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東海林さだお公伝のチャーシュー: 一晩おいたら化けた!

美味しい料理はたいてい「秘伝」だ。
ていうか、あまり美味しくない料理でも「これは秘伝の調理法に基づいて作られました」と言われたら、それだけでなんとなく美味しく感じる。美味しく感じないのは自分の味覚がオカシイのであって、秘伝の味を理解できない自分の舌を恥ずかしく思い、「うん、まぁ、そうだね。うんうん、よく味わえば美味しい気もしてきた・・・」とかなんとか、適当に話を合わせたりするのが人情だ。

僕は料理のセンスが全く無い人間なので、チャーシューをどうやって作るのか知らない。
ていうか、料理店でチャーシューを食べるたびに「美味しいなぁ。きっとこの店秘伝のレシピで作ってんだろうな。俺が作るなんて百年早いな」なんて謙虚に考えていたりする。

ところが、世界で一番美味しいチャーシューを、豚肉と醤油だけで作る秘伝の技があるらしい。
いや、秘伝じゃない。とても有名らしい。
「東海林さだお チャーシュー」で検索するとたくさん出てくる。

そう、東海林さだおが『ブタの丸かじり』という本の中で「簡単チャーシューの作り方」として紹介している。
そして、それを真似してあちこちで「美味い!」の声が上がっている。

もう、秘密でも秘伝でもない。
秘伝の反意語がなんであるのか、僕は知らない。
国語の成績は昔から良くないからだ。先日もマジスパで「矜持」という漢字が分からず(ケータイの日本語変換でも候補が出てこなかった)、そばに居たよく会う馴染みの女の子に「”きょうじ”ってどういう感じだっけ?」と聞いて、やっとtwitterに投稿できたくらいだ。
だから、秘伝の反対が「公伝」でいいのかどうかわからないが、東海林さだおのチャーシューレシピを僕も公伝する。


東海林さだおが示すチャーシューレシピは以下の通り。たったこれだけ。簡単。

(豚肉を)何でもいいから四百グラムぐらいのブロックを買ってくる。
 鍋に湯をわかす。わいたらブロックを入れる。
 四百グラムぐらいのカタマリで、大体三十分で火が通る。
 金串で刺してゆっくり引き抜き、赤い汁が出てこなければ火が通っている。これを醤油につけこむわけだが、このときびっくりするほど醤油がいる。
(中略)
 しょっぱさ加減は引き上げる時間で調節する。四百グラムのカタマリで二十分から三十分。

本当にこれだけでできるのかよ!?
でも、「東海林さだお チャーシュー」で検索すると、みんな「美味い!」と言ってる。
漬け込むときに、紹興酒やにんにく、生姜など余計なものは一切いらないと東海林さだおは言っている。真似した人々も、かたくなにその言いつけを守っている。

本当にこれだけでいいのかよ!?
「万年お料理1年生」の俺にもできるのかよ!?

実証してみる必要がある。
だから作ってみた。

材料は、
・国産豚ヒレブロック 415g 821円
・co-op 本醸造しょうゆ 1L 158円
しめて、979円。
材料の選択に、特にこだわりはなかった。400g程度の豚肉ブロックはこれしかなかったし(400円くらいかとタカを括っていたのだが、意外と高くてビックリした)、醤油は棚で一番安いやつを選んだ。

早速、鍋に湯を沸かし、豚肉を投入。

ちょうど30分。金串で茹で加減を確認し湯からあげた。

醤油に漬け込む。1リッターボトルの70%くらいを投入しました。
幸いにして、僕は死にたくなりませんでした。家で料理したり醤油使ったりすることはほとんどないので、このチャーシューを作り終わったらこの醤油も用なしだし、どんだけ使おうが同じなのだ。

できた!

美味い!

* * *

以上は、昨夜までのできごとだ。
僕は、チャーシューを作成しながら文章をまとめていた。そして、最後に食べた感想を追加すれば、そのまま blog にアップできるように準備を整えておいた。

しかし、僕が作ったチャーシューは美味しくなかった。
醤油の味しかしない。舌にピリピリと突き刺さる醤油の味。
こんな簡単な調理法のどこに間違いがあったのか。

僕は失意のままエディタを閉じ、チャーシュー作りはなかった事にした。記事もお蔵入りにした。
作ったチャーシュー(になるはずだった豚肉)は捨てるのも惜しいし、とりあえずラップして冷蔵庫にしまった。ていうか、見ているとムカムカするので、隠した。

ところが、一晩経って、味が整った!

先程、ダメもとでチャーシュー(を予定していた豚肉)を冷蔵庫から出してきて、一切れかじってみた。すると、昨夜のキビシイ味はどこかにすっ飛んでいた。誰が食べても「お、こりゃ美味しいチャーシューだ」と言えるシロモノになっていた。
すげぇ。まじ、すげぇ。

もしかしたら、昨夜の醤油漬け込み時間が長すぎたのかもしれないな。
次は、こまめに味を見ながら作ることにしよう。
#昨夜は、本に夢中になって10分位余計に漬けちゃったんだ。

簡単なので、みなさんも一度お試しあれ。

なお、その他の詳細や、醤油の使用量を節約する方法、味見の時のコツ(僕はここでトチったのかも)とかは、『ブタの丸かじり』をご参照ください。

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