齢35になる今年まで、かき氷には全く食指が動かなかった当方。それがどういうわけか、最近は空前のかき氷マイブーム。
今日も暑かったので、かき氷が食いてぇなぁと思い、検索して見つけたのが、樫舎(かしや)。
樫舎は、近鉄奈良駅から徒歩で10分強の位置。駅からの道中には、猿沢池と興福寺の五重の塔を見物することもできるだろう(奈良市内でトップを争う記念撮影スポット)。夏場はつらいけれど、奈良公園も20-30分歩けば行ける距離。
今日も観光客らしき人がちらほらと歩いていた。
店構えも、旧家のような佇まい。店内では靴を脱ぎ、急な階段(旧い町屋によくある、横が引き出しになっている階段。なんていうんだけ?)を登っていくと2階が客席となっている。イグサの香りが漂い、緩めに設定されたエアコンで、良い心地になる。
座席は12しかない(4人がけ×3)ので、混むとたいへんかもしれない。僕が訪問したときは、先客として家族4人連れが一組いただけだ。彼らの話題は、長男(小学3年生くらい)の将来の職業について。和菓子職人になるか、洋菓子のパティシエになるかで、冗談家族会議が繰り広げられていた。なんだか微笑ましい。
これが、樫舎のかき氷。お値段、1,050円。
毎日の晩御飯の平均価格が750円くらいの当方にとっては、午後のおやつとしては破格のお値段。
少々躊躇するところではあったが、食べ終わった現在は、それだけの値打ちがあったと満足している次第。
北海道に住んでいた小学生の時分、登校中に前夜の新雪をイタズラで食べたことを思い出した。つまり、水分の少ないサラサラした雪がお椀に盛られているイメージ。夏の奈良で、この食感は感動。
抹茶シロップもいい感じで、かなりの大きさのかき氷(対象物のない写真を撮ってしまったのは失敗だ。お椀の半径15cm、高さも15cmくらいだったろうか)にもかかわらず、飽きずにバクバクと食える。
アズキや白玉、寒天なども埋蔵されていて、掘れば掘るほどいろいろ出てきて嬉しい。
詳しい内容物は、樫舎のブログ「かき氷」参照。
食べながら、自分で自分の顔がほころんでいるのがわかるような感じ。なんだか幸せな雰囲気になる。そりゃ、隣の家族連れも平和な会話を繰り広げるわけだ。
割といい店だと思うのだが、今まであまり評判は聞いたことがなかった。それもそのはず、まだオープンして1年あまりしか経っていないようだ(2008年7月オープン)。1300年祭だなんだと大騒ぎしている奈良の歴史に比べれば、笑っちゃうほど歴史の浅い店だけれど、雰囲気といいメニューといい、老舗と勝負しても恥ずかしくないんじゃないかと思う(つーか、見識の浅い当方の言うことなのであれだけど)。
紹介が前後するが、席に着くと、氷入りの冷たいお茶を出してくれた。この季節には嬉しい。そして、ウェルカム・ドリンクのわりには、かなり美味しいお茶だった。
気になったので、お店の人にそのお茶のことについて聞いたところ、「すぐ近所のお茶屋さんで売っている”緑色の番茶”を、一晩かけて水出ししたものです」と教えてくれた。
“緑色の番茶” っつーのが不思議な言葉だったので、そのお店を冷やかしに行ってみた。場所は、樫舎を出て、右に100mほど行ったところ。
田村青芳園(たむらせいほうえん)という、おばあさんが店番をしている、商売っ気のなさそうなお店。だけど、ちゃんとwebサイトがあったりするから驚く。
当方のような胡散臭いオッサンが店に入ってきたもんだから、店番のおばあさんがちょっと警戒するようにこっちを伺う。ショーケースの前に、ひじょうに無造作な感じで “緑色の番茶” が置かれていた。確か、100g 300円するかしないかだったと思う(webサイトの商品一覧に掲載されていないし、忘れた)。
その商品を指差しながら、「樫舎さんで話を聞いて・・・」と事情を説明すると、おばあさんもにわかに打ち解けてくれた。おばあさん曰く、樫舎の職人さんは仕事熱心でいい人だ、アズキの炊き方も良い、との事だった。ご近所さん同士、仲良くやっている人たちなんだな、と思うとこっちまでいい気分になってきた。
場所は、猿沢の池から南下して5分くらいなので、この夏、奈良に遊びに行く人は外せない2件だと思いますよ、マジで。
【樫舎(かしや)】
住所: 奈良市中院町22-3
TEL/FAX: 0742-22-8899
営業時間: 9:00-18:00
定休日: 水曜日
駐車場: なし(そばにコインパーキングあり)
備考: 店はならまち大通りに面しているけれど、入り口は細い道に面しているので見つけにくいかも。要注意
【田村青芳園(たむらせいほうえん)】
住所: 奈良市勝南院町18
TEL/FAX: 0742-22-2833
営業時間/定休日: 不詳
駐車場: なし(道も狭いし、店の前の駐停車もやめるべき)
地図ここらへん
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