同士らしいのだけれど、よく気のつく人で、お似合いの二人に思えました。ここでも暖かい気持ちになれた。

彼、最初はCharが使用したギターを手に入れたはずだったのに、気づけば「一緒にセッションしたギター」にレベルアップしてるんだよね。羨ましい。妬む気持ちは全く無くて、本当に良かったねぇと思える場面でした。
件の彼一人じゃなくて、第三者まで幸せな気持ちにさせたChar、すげーなと思った。

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