サイトアイコン alm-ore

岡山県産 清水白桃

うっかりの多い生涯を送って来ました。
自分には、注意深い生活というものが、見当つかないのです。

自分は北海道に育ちましたので、アジの開きをはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。
自分はつくばのビジネスホテルの朝食に出てきたアジの開きを、箸でほじくり、食べて、そうしてそれがアジだとは全然気づかず、ただそれはかなり小ぶりなホッケの開きだと思い、ホテルが朝食の材料費をケチり、不当な利益をむさぼるために用意されたオカズなのだとばかり思っていました。しかも、かなり永い間そう思っていたのです。のちにそれはただ本州ではおなじみのアジの開きだと知り、すこぶる日常的な朝食風景に過ぎないのを発見して、本州出身の女の子に小馬鹿にされました。
(c.f. 太宰治『人間失格』)


うっかりはそれだけではなく、
自宅サーバーを増強するために買ってきたメモリがnon-ECCだったため、まったく使い物にならずに放置されているとか(1GBが2本あるんですが、誰か買わない?)、
テレビのリモコンの調子が悪くなってきたので純正品を注文したらその日の夜に急に調子が良くなり、今や自宅にまったく同じテレビのリモコンが2本あるとか、
当blogを書いていると、まったく同じ文章を思わず2回書いてしまうとか、
歯磨き粉がそろそろ無くなりそうなので買ってきたら、棚から未開封の歯磨き粉が出てきたりとか、
毎週、飽きもせずに女の子とデート(デート?デートなのか!?)してるのに、未だに妻を娶ることができないとか、
自宅サーバーを増強するために買ってきたメモリがnon-ECCだったため、まったく使い物にならずに放置されているとか(1GBが2本あるんですが、誰か買わない?)、
先日頂いたマタタビ酒をロックで飲もうと思って氷を買ってきたら、冷凍庫に2袋もロックアイスが入っていたとか、
枚挙に暇がないのである。

これだけうっかりの多い生涯なので、
いつ美人局に引っかかって身包みはがされるかわかったものではないとか、
高橋元太郎の後釜として「水戸黄門」にうっかり八兵衛役としてスカウトされるのではないかとか、
冷蔵庫に入っている3年前のマヨネーズを食べて腹を壊すのではないかとか、
いろいろ不安にさいなまれたり、さいなまれなかったりするわけである。

そんな中、押熊のジョリーパスタで食後にホットカフェラテを頼んだら、ウェイトレスのおねぇさんが誤ってアイスコーヒーを持ってくるといううっかりに遭遇しつつも、森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」に収録されている作品における、パンツ総番長と紀子さんの神様の御都合主義にのっとった大団円にほっこりとした気持ちで帰宅したわけである。

すると、ウチのドアになにやら不審なビニール袋が引っ掛けられている。
ウチのドアに引っ掛けられているものといえば、ご近所の回覧板かamazonから発送された商品と相場がきまっている。
しかし、今日そこにあったのは、遠めに見てもそれらの品々とは一線を画す、不審なサイズ・形状である。

近所のガキどもがクソみたいにもてあました夏休みの fuckin’ 暇つぶしにお住まいの、日本の未来を背負って立つ前途豊かなお子様たちの天使のようないたずらか?
はたまた、『太陽の塔』(森見登美彦)の主人公が、恋敵・遠藤の家と当方の家を間違えて、袋に詰めたゴキブリ・キューブを置いていったのだろうか?
それとも、過去に当方の会社のデスクにガンダム・コースターを置いていった、妖怪人間ベラがついに当方の家を突き止めて、親愛の情の証を残していったのか。

いずれにせよ、怪しい。怪しすぎる。

しかし、そこは、うっかり生涯国道を時速97kmで爆走している当方である。
一抹の不安を抱えつつも、それを携えて敷居をまたいだ。
念のため、急に爆発したりしないように、『夜は短し歩けよ乙女』の主人公の女の子のように「なむなむ!」と可愛く唱えたケド。

はたして、中から出てきたのは、立派な白桃が二つ。

差出人は、マタタビ酒などを下さった、ご近所にお住まいのりんちゃんのお母さんでした。
同封されていたお手紙によれば、ご実家から送られてきたものを、わざわざおすそ分けしてくださったそうです。

ちょっとビビりましたが、たいそうなお品をありがとうございます。
人間ドックの問診票で「1週間に食べる果物 0」と書き、お医者さんに苦言を呈された当方には、なによりもありがたいです。
本当にありがとうございます。

あるにゃんも、興味深々です。

なお、お礼に「阪神タイガース電報」に「[alm-ore 特別篇] 桃と俺」をしたためて送ろうとしたところ(D-Mail)、うっかりと文字数が500を超え、”そんなに長いのは送ることができない”とエラーが表示され、多少文字を削って制限文字数内に収まったものの料金がうっかりと1万円に達し、ムンクの叫びのような表情になってものすごく短いお礼状に書き換えたことは秘密です。
秘密なんですが、うっかり裏事情を漏らしてしまいました。

モバイルバージョンを終了