夕方に至った現在、今さらながらみうらじゅんを激しく気に入ってしまった。
メイド喫茶で、「お帰りなさいませ、ご主人様」という声が飛び交う中、M子の「ご主人様・・・」というセリフに重い目眩を感じながら読み始めた『愛にこんがらがって』であるが、読み進めたら、やめられない、とまらない。
午後は、某会議に出席していたわけだが、「早く終われよなぁ。こちとら、乾とM子の性愛の行方が気になってんだよ!」と心の中でブツブツほざいていたことは言うまでも無い。
『愛にこんがらがって』は、主人公のバンドマン乾が、街中で見ず知らずの女M子に「ご主人様になってください」と懇願されるところから始まる。
最初は勝手がわからず、見よう見まねでSMプレイをやってみる乾であるが、次第にM子の淫靡な肉体に魅了され、自らが行うサディスティックな行為に快感を覚えていく。
しかし、読者の予想通り、その関係に溺れることによって、主人公の生活は破滅しかかり、M子との別れを決意する。けれども、彼女との愛欲生活が忘れられずに・・・→ ループ って感じ。
もうね、文章の65%以上は、エロ描写。
「オマエ、ちょっと朗読してみろ」
と言われたら、赤面しつつ、土下座して勘弁してもらうつもりである。
露骨な性描写を好まない人にもお薦めしない。
しかし、しかしなのである。
単なるズリネタ官能小説に終わっていないところが良かった。
全編を通して
「”心の愛” と “体の愛” って、どっちがどーなのよ?」
という、ありがちだけれど、聞かれると口ごもるしかない問いが発せられていて、それに答えられない自分にもどかしくなってしまったり。
それに答えられない当方であるが、この小説の主人公のモノローグを通して、1つの回答をもらったような気がしないでもない。
そんなわけで、評価高し。