当方,京都府民ではあるが,京都市民ではないことは有名な話.
帰省のたびに「金閣寺や銀閣寺や清水寺や鴨川のカップルよりも,奈良公園の鹿やら東大寺の大仏やらの方がよっぽど近所」と説明するハメになって,いい加減イヤになっている.
それでも,雑踏から程遠く,静かな今の住まいは気に入ってるけど.
そんなボクチンが,京都市方面へ車を向けて免許の書き換えをしてきた.
そんな休日.
しかし,もっと重要なことは,京都府久御山町で「ローマの休日」(AmazonでDVDが買える)を観てきたって話.
イオンシネマ久御山では,4月2日から4月22日まで,「ローマの休日」(製作50周年記念デジタル・ニューマスター版)を上映してます.
しかも,特別料金1,000円.
これを知っていて出かけたわけではないのですが,免許の更新の帰りにふらっと寄ってみたら,映画館の広告を見つけ,その上時間もちょうど良かったので見ることに.
「ローマの休日」は,最後のオチも含めてあらすじは知ってたし,オードリー・ヘップバーンが激カワイイって話も聞いていたし,何より往年の名作らしいのだが,今まで一度も見たことがなかった.
名作とはいえ,近年のハリウッドのCGバリバリでドルビー何ちゃらという音響技術が使われている娯楽映画にすっかり洗脳されている当方なので,モノクロのモノラル音声の映画ってところでイマイチ退屈しそうな気がして敬遠していたり.
演歌「北酒場」にあるように”♪髪の長い女が似合う~”よろしく,ショートカットの女の子にはあまり萌えない当方であるし.
そしてなにより,あらすじだけ聞くと,なんとなく陳腐だと思っていたし.(これは,昔から繰り返し,あちこちで話を聞いたせいでつまらなく感じていたことによるのかもしれない)
まぁ,そんなわけではあったのだが,1,000円だったし,タイミングも良かったし,なんとなく「普通と違う休日」を過ごしてみたかったので,しっぽりと「ローマの休日」を観てみたわけで.
途中をすっ飛ばして,劇場を後にするときの情景を語ると,当方,座席から立つときに,うっすらとくらい館内にもかかわらず,サングラスをかけ,むっつり顔で誰よりも早く出て行ってしまった.
・・・だって,つい思わずホロリと来てしまって,きっと目が真っ赤だったんだもん.
いい年して,不良みたいた格好したおっさんが,「ローマの休日」で目を腫らして劇場から出てくるなんて異様じゃん!
サングラスで隠したくもなるってもんよ!
僕がヤバかったのは,ジョー(グレゴリー・ペック)とアン(オードリー・ヘップバーン)が別れた翌朝のシーン.
なお,ジョーが結局アンのことを記事にすることをやめたシーンは,普通にスルー.だって話を知ってたし.
カメラマンのヒゲ君(役名忘れた.俳優さんの名前は全然知らん)が,”休日”の写真をベッドの上に並べて,二人であれやこれやと話しているシーンで,きちゃいました.
ジョーとアンが恋に落ちたことは二人だけの秘密だし,ジョーはその想いなり”休日”の思い出なりを一生自分の胸だけに秘めて生きていかなきゃならんのよ.
(映画ではきちんと語られていないが,想像するに)親友であるところのカメラマン君にだって,そんな話を打ち明けてカタルシスをすることもできないだろうし,ジョーはそんなことする男でもないだろうし.(記者会見でのカメラマン君の行動を見ると,彼は全て察しているようだが)
そんな気持ちを胸に秘めたまま,さもなんでもないことのように,写真の品定めをする心情ってどうなのよ?
ヤバいよ,僕的にヤバいシーンだよ.
記者会見で,しれっと,かつ,愛情深く「人と人の友情は永遠ですね」(台詞うろ覚え)と二人だけのメッセージを送りあう場面よりも,僕は写真を眺めるシーンだな.
いい映画ですね.
200人くらいの劇場に,10人くらいしかお客さんは入っていませんでしたが.
僕がど真ん中の席に座れたくらい,お客さんが入っていませんでしたが.
先にも書きましたが,22日まで.
しっぽりご覧になってはいかがですか?
追伸:
アンの日々の生活って,上品で静かで優雅な音楽が流れてました.
ジョーなど,ローマ市民の生活は,粗野で雑然としていて,まぁにぎやかと言えば,にぎやかだけど.
「ローマの休日」という映画も,上品で静かで優雅でした.
やれやれと思って映画館を出ると,イオン久御山の屋外広場には,親子連れやらカップルやら熟年夫婦やらでごった返しており,あちこちからクソガキお子様方の奇声朗らかな声や買い物カートをひくガラガラとした音,走り去る自動車のエンジンの音なんかが聞こえてきました.
僕もいつもは,そのような雑踏から程遠い静かな街に住んでいて,その環境をすごく気に入っているけれど,やっぱたまにはこういう雑踏っていいね.
だけど,アン王女と同じように,自分のいる場所は雑踏じゃないなと思った.