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cafe JUNK 解体工事

わが青春の cafe JUNK(京都府木津川市)が閉店したことは既報の通りだが、本日偶然にも cafe JUNK の前を通りがかったら解体工事が行われていた。
建物が解体されてしまったからには往年のスタイルで再開される望みは絶たれたわけである。

非常に残念だ。

11:30頃通りかかったときには、まだ建物の半分くらい(奥の倉庫のあたり)が残っており、外装アートの見納めをした。
その時は写真を撮らなくて、14:00過ぎに気になって写真撮影のために戻ってきたら、既に建物は全て取り壊されていた。



基本的にヒップホップが好きではない僕であるが、あの店に限っては大音量のヒップホップBGMであっても苦にならなかった。
そんなBGMが、店中に張られたアメリカンでポップなポスターやステッカーの雰囲気とあいまって、京都府郊外の田園風景の中にいることも忘れ、ちょっぴりトリップ感を与えてくれた。

一時は、3日と空けずに通い、いつもカウンターの端っこの席で山本文緒とか唯川恵などの女性作家の、ちょっと冷めたラブストーリーをむさぼるように読んでた。
店のおねぇさん方は、美人揃いで、愛想のいい人ばかりだった。
ラブストーリーを読む手を休めて、彼女らとねんごろになる自分を、ちょっぴり想像したり、しなかったり。

読書のお供は、クラム・デルレイ(ボンゴレソースのスパゲティ)。
もう少し通ったら、「いつものやつ」で通じそうだったのに。
作り手の違いによる微妙な塩加減の違いがわかるほど、何度も食べた。

ここ2年くらいは、大晦日に年越し蕎麦代わりにクラム・デルレイを食べるのが恒例になっていた。
年末年始に北海道へ帰省することもなく、身寄りもいない京都で、ちょっとした故郷のような気分だった。
店員さんも僕の顔を覚えてくれていて、いつも暖かく歓迎してくれたし。

知り合いの♂も何人か連れて行った。
デート(デート?デートなのか!?)で女の子を連れて行ったことも、1度や2度ではない。
ある時なんて、僕が駐車場に車を停めて女の子を連れて降りたのが店の中から見られていたようだ。
店員さんたちがニヤけながら窓からこっちを眺めていた。

トイレには、アメリカ合衆国の白地図が貼ってあった。
白地図には、各州のマグネットがジグソーパズルのように貼り付けられていた。
そのマグネットが何なのか知らなかったが、先週アメリカに行ったとき、Providence の空港で Rhode Island 州のマグネットが売られていた。
「そうか、これがジャンクのトイレにあったマグネットか。ジャンクへのお土産に買っていこうかな」
と思ったが、再開店の兆しが見えなかったので、買わなかった。

水道の調子が悪くて、Cafe JUNK のトイレの流水がものすごく黄色く濁っていたことがあった。
店員さんが気を回して、
トイレの水が濁っていてすみません
と謝ってくれた。
自分の排泄物を流す水が多少濁っていたところで、僕に実害があるわけでもないし、気にしていなかった。

それよりも、すきま風が吹いて、冬場に肌寒いほうが気になっていた。
今まで、口に出して言ったことはなかったけれど。
入り口の白いドアの建付けも悪かった。
どんなに一生懸命押し付けても、きちんと閉まらない。

店の歴代のおねぇさんの中で、一番のべっぴんさんだと思う人がいた。
彼女が僕に続いてドアをくぐっていたことに気づかず、いつもの通りドアを閉めたら、彼女をドアに挟み込んでしまった。
きゃっ
という悲鳴が、ちょっと可愛かった。

全ては、もう過去の話。
昼間、写真を撮るときはクールな顔でパチパチ撮った。
今、いろんなことを思い出しながら、一人でPCに向かっていると、ちょっと画面がぼやける。

【cafe JUNK 跡地】

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