そもそも、インド(ヒンドゥー教)とパキスタン(イスラム教)はインド帝国として統一されていたのだが、イギリスの植民地から独立する際に、それぞれの宗教の違いによって国が別れたそうだ。カシミール地方もインド帝国内の一王国だったのだが、王族はヒンドゥー、民衆はイスラムという複雑な状況にあったそうだ。そのためインドとパキスタン双方からの引き合いがあり、帝国解体(1947)から60年以上経過した現在においても、領有権や宗教の問題において微妙な状況にある地域らしい。
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もう一つ、高級毛織物の「カシミア」というのもの、カシミール地方にちなんでいるらしい。
この地域や中央アジアの高原地帯に住むカシミアヤギの内側の体毛を集めて作られるのがカシミアであり、取れる毛も少ないらしい。セーター1着を作るのに、ヤギ4等分の毛を集める必要があるそうだ。
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その他、奈良市押熊町にあるカリィ店アジャンタでは、”かしみぃる” というちょっと高い方のカレーを思い出したりする当方だが、この店と同地域の関係について当方はよく知らない。
この写真集は、フリーカメラマン・松永友宏がカシミール地方に入って現地の様子を撮影したものだ。
あとがきを読む限り、実際に現地に入る前までは、彼自身もカシミール地方のことはほとんど何も知らなかったようだ。想像するに、僕が冒頭に書いたのとほぼ同じで、「なんか知らんけど、モメてる地域」程度の認識で出かけたようだ。しかし、滞在するうちに、宗教や政局といった生臭い問題よりも、現地の人々の生き生きした生活に興味が惹かれたようだ。
実際、写真集は4つの章に分かれていて、それぞれ
- カシミール原風景
- 自然とともに生きる
- 神々のなかに生きる
- 紛争のなかに生きる
とタイトルが付けられているにもかかわらず、「4章: 紛争のなかに生きる」はものすごく薄くて、80ページほどの本の中で8ページほどしかない。
逆に、人々の日常生活には多くの紙幅が費やされている。
そして、彼らが良い顔で写ってた。決して物質・経済的に豊かな生活ではなさそうだし、標高が高いから寒そうだし、寒そうなのに建物も粗末なんだけれど、身の丈にあった生活をエンジョイしてるっぽくて、それはそれは幸せそうだった。
世界情勢から見れば、印パ中の火薬庫という認識なのだけれど、その中に住んでいる人々にはあんまり関係なさそうで。
みんな、目がキラキラしてる感じで。
たまに、終戦直後の日本の貧しい人々の写真を見かけたりするけれど。
確かに敗戦の中でボロボロの生活をしているんだけれど、目が爛々と輝いてて「ああ、こういう人たちがいるから、今の日本があるのね」と思わされるような被写体がたまにいるじゃない?
そういう60年前の日本人にちょっと励まされたり。
そんな感じの、カシミールの人々のキラキラ・アイズに元気付けられている僕がいます。
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献本を受けたからといって、必ずその本のフィードバックや宣伝をしなければならないという義務もない。
#基本的に、善意に基づいたシステムで、僕はこういうの大好きだ。